「ブリージンガル球状星団並びに全銀河に告げる。私はウィンダミア王国宰相ロイド·ブレーム。」
映し出された白髪の男が口を開く。
フレイヤは困惑したような顔でその様子を見つめている。
ウィンダミアがフレイアの故郷だと知っているワルキューレやΔ小隊の面々は心配そうにフレイヤを見る。
フレイヤを含め彼女達にはこれから何が起きるのか全く想像も付かないらしく、ただ不安そうにロイドと名乗った男の次の言葉を待つ。
「総てのプロトカルチャーの子らよ。我等ウィンダミア王国は、大いなる風と、グラミア·ネーリッヒ·ウィンダミア王の名の下...」
流暢に言葉を並べるロイドを見つめていたハルキは次に紡がれるであろう言葉に息を呑む。
己が予想した言葉。
最も口にして欲しくないと思った最悪の言葉。
しかしそれはロイドが言葉を紡いでいく度にハルキのなかで少しずつ予想から確信に変わっていく。
ハルキは自分を落ち着かせるように、歯を食い縛り険しい顔つきのままブレスレットに触れている。
「ウィンダミア...。」
しかしそんな彼の事など当然意に介さず、ロイドは淡々と言葉を並べる。
「新統合政府に対し、宣戦を布告する!!!」
その言葉を聞いて、あるものは驚嘆し、あるものは不安を浮かべ、またあるものは最悪の展開になったことに頭を抱えていた。
そのなかでフレイヤは自分の故郷であるウィンダミアの行動に理解を示せず、素朴な疑問を口走る。
「...どうして...」
まるでその言葉に答えるかのようにロイドは更に言葉を続ける。
「40年前、新統合政府は我等ウィンダミア人に手を差しのべる振りをして近付いた。だがその仮面の下に悪魔のような素顔を隠していたのだ。彼らは巧みに不平等条約を締結。利益の独占を図った。長い苦難の時代の末、我等は七年前この横暴に対し立ち上がり、遂に母なる空を取り戻すことに成功した。だが!このブリージンガル球状星団に彼らがいる限り真の平和は訪れない。立ち上がれ!そして自由な翼で飛び立つのだ!!」
ロイドはこの戦争の意味を語り終えた。
(話が巧いな...たったこれだけの言葉でまるで自分達は正義で新統合政府は悪であると言う構図を作り上げやがった...)
ロイドの演説が終了し、起きたことは仕方がないと言わんばかり彼のことを睨むように演説を聞いていたハルキは撤退していく空中騎士団を見つめながら溜め息を付く。
「...さて。最悪の再会になりそうだ...。」
先に帰投していくΔ小隊を少し離れた所から見ていたハルキは、彼らと同じ方角へ飛翔していった。
「デルタ0よりアイテール。着艦許可を願う。繰り返すデルタ0よりアイテール。着艦許可を願う。」
アイテールの側まで接近してきたハルキはΔ小隊の機体が続々収容されていくアイテールに通信をいれる。
しかし返事はなく数度繰り返し着艦許可を求めるが、なぜか許可が降りずにいた。
「はぁ...どうなってんだ?俺の事忘れたとか言わないでくれよ...」
ハルキは苦笑いを浮かべながらアイテールの周辺をぐるぐる周回している。
すると遂に返事が帰ってきた。
『こちらアイテール艦長、アーネスト·ジョンソンだ。ハルキ·スメラギ中尉に着艦許可が降りた。速やかに帰投せよ。』
なぜこうも時間がかかったのかはわからないがようやく着艦許可が降りたので、アイテール甲板に着地する。
ほぼ同時に機体は吸い込まれるようにアイテールの中へと収容されていった。
収容されたハルキはハッチを開きコックピットから出ていく。
そんな彼を最初に出迎えたのは、メカニック達だった。
「よお!ハルキ!久しぶりだな!ずいぶん傷だらけにしてくれたじゃねーか!」
「よ!おやっさん!久しぶりの再会だぜ?そう固いこと言うなって。腕がなるだろ?頼むぜ!」
「ったく...」
話しかけてくるメカニックと軽く挨拶?を交わすとハルキは歩を進める。
すると急いできたのかマキナとレイナが駆け寄ってくる。
「ハルハル!ジクフリちゃんの調子どうだった?ってあぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ボロボロ...」
「すまん...でもあんなんでも空中騎士団相手に十分戦ってくれた。お前らのおかげだ。サンキューな。」
数ヶ月間まともな補給を受けることが困難だったハルキの機体は、元々細かい傷が見受けられた上、先の戦闘で数発被弾し、まさにボロボロの状態だった。
そんな機体を見て涙を流すマキナに軽く謝罪をすると、更に歩を進め、Δ小隊の面々の元へと向かう。
「ハルキ教官!」
「ハルキ!」
「...。」
ミラージュ、チャック、ハヤテがこちらに気付き声をかけてくる。
「よ!ミラージュ、チャック...それに...新顔?」
「ハヤテだ。」
それに笑顔で反応するハルキだったが、ハヤテは何か気に入らないのか睨みながら名乗った。
少し不思議そうな顔をしたハルキはミラージュに向き直る。
「ミラージュ!まあ言いたいことは色々あるけど...隊長は?」
「おそらくブリッジかと。」
「OK。お前らと再会を分かち合うのはまたあとでだな。」
「はい!隊長もお待ちかと。」
ハルキは隊長が居るであろうブリッジに歩き始める。
しかし数歩行ったところでその歩みを止め振り返る。
「ハヤテって言ったか?他の連中が何て言ってるのか知らないけど、俺、お前の飛び方好きだぜ!」
子供のような笑顔をハヤテに向けたハルキは、驚いたような顔をするハヤテを余所目にまた振り返り足早にブリッジへと向かった。
いかがでしたでしょうか?
アニメを確認しながら書いているのですが、4話の残りの内容が想像以上に短かったので、オリジナルの展開を付け足しました。
着艦許可がなかなか降りなかったのは特に理由はありません。
惑星サルトゥスを出国する時も時間かかっていたので、ハルキは呪われてるのかな?