???「これは、過去に他の場所に置いていたカケラの再編よ。タイトル失念したので新たに付けたわ。
廃棄するには惜しいから、ここに置いておくわね。
いつもと導入の仕方が違うから戸惑うかもしれないけれど。
祭囃し直後の、小此木の体験している事から始まるわ。他は入江と、ちょい役で富竹かしらね。
一部の酔狂な人たちにとっては面白いかもしれないわね。少なくとも私は楽しめたわ」
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相手は番犬、相当な手練手管だ。
総員、投降しろ! 番犬に従って山を降り、沢に向かえ。重症者は番犬が救助する、暫し待て。
騒ぐな、落ち着け、落ち着くんだ。
目の前がチカチカと明滅し、前が見えなくなった。
総員、伏せろっ。番犬もだ! おそらくあの小娘のトラップにハマったのだろう。
膝が、腕が、頭が。何が起きてどうなっているんだ? くそっ、明滅が激しい。頭はイカレてねぇよな?
一瞬ののち。
厭な気配は消滅したようだ。目に映るソレは白いのか黒いのか、はたまた赤いのか。
聞こえるのは、いつからか消えていたはずのひぐらしの狂った声。口のなかを切ったのだろうか鼻が詰まって匂いが分からず、呼吸もしづらい。
思考が定まらず追い付かない。焦点も合わない。輪郭のぼやけた手が、体が。この俺が震えているだと? 怖じ気づいてんじゃねえっ、脚は…
何度再生しようと、俺の記憶のカケラはそこで停止している。
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殺気は感じられないが人の居る気配がある。
薬品の匂い、何かの機械音、ペンを走らせている音からして以前訪れた事のある診療所の何処かの個室か。
何をどうしてか、命はまだあるらしい。耳及び聴覚に関しては大丈夫そうだ。
ぼんやりとした影が……二つ見える。それから人の手のようなものが目のある辺りを掠めた。
薄らと目を開ける。パチパチと瞬きさせて脳を覚醒させる。喉を震わせて声を出してみた。
「俺は、山狗部隊の……オコノギ……」
予想していたよりも大きな声は出なかったが、そこに居るであろう人には聞こえたようだ。
「おや、気がつかれたようですね。えぇ、アナタはオコノギさんですよ」
「そこにいるのは……えーと、声の主は知っているのだが」
だがソイツの名前が出てこない。にこやかな顔も、俺を落ち着かせるその声も、手先が器用なところも、知っている者のはずなのに。
「私の名前はイリエ、ですよ。ふむ、記憶障害でしょうか。体を起こされるようなら肩をお貸しますが、無理はいけませんよ。まだ病み上がりなのですから」
「おうよ、起こしてくれると助かりますんね……すまんなイリエ。礼を言う」
「礼なんて要りませんよ。当然の事をしたまでですからね」
ゆっくりと背中が持ち上げられる。腰の後ろにクッションが置かれ身を任せるとする。
一息ついてみれば何かおかしい。もう一人、気配がしたはずなのだが。
ああ扉のほうか。そちらに視線を移すと、元上官の富竹が扉の鍵をカチャリと閉めていた。音は、軽い。
「とみ、た、け? 富竹?」
富竹の名前をすんなりと出たのはいい、だがなぜ扉に鍵を掛けたのだろう? 俺に一体何があるというのだろうか……
まさか、この部屋……一度見た事があると思えば、北条の坊主が。あぁ……ようやく理解した。
「当人次第では生活に支障が出ないほど回復可能な領域です。素晴らしい回復力ですね。日頃の鍛練の賜物でしょう」
「一つ聞きたい。今、昭和58年6月、だよな? 日付は……」
「済まない、残念ながら今は6月じゃなくて8月で、今日は4日なんだよ、オコノギくん」
なん、だと……もう一度、もう一度言ってくれ。そして嘘だと言ってくれ。その日は確か……なんだ……記憶に霞が。赤い、白い? 黒い……あははハハ……あれ。
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過去作の再編。それほど変わってはない気がしなくもない。
私が明確にオコノギさんを好きになり、作品として世に出した、オコノギさんをメインにした作品。
(旧後書き)
小此木スキーさんにって事で。無性に書きたくなって小此木話を書いてみたものです。稚拙で申し訳ないくらいだorz
あわあわ・・・続きは全く考えてなかったり。