六等分の生き方   作:スターフルーツくん

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更新遅れてすみません…。一ヶ月以上間が空くとは思わなかった…。


第4話「GP-7」

 

 今日の中野家の六人は普段よりもリラックスしていた。今日という日は家庭教師の授業がなく、風太郎と神成が来る事が無いからだ。家にいる五人は思い切り休日を満喫している。

 

「やっとあいつらの呪縛から解放されたわー。今日は思いっきり羽を伸ばそうかしら。」

 

 二乃はそう言うとテレビの電源をつける。二乃が見ている番組は今注目の若手俳優が出演しているインタビュー番組だった。すると、二乃が持っていたテレビのリモコンを三玖が横取りし、二乃の許可を得ずに勝手にチャンネルを変えた。三玖はチャンネルを変えるとテレビの画面に視線を向けていた。テレビの画面は戦国武将のドキュメンタリーが放送されていた。

 

「ちょっと!何勝手にチャンネル変えてんのよ!」

「二乃その番組録画してるでしょ。せめてリアルタイムは私に譲って。」

 

 二乃と三玖のこの他愛のないやりとりを六華は料理をしながら微笑ましく見ていた。その前から六華が作っていたハヤシライスは大方出来上がっており、ひとまず煮込むだけで完成するところまで来ていた。そんな中、四葉は一人リビングで勉強をしていた。彼女の解いていた問題と答えを見て、六華は呆れながら教える。四葉が解いていた問題は国語の問題であり、夏目漱石の写真を見て名前と作品名を答えるという内容だった。その答えとして四葉は名前の欄に徳永 家康、作品名の欄に文縄時代と書いていた。

 

「四葉お姉ちゃん。その人は夏目漱石で作品の名前は“吾輩は猫である”とか“明暗”とかだよ。それに名前のとこ、徳永は徳永 秀明で家康は徳川 家康だよ。あと文縄時代じゃなくて縄文時代。それに縄文時代にこんなスーツ着た人いないよ。」

「あっ、そうだった!」

 

 四葉に答えを教えた六華は一花の部屋に向かう。ここ数日一花の部屋を見ていなかった六華は一花の部屋のあまりの散らかり具合に唖然とする。

 

「一花お姉ちゃん!!!服とかメイク用品とか散らかすなって何度言えばわかるの!!!ほら、いつまでも寝てないで片付ける!!!」

 

 六華の怒号が家中に響き、三人は一花の自堕落な生活ぶりに呆れる。すると、四葉がある事に気づいた。

 

「あれ?五月は?」

「五月お姉ちゃんなら調べたい事があるって言って図書館に行ったよ。」

 

 四葉の質問に六華が答える。五月の言う調べたい事が何かは全員わからなかったが、六華は嫌な予感を感じ始めていた。それはもちろん、昨日逃した敵が五月を襲う可能性があるかもしれないという恐怖であったがそれだけではなかった。

 すると、中野家のインターホンの呼び出し音が鳴った。それにいち早く気づいた六華が対応する。

 

「はい。」

『失礼します。警察の者ですが、少々お時間よろしいでしょうか。』

 

 六華は姉妹全員の顔を一瞥する。相手が警察という事を知った四人は誰一人として追い返すという案を出さなかった。

 

「いいわ。相手が警察なら仕方ないわね。通しなさい。」

 

 六華に扉の鍵を開けてもらい、氷室が中野家に入る。正座して座っている氷室に六華がすかさずお茶を入れる。

 

「あれ?お巡りさん、昨日の…。えーと、たしか氷川…。いや、日村…。じゃなくて…。」

「氷室です。氷室 晶。」

 

 氷室は六華が注いだお茶を一口飲み、事情を説明する。この街で昨日超能力者が出現した事、しかもその超能力者が人を一人殺したという目撃情報が入った事。二名を除いては信じ難い事実に驚愕していた。その話を真っ先に否定したのは二乃だった。

 

「超能力なんていうものは見せようによるものです。例えばこんな風に…。」

 

 二乃はガラスのコップを新聞紙で包み、新聞紙でコップの形を作る。その後、二乃は新聞紙ごとコップを持ち上げ、コップが自分の手の中にある事を全員に見せる。二乃がその上を手のひらで潰すと、コップは無くなっていた。

 

「すごっ!二乃こんな事まで出来たんだ!」

「ただの手品よ。超能力者が存在するなんて事、あるわけないじゃない。現実離れした特別な事がこの世に起こるとはあまり思わない方がいいですよ。」

 

 二乃はコップを机上に置き、驚く四葉と氷室に対して言う。超能力の存在を証明しないと引き下がれないというプライドに後押しされた氷室は必死に反論した。

 

「待ってください!ちゃんと目撃情報はあるんです!数メートルにも及んで伸びる手が見えたとの目撃情報が!」

 

 氷室の仕入れた情報を聞いた六華は内心で冷や汗をかいた。六華が昨日戦った相手であるからだ。急かされた気分になった六華は決まりが悪そうにして静かに部屋を去った。

 それと同時に氷室の携帯のバイブが鳴る。電話の相手は上司の河野からであった。

 

「はい、氷室です。わかりました。すぐ向かいます。」

 

 警察署からの招集を受け、氷室は六華が注いだ緑茶を全て飲み切り足速に去って行った。

 

「何だったのよあの人…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十分後、招集された氷室が到着したところで会議が始まった。警視庁捜査一課の島村が椅子から立ち上がり、手元の資料を読む。

 

「ここ数日、超能力者による殺人事件の件数が増大している。警視庁はこれを超能力犯罪と名付け、ステージ7に位置づけた。これにより、GP-7の使用許可を下す事とした。」

 

 ステージ7。それは日本の警察が位置づけた犯罪の中でも極めて危険度の高い犯罪である。窃盗や万引きであるならばまだしも、超能力犯罪は一般市民が手出しできるような問題ではない。

 

「GP-7の装着者として、氷室 晶君を任命する事となった。氷室君はこの会合が終わり次第井伏 梢君のもとへ向かえ。」

「はい!」

 

 氷室はこの緊急集会がお開きになった後、井伏 梢という名前の女性を訪ねた。GP-7がどのようなものなのか、井伏と会うまで氷室は想像すらつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 図書館にいた五月は営業時間になるや否や超能力に関する本を探し始めた。超能力を知る事で何か六華の記憶を取り戻せる手がかりになるのではと五月は考えたのだ。他の四人は六華が超能力者である事を未だに知らない。そもそも知ってはいけないのかもしれない。六華の正体は。そう考えているうちに五月は六華のために何をすべきなのか、わからなくなってしまった。

 

「五月お姉ちゃん。」

 

 そんな時、六華が小声で五月に声をかけた。数分後、六華の誘いで五月はスタバで飲み物を飲む事になった。

 

「五月お姉ちゃん。俺、正直怖いんだ。記憶を取り戻したら俺はもうここにはいられない。今までの自分が自分じゃなくなるみたいで怖いんだよ。」

 

 六華は五月に対して珍しく弱音を吐いた。通常であれば明るく、そして笑顔な彼が自身の過去を知る事に抵抗がある。五月は六華の気持ちに気づいた。

 

「そうでしょうか。大切なのはどこにいるかじゃない。六人で一緒にいる事。もうあなたは私達の家族です。いるべき場所が無くなったとしても、私達がついていきます。」

 

 五月は六華に対してそう言う。五月の言葉を聞いた六華は妙な懐かしさに襲われた。記憶を取り戻すためのカギなのか、そうではないのか。現時点では些か見当もつかなかった。

 

「うん。そう言えば、もうすぐ花火大会も近いね。」

「たしかにそうですね。新しい浴衣が欲しくなってきたところです。」

 

 五月と六華の言うように、この街で九月の終わりに花火大会が開催される。五姉妹にとって、花火大会は家族の大切な行事となっている。すると、五月がある事を思いつき六華に提案した。

 

「そう言えば、超能力と言ったら念写は使えますよね!六華の過去について調べることはできないのですか?」

「無理だよ。曖昧な出来事とか抽象的なイメージとかだと念写できない。今の俺だとかろうじて人や物の場所ぐらい。」

 

 六華の能力の限度を聞き、五月は納得する。超能力と言えども万能ではない、という事を彼女は六華を通して知った。

 

「では、試しにやってみてくれませんか?」

 

 半信半疑の五月の期待に応えるように六華はスケッチブックとシャープペンシルを取り出し、即座に描き始めた。数分後、六華は念写で一つの光景を完成させたが、その絵を見るや否や六華は顔を歪めた。

 

「どうしたのですか?私にも見せて…。え?」

 

 六華の描いた絵には半裸で寝ている一花と彼女の散らかった部屋を掃除する四葉の姿があった。この光景を見た五月は六華と同じような表情をする。

 

「おかしくない?俺今朝片付けたばっかりだよ?それも五月お姉ちゃんのもとに行く前。散らかるスパン短すぎでしょ…。」

「たしかに…。そう、ですね…。」

 

 五月同様、呆れた顔をしている六華は不意に超能力者の気配を察知し、スケッチブックとシャープペンシルをカバンにしまう。

 

「ごめん五月お姉ちゃん!俺行かなきゃ!」

「えっ!?あっ、はい…。」

 

 六華は颯爽と現場に向かいつつ、人気のない場所を探していた。中野 六華としての状態では現場には出向くことができない。走って数分後、ようやく人目のつかない場所を見つけた六華はブラックレジスターとしての姿となり、現場に到着した。そこには昨日戦った超能力者とそれに苦戦している謎の戦士の姿があった。

 

「何だあれは…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時を遡ること数十分前、氷室は井伏 梢のいる研究室へと向かった。井伏はGP-7の開発者であり、科学警察研究所の一員でもある。上司から「リラックスした状態で会わないと大変な目に遭う」と言われた氷室だが、彼にとってはいまいちピンときていない様子だった。そんな事を考えていた氷室はようやく目的の研究室に到着した。ノックをしてから扉を開けると、室内には顕微鏡で何かを観察している女性がいた。黒髪のショートボブで、背は168cmほどと言ったところであろうか。

 

「あれ、君がGP-7の装着者?私、井伏 梢!よろしくね!君は…。たしか氷室 晶君だったよね?」

「え、ええ…。」

 

 自身の想像していた井伏 梢のイメージとは程遠いくらいに明るく笑顔の絶えない彼女を間近で見た氷室は少々混乱していた。そんな氷室を気にすることなく、井伏は彼に機械的なスーツを見せた。

 

「じゃーん!これがGP-7!正式名称はGuardian Police Ver.7!と言っても調整色々やったから正確にはバージョン7.2なんだけどね…。あはは…。」

 

 井伏は頭をかきながら氷室に向かって説明する。井伏曰く、GP-7には様々な機能が搭載されており超能力犯罪に対抗するに相応しいシステムとなっているらしい。氷室はGP-7の機能を理解した上で、自身の置かれた立場の重要性を考えた。この日本の、いや世界の命運は自分の手にかかっているのではないか。役目を与えられたからにはそれを成し遂げるしかない。氷室の出した答えはただ一つだった。

 

「やりましょう!市民を守るのが警察の仕事ですから!」

 

 井伏の期待に応えるべく、氷室は改めて装着者としての心構えをした。すると、井伏のパソコンから通知音が鳴った。井伏が画面を覗くと、超能力者の目撃情報が目についた。

 

「超能力者出現したよ!はい、これ。腕とか足を伸縮自在に伸ばせるの名前は桜庭 修哉。今までに五人殺してる。これ以上誰かが殺されない前に行こう!」

「はい!」

 

 井伏は氷室を装着室に入れ、GP-7を装着させる。全身は青と白を基調としたカラーリングであり、額には警察のマークが入っている。顔は視界が万全になるように氷室の目の前に強化フィルターが貼られている。

 

「今パソコンいじって目的地の場所を本体に転送したから。後はナビゲーション通りに進んでね!それじゃあ、レッツゴー!」

 

 井伏が分厚いゲートをパソコンを通して開くと、氷室はGP-7の背部に装着されているロケットを起動させて目撃情報があった現場へと向かった。

 氷室が現場へ到着すると、彼の目に人を襲おうとする桜庭の姿が映った。桜庭を発見した氷室は拳銃を構え、警告する。

 

「動くな桜庭!警察だ!」

 

 氷室は警告を聞いてもなお民間人を襲おうとする桜庭に対して発砲したものの、ダメージは無かった。桜庭は民間人を襲う事を諦め、代わりに氷室に敵意を剥き出しにする。その証拠に彼の両手には鉄製のメリケンがはめられている。

 

「ブラックレジスターではないか。まぁいい。敵の戦力であるならば潰した方が得だ。」

 

 桜庭は腕を伸ばし氷室に攻撃を浴びせようとするが、それをかわした氷室が桜庭の腕を掴み背負い投げをする。しかし、打撃の効かない桜庭はどれだけ勢いのある背負い投げをされてもダメージが全く無かった。即座に立ち上がった桜庭はGP-7の装甲をメリケンのはめられた拳で破壊し出した。一撃の痛みに耐え切った氷室はすぐさま立ち上がったが、また別の一撃を食らってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ようやく現場へとたどり着いた六華は氷室と桜庭の戦う光景を見て奇妙な感覚を抱いていたが、氷室を助ける事を優先した。桜庭を倒すには現時点では刃物による応戦でしか方法がない。六華は桜庭を一旦氷室に戦わせ、自身は棒状のものを急いで探す。六華に悠長に探している暇はなかった。そんな事をすれば氷室の命が失われるかもしれないからだ。いくら堅い装甲を纏っているとは言え、桜庭のはめているメリケンでは粉々にされるのも時間の問題である。

 

「そろそろ終わりか…。」

 

 氷室がジリジリと引き下がった時、六華はようやく木の棒を見つけ、それをファンタジー系の創作物に登場するような剣に変化させて氷室に投げつける。

 

「…!」

 

 ブラックレジスターとしての六華の姿を見た氷室は一瞬動揺するも咄嗟に六華の託した剣を手にし、桜庭の攻撃を防いだ。

 

「はっ!」

 

 氷室は剣を使って桜庭の体に斬撃を浴びせた。三回ほど体を斬りつけられた桜庭は立つ事ができなくなりその場で倒れる。

 

「はぁ…。十五時二十三分、殺人罪及び殺人未遂の現行犯で逮捕。」

 

 氷室は桜庭の手首に特製の手錠をかけ、自由を奪う。警察に通報して桜庭の身柄を引き取ってもらうように手配した氷室はブラックレジスターに感謝の言葉を伝える事を忘れており、必死に彼を探した。しかし、ブラックレジスターの姿は結局どこにも見当たらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、六華は家のポストに入っていた書類をテーブルの上に置いて整理する。リビングには彼の姉五人がそれぞれやりたい事をしている。言わずもがな、勉強している者は一人もいない。

 

「あっ、そうだ。上杉先生のお給料明日誰か届けに行ってほしいんだよね。上杉先生の家に。俺は明日用事があって行けないから、五月お姉ちゃんが届けに行って。」

「え!?何で私なのですか!?」

 

 六華からの予想だにしない指名に五月は驚きつつも嫌悪感を露わにする。六華はそんな五月に構わずに話を続ける。

 

「だってこの中で上杉先生の家どこにあるか知ってるの五月お姉ちゃんしかいないじゃん。」

「それは…。たしかに…。」

 

 六華の的を得た発言に五月は反論できなくなる。その時、二乃が二人に対して話しかけた。

 

「アンタ達、明日は花火大会でしょ?給料渡すのなんていつでもできるから放っておきなさい。」

「でもこっちの都合で先延ばしにしたら上杉さん可哀想だよ…。」

 

 あくまでも花火大会の方を優先したい二乃に対して四葉が反論する。すると、それまで黙っていた三玖が口を開き始めた。

 

「じゃあ今日新しい浴衣でも見に行く?」

「おっ、三玖がそんな事言うなんて珍しい!じゃあみんなで行こうっ!」

 

 六人は急遽花火大会に着ていく浴衣を購入する事になった。しかし、その中でも六華は今までの一連のやりとりの中で不自然な点を発見した。五人の中でも特にお洒落に気を使わない三玖の口から浴衣を見に行くという提案が出るという点に違和感を感じたのだ。六華はこれについて必死に考えを巡らし、ある一つの答えを導き出した。しかしそれは現段階ではあくまでも仮説に過ぎず、六華はそれを必死に否定して五人の後をついていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時を同じくして、廃墟の中で屈強なスキンヘッドの男の目の前で真田はトランプを並べ、ダイヤのAとハートの二とクローバーの三の三枚を手に取った。

 

「現時点での負け札だ。ダイヤのA、桜庭は能力こそ弱かったが本人の卓越した戦闘センスで上手く補えていた。だが、ジョーカーだけではなく警察まで動く事になると負け札は増え続ける一方だな。」

 

 真田の解説に男は眉一つ動かさなかった。スキンヘッドの男の肉体は筋骨隆々であり、彼の着ている黒いシャツもちょうどいいサイズに収まっていた。

 

「ジョーカーの話は本当か…?もしそうだとすると、この地域の病院にいる中野という医師もその娘達もジョーカーだと言うのか?」

「中野家は違う。彼女らは普通の人間だ。中野 六華は言わば養子だ。」

 

 男に対して真田はそう言う。すると真田は男とのやりとりである異変に気づき、疑問を抱いた。

 

「何故君が中野家の家系の事を知っている?」

「スパイとして、別のキングに後をつけさせて中野 六華とその周囲の人間を探った。意外と単純な答えだろう?」

 

 男は乾いた笑い声を室内に響かせながらそう言う。男の放つ威圧感にも真田はたじろぐ事なく、平然としていた。

 

「さあ、これで必要な情報は揃った。神の力を頂こう。キングよ。」

 

 真田からキングと呼ばれた男はそれまで座っていたソファから腰を上げ、不敵な笑みを浮かべた。




次回は花火大会編をまとめているので長いです。悪しからず。
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