ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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前書き
祝! ハヤテのごとく! アニメ四期決定。


第100話~100話記念なんてなかったんや!!~

『もし五十歳まで生きて山を登り続けることができるのなら、俺は下界での人生がどんなに不幸であってもいいよ』=奥山章

 

 

 

 

第100話~100話記念なんてなかったんや!!~

 

 

『先日、某都内で巨大なアナコンダが逃げ出すという事件がありましたが、このアナコンダを飼育していた男性が実は巨大グマも飼育していたことと、そのクマが逃げ出していたという事件が分かりました。 このクマはとても凶暴でまだ発見は――――』

 

お昼下がり、三千院家邸のソファーにて座りテレビを見ていたマリアはこれほどまでに物騒と言えるだろうかというニュースを見ていた。 

 

「まぁ怖いですねタマ、シラヌイ」

 

「ニャ?」

 

「にゃ~ん」

 

小さい黒猫の疑問とも言える鳴き声に続きその黒猫に背を乗られている白い規格外を超越した猫のような物体はあくびするように答えた。 マリアは小さく笑うとリモコンを手に取り、テレビの電源を落とす。

 

「ま、逃げ出したクマが偶然高尾山とかに逃げ込んで偶然ばったり出会ったりしてなぜか襲われるなんて運の悪いことに訳ないですよね~」

 

そう言ってマリアは仕事へと戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

「困ったなぁ・・・」

 

「困りましたねぇ・・・」

 

ほの暗い洞窟の中でハヤテたちは悩んでいた。 

 

「あのさぁ、なんでこんなことになってるのさ?」

 

木原が突如として突き出されたこの状況に疑問を感じずには居られない。 そう、目の前の。

 

 

「シャ-------------!!」

 

洞窟の入口にてこちらを威嚇している巨大なクマの存在にだ。

 

 

 

「いや、俺に言われてもなぁ」

 

「そうだよ!! なんか訳のわからないうちにお前ら三人が来て、そこからいきなりギャグマンガのように巨大グマが現れたからこんな小さな洞窟に逃げ込んだんじゃないか!!」

 

「誰のせいでこうなったと思ってる」

 

「い、いてぇーよ! しかも硬ッ、お前のチョップなんか思ってたのよりめっちゃ痛いんだけど!!」

 

虎徹に続いて東宮が泣きそうな声をあげた。 その東を木原がチョップで軽く頭を叩く。義手による左手のチョップは少しばかり硬い腕により痛みが強い。

 

「ま、そんなこたより・・・だ。 これからどうするよ、クマはあの馬鹿デカイ図体のせいでこの小さい穴には入ってこれない。 んで、この洞窟は特に広くもなく、奥に出口があるわけでもない・・・」

 

虎徹の言うとおりで、クマはその巨体ゆえに腕だけをこちらに伸ばしているだけであった。幸い、こちらに届くまでの奥行のなさではないのでで下手に動かなければその手にかかることはないだろう。

 

しかし、同時に出口もないので逃げ場のない状況だということもわかっている。 木原は頭を抱えた。

 

・・・アイツなら、黒羽なら。 こんな壁でもドリルでぶち壊してくれるんだろうけどなぁ。

 

と、壁を突き破って助けに来る黒羽を想像してみたが残念なことに、彼女の能力である『黒曜』はある日を堺にまったく使えなくなってしまった。 というより、当の黒羽は記憶喪失により自分がそんな力を使えることも忘れてしまっている。 今ではただの女の子でなのだ。

 

「それよりも綾崎、お前のクマに襲われた時の怪我は大丈夫か?」

 

「一応、応急処置はしたんで大丈夫かと・・・ただ、血とかが流れちゃって結構辛いです。 いつものように思いっきり動けません」

 

虎徹の問いに、ハヤテは頭に巻かれた包帯をさすった。 クマと最初に遭遇したとき、いの一番に狙われた東宮をかばってハヤテがその時に負った傷だ。 虎徹と竜児が協力して逃げていたが、追い詰められてこの洞窟に逃げ込んだのだ。

 

「そうか・・・だったら無理に動かない方がいいかもな。 いつでも俺が包帯変えてやるよ。 ほら、もうちが滲んでるじゃないか。 脱ごうじゃないか、ホラ、服も」

 

「なんで服まで脱がなきゃならないんですか」

 

言い寄る虎徹にハヤテは寒気を感じた。虎徹は怪しい笑みを浮かべている。

 

「ふふ、この傷ついた綾崎なら! 俺は普段の力でも十分に征服できるぞ! この密閉空間で一生夫婦生活をしてもいいゾ綾崎ィ―――!!」

 

ルパンダイブよろしく、飛び上がった虎鉄はその直後、顔面に強烈な衝撃を覚えた。 木原が右回し蹴りが決まり、虎鉄は奥の方まで蹴り飛ばされる。

 

「まったく、洞窟のなかでなにやってんだか。 やっぱりお前らホモじゃないか」

 

「だからホモじゃないですから!!」

 

少年の悩みは未だに解決することはない。

 

 

 

「くそう・・・この山登りが終わったらこの山を平野にしてやる。 絶対にだ」

 

上へと伸びえている山道をひたすら歩いているナギは汗を流しながらそう呟いていた。

 

「まったくだ。 我々インドアガールズにこんなレクリエーションという名の拷問を強いるとは・・・」

 

「うう・・・一体この山登りに何があるっていうだ」

 

同じく今はかけている生徒会三人組の内、美希と理沙もナギと同意見のようだ。 常に引きこもったり、楽なことばかりで体力をつけるようなアクティブな事柄に縁のない彼女たちにとってはそうかもしれない。

 

だが、その疲れきった三人とは関係なしにヒナギクは言うのだ。

 

「もう、山登りっていうのは沢山のあふれる自然に心洗われたり、草木や花、川の流れに耳をすませたりして心を豊かにするものでしょ?」

 

「なんだその悟りを開いたような発言は!! お前は仙人になったつもりかぁ!!」

 

「そうだよ(便乗)。 そんなに山登りしたいんならヒナたちは先に行けばいいじゃないか!!」

 

「あっそ。 じゃあ貴方たちが遭難しても捜索願は出さないようにお願いしておくわ」

 

「スンマセン、マジで勘弁してください」

 

しれっとしたヒナギクの言葉に理沙と美希は土下座で態度を改めた。

 

「ま、これを機にもう少しスポーツとかにも興味をもってみてはどうかなナギ君」

 

「奈津美先輩。 私はそんな出来た人間じゃない。 そんな簡単に実行できるものなら人間は地球に絶望してコロニーなんて落としたりなんかしない」

 

笑みを浮かべた唯子に対してナギは目を細めながら返した。 その光景を見ていた千里は鼻を鳴らす。

 

「まったくもって貧弱貧弱ゥ! そんな事で俺に仕えようとは片腹痛いわ!」

 

「筋肉バカに言われるともの凄いムカつくなー。 ていうかお前自分の班に戻れよ」

 

ナギの言葉に突然と千里が押し黙った。 不思議そうにナギが様子を伺っているとそれを唯子がクスクスと笑いながら答える。

 

「ナギ君、少し事情を汲み取ってくれないか。 このアホ王子は自分の班に居場所がないのだ」

 

「う、うるさい! 余計なこと言うな奈津美!」

 

顔を羞恥で真っ赤にした千里を無視して唯子はまだ続ける。

 

「ふっふーん。ではこれはどういうことだろうか、お前の同じ班である直江くんはこの高尾山のパンフを直接渡せばいいのにわざわざ私に渡してくれと頼んだぞ。 まだあるな、お前が先頭を歩いてる時に同じ班の彼らはお前との距離を最低でも7.8mくらいは空けて歩いていたな・・・・後は―――」

 

「うおおおおおお!! やめろぉぉぉぉ!!!」

 

頭を抱えた千里を絶叫が山で文字通り木霊した。 唯子はその様子を見てけらけらと笑うのであった。相変わらず千里を弄ることに関してはお手の物である。

 

 

 

・・・しかしまぁ、新学期早々のクラスで綾崎くんたちと一緒のクラスになったからどうなるかと思ったが。

 

 

白皇学院生徒会書記である春風千桜は心の中で安堵のため息をついていた。理由は自分のやっているバイトの職業柄のことである。

 

今年になってから始めた咲夜のメイドのバイト。 それから数ヶ月なんの音沙汰もなく業務に励めていたのだが、新学期になり同じクラスでハヤテやテル、ヒナギクたちとも会う機会が増えてきた。 自分の正体がバレそうにならないように気を張っていたのだが周りの雰囲気も相まってかバレることもなかった。

 

・・・ただ単に私の考えすぎだったか。 しょせん、お金持ちの天才少女と私では住む世界が違うわけだ。きっとクラスが変われば顔も名前も思い出せない存在になるんだろうな。

 

この人と私のあいだには何も。

 

隣で不機嫌そうに歩くナギを千桜は自分の自意識過剰さを心から疎ましく思う。 それを踏まえて自分はどこかで誰かとのつながりを望んでいたのではないかと。

 

「くっそ~、ヒナギクのやつめ・・・まったく汗をかていない。 あれだけ山を登っているのに」

 

ふと、先頭を元気に歩くヒナギクに対してナギが呟いた。 確かにペースもあまり落ちることなくヒナギクは登り続けていた。 所詮一キロもない高尾山だからヒナギクにとってはさほど脅威に値しないのだろうか。

 

そして千桜はそんな生徒会長に敬意を評していつもの癖が出てしまうのだ。

 

「まったく、『連邦のモビルスーツは化け物かー』って感じですよね」

 

「へ?」

 

一瞬、こちらの呟きにナギが表情を固まらせてからこちらを見る。 慌てて自分の犯した失態に気づいた千桜はナギにこちらの顔を見られる前にナギの視線から顔を背ける。

 

「じーっ・・・」

 

・・・え、えーっと。 アウト? セーフ? アウアウ? セフセフ?

 

冷静に装っていたが千桜の頭の中は激しく混乱していた。 ここでいつもの通りに当たり障りのない台詞を言えば良かったが、つい癖で人気アニメの台詞をあててしまった。

 

 

「あ、あの・・・」

 

「あー! 見て見て! 野生の狸だ!」

 

遠くで理沙が声をあげる。 そこにいたのは小さな狸だった。 

 

「うおー! 本物の狸だ! ぽんぽこぽんだ!」

 

「あらやだかわいい!」

 

美希もヒナギクもナギも突如現れた自然のマスコットに目を奪われている。 千桜は思った。 危機はさったのだと。

 

「ふー・・・」

 

「『助かった』なんて思っているのかな? 春風くん」

 

背後からの声に千桜は身を震わせた。 そうだ。 一番油断してはいけなかった。 ヒナギクも動物に夢中になっている中、この人物だけは、奈津美 唯子だけはこちらの異変に気づいていたのだ。

 

多分先程のセリフから自分の隠していることはもうバレてしまっているだろう。 千桜は開き直って聞いた。

 

「・・・結構鋭いんですね。 もしかして昔のアニメとかにも興味があったりするんですか唯子さん」

 

「はは、なに。 私もたしなむ程度にだがな。 ま、それよりも君はなかなか隙だらけで面白いな」

 

クスリと笑った唯子は続けて言い放った。

 

「最近のガ〇ダムは戦いの状況に応じて最適な武器を勝手に作り出してくれるようだな。 あれはどうなんだ?」

 

「AGEはそうですね、三部作なんで全部通して見てみないと評価がわからないっていうか・・・でも見ごたえのあるヒロインがユリンくらいしかいないというか・・・って、何誘導してるんですか!!」

 

「はっはっは! やっぱり君は隙だらけだぞ・・・」

 

千桜は歯を食いしばった。 この唯子にはどうやっても勝てる気がしない。 この人の前では嘘をつくことは難しい。 この感覚はどこか似ている。 

 

「君はもう少し人生楽しみながらやっていったほうがいいぞ。 簡単に言えば、もっと自分をオープンにしてみたらどうだ・・・例えば、誰にも知られていない笑顔振りまくメイドの姿とか・・・」

 

・・・あー、わかった。 この人、愛歌さんに似ているんだ。

 

口元で浮かべた黒い笑いが、自身の同じクラスの女子に激しく似ていた。 そしてこういった類の内容は絶対に忘れない。 忘れないようにちゃんとメモしたりするのだ。

 

・・・くっ! そのネタを使って一体どうしようって言うんだ!まさかそれで私にエロイことするつもりなのか! エロ同人みたいに!

 

気が動転していてまともな思考ができていないのは分かっている。 だがこの次の唯子の判断で彼女の、春風 千桜の学校生活は天から地獄へと変わってしまうほどの影響力を持っていた。

 

喉の唾を飲み込んで唯子の言葉を待つ。 すると、唯子はこちらの身構えた姿勢を見て、また小さく笑った。

 

「フフフ・・・安心するといい、この話を他人に口外するつもりはないよ。私がそんなゲスな事をするように見えたのかな?」

 

・・・思いっきりやりそうな雰囲気出してましたよ。

 

心の中で突っ込んでみて、千桜は様子を伺う。 だが、内心で他人にバラすようなことはしないらしいのでホットはしていた。 まだ油断はできないのだが。

 

「ふむ。 そうだな、君も彼氏とか作ってみたらどうだ?」

 

「な! なんでいきなりそんな話題になるんですか!」

 

「学生なら花だろ。 彼氏とかなら自分の秘密とかも隠す必要はないだろうからな。 君には少なくとも一人二人は理解者は必要だ」

 

こちらの反応を楽しむように言葉を紡ぐ唯子は続けて言う。

 

「それに君はその話で結構ストレスを溜め込んでると聞いたのでな? 先輩ながらアドバイスをさせてもらったというわけだが・・・」

 

「ちなみに・・・その情報はもしかして」

 

「もちろん、愛歌くんから聞いたわけだが」

 

・・・やっぱりあの人にバラすんじゃなかった!

 

心の中で千桜は悲嘆にくれる。 いつしかの咲夜の誕生パーティだったか、メイドとして付き添いできていたその場に同じクラスの愛歌がその場にいたわけだが、メイド姿を一瞬で看破されてしまい正体がバレてしまったのがある意味悲劇の始まりだ。

 

「えーっと、ちなみに唯子さんは千里さんとは友達じゃ・・」

 

「ん? 何を言うかと思ったら当然・・・」

 

唯子は満面の笑で続けていった。

 

「友達なわけがないだろう」

 

「ですよねー」

 

当然と言ったら当然の答えに千桜も力なく笑った。

 

「私がアイツに声をかけているのは皆が私に押し付けるからだ。 そして奴を止められるのも私しか居ないのだ。使命感とかそういったものも沸かない。 そして挙げ句の果てにはアイツが年下と触れ合わせて自分の現実と向き合って泣き崩れてくれるのを見てみたいとも思っている・・・こんな奴が友達と呼べるのかな?」

 

「友達よりも悪魔ですよ貴方は」

 

高らかに言い放つ唯子に千桜は遂に口に出して突っ込んだ。

 

 

 

 

 

 

熊に襲われている主人公や、順調に登山を続けているナギ達とは別の場所で一人の少女は歩いていた。

 

アウトドア装備に動きやすいように髪を縛ってポニーテールにしたその少女は疲れを浮かべた表情で空を見上げる

 

 

「はてさて……どうしたものでしょうか」

 

 

少女、黒羽 舞夜は迷子になっていた。

 

 

 

……いつの間にかテル様達とはぐれてしまった。

 

周りを見ても他の登山者も見当たらない。 今まさに自分は誰にも手助けを求められない状態にある。

 

 

・・・携帯電話でもあれば連絡を入れる事が出来るのですが。マリアさんの言う通りに素直に買っていれば。

 

 

一般に学生達が持っている携帯電話を持っていない事の不便さを黒羽は嘆いた。

 

 

マリアから早く買うように言われていたが、携帯のパンフレットを見た時にあまりの多さに決める事が出来なかったのだ。

 

・・・天気が崩れる事はなさそうですが、こういった状況はあまり動く事をしてはいけない気がします。

 

 

脇道にそれて一本の木を見つけると側に荷物を置き、地面へと腰を下ろす。

疲れていたのでこの小休憩は有難い。

 

・・・砂漠を渡る覚悟で水を保存してた筈が、もう無いとは。

 

取り出したペットボトルに水が無いのを見て、バックの中にしまう。ゴミをそこらに捨てるような精神は持ち合わせていない。

 

 

・・・あ。

 

 

ふと動きが止まる。 理由はバッグの中にあったもう一本のペットボトルだ。中はまだある。キャップも切られていない。

 

 

・・・入れた覚えのない。 誰かが?

 

 

歩いている途中に誰かにいれられたのだと推測する。

 

・・・気を利かせて入れそうなのはマリアさんか、ハヤテ様か。 もしくは……。

 

 

一瞬だけテルを浮かべたがその可能性は薄い、と黒羽は考える。

 

 

・・・だってあの人は。

 

 

「そこで、何をしているんですか」

 

 

手元のペットボトルに視線を向けていた時、冷ややかな声が聞こえた。 その声を聞いた時に、何故か体の筋肉が一瞬だけ固まるのを感じる。 恐怖を少しだけ思い出させるようなこの感覚はなんだろうか。

 

威圧感のある瞳を向けていた少女、鷺ノ宮 伊澄が目の前に現れた。





後書き
これって修羅場なんですかね。
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