ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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第14話~情・報・収・集~

前略。 テルは白皇学院に情報収集へとやって来ていた。 これから戦うかもしれない相手の情報を一つでも集めなくてはいけない。 勝負しようにもまずそこからだと考えたからである。

 

「で? なんで私のところに来たわけ?」

 

そう言いながら長大な机に肘をつけ頬杖を突いている少女はこの学院の生徒会長、桂 ヒナギクである。

 

「偉大なる魔王である生徒会長であるお前なら色んなことが分かりそうだからな」

 

客席用のソファーにどかっと座りながらテルはリラックス気分だ。

 

「なんか聞き捨てならない言葉が聞こえたけど……ていうか、今まで突っ込まなかったけど、ここは生徒会の関係者以外入れないって言わなかったっけ?」

 

「硬いこと言わさんな会長。 情報収集にきてるのだ」

「休日に学校来て仕事している私の身はお構いなしね」

 

 この休日、本来なら家で休んでいるのハズなのに生徒会の仕事によりヒナギクは午前中から仕事をしているのだがそんな大変な中、まさにお構いなしである。

 

「その情報収集ってなんの情報?」

 

 ため息を一瞬だけつくとヒナギクは手にしていたペンを置いた。

 

「日野寺家についてなんだが?」

 

「え? 日野寺家?」

 

 ヒナギクのその反応にテルは内心、当たりを引いたと思った。

 

「知ってるのか?」

 

「知ってるけど、日野寺家は医療の方にかなり力をいれていることでかなり有名よ?」

 

「医療?」

 

「ええ、後は昔凄かったというかなんというか・・・・・」

 

「何が凄かったんだよ、お前曖昧じゃね? お前もしかしてあんまり知らないんじゃ」

 

 だんだんと表現が曖昧になって言っているのが分かるテルは眉を細めた。

 

「だってそれは昔の話だったから。 今のことは分からないのよ!」

 

 ヒナギクは顔を少し赤くして声を張った。 しかし、どうやら日野寺家には過去と現在では大きな差があるそうだ。 

 

だがまだまだ情報が足りない。 テルはうーんと唸り、頭を掻いた。

 

「あー・・・・会長は今日から係長に降格だ」

 

「あなた殴られたいのかしら?」

 

 拳がぶるぶると震えだしているヒナギク。 しかし、少し思うところがあったのかテルに聞いてみる。

 

「でも日野寺家を調べることに何か意味があるの?」

 

 テルは間違っても昼間の出来事を話してはいけないと感じた。 喋ったら絶対こいつは来る。 断っても来る。 そんな面倒くさいことはごめんである。

 

「まぁ少し調べたいことがあんだよ・・・・だが参ったな」

 

 ヒナギクは理由は分からずとも何か困っていそうだということだけは理解できた。 

 

(まぁ、この前お姉ちゃん助けてくれたお礼もしなきゃならいし)

 

 

と思い、ポケットから携帯を取り出した。

 

「仕方ないけど、あの娘達にたよるかぁ……」

 

 

「誰か心当たりでも?」

 

 

「そういうのに詳しい友達がいるのよ。今頃、サボって遊んでるだろうけど」

 

 

そう言うとヒナギクは携帯の番号を打ち出した。 電話が繋がりヒナギクが話し始めた。

 

 

「もしもし私だけど来てくれない? ちょっと聞きたい事があるんだけど。 どうせどっかでサボってたでしょ? みんな連れて来なさい」

 

携帯の通話を終えると背もたれ椅子にドカッともたれかかった。

 

 

「まさか……アイツ等よんだのか?」

 

 

テルが面倒くさそうに顔をしかめた。

 

 

「知りたいんでしょ? なら文句は言わない」

 

 

ガチャン! とヒナギクが言い終えたと同時に生徒会室の扉が開かれた。

 

それと同時に強烈な光が差し込んでくる。 あまりのまぶしさにテルとヒナギクは目を隠した。

 

「うおっ! まぶし!」

 

「来るの早いわね・・・・でも来るのにここまで過剰演出する必要あるかしら?」

 

 扉から差し込んでくる光はどうやら自然的なものではなく、人工的なものが使われていた。 そのライトをバックに三人の女子生徒がポーズをとっていた。

 

「ふっふっふ・・・・待ち続けること四ヶ月、話数にしてなかなか出番をもらえず退屈をすごす日々・・・・」

 

「そんな私たちにも!」

 

「ついに出番がやってきた♪」

 

 

「「「降臨、満を持して! 我ら、THE! 生徒会役員!!」」」

 

 その瞬間、後ろでどーんと爆発みたいな効果が聞こえ、三人は決まったと言わんばかりの顔だ。

 

「おー、いらっしゃーい。 んでもって出口はこちらになりまーす」

 

テルが三人を入ってきた扉へと誘導する。

 

「そうそう、お邪魔しましたーってなるかァ!」

 

 ややブルーがかかった灰色の少女が怒って戻ってくる。

 

「我々は4ヶ月も待った! ようやく出れたと思ったら特別編だぞ!? 本編に関係ないではないか!!」

 

「そうだ! 大体、作者も女性キャラ登場させるのがあまりにも遅いのだ! 見ろ現実を! まだ余っているキャラもいるだろうに」

 

「みんな~ 私達の事、忘れてないよね~!?」

 

黒髪の少女も自身の不満を訴える。 最後の紫の髪の少女に至っては泣きそうな声だった。

 

「だが出れたからには」

 

「私達の見せどころなのだ!」

 

「なのだ~♪」

 

三人は意気揚々としていた。 どうやら出番がなかったことにとても不満だったらしい。

 

「美希、理沙、泉? 訳の分からない事言ってないで出番が欲しければ仕事をすればいいじゃない。 そうすれば早く出れたかもしれないのに」

 

ヒナギクが呆れたように言うと美希が反応する。

 

「ヒナは私達より早く出れたからそんな事が言えるんだ」

 

 

「「そうだそうだー!」」

 

美希の後ろで理沙と泉が腕を伸ばしてはやし立てる。

 

「あなた達ね……不平不満言うもんじゃないわよ」

 

ヒナギクが落ち着いた態度で喋る。 その様子を見て、流石は会長だ。 と思っていたテルだったが

 

「私なんて早いと言っても出れたの20話過ぎよ!?」

 

「お前も根に持ってたんかい! つーか今ここで討論する必要ねーだろ!」

 

テルの突っ込みにより四人はそれもそう。と思い落ち着きを取り戻す。

 

「ありがとうテル夫君。 君のおかげで目が覚めた」

 

「お礼に君には今余っている黄土色の称号を与えよう」

 

美希と理沙がテルに感謝するように言う。

 

「そんなスライムにも負けそうな称号はいらん。せめて黒にしろ」

 

「残念ながら黒は私のものだ」

 

理沙が自身に親指を立ててテルに返す。

それに続き

 

「ちなみに私、花菱 美希はブルー!」

 

「私、瀬川 泉はレッド!」

 

美希と泉がそれぞれ乗ってくる。 そして再び三人はポーズを取り、

 

「「「我ら!THE!生徒会役員!」」」

 

「お前ら少し黙れェェェエ!!」

 

このままでは話は一向に進まない。 取り敢えず皆の落ち着きを取り戻させた。

ぶっちゃけ、この三人娘はテルにとってとんでもなく苦手な存在だ。 クラスにもいるだろう、なにかと突っかかってくる女子が。 それが×3。

 

 

愉快なのは確かだが。

 

 

話は戻りようやく本題にはいる。 本格的な情報収集の開始だ。

 

「日野寺家か? ああ知ってるとも」

 

「本当かよ?」

 

美希がどうやらその事に詳しいらしい。

「一応、政治家の娘だ。 情報収集は得意」

 

美希は得意顔で言うと更に続けた。

 

「しかし、そんな事も知らなかったとはテル夫君、あさはかなり……」

 

「放っておけ……」

 

「日野寺家は医療の最先端を行く家系。 その活動は国内に留まらず、外国でもその力を発揮している」

 

 要は全世界で医療の力を拡大していったということか。 

 

「はっきり言ってその時の実力だったら三千院家と肩を並べていたくらいだ。 ま、それも過去の話」

 

「なんだ、過去のことだったのか」

 

「ああ、日野寺家はある日を境にして急激に力が衰えていった。 それは前当主がいなくなったからだ」

 

美希が言うにはその前当主がもっとも日野寺家の中で医療に対する情熱と知識をもっていて、よく頭のキレる当主だったとか。 そもそも日野寺家の全盛期を築いたのはその前当主のおかげだと言っても過言ではないらしい。

 

「前当主は人望も厚かったからな色んな人間が彼を慕っていた。 医療に対してはホント熱心だったらしいから紛争地域に直接赴いて戦地の人々を助けていたりもしたのだよ」

 

 そんな前当主がなんでまた急にいなくなったりしたんだ?

 

「不幸なことにだが、紛争地に赴いていた時に巻き込まれたらしい。 紛争地帯で前当主は敵味方関係なく治療に当たっていたがそれを邪魔に思っていた人間が居たらしいのだ」

 

皮肉なことだ。 助けていたはずなのにその助けた側の人間から邪魔だと思われ、命を奪われるとは。

 

「それからだよ。 日野寺家が弱体化したのは・・・・・前当主が今まで全部仕切ってやっていたから指示する人間がいなくなったせいで組織はバーラバラ、前当主の一人娘が今継いでいるけどなかなか周りからは若いだのなんだので信頼されていないわけ」

 

 なるほどようやく分かった。 日野寺家の過去と現在。 盛者必衰の理という言葉もあるくらいだからな。

でも一人娘ってまさか

 

「かわいそうなことに前当主が死んだときにどうやら奥さんも居たらしいからな。 日野寺家は実質、その一人娘しかない・・・・まだ十三歳だというのに」

 

 おそらく、その一人娘はマユミだろう。だがその過去の、父の栄光を取り戻そうとするのは分かるが果たして、今回の事件となにか繋がりはあったのだろうか。

 

「なるほど、大体分かった」

 

 なんにせよ分かることも分かり、得れる情報はいろいろと得ることができた。 取りあえず帰るかな。

 

「そうかそうかテル夫君。 最後に私達生徒会から君へエールを送ろうではないか」

 

「いらんいらん。 そういうエールは今の病んでる日本に贈ってやれ」

 

 テルの言葉など意にも介さず三人娘はテルに向かって応援団のように美希、理沙、泉の順で

 

「あさはかなり」

 

「あさはかなり!」

 

「あさはかなり~♪」

 

エールを送った。 

 

「エールじゃねぇよな!? 明らかに俺のことバカにしてるよな!?」

 

「ふ・・・・さぁヒナも言うんだ!」

 

「な、なんで私までやらなきゃいけないのよ!」

 

 美希がヒナギクに言うよう促す。 ヒナギクはやりたくはなさそうだ。

 

「お前らなんだ、その言葉流行らせたいのか」

 

 その時、テルの携帯が鳴る。 電話の相手はマリアだった。

 

「もしもし、マリアさん?」

 

『テル君、情報のほうはどうですか?』

 

「大体集まったほうですよ。 そっちはどうですか?」

 

『こちらも大体場所は特定できました。 あとお客様がお見えです。』

 

 客?マリアの言葉に疑問を浮かべたテルだったが、客の名前を聞くなり表情を一変させた。

 

「分かりました。 すぐ戻ります」

 

 そういい終えると携帯をきる。 三人娘とヒナギクはまだ言うか言わないかでもめている。 わざわざ言うのもめんどくさいので黙って帰ることにした。 

 

「さぁヒナ! 言うんだ!」

 

「ヒナも気づくはずだ! この言葉の有能さに!」

 

「ヒナちゃん、言ってみよ~」

 

「わ、分かったわよ・・・・・言えばいいんでしょ、言えば」

 

 三人の執拗な説得についにヒナギクも折れてしまい、深呼吸をして小さな声で呟く。

 

「あ、あさはかなり・・・・・ってアレ?」

 

当然だが、テルは四人が言い争っているさなかに生徒会室を出ていた。 だれもいない所にヒナギクは深呼吸までしてまで恥ずかしさに耐えながらもおかしなセリフを言わされたのにだ。

 

「あらら・・・・ヒナを放置するとはテル夫君、なかなか度胸があると見える。 なら、我々もそろそろサボりという名の仕事に・・・・」

 

「あら? どこへ行くつもり?」

 

三人娘が何事も無かったように生徒会室から出ようとしたとき呼び止められ、振り返るとそこには笑顔のヒナギクがいた。 

 

笑顔ではいるのだが負のオーラが大量にあふれてきている。

 

「さ~て、仕事しましょ仕事♪ 今日は仕事を終わらすまで帰さないわよ?」

 

「そ、そんなヒナ! そんな死人がでるような激務を私達にこなせというのか!?」

 

 美希が必死になって訴えるがヒナギクはそれを絶対に許さない。

 

「他意はみとめない」

 

 三人娘はヒナギクのオーラに圧倒され、弾圧された。 

 

 

 

 

「ただいまーっと・・・・」

 

「おかえりなさい。 テル君」

 

それからして、テルは屋敷へと戻ってきた。 

 

「お客様は部屋でお待ちしていますわ」

 

「了解です」

 

そう頷くと、テルは客が待っているとされる部屋へと入った。

 

「よう、待たせたな・・・・・・シュトロハイム」

 

そこに居たのは紛れも無く、昼間にやってきたマユミの執事、シュトロハイムだった。

その後にマリアも来て、よく分からんがテルが椅子に座り、その後ろでマリアがいるという状態で座っているシュトロハイムと向き合った。

 

「まさかお前から来るとは思わなかった。 お嬢様はどうしたよ?」

 

 なぜか今はマユミとハヤテの姿が見当たらない。 どっかに隠れているのだろうか。

 

そう思考を巡らせているとシュトロハイムはが口を開いた。

 

「実は・・・・・今日付けでお嬢様の執事をクビにされました」

 

 

「・・・・・・・・・・は?」

 

ニカッと笑って答えるシュトロハイムに二人は目を丸くした。

 

「いやぁ『もう綾崎 ハヤテがいるから貴方はもう必要ない』と言われてしまいましてな」

 

「いやいや、お前無職になっちゃたのになんでそんなに笑ってられるんだよ」

 

 テルが手を小さく振り、突っ込みを入れる。 しかし、これほど主を思っている執事をクビにするとは一体何故だろうか。

 

「お嬢様の命とあらば致し方ありません。 主の命に執事は従う、ただそれだけなのですから」

 

 テルはふーんと言った表情。 それでも従うって言われてもここまで前向きだとは全世界の無職の人々にはこれぐらいのポジティブ感が必要なのかもしれない。

 

「お茶です」

 

「ありがとうございますマリア殿」

 

シュトロハイムはマリアに出された紅茶をグイッと飲み始める。 カップが190cmの体格のせいでやたらと小さく見えた。

 

(でもマリアさんも何も警戒なしで屋敷にあげたんですね)

 

(ええ。 でも最初見たときは警戒はしましたんですけどなんというか・・・・・雰囲気が)

 

お互いに目を見合わせて小声で呟く。 確かに、今のシュトロハイムは玄関を破壊したときの迫力は無く、見た感じは執事服を着たただのおじさんに見えたのだ。

 

「実はこのシュトロハイム、お願いがあってこの度参りました」

 

 紅茶を飲み終えたシュトロハイムは突如として顔色が変わり、真剣な表情で向き合う。

 

「お嬢様を助け出してほしいのです」

 

「どういうこったそりゃ」

 

テルが顔をしかめる。 シュトロハイムは少しだけ俯いた。

 

「言葉通りです。 人殺しの私にはお嬢様を助けることも笑顔にすることもできません」

 

ーその人、人殺しだから・・・・・ というマユミの言葉が思い出される。

 

「お前んとこのお嬢様もそんなこと言っていたな・・・・」

 

その言葉を聞くと、シュトロハイムは自身の右手を見つめた。

 

「ええ、実際に私は人を殺しています。それもたくさん・・・・・」

 

 右手を見つめるシュトロハイムにテルは目を細めた。

 

「話さなければなりません。 私がどうしてマユミお嬢様の執事になったのか。 どうしてお嬢様があそこまで変わってしまったのかを・・・・・」

 

 再びテルたちと向き合うとシュトロハイムはあの日を思い出すかのように語りだした。

 

 

 

 

ー今から八年前、アルベルト・シュトロハイム四十二歳。

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