「VF-31、
ハルキは飛翔した。
惑星ラグナの空気を切り裂き、VF-31に搭載されたエンジンが唸りをあげる。
模擬戦は市街地から離れた沖合いで行われる。
目的地に向け流星のように一直線に向かう。
しばらく行くとメッサ-の機影を確認する。
数秒後高速で飛行する二つの鉄の塊が交錯した。
「行くぜ?メッサー!」
「来い。ハルキ。」
ハルキとメッサ-が交錯する。
ハルキは笑顔で、メッサ-は顔色を変えることはなくお互いのエンブレムを確認した。
それこそが模擬戦の開幕を報せるゴングになる。
それと同時にハルキはバトロイド形態に変形、身を翻し方向転換すると、再びファイターに変形してメッサ-の背後に付ける。
ハルキはペイント弾が装填された機銃を放つも、難なく回避されてしまう。
回避と同時に急減速したメッサ-が、今度はハルキの背後を取り機銃を放つ。
これをハルキは紙一重のタイミングで回避する。
この一連の流れをブリッジで見ていたハヤテが驚嘆の声をあげる。
「なんだよあれ...あんだけ攻守が入れ替わってんのに全然乱れない...!」
戦闘は続く。
時にハルキが時にメッサ-が背後を取合い、目まぐるしく攻守が入れ替わる。
まだ開戦から数分程だがハルキには永遠の時が流れているかのように感じた。
「くそっ...キリがねぇ...どうする...?」
「また余所見か?」
全くの膠着状態に何か打開策はないかと考えていたハルキにメッサ-は弾丸の雨を降らせる。
「やばい!!」
ハルキは即座に回避行動に移るも、間に合わずペイント弾を一発被弾する。
「これは...致命傷にはなってないよな...?」
今回の模擬線のルールはハンデ無しのガチンコ対決。
先に相手に致命傷となる一撃を与える事が勝利条件となっている。
ハルキは機体を旋回させ一時的に距離を取った。
ブリッジは二人の戦いにそれぞれ驚き、感心し、感動しと、様々な感情が混ぜ合わさり、独特の空気が流れていた。
各々がモニターに向かって息を呑む中、静寂を破ったのは意外にも美雲·ギンヌメールその人だった。
「不思議だわ。どうしてかしら。彼が飛んでいるのを見ると歌いたくなる。」
その言葉に皆モニターから目を離し美雲を見る。
そんな一同を知ってか知らずか美雲は手を胸の前に置くと口を開いた。
ー目覚めれば動き出す物語ー
ーいつもとなにか違う朝 目蓋擦ったー
ー発車直前 3.2.1 ピースを翻したらー
ー漲る YA!倍速エンジンー
それを見た一同は目を丸くし、どこからともかく曲が流れてきた。
メッサ-の猛攻を掻い潜っているハルキに歌が聴こえてくる。
(この声...美雲?あの時と同じ感じだ...でも違う...なんか身体が軽い...!?)
その歌の聴こえ方に先の戦闘で聴こえた歌を照らし合わせ、しかし以前と違う心地よさを感じたハルキは背後から猛攻を仕掛けてくるメッサ-を見る。
(さすがに...一筋縄じゃあ行かないな...よし!)
何かを決心したハルキは一直線に飛び続けたまま機体を左に傾け一瞬半ガウォーク形態に変形、エンジンを吹かしメッサ-の視界から消える。
先の戦闘でも見せたこの機動は機体はもちろんパイロットに想像を絶する負荷をかける。
今回も例に漏れず、ものすごいGがハルキを襲う。
しかしどこからか聴こえてくる美雲の歌で少しだけ気を紛らわされた気がした。
「終わりだ!メッサー!」
メッサ-は彼を完全に見失い、チェックメイト。
となるはずだっだ。
だが、メッサーは瞬時に減速しハルキと並走する形となる。
そして二機はほぼ同時にガウォークに変形し、機銃を構える。
ペイント弾がほぼ同時に発射されるのに合わせるように、美雲の歌も聴こえなくなっていた...。
今回こそ戦闘回でした。
いかがでしたでしょうか?
やはり難しいです。
一身上の都合で明日は更新できませんので次回は明後日になります。
お楽しみに