ハヤテのごとく!~another combat butler~   作:バロックス(駄犬

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第73話~来るべき対話(嘘)~

「・・・で結局、温泉の効能なんて全くなかったんですね皆さん・・・」

 

コンッ、と軽い音共にマリアがラケットを振るう。

 

「はい。 どうやらここの話はデマだったとしか言えないですね・・・この通り、効能らしきものは現れていないですから」

 

ナギたちや老婆の件を片付け、テルは三千院家別荘へと帰宅していた。 テルが帰ってくると、卓球で遊んでいるハヤテとマリアの姿があった。  

 

「ま、体を少しでも休めることが出来ただけでも良しとしますか・・・」

 

「・・・僕は少しも休むことができなかったですけど・・」

 

嘆息と共にハヤテがマリアのピンボールを打ち返す。 

 

「そう言えばあのホモ疑惑で君のお知り合いはどうした?」

 

「ああ、あの人ですか。 余りにしつこいんで少々きつく黙らせました」

 

あの人物というのは温泉で散々ハヤテに付き纏っていた男だ。 ハヤテが上がる頃にはその男は一緒に上がってこなかった。 その時に何かが起きたのだろう。

 

「で? テルよ。 あの新鮮な老婆はちゃんと送ったのだろうな?」

 

マリアとハヤテの試合を眺めていたナギが牛乳を飲みながらテルに尋ねた。 二人の試合が退屈だったのか、目をこすっている。

 

「おう。 ちゃんと送ってきてやったぞ。 動物サファリパークみたいな場所だったがな」

 

そのセリフにナギたちは頭に?のマークを浮かべざるを得なかった。 あの場所は行ってみなければ分からない。

 

マリアが思い出したように口を開いた。

 

「まぁ、話を戻すんですけど。 本当にこの場所に隕石が落ちたんでしょうか・・・?」

 

「え? それはどういうことです?」

 

「さっきテレビを見ていたんですけど、隕石が落ちた場所に行っても落ちた痕跡はあっても落ちたモノは何もなかったんですって」

 

その話は初耳だ。 となると、その隕石がオチがこと自体がデマなのかもしれない。 結論づけるのも早すぎる気がするがこういう話を利用した経済効果を狙う輩もいるのだ。

 

「なるほど。 では、私たちはとんでもない勘違いをしていたようだ・・・」

 

「なんですかお嬢様?」

 

ナギは片手の掌で顔を隠して言い放つ。

 

「隕石が落ちた現場に何もなかったというのは落ちてきたものがUFOだという証拠ッ! つまりこれは宇宙人による侵略第一歩だったんだよ!!」

 

「な・・・なんだって―――!?」

 

と、MMRばりに驚くテル達。 

 

「しかし・・・今更宇宙人とか出てきてもなぁ?」

 

「そうですね。 妖怪とかロボットとかも出てきてもうそんなのなれちゃってますし・・・でもそれは流石に・・・」

 

「それにこの小説の原作って魔法とかそういう超常現象は普通に存在する設定なんですから」

 

「こらこら! マリア、メタ発言をするんじゃない! そういうのはあくまで秘匿しなきゃならないのだ!!」

 

説得力皆無であまり驚いていない一同にナギがでも、と言葉を続ける。

 

「よくある話だろ!? 落下地点にないってことは移動したってことだよ!!」

 

「いや、そんな話ないだろ。 常識的に考えて」

 

「いや、あるさ! きっと宇宙の母星が終末を迎えてこの地球をあらたな住処にしようと金属生命体がやってくるさきっと!!」

 

「なるほど。 俺たちはそのあと金属生命体とトラ○ザムを用いた対話を行わなきゃならないのか~キツイな」

 

「ええいテルよ! お前はまったくもって夢がない! 夢がなければ古い地球人になってしまうって確かジュドーは言ってたぞ確か!」

 

そんな曖昧なことを言われても・・・・とテルは思う。 そんな非日常にはもう慣れてしまっているのだ。

夜の校舎に現れる妖怪、ボ○兵の悪霊、体を自由自在に変化させる化け女、オーバーテクノロジーで動くロボット。

 

常軌を超えた存在にはもうこれ以上会わなくていいよ。と言ってもいいほどテルの知的好奇心はそのレベルに達していた。

 

「ああくそ! 会えないかな~宇宙人!! そして会ったら・・・会ったら!!」

 

ナギは拳を握りしめる。 なぜなら、宇宙の革新的技術による自身の体を改造させたいという願望があったからだ。

 

「そんなの会ってもしょうがないじゃないですか~」

 

「誰のために会いたいと思っているか――――!!」

 

某神父の得意とする八極拳の肘内がハヤテに炸裂した。

 

またこの男は、その目的が最終的に誰の好意を引くためにやろうとしているのかを全く理解が及んでいない。

 

「もぉいい!! やっぱり私は寝る! ハヤテはもぉ絶対入ってくるな!!」

 

バタン。 とナギは乱暴に扉を閉めた。 ハヤテは打たれた腹部をさする。

 

(・・・母よ、空だか星だかになっている母よ。 もしも母が空から私を見守る存在になっているのなら、どうか私を下田の宇宙人に合わせてもらえないだろうか・・・)

 

扉の内側、部屋の中へと入ったナギは深く息を付きながらテラスへと向かう。 もう外は真っ暗であり、その母がなったであろう夜空に両手を祈るように握った。

 

(この際、姿かたちは美形じゃなくていいから、言葉が通じない金属生命体でもいいから・・・なんかこう、超科学アイテムで私を悩殺ボディーにしてくれる宇宙人を・・・)

 

という思いを綴った時、それは激しい轟音と共に起きた。

 

「へ?」

 

ナギがその現象に気づくのは少し時間がかかった。 間抜けな言葉を発すると同時に真後ろを振り返り、その何かが自分が気づかないほどの速さで突っ込んできたことに漸く気づく。

 

「窓の外から・・・まさか本当に、宇宙人?」

 

床を転がっていた物体を見てナギは恐怖よりも体が震える感覚を覚えた。 興奮だ。

 

つい先ほど、頭の中で思っていたことが今まさに自分の目の前に現れたことに対してだ。 これが本当なら歴史に名を残すことが出来る。 

 

(いや、それよりも誰もがうらやむスーパーボディに・・・)

 

と、その時に物体が動いた。やはり生きている。 その物体はこちらをゆっくりと振り返った。

 

「うぃ?」

 

「え・・・」

 

ナギは唖然とする。 振り返ったその姿はまさに。

 

「子供・・・?」

 

ナギよりもはるかに小さい。 だいたい五歳時くらいの体型だろうか。 ナギの身長の半分くらいだ。

頭は黒い団子のように纏まった髪が二つ。 服はなにか歴史を感じさせるものがあり、どこかヤマト時代とか奈良時代の帰属が来ている服装に似ていた。

 

「お、おい・・・お前は一体なにものなのだ」

 

「・・・・・」

 

ナギの問いかけに子供は慌てているようだった。 辺りを見渡している。 ここがどこかわからないのか。まず、こちらの言葉が伝わっているか怪しい。

 

(へんな副来てるけどやっぱ宇宙人じゃなくて普通の子供・・・か?)

 

「オイ、お前どこから・・・」

 

「うぃ?」

 

こちらに気づいた子供の視線がナギの視線と合致した。 大きな目だ。 ぱちくりとした瞳はまるでなんの淀みも知らないかのように澄み渡っている。

 

その瞬間、子供の団子型の髪がぎょろりと眼らしきものを開眼させた。

 

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

思わず後ずさりするナギ。 まさかアレが髪の毛ではなく、本当の眼であるとは思いもよらなかった。

 

「お嬢様!? どうしました!?」

 

「は・・・!ハヤテか!?」

 

扉を叩く音が聞こえる。 恐らくナギの声を聞いたハヤテが来たのだろう。 

 

「あの・・・!!」

 

と、事情を説明しようとしたときナギの視線がカーテンへと写った。 そこにはカーテンにくるまって涙目を浮かべる子供の姿があった。

 

「お嬢様! 入りますよ!!」

 

「い、いや! なんでもないから入ってくるな!!」

 

「へ?」

 

「もぉいいから!もぉいいからとにかく下がってろ!!」

 

「わ、分かりました。では・・・」

 

ハヤテも困惑したがナギが言うのであれば深く探りを入れるのは良くないと思い部屋を後にした。

 

「あ、ありがとう・・・」

 

「む?」

 

子供が礼を言ってきた。 自分でも理解できる当たり、どうやら宇宙語をしゃべっているわけではなさそうであった。 ちゃんと日本語だ。

 

「あまりその星の原生知的生命体に見つかるのは良くないから・・・」

 

私に既に遭ってるではないか。 というツッコミを入れたくなったが抑える。

 

「ということは、お前はやはりB〇TA?宇宙人?」

 

「お前たちから見ると、そうなる・・・私はマヤ、お前は?」

 

「わ、私は三千院 ナギだ」

 

まさか本当に宇宙人に会えるとは思わなかったと驚くナギだったが、宇宙人だったらそれはそれで浮かぶ質問をぶつけてみることにする。

 

「地球には何しにきたのだ? 対話を求めて征服しにきたのか? それとも無限質量にモノを言わせて地球を蹂躙しに来たか?」

 

「せ、せーふく?」

 

と何故か宇宙人マヤはどこからともなく某赤い彗星の制服を取り出してみせた。

 

「いや、そういう本当に宇宙人かどうか疑うボケはいいから」

 

咲夜がここにいたら確実にハリセンが飛んでくるだろう。

 

「そうじゃなくて宇宙人なら持っているだろう? いわゆる宇宙ならではのオーバーテクノロジー的な技術が! たとえばのむだけでナイスバディーになれる的な? そういうひみつ道具っぽいのがあるだろ?」

 

「うい? ああ、だったら・・・」

 

マヤは思い当たることがあったのか、猫型ロボットのような道具を取り出す仕草で服の中から何かを取り出した。

 

「おお、やっぱりあるのだな!!」

 

(こ、これで私も超絶グラマラスボディーにッ!!)

 

「うい」

 

と差し出されたのは小さい小瓶。 なかには謎の白い液体が入っている。 いかにもという感じだ。

 

「これを飲めば大人っぽい感じになれるのだな!!」

 

 

 

「うぃ。 牛乳は体にいい」

 

その白い液体の正体が牛乳だと知った瞬間にナギは既に口に含んでいた牛乳を噴いた。

 

「違うわぁああああ!! そんなローテクな原始的技術じゃなくてもっと画期的な宇宙技術が欲しいのだー!!」

 

「けどマヤは宇宙船と離れたのでそういうのはあんまり・・・」

 

「宇宙船とはぐれた?」

 

宇宙船と、またロマンあふれる単語にナギの耳が反応する。

 

「うい。マヤ、このへんに置いた宇宙船を探している」

 

と、ここでマヤによる地球にやってきた経緯が明かされた。 マヤの宇宙人としての任務は五万年に一度の温泉調査にやってきていた。

 

マヤは真面目に働きストレス疲労悩まされる人々の為によりよりいで湯を探すため勤務していたが。

 

「とても悲しいことにどうやら居眠りしている間に緊急脱出装置を押してしまい、宇宙空間に投げ出されてしまったわけでして・・・」

 

「まぁ、いろんな悲しい話だ」

 

「こちらの方に落ちたということを知って早めに回収しようとやってきた。 宇宙船は少なくともこの環境に慣れていないから何らかの影響を与えるかもしれないから」

 

なるほど。 とナギは心の中で納得する。 温泉での体の妙な変化はそのためによるものだったのかとここで理解することができた。

 

そしてナギの理解したことはこれだけではない。

 

(その宇宙船のなかには未知の技術が!! つまり、私の体を劇的に変化させる装置もあるということだ!!)

 

「だいたい分かった。 お前の宇宙船探しを手伝ってやろう」

 

「え? 本当に?」

 

「ああ、任せておけ。 そういった宇宙規模でオオボケをかます奴がおってな、多分そこにあると思うんだ」

 

これでもうお子様ボディに悩まされることはなく生きることができると思うとナギは笑いが止まらなかった。 その様子をマヤは不思議に思っていたが構わずナギの手を取る。

 

「だったら今すぐ行こう!! 宇宙船を探しに!!」

 

「え? どうやって・・?」

 

と、マヤの頭の二つの眼がゆっくりと変化し始める。 黒く広がったそれはまるで羽のように変化を遂げた。

 

「マヤの背中に乗るといいよ」

 

「お、おう・・・」

 

と背中にナギが乗ったのを確認するとマヤは耳の頭の羽を大きく羽ばたかせて空を飛んだ。

 

 

 







後書き
牛乳を飲めば飲んだだけ背が伸びる!・・・そんな事を考えた時期が、俺にはありました。
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