やはり俺の住む世界は間違っている   作:Mr,嶺上開花

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見られる方は駄文に対する覚悟をお願いしますm(_ _)m


金沢八景はこうして巡り会う

 

俺が一番印象に残ったのは猛暑が過ぎた直後の金曜日でした。

その日、俺は喉が渇いていたので自動販売機でジュースを買おうとしました。

 

普段はコンビニを利用して飲み物を買っている俺としては自動販売機でジュースを買うというのは久々で少し緊張しました。

もしかしたら、それが理由かもしれません。

 

 

俺はただ購入ボタンを押しただけのつもりでした。

 

 

ただ、力の使い方を少し間違えてしまったのがいけませんでした。

自動販売機のボタンが陥没しました。

 

ジュースは指示通りに一本だけ出て来たのは幸いでしたが、下手したら自動販売機を丸ごと壊してしまっていた可能性もあります。

 

力の入れ方一つで壊れてしまう脆く儚い世界、それがこの俺たちが住まう小さな箱庭同然の世界。

 

だから俺は小さく脆いこの世界でこう思うんです。

 

 

 

ーーこの世界は俺には適応していないと】

 

 

 

 

 

「金沢、この文は何だ?」

 

「そ、それはですね…、アレですよ!アレ!俺としての感想です!」

 

「そんな事は知らん。それよりお前はこんな文を教員に見せたらどう思う?」

 

「…………目に見える世界が変わりますね」

 

「お前に聴いた私が馬鹿だったよ………」

 

あーあー、聴こえますかー?

こちら現場の金沢八景です。

 

現在私は通っている学校の生活指導担当の教師に捕まっており、職員室からの中継となっておりますー。

 

その理由としては私が先日「高校一年生を振り返って」というテーマで書かされた文章が気に入らないとのこと。

これが教育界の闇というものですよテレビの前の皆さん、気に入らないという理由だけで盾を得、挙げ句の果てには放課後の唯一自由な時間を奪うという残酷な処罰を……」

 

 

「ほう……、じゃ私はさながらドラマや漫画に出てくるような腐りきった教師という訳か」

 

ヤバイ、聴かれた…………のか?

 

 

俺の額から冷や汗がどくどくと大量に流れる。

…きっとこれは気のせいだな、うん気のせい……。

 

 

「にしても教師に向かって随分な言い様だな金沢?小声で何か呟いていているから耳を澄ましてみたら聴こえてくるのは教育界の闇だの残酷な処罰だの……」

 

 

ヤバイ、俺口に出してたのかよ…。

しかも聴かれてはいけないところばかり聴かれてる……!

 

 

「もし次にこんな事を呟いたら………分かるな?」

 

つまりはアレですね、俗に言う社会的抹殺やら精神的抹殺やら、下手したら身体的抹殺…………はないと思いたい。

 

 

「……了解」

 

まじ怖い、平塚先生本当に怖い。

何が怖いってその溢れ出すその殺人オーラと平塚先生の美貌から微かに滲み出てしまっている非リア充オーラが声に出ないほど怖い。

 

多分平塚先生が結婚出来ないのはこれらが原因だなー」

 

 

「…ほー、…金沢?私は言ったよな?次は無いと」

 

「は、はぃぃ……」

 

情けない事に収縮してしまったイン職員室。

…もう最終手段である。

 

 

 

………平塚先生がとっっっっても優しい事に掛けるしかない!

 

 

しかし平塚先生は俺の予想を遥かに上回る形でこんな事を言い出して来た。

 

「…ともかく、罰としてちょっと私について来い」

 

 

…ちょっとついてこい?本当にちょっとで終わるの?本当に?本当の本当に?これでそれが本当なら俺は手放しで喜ぶけど良いの?

 

 

………まあ、今思えば当然ちょっとでは済まなかったのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

移動3分、戸惑い10秒、俺の儚い恋心はプライスレス。まあそれは良い。

そんなこんなで終着した場所は皆さんご存知、リア充だけでは無くホモやレズにもご用達の目立たなくい上に何時も鍵が空いている空き教室だ。

 

「平塚先生、貴女まさか……⁉︎」

 

「今お前が考えている様なことは一切ないから安心していいぞ金沢」

 

「…なぜに俺の心が読まれる……」

 

解せぬ。

 

そんな茶番をしていると平塚先生が俺に手招きして来た。

 

「ほれ、入るぞ」

 

「入るんだ…………」

 

さっきあんな事を言ってはみたが、実のところ全くこの教室についての知識は一個もない。

もしかしたら謎の組織の地下アジトかもしれないし、はたまた此の世から一次元ズレた世界に行く中二病同好会かもしれない。

個人的には一番のオススメはゲーム制作部だ。ゲーム楽しいしね。

因みに(仮)が付いてても俺的にはセーフ。(没)が付いたらアウトだ。なぜならそれは部活じゃないから。

 

 

「…早く入れ金沢」

 

気が付くと平塚先生は既に扉を開けて教室内に入っていた。

仕方ないので俺も教室に入り室内の様子を観察する。

 

そこには俺の期待していた様な魔法陣やら妙な模様やらは無く、かと言って棚に沢山の漫画にボードゲーム、そして真ん中に長方形に大きい机があってその上に菓子が大盛りで乗っている訳でもなく、ただ淡々と寂しく真ん中にイスがあるだけだ。

 

 

そしてそこには一人の女子生徒が座っている。勿論誰かは解らない。クラスメイトさえ覚えれない俺の記憶能力舐めんな。その気になれば過去に出会って来た人物に関する記憶も全消去できる。俺にとっては便利な力だ。多分。

 

 

 

「…平塚先生?入る時はノックをお願いしたはずですが?」

 

「君はノックをしても返事をした試しがないじゃないか」

 

 

改めてイスに座っている女子生徒を観察する。

………まあ一言で言うなら美少女で終わるんだけどな。補足を付けるなら氷の様に冷たい表情とそのピンと伸びた背筋が少し気になる。

 

 

 

「……氷の女王?」

 

「そこの人。何か言ったかしら?」

 

「いえ断じて何も、微塵もこれぽっちも言ってません」

 

 

人には少なからず一つくらいは琴線に触れてしまう言葉がある。

多分今回のその単語もそうなのだろう。きっと。

 

 

…気になったのでそっと氷の女王の表情を盗み見る。そしてさっと顔を伏せる。

はい、分かりやすいほど怒りのマークが着いていましたよありがとうございます。

 

これで確実に俺が彼女の琴線に触れたのは分かってしまった。では初対面の俺が彼女にしてやれることは何か?

 

 

………答え、そっと置いていおく。別名放置作戦だ。

 

 

 

…決して自分の保身とか今ここで俺が何か言ったら後が怖いとかじゃないよ?

 

 

 

「…それで、そこの礼儀作法がなってない人は?」

 

ヤバイ、自分から攻撃に出てきた。しかもむっちゃ怖い。下手なホラーより迫力が数十倍あって危ない。

 

 

「彼は入部希望者だ」

 

「…はい?」

 

色々と思うところはある。

ここは部活だったのか、とかこの部屋何もないじゃん、とか。

 

 

「…そうですか…………」

 

 

だが一番の疑問、というか恐怖は彼女だ。同じ部活としての仲間どころか最早何もしてないのに危険人物を見る様な目をしてるぞ。

しかも威圧感も感じるし。

 

 

しかし、超渋々とは言え納得しているのは意外だ。

もっとこう、「そこの男の下卑た視線を見ていると身の危険を感じるのでお断りします」とか言われる気がしたのに。本当に意外だ。

 

 

「じゃあ雪ノ下、私はまだ予定があるから少しの間頼むぞー」

 

おいコラ待て教師。連れて来といて自己紹介も無く放置した上にそのまま放棄か?何だよこの空気、お兄さん苦しくて泣いちゃうよ?

 

 

しかし無慈悲にも平塚先生は教室の扉をバタンと開けてそのまま出て行ってしまった。せめて扉を閉めろよ。

 

 

どうしようかと戸惑っていると先に氷の女王…いや、怒られるから氷の人に名称を変えよう。

その氷の人が俺に話しかけて来た

 

 

「まずはその扉閉めてはくれないかしら?少し肌寒いのだけれど」

 

 

氷タイプの人でも寒いとか感じるんだな。てか初対面で命令とか肝座ってるなー、俺だったら絶対どもりながら言うわ。

 

 

「あ、ああ」

 

 

そう思いつつ俺は丁寧にドアを閉める。もし音を立てて閉めてしまったせいで目の前の氷の人が腹を立ててしまったら殺される自信があるからだ。10ポンド掛けてもいい。

 

 

「で、まず貴方の名前は何かしら?…正直聞きたいないのだけれど、同じ部活になってしまう以上はお互いを呼ぶ場面が発生してしまうから、一応聴いとくわ」

 

 

おぅ、当然の如く開幕毒舌スタート。しかも好ダッシュ、しっかり俺の心のピンポイントに言葉が突き刺さった。

やっばい、超痛い。効果抜群で2倍ダメージが俺の心に刻めこまれる。

 

 

「…金沢八景。何とでも呼んでくれ」

 

 

一応聞かれた以上はしっかりと答える。もしここで無視したせいで更なる冷たい空気がこの空間を覆い尽くすのは勘弁被る。

 

 

「そう、じゃあ話を進めるわ」

 

ちょっと待てオイ、俺はお前の名前を聞いてない上に知らないんだが。

 

 

「その前にお前の名前、何だよ?俺はお前に会ったことも見たこともないから知らんけど」

 

 

別に名乗らなくてもいいぞ、まあ名乗らなかったら氷の人って呼ぶけどな、という言葉は心の中に盛大に締め込む。面と面で向かって言ったら死ぬ気がする。社会的に。

 

 

「貴方私の名前知らないの?」

 

「いやだから知らんて」

 

 

むしろなぜ知っていると思った。

普通学校の同級生ってだけならクラスメイトの名前覚えれば良いだろ。わざわざ関わる機会のほぼ無い他クラスの人の名前覚えても意味ないし。

 

 

「これでも結構学校では有名なのだけれど……、まあいいわ。私の名前は雪ノ下雪乃よ。言っておくけど、次はないから」

 

 

だからいちいち怖いって。なんで威圧するんだよ。

 

 

「で、話を進めるのだけど、貴方は何の欠陥があるのか答えてもらえるかしら?」

 

「いや、どういうことだよ?」

 

 

 

「だって貴方、この部活来たって事は何かしらの問題を抱えているんでしょう?」

 

 

………問題?

 

 

「お前、寧ろ逆に言うが世界中に問題を抱えていない人間が存在しているのか?人間には三大欲求+αがあるんだぜ?」

 

 

食欲性欲睡眠欲に加えて金欲、これだけ欲を抱えていれば人間誰しも何かしら間違っているはずだ。

 

だから間違っていない人間など存在しない。居るとしたらそいつは人間じゃなく感情の無いクローン人間だ。

 

 

「そう言われるとそうね、…じゃあ言い方を変えるわ。貴方にはその中でも一等目立って間違っている人間だわ」

 

「ああ、その言い方で良い」

 

 

……って良くねえだろ俺。どちにせよ俺が何か問題行動起こした後の不良みたいな感じの扱いになっちゃってるじゃん。

……チェンジだチェンジ!

………………もう俺帰りたい。

 

 

そんな俺の儚い願いが女神にでも届いたのか、俺が来た時ぶりに教室と廊下を繋ぐドアが開く音がした。

 

 

視線を雪ノ下から移すとそこには平塚先生の堂々たる立ち姿が出現していた。

……助かったー……。

 

 

…と、俺は平塚先生を見ていると後ろに誰がいるのに気付いた。ただ、こいつ、見覚えがある。

 

 

確か去年から一緒のクラスだった奴だ。目が程よく腐っていたからとても印象に残っている。

見た目的にはまあそれなりにイケてる方向ではあるんだがなー…。

 

ただ性格が捻じ曲がっていた記憶がある。あまり覚えてないが。

 

 

 

……確か、…比企谷八幡……とかいう名前だったはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺達は星々の集まる星座が現れるように、数奇な巡り会わせを果たした。

 

俺はただ、何と無く、高校二年生になっての日々が遂に始まると思った。

 




まだ次の更新は未定です。
ここまで見てくださってありがとうございました。


…続くといいな…………。
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