ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

59 / 150
前書き
なに、ちょっとした短編ですよ。


第59話~男も女もお見合いする時期は決まってる~

時間は朝の8時。 三千院家で物語は始まる。

 

 

「お見合いすると・・・絶対に結婚するのかな!?」

 

「・・・・どうしたんだ一体?」

 

ワタルがナギに慌てた表情で問いかける。 ソファにて向かい合っている二人は片方は焦り、片方は目を細めていた。

 

「いや・・・その・・」

 

そう呟くワタルはとても思いつめた表情である。そして一言言い放った。

 

「サキが明日お見合いするって・・・」

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り2日前。 これはワタルが知らない出来事。 

一軒の飲み屋で起きた話だった。

 

「「「かんぱーい!!」」」

 

と日ごろの疲れ、ストレスを忘れさせるような意気揚々とした声と共にグラスがカチンと音を立てた。

 

「で? どーなのよサキ?」

 

「そーそーどーなのよ最近さぁ・・・」

 

と二人の女性に詰め寄られる人物。 まぎれもなくサキだ。 おそらく3人は同級生か女友達かそのどれかだろうか。

 

そして話は戻り、質問されたサキは目を細めながらビールをテーブルに置く。

 

「どうなのって・・・秋子さんに静子さん、それはこっちの台詞ですよ。 お二人とも就職はどうしたんですか?」

 

「な、ニートが犯罪者とでもいう気!?」

 

「私たちは自分探しの旅をしているの!!」

 

と見事的を射ぬかれたように二人はサキに反論した。 どうやら二人は職が無いらしい。

 

「そんないつも親に言われているようなことなんてどうでもいいのよ!!」

 

「女が集まって『最近どーよ?』って言ったらさぁ・・・」

 

静子が意味ありげにニヤニヤしながら言った。

 

「男の話に決まってるでしょ?」

 

「は?」

 

「どうなの、彼氏。 いるの?いなの?」

 

疑問を浮かべたサキ。 いわゆる一つのガールズトークである。 まさしくそう言った類のお話。

 

「何をそんな・・・彼氏なんていりません。 だいたい仕事が忙しくてそれどころでは・・・」

 

「ずいぶん生活くさいセリフねェ・・・」

 

と二人は少しばかり興ざめしたかのような視線を送る。 

 

「まったく・・・そんなんじゃイイ男に相手にされないわよサキ。 アンタ十分眼鏡でメイドっていう属性があるんだからいい線イケるって」

 

「静子さん、属性とかは関係ないですよ。 それにご心配なく。 イイ男には十分相手にされてるはずですから」

 

「「ほぅ・・・」」

 

ビールを片手に放った先の一言。 それに食らいつかない大人の女ではない。 

気づけば二人とも物珍しいものを見つけた猫のような目になっていた。

 

「え!? なになに!? その発言!! やっぱ彼氏いるの!?」

 

「詳しく聞かせてー! 言わなきゃアンタには吐くまで付き合ってやるわよ!!」

 

「い!! いや、それはその・・・!!」

 

 

これにはしまったとしか言いようがないサキであった。 その後、何とか理由やらを並べてその話題を切り抜けることには成功したものの・・・・

 

 

(しまった・・・こんな遅くなるとは・・・この時間では中野坂上に帰る電車が・・・)

 

店を出て帰ろうとした時には既に終電を迎えていた。 とても間に合いそうにない。 もはや日をもまたいでいるという状態だった。

 

(仕方ありません。若に心配化かけないように電話して・・・今日は実家に泊まりましょう・・)

 

とポケットから携帯を取り出して、ワタルへと電話をかける。 そしてそのことをワタルへと伝えた先だったが。

 

『あっそ。帰ってこないんだ』

 

と、何とも温かみもない返事であった。

 

(・・・・・)

 

「あの・・・なんか嬉しそうですね」

 

『別に? 夜遊びしても怒られねーとか思ってねーよ?』

 

ワタルの言葉からは少なからずとも心配と言う感情はあまり感じられなかった。 今日中に帰ってこないサキをいいことに、電話の向こうで笑っているワタルの姿が容易に浮かぶ。

 

まぁ男なんてそんなもんですよ。

 

「まぁとにかく心配かけてすみません」

 

『は!? 心配なんてしてねーよ?』

 

と帰ってきた返事はなんとも冷たい。

 

あまりにも露骨・・・というか、もう少し言い方というものが無いのだろうか。

 

「いや、でも・・・女の人がお酒を飲んで・・・あ・・・朝帰りというのは・・・」

 

『ん? ああ・・・そうだな・・・』

 

少しでも心配させてやろうという気にさせるために先が言った一言はワタルを少しだけ考えさせた。 やったと思ったサキであったが。

 

『今日は静かに寝れそうだよ。 じゃ!!』

 

ブツッ!!ツーツー・・・・。

 

(・・・・)

 

 

鳴り響いている電話の電子音がむなしく感じた。 

 

これはいつもの憎まれ口と言う奴だろうか。 店の中ではよく聞いていた憎まれ口だが、電話と言うのはとても怖い。 相手の表情を見ながら行っている普段の会話と違って相手の表情を見ないで、相手の声だけで話を進めるというのはまた違ったイメージを生まれさせる。

 

 

「なんともだらしねぇ・・・」

 

「ほんとです。 なんだかサキさんが可哀相になってきました。 こんな我儘な店主をもって・・・」

 

「お前ら・・・どっから湧いた」

 

場面は三千院家のナギの部屋になるが、いつの間にか部屋にはナギのほかにテルとハヤテが現れていた。

 

「だってお前、サキさんに朝帰りするって言われたときにその台詞はねェよ」

 

とテル。

 

「そうですね。 ただでさえ日ごろのストレスとかもあって疲れているのに・・・気遣いがなってませんよ」

 

とハヤテ。 それに対してワタルはむぐぅと唸るだけだった。

 

「ただ理由がその電話だけだとは限らねェな・・・」

 

とテルが考える。 その電話の内容がいかにひどいものだったか分かっていてもどうしていきなりお見合いと言う形になるのか、とてもお見合いに絡むような要素は見当たらない。

 

「なぁワタル・・・」

 

テルがワタルの肩を掴んだ。

 

「別の理由とかないのか? 俺にはほかにもお前がやらかしたとしか考えられねェンだけど・・・」

 

と言うテルにワタルはうーんと考える。すると思い出したかのように、あっ!と声を出した。

 

「実はこの前・・・・」

 

 

ワタルが語りだした内容はこうだ。

 

―――その翌日。

 

朝の電車を使って、サキは無事に実家からビデオ屋へと帰ってくることができた。 店のドアから店内へと入るとワタルがDVDの品出しを行っていた。

 

と、こちらに気づいたか、ワタルが作業を止めてこちらを見る。

 

「お? なんだ。 もう戻って来たのかよ。 もう少しゆっくりしてればいいのに・・・」

 

そう言うや否や再び作業を開始するワタル。 サキは呆れたという表情で会話を続けた。

 

「いえ・・・和歌に心配かけるのも何なので・・・早目に戻ってきました」

 

「だから別に心配してねーって・・・」

 

昨日の会話を覚えているようにワタルはサキの言葉に答える。 これに少しムッとしたか、サキもここでウソを交えてみた。

 

「ちなみに一緒に飲んだ人の中には男の人も居て・・・」←ウソ

 

「知らねーよ、そんなの」

 

まるで興味なし。

 

「あと実家の母からお見合いを進められました!」

 

ここでサキは実家に戻った時に話の中で持ち出されたお見合いの話を出した。 これならワタルも少しは驚いてくれるだろうと思っていたのだが。

 

「は!! そりゃよかったな!!」

 

プチッ。 

 

サキの中で何かが切れた。 すぐさまポケットの中から携帯を取り出して短縮でダイヤルをかける。

 

「あ、お母さんですか?お見合いの話、最速で進めてください。 ええ全力で」

 

「ん?」

 

とワタルが気づいた時には既に電話は切られていた。 話は既にまとまっていたようでポケットに携帯をもどすサキ。

 

「え? おい・・・サキ?」

 

何故か話が凄い方向へと飛躍していることに気付いたワタルだが、もう遅い。 ここにきてワタルは初めて動揺した。

 

「一体どういう・・・」

 

とワタルが声を掛けようとした時に振り返った先は表情を少しだけ強張らせていた。

 

「と言うことで明日の金曜日明日の日曜日お見合いすることになりました!! なのでお暇を貰います!!いいですね!!」

 

結局、ワタルはこの状態のサキに何も言い返すことができずサキは準備やらなんやらでそそくさに帰っていった。

 

 

 

 

「「ソレだろうがァァァァァァァァ!!!」」

 

「ぐふぅ!!」

 

理由が分かった途端、ナギとテルは仮面ライダーのようなとび蹴りをワタルへとお見舞いした。

 

「仮にも身内でもあるサキさんに対してお見合いの内容すらも全く興味なしと言う愚か丸出しの行為・・・・」

 

とどめとばかりにテルがワタルの顔を鷲掴み。 キリキリと音が鳴っていくのが分かる。

 

「ようぅし、お前はこれからサキさんの目の前で焼土下座だ」

 

「テルさん、鉄板の用意はできました!」

 

「ちょ、待て! 俺は真剣にサキの事を相談してんだよ!!」

 

「まぁ、サキさんがお見合いするというのは意外な話だが・・・結婚する意志があるからお見合いするんだろ?」

 

「・・・・」

 

ナギの一言に黙り込むワタル。 確かに、お見合いと言うのは結婚を前提に行われるものだ。 サキもそういうこと考えたってなんら可笑しくない年齢である。

 

「ずいぶんと自分勝手な不満が顔に出ているな・・・」

 

「べ、別に俺は・・・」

 

ワタルの表情を読み取ったかのようにナギが放った一言はワタルの考えを浮き彫りにした。

 

「ワタルよォ、お前はサキさんにどうしていて欲しんだよ。 悩んでるばかりじゃ男は示しがつかねぇぜ?」

 

「お、俺は・・・サキに・・・」

 

テルの言葉にも黙り込んでしまったワタル。 ナギもふむ。と考えて何か思いついたか、窓越しに見える外の風景を見つめながら言った。

 

 

「ま、そんな心理状態では試験勉強にならんから……しようがない。 手伝ってやるか」

 

「え? もしかして邪魔するなんて気じゃないでしょうね?」

 

とハヤテ。 ナギはふっと笑った。

 

「まさか。 そんな底辺じみたことはせんよ。 ただ相手は確認したっていいではないか」

 

「なるほど。 それがサキさんに見合う男なのかどうなのか・・・それを知ってからでも遅くはないか」

 

テルも納得したかのように鷲掴みしていた手を離した。

 

「ていうか今ってテスト期間中だったんだ」

 

「おいバカテル、学校居られなくなっても知らないぞ」

 

 

「そんなわけでやってきました。 サキさんとそのお見合い相手が居るとされているそのお見合い会場です!」

 

「フフフ・・・見事なペースだ。 小説ならではの高速移動だ!」

 

「コラコラ、根も葉もないこと言うんじゃない」

 

ハヤテとナギ、そしてテルが茂み隠れながらお見合いの場所となったホテルの周辺を探索。 当然ワタルも付いてきました。

 

「ここがお見合い会場か・・・日本庭園じゃないのか」

 

「いつの時代の話だ。 近年では地域社会が崩壊しつつあるからな、お見合いもわざわざ豪華な場所でやらなくても近くのファミレスとかでやることも多いぞ」

 

ホントです。 ちなみに普通はホテルとか料亭である。

 

「知るかバカ!そんな事よりサキだ!」

 

ナギの解説なんて必要ないといったようにワタルは物凄い目でサキを探す。

真剣なのがよくわかる。

 

「へっ、なんだかんだ自分の女が他人に渡っちまうところなんて黙ってられねェよな」

 

とテル。 ワタルは顔を照れ隠しなのか、顔を下へと向けた。

 

「なっ! お前、そういうのじゃねーよ!」

 

「ヘイヘイ、ツンデレ乙。 最悪サキさんを魔道に落としそうな輩だった場合、結婚式をブレイクしてもいいんだな?」

 

「ああ、許可する」

 

「みなさん、何しに来たんです?」

 

ハヤテが苦笑いを浮かべながら突っ込んだ。

 

「だって結婚って人生変わるようなもんだろ? 当然、旦那さんのおかげで性格一変しちまうかもしれないだろ?」

 

双眼鏡を構えているテルがそう呟くとワタルの中であるイメージが生まれた。

 

(もし結婚なんてしてサキの性格が変わったら・・・?)

 

~イメージ1~

 

旦那「おーいサキ、帰ったぞー!」

 

サキ「キャー! ダーリンお帰りー!」

 

旦那「はは、サキは今日も可愛いなぁ」

 

サキ「もう! ダーリンったら!」

 

ワタル「・・・おいサキ」

 

サキ「あ、若。 いたんですか? スイマセン、ごはんは出前か台所にあるカップめんで!」

 

ワタル「ちょ、お前どこ行くんだよ!」

 

旦那「僕はこれからサキと一緒にお出かけさ!」

 

サキ「ちょっと遅くなるかもしれませんから」

 

旦那「ああ、もしかしたら朝とかに帰って来るかもね!」

 

サキ「ダーリンったら・・・もぅ!」

 

旦那「AHAHAHAHAH! さぁ行こうか! 僕たちの愛のミッドナイトだよ!」

 

ワタル「さ、サキィィィイィィ!!」

 

サキ「大丈夫です。 朝帰りなんてなんも問題ないんですよね?」

 

ワタル「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 

 

と、本来生真面目で面倒見のいいサキがワタルを放置するという性格に。

 

 

―――――――――――

 

「―――ル・・ワタル!」

 

 

「ハッ!?」

 

妄想を浮かべていたワタルはナギの言葉で現実へと戻ってきた。

 

「どうしたんだ一体、10年後からタイムリープしてきたみたいに呆けて」

 

「お嬢さま、今何年か知ってます?」

 

ハヤテがナギに突っ込むと同時に、ワタルがその場で立ち上がった。 なんだなんだと一同がワタルを見る。

 

「俺に非があるというのは分かった。 このお見合いもアイツがもし望んでいるなら・・・俺は」

 

拳を握りしめるワタル。 それを見てか隣であんぱんを食しながら呟いた。

 

「ま、本人の意思もしっかりと尊重しなきゃな。 お、どうやら出てきたぜ・・・二人で散歩してるみてぇだ」

 

「相手は誰ですか?」

 

とハヤテが聞く。 テルも双眼鏡のピントを調節して更なる解析に臨んだ。

 

「えーっと待てよ・・・なんか細いな・・それでいて長身で・・・ん?」

 

ここでテルが何かに気付いたか、双眼鏡から顔を外した。

 

「どうした。 出来立てのカレーを床にぶちまけた顔をして・・・貸してみろ」

 

とナギに言われるとテルは何も言わず双眼鏡を渡した。 そしてナギも見るや、双眼鏡をハヤテに手渡した。

 

「どうしたんですか?」 

 

ハヤテも続いて双眼鏡を覗き込む。 そして二人同様に黙り込んでしまった。

 

「なんだよ? 急に黙り込んで・・・おら貸せ」

 

半分強引に奪い双眼鏡を奪うとその中を覗き込んだ。

 

「・・・え?  ちょっと待って、アイツって・・・」

 

 

 

ワタル達の場所ではサキ達の声は聞こえないため、ここでサキ達の視点で行う。

 

「えーっと・・・今日は宜しくお願いします・・・えーっと」

 

私服のサキは目の前のその男に緊張しながらもあいさつした。 

 

目の前の男は少しばかり細めの体格で、頭は珍しいことに白かった。 しかも肌も白い。 つまり白人だ。

 

「あ、どうも。サキさん・・・今日は宜しくお願いします。 あと名前はバルトなんで・・・」

 

「あ、スイマセン! まさか外人さんとお見合いすることになるなんて思いもしませんでしたから!」

 

「いえいえ、こちらこそ。 私も今回が初のお見合いと言うことになります・・・」

 

「じゃ、取り敢えず歩きますか・・・」

 

見事にお見合いと言う雰囲気に相応しい光景だ。 バルトとサキはぎくしゃくしながらも歩き出した。

 

 

これを見て観察団(ワタル達)は・・・。

 

 

「「「「お前かよォォオォォォォォオォッッ!!!」」」」

 

 

さてさて、このお見合い・・・一体どうなるか。 






後書き
皆バルトのこと覚えていたかな~。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。