リヴァイの兄   作:極まった凡夫

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そろそろ主人公書いときたいので書きます。
今回も主人公がバンバン活躍しますよ!(フラグ)

面白かったなどの感想に「ウヒョヒョウヒョww」と声を出しながらいつも感動しています。

モチベーションなので是非感想ください。




VS獣の巨人まで (ケイン視点)

ケインside

 

「ァアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!

 

 

美人巨人が叫んだと思ったら

突然目の前で回転しだした。

 

………ファ!?何やってんの!?

 

俺は混乱する。

今までの戦闘でこんなことは初めてだ。

まぁ回転する巨人なんてそうそういて欲しくはないが……

 

 

美人巨人は既にうなじを守る腕は切り刻まれ、その機能を失っている。

目も2つとも見えない。まさに満身創痍といった具合だ。

 

あとはトドメを刺すだけの簡単なお仕事……そのはずだった。

 

ブンッ!ブンッ!

 

俺が考えている間も美人巨人は回り続ける。

辺りは美人巨人が起こした突風が吹き荒れ、木々が凪いでいる。

 

ーーどうすっかな〜

 

俺は内心で困ってしまった。

現状この状況を打開できる方法を考えつかない。

とりあえず目とかに刺さったらいいな〜と思いブレードを投げてみるが案の定弾かれた。

 

…………んんー?

こんなのどうやって対処すればいいんですか…?

 

誰にともなく聞いてしまう。

俺が何も出来ずにいる間にも美人巨人は回転し、それと同時に身体が直っていく。

 

ふと周りを見るとリヴァイ班のみんなもどうやら混乱しているらしい。

呆気に取られた顔をしていた。

 

約1分、いやそれよりも短い時間が経ち、美人巨人は全ての身体の修復を終えた。終えてしまった。

 

 

回転を止める美人巨人。

 

 

俺はすぐさま特攻する。

もう一度回られる前に今度は脚の機能を止める。

 

 

しかし、そんな俺の思いとは裏腹に、美人巨人は脇目も振らずに逃亡を始める。

 

どうやら戦う気はないらしい。

俺はガスを吹かし、追いかける。

 

…………早い。通常種とは比べるのも烏滸がましいほどの速さだ。

 

俺は加速していく。

 

障害物の多いこの森。

小回りの効く立体機動装置の方が移動速度は早い。

 

 

ダッダッダ!!

 

 

 

姿勢を低くし走る美人巨人。

俺は木々の間を潜り抜け、美人巨人との距離をあと少しの所まで詰める。

 

 

しかしその瞬間、俺は墜落してしまう。

 

フッ……と浮遊感に包まれる俺の身体。

 

ガスが尽きた。

どうやら今までの戦闘でガスを使い果たしてしまったらしい。

 

推進力を無くし自由落下を開始する俺。

 

俺は咄嗟にアンカーを近くの木に刺し身体を固定する。

すると数瞬後にくる衝撃。

 

グルグルと回る俺の視界にはその間にも遠のいていく美人巨人の背中が映っていた。

 

俺は目で追うことしか出来ない。

悔しかったので俺はブレードを投げる。

 

 

美人巨人が俺の方を一瞬振り向いた気がした。

しかしそれで何かをするでもなく………美人巨人は俺から逃げていった。

 

 

その日。

全力を尽くした俺達調査兵団は、多くの犠牲を出しながらまんまと美人巨人に逃げられたのだった。

 

 

 

壁外調査から帰還する。

 

どうやら調査兵団の被害も少なくはなかったようでみんなの顔は沈んでいた。

 

そしてなんと、俺の知らないところでリヴァイ班の中にも死者が出ていたらしく、グンタという人が死んでしまったらしい。

 

あの玉ねぎさんか………悲しい。

 

しかし、そう思う俺だったが同時に安堵もしていた。

 

ーーリヴァイが死ななくてよかった……

 

それは今世で守ると誓った大事な大事な弟が死ななくてよかったというものだ。

 

ーーまぁリヴァイがそう簡単に死ぬとは思わんが……

 

まぁ良かった。

俺はそう思った。

 

 

そんなこんなで俺たちは旧調査兵団本部に帰ってきた。

 

今回の遠征は大失敗もいいところだ。

 

調査兵団は大きな損害を出しながらウォールマリアを奪還することが出来なかった。

 

これはエレンくんの査定に大きく関わってくる。

 

エルヴィン団長が言うには、恐らく近いうちにエレンくんを王都に送還しなければならないらしい。

 

ーーあんないい子が……

 

俺は落ち込む。

この1ヶ月間で俺はエレンくんが結構好きになっていた。

しかし憲兵団にエレンくんが引き渡されれば解剖まっしぐらだ。

 

しかしエルヴィン団長の話には続きがあった。

 

どうやらエルヴィン団長は王政からの送還命令に反抗するらしい。

 

エルヴィン団長の作戦はこうだ。

 

エレンくんがいなくなれば人類は巨人に敗北する。

ので、エレンくんを一時どこかに隠し、この状況を変える何かを探す。

そしてそれが見つかればエレンくんを使いもう一度ウォールマリアを奪還する。

 

ちなみに何かは分からない。

 

そんなおそ松さんな作戦だった。

しかし、作戦を話すエルヴィン団長の顔はかつてないほどに真剣でもあった。

 

会議はもちろん荒れる。

 

ほぇ〜難しいこと分かんねぇ……

俺はただ黙って成り行きを見守るのみ。

こういう時は分かった振りしとくのがいいって誰かが言ってた。

 

結果的にエルヴィン団長は自分の意見を通した。

 

エレンくんの死守。

これが出来なければ人類に残された道はないと。

 

 

エルヴィン団長は話を続ける。

この作戦は信頼出来る仲間のみで行うこと。

未だ信頼に足るか分からない兵士達はどこか違う場所に待機させること。

 

 

 

それから数日。

俺たちは古城で待機していた。

作戦決行までに王政に怪しまれるとまずいとの事だ。

 

裏で色々工作をしているらしいが俺は役に立たないのでじっと待っていた。

 

しかし。

作戦決行の数日前になって状況が大きく変わる。

 

どうやら美人巨人の目星がついたらしい。

なぜ……?と思うがまぁいい。

 

今度は必ず殺してやるぜ!

 

気合いを入れる俺。

 

しかしそんな俺に全く違う指示を飛ばすエルヴィン団長。

 

今から新兵くん達が待機しているところに行けと言われた。

またもや何故…?と思う俺にリヴァイから説明がはいる。

 

リヴァイが言うには新兵くん達の中に美人巨人とは別の巨人がいる可能性が高いようだ。

 

今からでも応援に駆けつけた方がいいらしい。

 

ーー????

 

俺は頭にハテナが浮かぶ。

 

ーーなら美人巨人を捕まえた後でいいのでは?

 

説明は続く。

どうやらいつ巨人が動くか分からないので、近くに俺がいた方がいいらしい。

 

美人巨人は罠に嵌めてどうにか捕獲するらしく、殺すしか脳のない俺よりもリヴァイの方が適任とのことだ。

 

ーーえぇ!?そんなに信頼ないの!?

と思わないでもないが

 

まぁいいや。

 

 

俺はそれから状況説明係兼道案内のイルゼちゃんを連れて、夜通し馬を飛ばし、朝には新兵達が待機する壁から離れた僻地に来た。

 

出来るだけ早く行かなければと思ったが、着いてみると平和の一言だ。

肩透かしにも程がある。

 

調査兵団の皆への説明はイルゼちゃんに任せ、俺は馬小屋に向かう。

 

 

それから数日。

俺は暇を持て余していた。

 

俺に下された命令はもし対象が巨人化した場合に真っ先に殺すこと。

それ以外に特に指示はない。

巨人がいる可能性が高いだけでもしかしたらいないかもしれない。

 

平和だァ…………

俺は屋根の上から草原を見つめる。

 

しばらく見つめていると性能のいいこの目は遠くに信じられないものを写しだした。

 

巨人だ。

巨人の群れがこちらにやってくる。

 

何故……?

 

俺は疑問に思う。

 

エルヴィン団長が想定していた新兵くん達からではない。

恐らく通常種の巨人が多数。

 

俺は最悪な想定をする。

 

ーーどうやら壁が破られたようだ。

 

巨人を発見した俺たち調査兵団は付近に散開し周りの人間に危険を知らせる。

もしかしなくても壁は破壊された。

これからここは地獄とかすだろう。

 

しかし、喋れない俺はどこまで言っても巨人を殺すことしか出来ない無能だ。

 

俺の出来ることと言ったらただ1つ。巨人を殺すことだけだ。

 

俺は巨人に突貫する。

 

前方から巨人が迫る。

やけに素早い。

しかし大丈夫、この程度なら俺の敵ではない。

 

俺は内心でそう思い、トリガーに指を掛けた。

 

しかし、ここで最悪の事態が起きる。

立体機動装置の故障だ。

 

ーーなにィ!?

 

俺は焦る。

最悪なことに俺一人で出撃したので助けはない。

 

ファ○ク!!!

※不適切な表現をここにお詫びします

 

立体機動装置がないのに巨人に勝てるわけないだろぉ!!

 

俺が焦ってる間にも前方から走ってくる巨人達。

 

くそぅ…お前らなんて立体機動装置があれば怖くないんだぞ!!

 

しかし現実は無情である。

ここには立体機動装置という翼を失った無力な俺しかいない。

 

だずげでぇぇえええ!!!

 

…………ふぅ…………

 

俺は腹を括る、こんなところで死んではいられない。

俺には帰りを待つ可愛い家族がいるんじゃ。

 

やってやろうじゃねぇか!!(ヤケクソ)

 

 

数刻後、俺は巨人の上で座り込んでいた。

 

ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙づがれだぁぁぁ……

 

立体機動装置がないのってこんなに疲れるんですね。(小並)

 

初めて人間の短小さを理解したよ…

 

こいつらすげぇ暴れるの……脚の健を削いでも一体を削いだらもう一体が来るから全然うなじ削げないし……

一体がやられそうになると特攻してくるし…

 

まるで集団の意思があるみたいだったわ…怖ッ!!

 

 

大変だったぁ〜

 

それにしても………俺……全然殺せなかったなぁ…めちゃめちゃ取り逃したし……

他の人は無事だろうか…

 

 

俺はそう思って近くを馬で散策する。

確か全部で巨人は10数体いたはずだから俺は半分程逃がしたことになる。

 

やべぇ、俺巨人殺すことしか出来ないのにこの怠慢は有り得ねぇって…

 

そんなふうに思っていると俺は遠くの建物に巨人が集まっているのを確認する。

 

どうやら俺以外の人間が頑張ってくれているらしい。

まだ巨人が移動していないのを見ると生きているのだろう。

 

一応加勢しに行くか?

立体機動装置が壊れた俺が行っても役立たずかな…

 

……………いや、囮ぐらいならなれるはずだ。

調査兵団員で今も生きてるってことは俺が引き付けている間に殺せる程度の力量はあるはずだ。

 

俺は現場に急ぐ。

 

 

 

三人称side

 

調査兵団所属。ミケ・ザカリアス

 

調査兵団内の実力はケイン補佐官、リヴァイ兵士長についでのNo.3

正真正銘の実力者だ。

 

しかし、そんな彼の命は既に風前の灯火であった。

 

 

「モウうごいてイイよ」

 

 

 

 

獣の巨人。体長は推定17m。

 

その巨人を見つけたのは彼が巨人達を引き付け団員の逃げる時間を稼いでいる時だった。

 

ーーでかい……………獣のような体毛で覆われている巨人など初めて見た…

 

ミケは内心で呟く。

彼は既に数体の巨人を討伐し撤退に移ろうとしていた。

巨人は夜になれば運動能力が著しく落ちるが、そこまで耐えられるか分からない。

そう考えたミケは口笛を吹き馬を呼ぶ。

 

タタッタタッタタッ

 

訓練された馬はミケの指示通り、ミケを迎えにくる。

 

ーーよし…!よく戻ってきた。ここで夜まで耐える必要はなさそうだな…

 

ミケは心底安堵した。

何故かは分からないが先に突撃していった増援のケイン補佐官がおらず、戦況は確実に悪い方向に傾いていた。

一人で数体の巨人を相手にして生き残っていたのは一重に彼の実力の高さからだ。

 

しかし、事態は彼の予想を超える。

 

ムンズ……

 

獣の巨人がミケの馬を掴んだ。

 

ーーッな…!?馬を狙った!?

 

ミケは驚愕する。

しかし、それもそのはず。

巨人は普通、人間以外に興味を示さない。

そう、普通の巨人は………興味を示すとするなら………

 

 

ーーそんなまさか!?

 

 

ミケはブレードを抜く。

今までこちらに攻撃を仕掛けてこないのは奇行種だと思っていた彼だったが、認識を大きく改める。

 

ーー獣の巨人は……………

 

人間だ

 

 

ミケがその結論に達した瞬間。

獣の巨人がミケに馬を投擲する。

 

ものすごい速さでこちらに向かってくる馬。

彼はそれを避けきれず地面に落下してしまう。

 

「ウゴゥ……!!」

 

 

そしてさらに運の悪いことに彼は落下地点にいた巨人に下半身を噛まれてしまった。

巨人がミケを噛む。

 

ガリッ

 

「ァア゛ァ゛ァァ!!!」

 

下半身の焼けるような痛みにミケは絶叫をあげる。

 

そしてミケは必死に巨人から抜け出そうともがく。

 

するとその時。

 

 

「マて」

 

 

不気味な声が聞こえる

獣の巨人が喋る。

ミケの近くにしゃがむ獣の巨人。

 

 

ズシン…

 

 

その動きに近くの木が揺れる。

 

ーー喋った…!?

 

ミケはまたもや驚愕する。

しかし次の瞬間には自身を噛んでいる巨人がまた動くことで痛みを思い出す。

 

「ン゙ン゙ン……!!!」

 

血が滲む下半身。

すると獣の巨人が不思議そうな声を出す。

 

 

「エ?オレいま、まてっテイッタロウ……」

 

 

グチャ…

 

ミケを食べていた巨人を握り潰す獣の巨人。

 

「ン…ハァ………ハァ………」

 

痛みから一時開放されたミケは荒い息を吐き出す。

 

「うワぁ……」

 

自身の手を確認する獣の巨人。

しかしそれも一瞬。

こちらを見つめ、ミケに質問をする獣の巨人。

 

 

 

「そのブキは……ナンていうんでスか?」

 

 

 

ミケは混乱する。

 

 

 

「コシにつけた、トビまわるヤつ」

 

 

 

呆然としてしまうミケ

 

「……ア……ァ…」

 

口から漏れ出るのはかすれた息のみ。

それに嘆息する獣の巨人。

 

 

 

「ウーん、おナジげんごのハズなんダが………おびえてソレどころじゃないのか……」

 

 

そう言って首を振る獣の巨人。

 

 

「ツウか……ケンとかつかってンのか……

 

 

やっパ……うなじにイルってことはシッてるんだね………

 

 

マぁいいや……もってかえれバ」

 

 

 

そう言って獣の巨人がミケの立体機動装置を摘む

 

ーー殺される…!!

 

ミケは咄嗟に身構え身体を縮こまらせる。

がしかし、獣の巨人はミケの立体機動装置を摘み、ミケに背を向けた。

 

どうやら捕食などはしないようだ。

 

呆然とその背を見送るミケ。

しかしその時、ミケの脳裏に先刻の己の言葉が浮かぶ。

 

人は戦うことを辞めた時、初めて敗北する。

 

自身が部下にかけた言葉。

その言葉を思い出す。

 

ーーそうだ……

 

ミケの目に覚悟の火が灯る

 

ーー戦い続ける限りは………まだ負けてない…!!!

 

ミケは覚悟を振り絞り咆哮をあげる。

 

「ァァああああああ!!!」

 

それはミケの覚悟だった。

自身は諦めない。人類は諦めない。

 

人類は………敗けない!

 

「ァ?」

 

その声に獣の巨人が振り返る。

そして、ミケに絶望を与える。

 

 

「モウうごいてイイよ」

 

 

その瞬間、周りでミケの様子を伺っていた巨人が動き始める。

 

 

ドスッドスッドスッ

 

 

走りよる巨人達。

その恐怖に、その力に。

ミケの覚悟は容易く折られる。

 

「ぃやぁあああ!!」

 

巨人に掴まれ絶叫するミケ。

 

しかしその時だった。

 

「…………ァ゙ア!!」

 

林の中から何かが飛び出してくる。

それはミケを掴んでいた巨人のうなじを斬り落とし、周りの巨人の脚の腱を削ぐ。

 

「ケイン補佐官…!」

 

「………ア゙ッ!!!」

 

それは人類が誇る最強戦力。

調査兵団の番犬。

 

ケインだった。

 

 

ケインは驚くミケの声を気にせず、脚の腱を削いで倒れた巨人のうなじを削ぎ落とす。

 

 

突然の事態に混乱していたミケだったがそこは幾千もの修羅場を乗り越えてきた歴戦の兵士。

 

直ぐに頭を切り替え、ケインが脚の腱を削いだ巨人にとどめを刺す。

二人合わせて4体の巨人を討伐する。

 

残りは獣の巨人一体。

 

ーー勝てる……!!

 

先程鎮火したミケの闘志が再度燃え上がる。

 

ミケは確信していた。

獣の巨人がどれほど強くてもケインには勝てない。

 

「グルァ………!」

 

ケインは走って獣の巨人に突進する。

 

しかしケインは立体機動装置の射程圏内になっても立体機動装置を使わなかった。

 

そのまま切り込むケインにミケは最悪の事態が脳裏を過ぎる。

 

ーーまさか……!?立体機動装置の故障ッ!?

 

「ガァァアアアア!!」

 

ケインは吠える。

それがどんな状況でも。

何があっても。

 

それはまさしくミケが先程思い描いた不屈の権化。

 

人類の怒り。

 

ーー生身の人間が……巨人に勝てるのか…?

 

ミケはそう思わずにはいられなかった

 

 

ジークside

 

獣の巨人、ジークは背後から聞こえる声に気付き振り返る。

既に仕事は終わったと思っていた。

 

しかし、後ろを振り返ると1人の人間が猛烈な勢いで自身に迫ってきているのが見える。

 

「ン?」

 

ーーなんだ?

 

一直線に向かってくる兵士。

腰に着いた機械も使う様子がない。

ジークは混乱する。

 

ーーなんだ…?何をする気だ…?

 

警戒を強めるジークだったが近付いて来ても特に何をするでもないケインに警戒を解く。

 

ーーなんだ……壊れてるのか……?

 

ジークは近付いてきたケインを掴もうとする。

しかし。

 

 

「…ッ!?」

 

 

ジークの予想に反し、掴もうとした手は切り刻まれ、その兵士は自身の腕を登ってきた。

 

 

「ウオッ!?」

 

 

ジークは驚き手を振るう。

その衝撃に呆気なくケインは手から吹き飛ばされてしまう。

 

 

並の人間ならその高さから落ちれば死んでも可笑しくなかったがケインは並ではない。

 

受身をとり、また突進していく。

 

 

手を切り刻んだ技量、受身をとるその技術。

そしてなお進んでくる気迫にジークは己の認識を改める。

 

 

ーーこの兵士は…普通ではない…!

 

 

ケインside

 

ヌゥ!?

何か見たことあるおっさんがピンチだったから助けたけどどういう状況ですかぁ!?

 

それにしても危なかった…!

餌(おっさん)に気を取られていたからほぼ不意打ちで何とかなったがあの数の巨人を庇いながらだと俺もヤバかった…!

 

だが残るは遠くにいる猿みたいな巨人一体のみ。

 

一体なら俺一人でどうとでもならァ!

 

 

俺はそう思い特攻する。

特に何も考えてないがまぁ大丈夫だろ(適当)

 

近付いて行くと猿巨人が俺を掴もうとしてきた。

 

ーー甘いなぁ!!

 

 

斬ッ!!

 

 

俺はその手を斬って、うなじを狙いに行く。

最短距離は腕を突っ切るために俺は猿巨人の腕を登る。

 

 

しかし俺は腕を登っている最中に気づいた。

 

ーーこいつ腕がバカ長ぇ!?

 

普通なら既にうなじに到達していてもおかしくないが、猿巨人の腕の長さもあり、猿巨人が驚いて腕を振ってしまう。

 

その衝撃に俺は空中に放り投げられてしまった。

 

ーーヌン!?

 

俺は咄嗟に受け身を取る。

何とか無事だった俺は考えながらまた突進していく。

 

 

ーー直接狙うのは無理……なら脚を斬って、うなじ……おっけー!!

 

 

考えを纏めると同時に獣の巨人が今度は蹴りを放ってくる。

捕まえる時とは打って変わって、俺をひき肉にしようとする意思がビンビンに伝わっくる。

どうやら殺す気になったらしい。

 

 

俺はそれを全力で回避し、その脚の腱を斬る。

そして、すれ違いざまにもう一方の脚の腱も斬る。

 

 

ドスンッ……!!

 

 

猿巨人が倒れた。

 

俺は背中に登りうなじを狙う。

ブレードを構える俺。

 

ーートッた!!

 

しかし俺がブレードをうなじに叩きつけようとしたその時。

うなじが水晶のようなもので覆われる。

 

「ッ………!?」

 

驚く俺、しかし確か俺はこれを一度見たことがある。

 

美人巨人が最後に少しだけ使っていた。

 

俺は思い出すが振り下ろしたブレードは止まらない

 

 

パキンッ…!!

 

 

水晶とブレードが当たると同時にブレードが折れた。

 

ーー折れた!?

 

俺は内心で驚愕しているとムンズと何かに掴まれる。

 

それは猿巨人の腕だった。

 

普段なら腕を斬って脱出できるがブレードの折れた俺はどうにも出来ずに投げ飛ばされる。

 

 

ブンッ!!

 

 

俺は助けたおっさんの近くに吹き飛んだ。

 

グチャ……!!

 

おぅふ…………いくらこの身体が頑丈だとは言え、今ので既に内蔵がお亡くなりになってしまったようだ。

 

ーー痛ってぇ……

 

「グゥゥ……」

 

俺はあまりの痛みに呻く。

 

恐らく骨も折れているのだろう。

おっさんが何か言ってる気がするが聞こえない。

 

もしや鼓膜が逝った??

 

ーーマズいぜぇ……これはマジでヤバい…!!

 

俺の意識が軽く飛んでいる間に猿巨人は回復を終えたのが見える。

 

俺は猿巨人が近くに来るまでの間に必死で身体を動かそうとする。

 

しかし、俺の予想に反し、猿巨人は近くの岩を掴んだ。

 

ーー何をする気だ…?

 

俺がそう思っていると猿巨人は投球ホームにはいる。

俺はそれを見てすぐに察する。

 

咄嗟に火事場の馬鹿力でおっさんを建物の中に投げ飛ばし、俺自身も隠れようとするが間に合わない。

 

岩が粉々になって飛んでくる。

俺は避けられない。

 

 

ドガッ……!!

 

 

俺は最後にそんな音が聞こえた気がした。

 

 

 




主人公がいつも勝ってるのってつまらないですよね。
なので殺します。(´・ω・`)

次回!ケイン死す!デュエルスタンバイ!!

今回は巨人の大きさを表現するために今まで使っていなかった表現をしてみました。

感想くれると次も書きます。

豆知識。
Simejiでグンタって調べるとグンタ・シュルツが検索候補に出ます。
他の人は出ませんでした。

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