新作の方どうするかなぁ……びっくりするくらい上手く書けんかったのよね。何とかせねば。
「…………熱いです」
さて、何でこんな修行を始めたかですが。師匠曰く、この世界の魔法は精霊との親和性が重要らしく。まぁ要するに、精霊と仲よくなれば魔法も使いやすくなるとの事です。原作にそんな描写は無かったと思うのですが、よくよく考えれば修行風景って、エヴァさんのスパルタ特訓しか知らないです。エヴァさんは何というか、精霊を力で支配してそうですからね。師匠の言うような精霊と仲良くなる修行なんかとは縁が無いんでしょう。
そう思い師匠に世間一般の魔法使いも同様の訓練をしているのか聞いてみたのですが、なんと魔法学校でも精霊との親和性についての授業はしていないとの事です。というか、そもそも精霊に意思があるという事自体が眉唾な扱いだそうで。まぁ、精霊と話が出来なければそんな発想は出てきませんよね。どうやらこの修行法は、精霊とある程度の意思疎通が出来る師匠独自のものらしいです。師匠が精霊と意思疎通出来るのは、本体が精霊に近いかららしいのですが。師匠の本体って、もしかして古本じゃないんでしょうか? それとも精霊が書いた本とか……まぁ、どうでもいいです。師匠の正体が何でも、私の師匠である事は変わらないです。これであの性癖さえ何とかなれば最高の師匠なのですが……何だか最近あの性癖にも慣れてきてしまった自分がいるです。
肝心の修行の成果ですが、ちゃんと効果はあるみたいです。以前は数秒で消えていた【火よ灯れ】ですが、今では10分はもつようになったです。一日数時間の修行なのに一週間でこの成果は、中々のものだと思います。原作夕映が麻帆良祭のネギ先生とのデートで使った時は、10秒もったかどうかでしたし。いえ、漫画媒体なので、正確な持続時間は分からないですが。成功してからネギ先生が一言喋る間に消えてましたし、大体そのくらいでしょう。多分。こんなに成果が明確に出るなら、ネギ先生も師匠に教われば良かったのに。
と、思ってこれも師匠に訊いたのですが。師匠曰く、あまりに魔力が強いと、精霊は強制的に従ってしまうらしいのです。強い魔力は精霊にとっては麻薬のようなものなのでしょうか。ネギ先生やフェイト級の魔力の持ち主には、この修行は意味があまり無いという事ですね。魔力に限らず、力が強すぎるのも困りものです。私のような中堅レベルの魔力量からすれば、この修行はとても有り難いのですが。
とにかく、この世界の魔法は良くも悪くも精霊ありきのものらしいのです。つまり、厨二病の代名詞と言っても過言ではない【合成魔法】は無理という事です。【雷の暴風】や【闇の吹雪】といった属性複合呪文がある事を考えるといけそうな気もしますが、精霊同士の相性というものがあるらしく。仲の悪い精霊の複合呪文は無理なそうです。まぁ普通に考えても【火】と【氷】なんて相性悪すぎですよね。皆大好き極大消滅呪文は夢で終わりそうです。
ここで何かのきっかけで精霊と話せるようになり、火と水の精霊を仲よくさせれるようになるというのがお約束なのでしょうが、生憎私は主人公でも特別な一族の出身でも神様チートの持ち主でもないので、そんな美味しい話は無いです。師匠はこの修行を長く続けていれば、精霊の感情くらいは何となく分かるようになるかもとの事ですが。年齢3ケタ以上の師匠の
まぁ、今からそんな究極呪文の事を考えても仕方ないですし。とにかく今はひたすら基礎の練習と精霊と仲良くなる事です。【火よ灯れ】が15分続けば
「もしかして私……友達がいないですか?」
……うん。師匠と出会って4ヶ月。初等部に入学してからは3ヶ月。魔法の修行と原作への対策にばかりかまけていて、自分からは人付き合いというものを全くしてないです。学校で話した事がある人物って、宿敵の明日菜さんだけですね。いいんちょさんも時々話しかけてくれますが、殆どが明日菜さんと私へのお説教ですし。
というか、いいんちょさんって初等部1年の頃から委員長だったのですね。9年通して委員長とか、私からすれば何の拷問かという印象しか持てないのですが。驚くべきことに自分から立候補したんですよね、いいんちょさん。あの調子だと、これからも毎年立候補するんでしょうね。そんな真面目ないいんちょさんが、どうしてあんな病的なショタコンになるのか……小太郎さんには靡かなかった事を思うと、幼なければだれでもいいという訳では無さそうですが。うちの
…………いえ、いいんちょさんがショタコンが無くなってネギ先生への愛が人並みになると、ちょっとマズイです。【完全なる世界】との決着後にはいいんちょさんがネギ先生にとって最高の協力者になりますから。ショタコンじゃないいいんちょさんでは、万が一ですがネギ先生と仮契約をしない可能性があるです。考えすぎかもしれませんが、不安要素は出来るだけ減らしたいです……明日菜さんと宿敵になっておいて何を今更とも思うですが、それはそれです。まぁ、いいんちょさんがショタコンでもネギ先生以外には殆ど影響無いですし、ネギ先生には犠牲になってもらうです。
と、考えがまたずれてしまいました。私に友達がいないという話です。と言っても、既に入学から3ヶ月。今の時期から友達を作るというのは、何とも恥ずかしいものがあるです。6歳児なら皆が遊んでいるところに『私もまーぜてっ!』と、子供らしい笑顔で突入すればいけると思うですが………………無理です! 想像しただけで顔が真っ赤になったです! 子供社会も楽じゃないですね……あれ、そもそも何で友達を作ろうという考えになったのでしたっけ? 勿論友達はいるにこした事はないですが……ああ、一人でプールに行くのは寂しいからでした。もうこの際、明日菜さんにしときましょうか。明日菜さんなら泳ぎの勝負とか言えば、一緒に行ってくれそうですし。折角の宿敵ですから、こういう時に使わない手はないのですよ。原作が少し心配ですが、出来てしまった関係は使わなければ。無理に無視して、原作開始時には険悪になってましたの方が洒落にならないですし。
「そうと決まれば、早速明日菜さんを捜しに行くです!」
幸い今日は土曜日ですから。明日の日曜日にプールに行けるかどうか、誘ってみるです! 水の精霊に慣れる為と言えば、師匠も許可してくれると思いますし。
こんな時に携帯電話があれば便利なのですが、お爺様は普段は気が良い方なのに変なところで厳格なので、10歳になるまではダメだと携帯電話を持たせてくれないのです。まぁ、明日菜さんも持ってないと思うので今は別に構わないですが。……この時代に携帯電話が普及してるかどうかは考えないようにしたです。麻帆良だからの一言で説明がつきそうですし。
それでは、いざ! 明日菜さんを捜しに!
――――――――
「…………見つからないです」
明日菜さんを捜し始めて1時間。もう10時半ですが、全く見つかる気配がしません。お昼すぎからは図書館島で修行ですから、お昼御飯の事を考えるともうあまり時間が無いです。
よくよく考えたら明日菜さんが見つからないのは当然でした。この頃の明日菜さんは外で遊ぶような性格じゃなさそうだし、新聞配達のバイトなんかもしてるわけないですから。きっと高畑先生の家でのんびりしてるんでしょう……少し考えれば分かる事なのに、後先考えずに思いつくまま飛び出した自分の浅慮さには溜息しか出ません。
はぁ……これ以上捜しても仕方ないですし、もう帰って御飯にしましょうか。
「あー! 夕映ちゃんだー!」
「え?」
突然後ろから呼ばれて振り向くと、お母さんらしき女の人に連れられた、私と同じ年くらいの女の子が私を指さしていました。この子が私を呼んだみたいですが……誰でしたっけ? どこかで見た事があるような気もしますが。多分クラスメートなんでしょうが。
私が思い出そうと頭をひねっている間に、その女の子はお母さんの手を離すと、私の方へと走り寄ってきました。うーん、本気で名前が思い出せないです。
「夕映ちゃん、こんなとこでどーしたのー?」
「……ちょっと知人を捜していただけです」
「ちじん?」
「あ、えっと……クラスメートです」
知人なんて言っても、普通の子供には分からないですよね。いいんちょさん辺りなら余裕で通じると思うですが。
さて、私の名前を知っているこの子はクラスメートである可能性が濃厚なのですが。この流れで「貴女の名前はなんですか?」なんて聞いた日には、下手をすれば泣かれてしまうかもしれないです。ここは用事がある事を口実に、早急にこの場を離脱するのが得策でしょうか? ですが、何だか気になるんですよね……クラス以外でも見た事があるような気が……うーん、本当に誰でしたっけ?
と、考えてたらお母さんの方が駆け寄ってきました。気にはなりますが、また学校であるでしょうし。今日のところはやはり帰る事に――――。
「こら桜子! 急に走り出したら危ないでしょ!」
「えへへー。ごめんなさーい」
「………………ん?」
……今、聞き逃せない名前が聞こえたような。
「……桜子?」
「うん! 椎名桜子だよー!」
「…………あー……」
わざわざフルネームで答えてくれてありがとうございます。その純真さが胸に痛いです……自分の間抜けさに、思わず空を見上げてしまいました。うん、どこかで見た事がある気がしたわけです。まさか明日菜さんといいんちょさん以外にも原作キャラがクラスメートにいたとは……いえ、むしろ気づけよ私と言いたいですが。
言い訳をさせてもらうと、影響力の低い原作キャラは捜索範囲外だったというか、まったく気にしてなかったです。別に遭遇しても大丈夫ですから。とっくに遭遇してたのは流石に驚愕ですけど。しかし、何でこんなに仲良さげに話しかけてきたのでしょうか。今まで話しかけられた事は無いと思うのですが。
「えっと、桜子さん。何で私の事を知ってるですか? 学校で話したことは無いと思うのですが……」
「えー? だって夕映ちゃんと明日菜ちゃんって、いっつも面白いケンカしてるんだもん。みんな2人の事は知ってるよー」
「……そうですかー」
完全に自業自得でしたー! 明日菜さんとの諍いが、こんなところにまで影響してるとは……私の行動がどんな形で影響するか、全く分からないです。これはもう、原作が始まる頃にはどうなってるやらです。
「それで夕映ちゃん。捜してたクラスメートって、もしかして明日菜ちゃんー?」
「え? ええ、そうです。明日プールに行こうと思ったのですが、一人では寂しいので明日菜さんを誘おうかと思い……残念ながら見つかりませんでしたが」
「プール!?」
私がプールと言った瞬間、桜子ちゃんが凄い勢いで身を乗り出してきました。
「いいなー! おかーさん、私も夕映ちゃんとプール行きたーい!」
「え?」
「うーん……でも急に言ったら、夕映ちゃんのお家の人が困っちゃうでしょ? ねぇ夕映ちゃん」
「え、いえ……まだ御祖父様には言ってないので、明日菜さん誘えたらお願いしようと思ってたので」
「お祖父さん? ご両親は?」
「り、両親は海外で働いてるので、御祖父様と2人暮らしなんです」
「あら! じゃあ夕映ちゃん、おばさん達と一緒にプールに行かない? 御祖父さんはお年でしょうから、大変でしょ?」
「へ?」
「うん、それが良いわ! 私も桜子が心配だし!」
「おかーさんも一緒に行くの? わーい!」
「よーし! それじゃあ夕映ちゃん、お家に案内してくれる? 御祖父さんに許可して貰わなくっちゃ!」
「ぅえっ!?」
な、なんですかこの押しの強さは! いつの間にか桜子さん親子とプールに行くことに!?
「ちょ、ちょっと待ってくださいです! 私は行くとは……」
「え? でも、明日菜ちゃんと一緒に行くつもりだったんでしょー?」
「それはそうですけど……」
「……もしかして、私とじゃダメなのー?」
「い、いえ、そういうわけじゃないです。でも、友達でもないのにお世話になるのも――――」
「え? 私と夕映ちゃんは友達だよ?」
「へ? いえ、ですが今日初めて話をしたばかりで」
「友達だよ?」
断れないです!? いえ、別に桜子さんと友達になりたくないわけではなくむしろ望むところですが、何故こんなに頑ななのですかー!? 正直、いきなり友達になるのはコミュ障気味の私にはハードルが高いのですが……うぅ、そんなに真っ直ぐ見つめられては、これはもう観念するしか……こうなったら開き直ってやるです!
「……そうですね。私と桜子さんは友達です!」
「だよねー! じゃあ私の事は桜子って呼んでね!」
「い、いきなり呼び捨てですか!?」
「だめ?」
「うぅ……! わ、分かったです桜子!」
「わーい!」
「あらあら。二人とも仲良しねぇ」
「うん!」
「……友達ですから」
この親にしてこの子ありでしょうか。明らかにたった今友達になったのに、普通にその言葉が出てくる事に脱帽です。
完全に予想外の結果になったですが、友達が出来たのは普通に嬉しいですし……うん、ここは素直に喜んでおくです。後で師匠にからかわれそうですが。
久々に書いたら、筆が超進んだ。やっぱこの書き方が一番書きやすいんだよなぁ……。
新作よりこっちのが人気あるっぽいし、こっちを中心に書いた方が良いんだろうか。ふふ、皆さんの意見や評価に振り回されまくる自分がちょっと嫌になっております。