リヴァイの兄   作:極まった凡夫

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長かっ………たぁ〜

お待たせしました。
アニメ一話分がこんなに長くなるとは…

感想があるととても嬉しいです。


第57回壁外調査 中編(エレン視点)

エレンside

 

調査兵団に入って数日。

俺は今、調査兵団と一緒に壁から離れたある山道を馬で歩いている。

 

あの後、一時的ではあるものの調査兵団に入団することを許可され、特別作戦班…通称リヴァイ班に入ることになった。

 

馬を走らせて数時間、山の間に大きな建物が見えてくる。

 

「おい新兵、ところでお前、あの城がなんなのか知ってるか?」

 

「いえ……」

 

俺の横に馬を付け、話しかけてくれるこの人はオルオ・ボザドさん

 

茶髪にくせっ毛の特徴的な髪型をしたリヴァイ班の先輩。

ここ数日、今話していること以外にも道中に自身の戦歴やリヴァイ班のメンバーについてよく話してくれた実は親切な人だ

 

「そうかそうか……やはり俺が教えてやらないとお前は何も出来ないようだな…ここは先輩として俺の崇高な知識をひとつまみ……お前に教えてやろう」

 

そう言ってオルオさんは今から行く目的地について話し始めてくれた。

 

「あそこの名は旧調査兵団本部……古城を改装した施設ってことあって趣とやらだけは1人前だが……

こんなに壁と川から離れた本部なんてのは、調査兵団には無用の長物だった」

 

その違和感のある喋り方に反して実力は本物で

巨人討伐数39体 討伐補佐9体

 

間違いなく調査兵団の精鋭の一人だ。

ちなみに歳は19歳らしい。

 

「まだ志だけは高かった結成当初の話だ」

 

オルオさんはそう語る。

どうやら今から行くあの場所は随分長い間使われていないようだ。

 

「しかし、このでかいお飾りがお前を囲っておくには最適な物件になるとはな…」

 

そう、俺は今日から1ヶ月間。あの城でこの人達と一緒に共同生活を送ることになる。

調査兵団に入団できたと言ってもあくまで一時的な処置、これからどうなるかは1ヶ月後の壁外調査で決まる。

それまでの間、文字通り俺を囲っておくために俺はあそこで生活する。

 

そこまで話し、急に俺に詰め寄ってくるオルオさん

 

「おい、調子に乗るなよ新兵」

 

「はい…?」

 

突然のことに俺は意味が分からず聞き返してしまう。

一体どうしたと言うのだろう。

 

「巨人だかなんだか知らんが、お前のような小便臭いガキにリヴァイ兵長とケイン補佐官が付きっきりになるなんて本当なら必要ないんだ」

 

「お前程度のガキ一人ぐらい俺一人でもなんと……

 

その時だった。

偶然馬が躓きオルオさんが自身の舌を噛んでしまう。

 

「アガっん!!」

 

口から血を吹き出すオルオさん。

 

「アガッ……アバッ……!!」

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

急な事態に俺は慌ててしまう

 

「あ、あの、誰か!」

 

俺が周りに助けを求めようとすると、ふとある人が目に入る。

 

いつの間にそこにいたのだろう。

俺のすぐ横にいる黒髪長身の男。顔は目元を覆う髪でよく見えないが鋭い眼光だけが光っている。

その体に無駄な筋肉などなく。しかし、鋼鉄のように鍛え上げていることが分かる。

 

ケイン兵士長補佐官。皆からはケイン補佐官と呼ばれていた。

俺は道中のオルオさんの話を思い出す。

 

オルオさんに聞いたところケイン補佐官の巨人討伐数推定150以上、討伐補佐推定56体

 

何故推定なのか?

それは正確な数字を本人は報告しないことと、一人で巨人を討伐する彼の強さによるものだ。

 

聞いたところによると、この前のトロスト区でも40体前後を倒していたらしい。

しかしその数字も助けられた新兵や壁の上から偶然見えた兵士達の話をまとめただけで本当はもっと多いかもしれないという。

 

そんな正真正銘の化け物だ。

 

巨人にとっては死神のような存在だが、仲間になるならこれ程心強い人もそういないだろう。

 

調査兵団内でも数多くの命を救い、この前の兵法会議では俺の代わりに憲兵団に殴り掛かりそうだったとも聞く。

 

ーーまぁ、俺にとっては死神かもしれないけどな……

 

巨人になれる俺にとってこの人は敵なのか、それとも味方なのか。

俺には分からない。

 

しかし、そんなこと関係なく俺はこの人を尊敬していた。

 

その強さに、巨人を殺し尽くさんばかりのその姿勢に。

俺は強い憧れを持っていた。

 

「あ、あの………どうしたんですか?」

 

しかし、そんな人が何故か肩を落としている。

 

ーーどうかしたのだろうか?

 

俺はケイン補佐官に声をかける。

 

「大丈夫ですか?」

 

「…………………」

 

ケイン補佐官は答えない。

この人は喋らないことは俺も事前に知っている。

先日お礼を行った時も、今も。俺は無視をされるだけだった。

しかし、俺は性懲りも無くこの人に話しかけている。

 

これは自己満足かもしれないが化け物と恐れられる気持ちを少なからず俺も理解しているからかもしれない。

 

ーーそれに

 

この人はきっと悪い人ではない。そんな俺の直感に従った行動だった。

 

俺とケイン補佐官の間に気まずい沈黙が流れる。

しかしその時、沈黙を破るように後ろから声が掛かった。

 

「ちょっと何やってんすか!ケインの兄貴!後輩が怯えちゃってるじゃないすか!!」

 

そう言って俺たちの間に入ってくるのは、赤髪のおさげに緑色の目のをした小柄な女性。

 

名前はイザベル・マグノリア

討伐数41 討伐補佐58

男勝りな口調でケイン補佐官やリヴァイ兵長を兄貴と慕っている。

 

やはりこの人も調査兵団の中では腕利き中の腕利きだ。

 

「………………」

 

「もう…ケインの兄貴はそんなんだから皆から怖がられちゃうんすよ……」

 

「………………」

 

ケイン補佐官は何も言わない、そして反応もしない。

そんなケイン補佐官に乾いた笑いをこぼすイザベルさん

 

「ごめんね、後輩くん……ケインの兄貴はなんて言うかまぁ、人見知りなところがあるから………あはは」

 

しかしこうもつけ加える

 

「でも悪い人ではないんだぜ?人からもらったものは結構大事にしてるし、何か頼めば手伝ってくれることも多い。意外だろ?」

 

「い、いえ!自分は別に…」

 

俺がそう言ったところで後ろから声がかかる

 

「おーい!イザベル!あんまり前に行きすぎるなよ!!」

 

そう言って後ろから誰かがイザベルさんを呼ぶ。

 

銀髪の美丈夫。街での女性から人気が高いことで有名なこの人の名はファーラン・チャーチ

討伐数60 討伐補佐43

 

そんな人がイザベルさんを呼ぶ。

 

「分かってるよ!!……え〜と、後輩くん………エレン?ていう名前だっけ?」

 

「は、はい!」

 

「じゃあエレン。ケインの兄貴はあれで結構優しいところがあるからさ、怖がらないで仲良くしてくれよな」

 

「自分で良ければ、是非」

 

「よかった!ケインの兄貴も少しは愛嬌を見せてくださいよ!じゃあ私は戻らないと行けないから」

 

そう言ってイザベルさんが去っていく。

どうやら俺とケイン補佐官を見かねてここまで来てくれたらしい。

 

俺はイザベルさんに感謝しつつケイン補佐官を見る。

 

しかし、近くにいたはずのケイン補佐官はいつの間にかいなくなっていた。

 

一体あの一瞬でどこに行ったのだろう?

俺が周りを見るがどこにもいない。

 

後に残るのは未だに口を抑えるオルオさんと俺だけだった。

 

「アガッ………!!アグァ……!」

 

 

古城に着いた。

随分とボロボロで、そこら中に蔦が生えている。

俺達リヴァイ班は馬を近くに繋ぎリヴァイ兵長達が城の中を検分している間休むことになった。

 

「乗馬中にペラペラ喋ってれば舌も噛むよ」

 

オルオさんにそう言うのは明るい茶髪の女性

 

ペトラ・ラル

巨人討伐数10体 討伐補佐数48体

 

「最初が肝心だ…あの新兵ビビっていやがったぜ…」

 

「オルオがあんまり間抜けだからびっくりしたんだと思うよ」

 

「なんにせよ、俺の思惑通りだな…」

 

そう言って息を吐くオルオさんに苦虫を噛み潰したような顔をするペトラさん。

 

「ねぇ……昔はそんな喋り方じゃなかったよね…もし、それが仮にもしリヴァイ兵長の真似してるつもりなら、本当にやめてくれない?いや、全く共通点とかは感じられないけど」

 

「俺を束縛するつもりかペトラ、俺の女房を気取るにはまだ必要な手順をこなしてないぜ」

 

「はぁ……舌を噛み切って死ねば良かったのに、巨人の討伐数とかもペラペラ自慢して。」

 

「安心しろ、お前らの自慢もついでにしといてやったからな」

 

あんなふうに威厳のない会話をしていると忘れそうになるが彼らは紛れもない精鋭中の精鋭だ。

俺なんて10秒もかからずに殺されてしまうだろう。

 

俺が馬の世話をしていると足音が近くを横切る。

 

歩いてくる金髪の男性はエルド・ジン

巨人討伐数14体 討伐補佐32体

 

「おいグンタ…ここは昔から幽霊が出るって噂があるんだ」

 

その横を歩く特徴的な髪型の男性

グンタ・シュルツ

巨人討伐数7体 討伐補佐40体

 

「驚かすなよ……どうせ誰かが見間違えた野生のケイン補佐官だろ…」

 

皆リヴァイ兵長から指名された調査兵団きっての精鋭

 

ーーそして………俺が暴走した時はこの人達に殺されることになる。

 

これだけの人に囲まれて生活する。

俺は改めて自身がどれだけ警戒されているかを改めて身に刻む。

 

 

俺達リヴァイ班は兵長の指示で古城を掃除することになった。

 

「上の階の清掃、完了しました」

 

俺は自身の持ち場の清掃が終わったことをリヴァイ兵長に報告する。

 

「あの、リヴァイ兵長」

 

「なんだ?」

 

リヴァイ兵長が振り向く

 

「俺はこの施設のどこで寝るべきでしょうか?」

 

俺がそう聞くとリヴァイ兵長は即答した。

 

「お前の部屋は地下室だ」

 

「…………また地下室ですか……」

 

「当然だ…お前は自分自身を掌握できてない。寝ぼけて巨人になったとしてそこが地下ならその場で拘束できる。これは、お前の身柄を手にする際提示された条件の1つ…守るべきルールだ」

 

そう言い切るリヴァイ兵長

 

ーー意外だな……

 

俺はそう思う。

 

「部屋を見てくる、エレン、お前はここをやれ」

 

「はい」

 

リヴァイ兵士長

巨人討伐数95体 討伐補佐49体

人類の双剣。一人で一個旅団分の戦力をもつ男。英雄。

そんな人がルールの大切さを説く様に俺は驚きを隠せない。

 

「失望したって顔だねエレン」

 

その時、いつの間にか部屋の前にいたペトラさんにそんなことを言われる。

 

「はい!?」

 

「あ、エレンって呼ばせてもらうよ。リヴァイ兵長に習ってね、ここでは兵長がルールだから」

 

「はい…それは構いませんが。俺今、失望って顔してましたか?」

 

俺がそう聞くとペトラさんは話し始める。

 

「珍しい反応じゃないよ、世間の言うような完全無欠の英雄には見えないでしょ?現物のリヴァイ兵長は」

 

ーーそんなことは……

 

ないとは言いきれない。

しかしペトラさんはどこか嬉しそうに続きを話す。

 

「思いの外小柄だし、神経質で粗暴で近寄り難い。」

 

確かに兵長は小柄で神経質そうだった。

しかし俺が不思議に思ったのはそこでは無い。

 

「いえ、俺が意外だと思ったのは上の取り決めに対する従順な姿勢です」

 

「強力な実力者だから序列や型にはハマらないような人だと思った?」

 

「はい……誰の指図も意に介さない人だと」

 

そう…俺が疑問に思ったのはそこだ。

絶大な力を持っており、兵法会議での雰囲気も態度もとてもではないが上に従順には見えなかった。

誰の指図も受けない。

ペトラさんの言った通りの人物だと俺は思っていた。

 

「私も詳しくは知らないけど、以前はそのイメージに近い人だったのかもね、リヴァイ兵長は調査兵団に入る前都の地下街で有名なゴロツキだったって」

 

地下街?

俺はその場所についての記憶を掘り起こす。

確か相当に治安の悪い場所だったはずだ。

なんでも人類が地下に移住しようと計画したことがあり、地下街はその名残りだという。

 

「そんな人が…何故?」

 

「さぁね?何があったのか知らないけど、エルヴィン団長の元に下る形で調査兵団に連れてこられたって聞いたわ」

 

「団長に…?」

 

俺たちが話をしていると、上の階で兵長の怒鳴り声が聞こえてくる

 

「おいケイン!!てめぇ何度言ったら分かるんだ!!雑巾はきちんと絞ってからやれと言ってるだろ!!」

 

どうやらケイン補佐官がリヴァイ兵長に怒られているらしい。

 

「あとホウキはそうやって使うもんじゃねぇんだよ…!遊んでないでさっさと自分の仕事をしろ!!」

 

遊ぶ………?ケイン補佐官はホウキを一体どんな使い方をしてたんだ…?

 

俺が疑問を感じていると、今度は中庭でイザベルさんの声が聞こえる。

 

「兄貴〜!!こっちは終わったぜ〜!!」

 

どうやら清掃完了の報告のようだ。

 

「ファーランに確認してもらえ!こっちは今忙しい!」

 

「分かった〜!!」

 

リヴァイ兵長はイザベルさんをファーランさんに任せ、自身はケイン補佐官の監督をするらしい。

 

俺はそれを聞いてふとある疑問が浮かぶ

 

「あの…ペトラさん」

 

「なぁに、エレン?」

 

「一つ疑問に思ったんですが……ケイン補佐官はどうして調査兵団に入ることになったんですか?」

 

ーーあの人は何故調査兵団に入ることになったのだろうか?

 

俺はケイン補佐官について考え始める。

どうしてケイン補佐官はあんなに強いんだろうか?

どうしてケイン補佐官は喋らないのだろうか?

考えれば考えるほど疑問が湧いてくる。

 

やはり巨大樹の森で拾われたのだろうか?

 

ーーそういえば俺……あの人について何も知らないな

 

そんな俺の疑問にペトラさんは答えてくれる

 

「あぁ、ケイン補佐官ならリヴァイ兵長と一緒よ、都の地下街でスカウトされたの」

 

「へぇ〜そうだったんですか」

 

「というかイザベル先輩もファーラン先輩もそうなのよ?なんでもあの四人で一つのチームだったとか」

 

なるほど、だからイザベルさんはあんなにケイン補佐官と親しそうだったのか。

俺は道中の出来事に納得する。

 

「でもね、リヴァイ兵長とケイン補佐官はそれだけが理由じゃないの」

 

「エレンも気になったことない?リヴァイ兵長がやけにケイン補佐官を気にするな…って」

 

それは少し感じていた。

リヴァイ兵長はやけにケイン補佐官を気にかける。

まぁ、上司が部下の面倒を見るのは当然と言えば当然だが少し違和感を感じる部分もあった。

 

俺が肯定するとペトラさんは声を抑えて話す。

どうやらあまりリヴァイ兵長には聞かれたくない話らしい。

 

「これは調査兵団内では結構有名な話なんだけどね」

 

「…あの二人、双子の兄弟らしいのよ」

 

…………………………俺は言っていることが上手く理解できなかった

 

………………双子?

 

数瞬してやっと脳が理解を始める。

 

「えぇぇえええ!!そうなんですか!!??」

 

俺は心底驚きつい大声をあげてしまう。

 

ーーあんなに正反対な二人なのに双子!?

 

ケイン補佐官とリヴァイ兵長はお世辞にも似ているとは言い難い。

性格や体格、果ては雰囲気までまるで示し合わせたかのように反対な二人。

 

「そうよ〜あれで兵長って結構家族思いみたいでね……実は兵長にはこんな逸話があってね…」

 

ペトラさんが嬉しそうに兵長の話をしようとする。

しかしその時、兵長が部屋に戻ってきた。

どうやらケイン補佐官との掃除を一旦諦めたらしい。

 

ペトラさんは咄嗟に掃除をしてるフリを始めた。

 

「おいエレン」

 

「はい!」

 

兵長は少し怒っているのか語気を強めながら俺に言った。

 

「全然なってない。全てやり直せ」

 

 

 

夜。

俺達は恐らく集会所だった場所に集まりロウソク挟んで話し合いをしていた。

しかし、話し合いの場にリヴァイ兵長とケイン補佐官だけがいなかった

 

ーー何をしているんだろう?

 

俺はそう思ったが会話の話題が俺に向き、意識を切り替える。

 

「我々への待機命令はあと数日続くだろうが、30日後には大規模な壁外遠征を考えていると聞いた。それも、今期卒業の新兵をそうそうに混じえると…」

 

そう言うエルドさん。

 

「それ本当かエルド…随分急な話じゃないか。ただでさえ今回の巨人の襲撃は新兵には堪えただろうによう」

 

グンタさんも疑問を抱き、エルドさんに聞き返す。

 

ーー確かに早すぎる……新兵は壁の外で死にやすい。

それは巨人と対面する恐怖や初めての壁外でパニックを起こしやすいからだ。

 

それに加えて今回はほとんど訓練もせずに壁外に出る。

 

 

「ガキ共はすっかり腰を抜かしただろうな」

 

「本当なんですかファーランさん」

 

ペトラさんがファーランさんに聞く。

 

「あぁ、俺も聞いただけだが本当の話だ。だがエルヴィン団長は俺たちよりもずっと多くのことを考えているはずだ。何も考えがないなんてことは無いだろうな」

 

「確かにこれまでと状況が異なりますからね…多大な犠牲を払って進めてきたマリア奪還ルートが一瞬で白紙になったかと思えば突然全く別の希望が降って湧いた」

 

そこでエルドさんは俺を見る。

 

「未だに信じられないんだが、巨人になるってのは、どういうことなんだ?エレン?」

 

ーーどういうこと?………どういうことなんだろう……

 

俺は改めて不思議に思う。

 

「その時の記憶は定かではないんですがとにかく無我夢中で、でも、きっかけになるのは自傷行為ですこうやって手を」

 

俺は自身の手を噛むジェスチャーをする。

するとイザベルさんが驚いたように言う。

 

「マジか!?でもそれめちゃくちゃ痛いだろ!?」

 

そこで俺はふと思う。

 

ーーあれ?そういえば俺は、なんでこれだけは知ってるんだっけ?

 

バタンッ!!

 

俺がそう思っていると集会所のドアが開いた。

 

「こんばんは〜……リヴァイ班の皆さん」

 

ドアから出てきたのはリヴァイ兵長とケイン補佐官。

そして、調査兵団でも随一の変人と噂に名高いハンジ分隊長だった。

 

「お城の住み心地はどうかな?」

 

「ハンジ分隊長?」

 

俺は突然の来訪に驚く。

 

「おまたせエレン、私は今、街で捕らえた二体の巨人の生態調査を担当しているんだけど。明日の実験にはエレンにも協力してもらいたい。その許可を貰いに来た」

 

ハンジさんから突然言われたことに俺は混乱を隠せない。

 

「実験……ですか?一体俺が何を………」

 

俺がそう聞くとハンジさんは身悶えするよに答えてくれた。

 

「それはもう!最っ高に滾るやつをだよ…!!」

 

内容は分からなかったが…

 

「あ、あの!許可については自分ではくだせません、自分の権限を持っているのは…自分ではないので」

 

するとハンジさんはリヴァイ兵長に話しかける。

 

「ねぇリヴァイ、エレンの明日の予定は?」

 

「庭の掃除だ」

 

「なら良かった、決定!」

 

「エレン、明日はよろしく!」

 

「あ………はい……」

 

俺は勢いに押されて頷く。

 

「しかし、巨人の実験とはどういうものなんですか?」

 

俺がそう聞くとオルオさんが小声で俺に言う。

 

「おいやめろ…!聞くな…!」

 

するとその言葉を待っていましたと言わんばかりにハンジ分隊長は嬉しそうに語りかけてきた。

 

「あぁ〜やっぱり?聞きたそうな顔してると思った〜……」

 

そこでその場にいた全員が席を立つ。

ケイン補佐官もリヴァイ兵長に引きずられて部屋を出ていった。

後に残ったのは俺とハンジさんだけだ。

 

「そんなに聞きたかったのか…しょうがないなぁ…それじゃあ聞かせてあげないとね…今回捕まえたあの子達について」

 

それからハンジさんは捕まえた二体の巨人、ソニーとビーンの話をしてくれた。

意思疎通、活動時間の長さ、痛覚、うなじ以外の弱点の有無

ハンジ分隊長は俺に話してくれた。

 

そして話の終わりに俺はハンジさんが何故巨人の研究をし始めたのかも聞いた。

 

「憎しみを糧にして攻勢に出る試みはもう何十年も試された…私は既存の見方と違う視点から巨人を見てみたいんだ…」

 

そう言うハンジさんの目は、一体誰を写しているのだろうか。

 

「空回りに終わるかもしれないけど、でも………私はやる」

 

その言葉には確かな覚悟があった。

 

ーー調査兵団に入ってから驚かされてばかりだ、ハンジさんだけじゃない変わり者だらけ。これじゃまるで変人の巣窟……!

 

俺は自身の認識の甘さを恥じる。

 

ーーでも変革を求める人間の集団、それこそが調査兵団なんだ…!

 

「ハンジさん!」

 

「ん?」

 

「良かったら、実験の話をもっと聞かせてくれませんか?」

 

俺はハンジさんにより多くの巨人の知識を教えてもらおうとする。

 

「え?いいの?」

 

「明日の実験のためにも、詳しく知っておいた方がいいと思いますし」

 

俺がそう言うとハンジさんはどこか照れたように話し始めてくれた。

 

「そ、そうだね……今の話じゃ省略した部分も多かったしもっと詳細に話すとしよう!」

 

「はい!」

 

ーーまさかこんなことになるなんて……

 

俺はそれから夜通しハンジ分隊長の話を聞くことになった。

訓練生時代に習ったことを一通り、そしてそれに付随するハンジ分隊長の経験談。

ハンジ分隊長は話のネタが尽きるまで話し続けた。

しかし、やっと全てを聴き終わったかに思えた時、俺はハンジ分隊長の恐ろしさを知ることになる。

 

「ここからは私独自の推測を混じえてもう一度解読するよ」

 

俺は初めて巨人以外のものに絶望をした。

これから続く地獄のような時間に遂に俺の気力が限界を迎えた時。

集会所の扉が開いた。

 

ーー助かったの……か?

 

しかし、事態は俺の想像を大きく超えていた

 

 

「ハンジ分隊長はいますか!!」

 

「え?」

 

ハンジ分隊長が突然のことに間の抜けた声を出す。

 

「被検体が!巨人が二体とも殺されました!!」

 

 

 

 

 




ケインくんのかっこいいところが早く書きたい……
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