TSオリ主は完璧なチートオリ主になりたいようです【本編完結】 作:GT(EW版)
二人で飛び出した夜空の散歩は、心地良さを感じるほど穏やかな時間だった。
尤も、今この町が鈴虫の鳴く音しか聴こえない静寂に包まれているのは、既に大勢の人々が街道から避難していたからである。
しかし、元来人混みが苦手なメアとしては日中と違って周りの目を気にする必要も無く、目の前の少年の様子だけを注視していればいい状況は、不謹慎ではあるがある程度気楽に感じていた。
もちろん、だからと言ってメアはアディシェスの生まれ変わりを名乗る目の前の堕天使に対して、完全に警戒は解いていない。
彼が自分に対して敵意がないことはこれまでのやり取りから悟っていたが、依然として彼の真意は不明のままだからだ。
彼が夜空を飛び回りながら語った「昔話」の内容から、「グレイスフィア」という存在については概ね理解した。
それは言わば、アビス・ゼロから切り離された良心のような存在であることも。
だがそれでも、それを理解してなお、彼らが起こした行動には不審な点が見受けられたのだ。
「グレイスフィアがあの灰色の球なら、あの異形たちは何? アレも、深淵のクリファの生まれ変わりなの?」
「あの子たちは、グレイスフィア自身がこの世界に送り込んだ端末だね。天の使いという意味で言えばアレも天使みたいな存在になるけど、僕のように独立した意思は持っていないから……うん、偵察機みたいなものだよ」
「偵察機……」
一頻り町の空を飛び回って満足したのか、堕天使は街灯が照らす路上へ着地すると、明保野市の街並みを興味深そうな眼差しで見回していく。
そんな彼を追い掛けるメアは、着地の際にふわりと舞い上がったスカートの裾を片手で押さえながら、今も胸に残る疑問を彼に対し徹底的に問い詰めていった。
「その仕草、ダァトに似てるね!」
「……なんで、アリスたちを襲ったの?」
「グレイスフィアが、あの子たちの力を欲しがっているんだ。正確には、ダァトの力だけど……僕がグレイスフィアにダァトのことを話したら、彼が興味を持ってね」
「グレイスフィアは、エイトさんを狙っているの?」
「うん、彼はダァトのことを食べたいと思っている」
「っ……どうして?」
「彼女の力を食らえば、今よりさらに高次元の存在になれると思ったんだろうね……だけど、彼もダァトのこと大好きだから、彼女を殺したくはなかった」
「…………」
グレイスフィアにとって、黒き羽の大天使ダァトは世界で唯一、アビス・ゼロから分岐した自分の存在に気づいてくれた存在だと言う。
そんな彼女のことはアビス・ゼロに切り離された古の頃から覚えており、特別な感情を抱いているのだと少年は語った。
思えばアディシェスの魂を拾ってくれたのも、ダァトという同じ女性を愛した彼に対して何か、強いシンパシーを感じたからなのだとも。
「だからグレイスフィアは彼女の代わりに、彼女の力を受け継いだ闇の異能使いたちで妥協したんじゃないかな? 特にまだ人間の異能として最適化されていない子供たちの力は、ダァトの性質によく似ているからね。まあ、その狙いも彼女に阻まれたんだけど」
「そっか……だから、エイトさんは……」
妥協──という言い方は何とも引っ掛かるが、おかげでメアは理解することができた。
T.P.エイト・オリーシュアが再び異能怪盗として暗躍を始めたのは、やはりグレイスフィアの矛先を子供たちから逸らす為だったのだ。
安堵するメアに対して、灰色の少年は嬉しそうに語る。
「彼女の判断は的確だったよ。彼女によって大勢の子供たちが普通の人間にされたおかげで、グレイスフィアは獲物を見つけることが困難になってしまった。……本当に、誰も殺されなくて良かったよ」
エイトが子供たちから闇の力を回収したことで、彼らはグレイスフィアの標的から外れた。
彼女が如何様にしてグレイスフィアの来訪を予見したのかはわからないが、それはまさしく彼の出鼻を挫く行動だったと堕天使は言った。
しかし、その口ぶりは彼自身もホッとしているようで……彼にとっても子供たちを襲うのは本意でなかった様子に見えた。
「貴方は襲わないの?」
「うん、襲わない。僕はダァトや君に嫌われたくないからね。子供を襲ったら、君たちはいっぱい悲しむでしょ?」
「貴方……」
シンプルかつ簡潔な理由には、強い説得力がある。
確かにダァトを食べたくないからと言ってその代わりに子供たちを狙えば、T.P.エイト・オリーシュアは誰よりもそれを悲しむだろう。
そこまでわかっているということは、目の前の堕天使が人並みの倫理観を持っており、自分だけではなく他人の感情も理解している何よりの証だった。
そんな彼は夜空に手を伸ばして仰ぎ見た後、振り返ってメアの目を見つめて言う。
「僕は君に、ずっと会いたかった……グレイスフィアの元で生まれ変わってから、僕はアビス・ゼロに歪められたものではなく、真っさらな心を手に入れた。君やダァトに会えば、この心をもっと理解できると思った」
「……私?」
「うん。君は僕とよく似ているから。人間でも聖獣でもないのに、心を持っている。エイトのことが大好きで……彼女のようになりたがっているところもね」
「…………」
だから、彼はメアにコンタクトを取ってきたのだ。
グレイスフィアから生まれた堕天使である今の彼は、アビスでも聖獣でも、もちろん人間でもない。
そんな彼は自分と似たどっちつかずの立場であり、人間でも聖獣でもないメアという存在に興味を抱いたのだと言う。
アディシェスだった頃にも縁のある彼女にはかつての記憶からも思い入れがあり、一方的な仲間意識を感じていたのだ。
メアにはそれが──不思議と、悪い気はしなかった。
「……だから会いに来たの? 夢の中で、私に語りかけてたのも」
「そうだよ。君となら仲良くなれるって、ずっと思っていたんだ!」
見た目相応の屈託の無い笑みを浮かべながら、灰色の堕天使は真っ向から好意を示してくる。
しかしその数秒後、夜空に浮かぶ漆黒のゲートを視界に映すと彼は一転してその表情を曇らせた。
バツの悪そうな、気不味げな顔で言葉を続ける。
「……それと、君を通してセイバーズと交渉したがっているんだ。僕の神様、グレイスフィアが」
「交渉?」
彼からしたら、こっちの方が本題だったんだけどね……と前置きしながら、堕天使は告げる。
「僕たちと一緒に戦ってほしい。聖獣……聖龍の眷属たちから、フェアリーワールドを取り戻したいんだ」
それが灰色の神グレイスフィアの使者として告げた、彼の用件だった。
その言葉にメアは目を見開き、聞き間違えであることを祈りながら彼に問い返した。
「戦ってほしいって……私たちにまた、聖獣たちと戦えってこと?」
「うん。それが、グレイスフィアからの要求だ。アビス・ゼロが眠りについた今、彼は帰りたがっているんだよ……かつて追放された遠き故郷、フェアリーワールドに」
灰色の堕天使が寂しそうな目をして語った言葉に、メアは思い出す。
あの異形たち──グレイスフィアの端末と戦った時に感じた、アビスや深淵のクリファには無かった気配を。
嘆くように吐き出された、彼らの悲しげな言葉を。
コキョウ、カエル──と、そう聴こえた彼らの言葉は、そのままの意味だったのだ。
「……だから、あんなに寂しそうだったんだ……」
攻撃を仕掛けてきているのに、敵意や殺気を感じなかったわけである。あの異形たちから発せられた感情の正体とは、幾億年も昔に遠ざかった故郷、フェアリーワールドに対する郷愁だったのだ。
目的を理解したその瞬間、メアの思考に浮かんだのは彼に対する哀れみの感情だった。
……あんな何も無い世界で、あの子は何億年もずっと、ひとりぼっちでいる。
感情も意思も持たないアビス・ゼロと違って、心を持ったグレイスフィアにとってそれがどれほどの拷問だったのかは想像すらつかない。
そんな彼が今、アビス・ゼロが封印されたことで故郷へ帰りたいと思っているのならば、メアもまた彼を手伝ってあげたいという同情心を抱いていた。
彼が見せてくれた虚無の世界と、そこに佇むグレイスフィアの姿には何か感傷を抱かずにはいられなかったのである。
「アビス・ゼロを追い払ってくれた君たちのことを、グレイスフィアはとても感謝していたよ。数億年もの時を待ち続け、遂にこの時が訪れたのだと」
グレイスフィアの望みはただ一つ、フェアリーワールドへの帰還だ。
メアたちセイバーズにはそれに協力してもらいたいと、彼への恩返しを望む堕天使は、その小さな手を差し出して言った。
「一緒に行こう、メア。人間でも聖獣でもない君は、こっちに来るべき存在だ。……似ているものは決して、同じものにはなれないのだから」
そして、彼の目に虚無が宿る。
「世界樹サフィラを葬り去り、何者でもない僕たちこそがフェアリーワールドを支配するんだよ」
「……っ」
今にもどこかへ消えていきそうな儚い笑みを浮かべ、灰色の堕天使が銀色の瞳でメアの目を見つめる。
メアはそんな彼の笑みの底に隠された薄暗い感情を知覚し、思わず言葉を失った。
それは彼がこれまでに見せてきた普通の子供のような無邪気な態度からは、あまりにも掛け離れていたからだ。
──数拍の沈黙が、二人の立つ夜の街道を包み込んでいく。
その沈黙を破ったのはメアでも、灰色の堕天使でもなかった。
「そいつは、聞き捨てならねぇな」
唐突に、後方から男性の声が聞こえた。
聞き馴染みのあるその声を受けて、メアはハッと息を呑んで目を向ける。目の前の少年に集中していた為に気づかなかったが、今まで二人の会話を盗み聞きしながら出てくるタイミングを見計らっていたのだろう。
路地裏から姿を現した長髪の青年の姿に、メアは驚き灰色の堕天使が露骨に不機嫌そうな顔を浮かべた。
「翼さん!」
「話は聞かせてもらった。随分と、複雑な事情があるようだな」
「カザオカ・ツバサ……ビナーの手駒に成り下がった、哀れな人間か」
「手駒じゃねぇよ。彼女は今の俺のお得意様だが、上司でもなんでもねぇ」
「そうかな? ダァトに似た顔をしている彼女の依頼を受けるのは、内心楽しんでいるんじゃないの?」
「ビナー様は大変魅力的な女性だが、そういう目で見たことはねぇな。考えたことも無かった」
「……僕、君は嫌いだな」
「奇遇だね、俺もお前が嫌いだ」
青年──風岡翼はその鋭い眼光で、少年の姿を油断なく見据えている。
飄々とした言葉遣いとは裏腹に、険しい表情にははっきりと警戒心が浮かんでいた。
そんな彼はメアの姿を一瞥した後、深く溜め息を吐いて語り出す。
「堕天使さんよ、お前が気に入っているこのお嬢さんは、確かに昔の俺でも放っておかないだろう心優しい美少女だ。
……だけどコイツは、誰に似たのか意外に流されやすいところがあってな……いつかその内、悪い男に騙されるんじゃないかと何度か炎の野郎から相談されたこともあるぐらいだ」
「翼さん!?」
「って言うか先月飲みに行った時散々愚痴られたわ。その時は俺も過保護すぎだろと呆れていたが……こればっかりはアイツが正しかったな」
「えっ……ええ……」
えっお兄ちゃんそんなこと相談してたの……? とメアが自分の与り知らぬところで行われていた義兄たちの飲み会会議に衝撃を受けたのも束の間、翼はそんな彼女を他所に置きながら言葉を続ける。
メアの視線を遮るように前に出てきた頼もしい背中は、セイバーズにいた頃の彼と変わっていない。
そんな彼は言葉は無いが、経験の浅い彼女に代わって「この場は自分が預かる」という言っているかのようだった。
「まさに今、その時が来ちまったようだ。アディシェス、俺たちの仲間を誑かすのはやめてもらおうか」
「誑かす? それは人聞きが悪いね。僕は何一つ嘘を吐いていない。グレイスフィアがただ故郷に帰りたがっているだけなのも、僕たちが「心」を持っているのも全て本当のことだ。だからこうして、彼女と交渉に来た」
「交渉、ねぇ……」
ハッと笑い飛ばすような声を吐きながら、翼は少年から視線を外す。
その目はこの町に現れた二つの異変、邪悪の樹とゲートの姿に向けられていた。
「なら俺たちがその要求を受けなかったら、グレイスフィアとやらはどうするつもりなんだ?」
グレイスフィアが望むセイバーズへの協力とは、フェアリーワールドの生命の源である世界樹サフィラを消し去ることだ。
それはフェアリーワールドを滅ぼすのと同義であり、そんなことに加担すれば聖獣たちとの全面戦争は避けられない。
故に、彼の要求は到底受け入れられる話ではなかった。
「受け入れてよ。君たちにとっても悪い話じゃないよ? 昔は人間に勝ち目なんて無かったけど、今は君たちのような強い異能使いがいる。グレイスフィアと協力すれば、サフィラス十大天使だって倒せるさ」
「生憎、今のところあちらの世界とは友好関係を結んでいるんでね。俺は政治家じゃねぇが、そんな提案に乗るのはよほどの馬鹿しかいないことはわかる」
「……そっか……メアもそう思う?」
……もちろん、メアも翼と同意見である。
再びフェアリーワールドを敵に回すことなど想像したくもないし、かつてはそれを回避する為に命懸けの冒険をしてきたのが、彼女らセイバーズである。
結論から言えば、たとえ天地がひっくり帰ろうとその交渉に付き合うことはできなかった。
しかし……それでも話し合う余地はある筈だと考え、メアが問い掛ける。
「グレイスフィアが帰る為に、どうして戦う必要があるの?」
「……そうしなきゃ、彼はあの世界で生きられないからだよ。君たちにとってアビスが毒だったように、グレイスフィアにとって世界樹は相容れない猛毒なんだ。焼き払わなければ、あの世界に彼の居場所は無い」
グレイスフィアが帰還する方法として、対話による解決を図るのであれば考慮の余地はあった筈だ。
しかし彼がその手を選ばないことを、風岡翼はメアよりも豊富な対人経験から感じ取っていたのだろう。何より今回の場合は、この人間世界に現れた邪悪の樹の存在が不穏に過ぎた。
その不吉な予感は──的中した。
「君たちが受け入れなかった場合は、仕方ない。
グレイスフィアは、フェアリーワールドの前にこの世界を喰らうことになる。世界中にばら撒かれた邪悪の樹が、この星から力を吸い尽くすことになるだろう」
彼が口にしたグレイスフィアの要求は、「協力しなければこの世界を破滅させる」という──事実上の脅迫だった。
ならば話は早いと、堕天使の言葉を始めから想定していたように、翼が返した。
「持ち帰って相談するまでもねぇ。そんな要求、誰が呑むか」
「翼さん……」
今の風岡翼はセイバーズを脱退した身であるが、その言葉は誰よりも雄弁だった。
メアは彼の表情に隠された心情を知覚し、息を呑む。
フェアリーワールドは彼にとっても恩人の故郷として、大切に想っている世界である。その世界に刃を向けることはできないし、もちろん、この世界が邪悪の樹に喰らい尽くされるのを粛々と待っている気も無かった。
そんな彼の睨むような眼差しを受けて、灰色の堕天使が呟く。
「……カザオカ・ツバサ、悲しいね」
「なに?」
「君は既に、本当に守りたかったものを失っていると言うのに……」
「っ、黙れ!」
グレイスフィアと敵対する判断を哀む堕天使は、何の悪意も感じない言葉で彼の地雷を踏んだ。
その脳裏に過ぎったのは、かつて自分を導いてくれた気高き天使ラファエルの姿か。
翼が右手に銃を構え、殺意の籠もった眼光で銃口を差し向けて叫んだ。
「やはりお前はアビスだ! 人間のように話せるようになったところで……人の心を、何もわかっちゃいねぇ怪物だ!」
「……っ! 君に何がわかる!?」
今度は、翼の言葉に少年が憤怒する番だった。
両者にとって譲れない一線を容易く踏み越えられた二人は、今にも衝突する一触即発の雰囲気を漂わせる。
そんな二人を見て、メアは……何か、駄目だと思った。
このまま二人がぶつかり合うのは駄目だと、上手く言葉にできないがそう思ったのである。
「……やめて……やめて……っ」
しかし、それを激昂する二人の意識に訴え掛けられるほど、今のメアの言葉には力が無かった。
彼女自身、この時は脳内を襲う激しい情報の渦に動揺し、余裕を失っていたからだ。
深淵のクリファ、アディシェスの生まれ変わりと出会ったこと。
その生まれ変わりが、前世とは全く違う穏やかな存在に見えたこと。
グレイスフィアという、聖龍やアビス・ゼロとも違う大いなる存在を知ったこと。
とても、寂しそうだったこと。
彼らがフェアリーワールドに帰還したがっていること。その為に、フェアリーワールドの存在と、この人間世界を傷つけようとしていること。
そして──彼らの企みは決して許してはならないことだとわかっているのに……自分には、灰色の堕天使に対して敵意を抱くことができなかったこと。
──その考え方が「人間らしく」も「聖獣らしく」もないことに気づいた瞬間、メアは何よりもそんな自分に嫌悪感が沸き、愕然としてしまったのだ。
そんな彼女の前で、風岡翼は異能の銃の引き金に指を掛けた。
「俺は……お前のような奴を……!」
滅ぼす為に、セイバーズになったのだと──そう言いかけた言葉は、振り絞りかけた指先と共に止まった。
「……っ……」
「これ、は……?」
翼は大きく目を見開いたままその場で固まり、灰色の堕天使もまたその場に静止する。
メアもまた、それまで抱いていた感情を投げ捨てるように、今この場で起こった事象に意識を注いでいた。
「……あの時と同じ……優しい音……」
──音が、聴こえた。
憎しみも、後悔も……全てを平等に肯定し、洗い流していくような清く美しい音色が。
「──♪ ──♪♪」
その音色に乗せて聴こえてきたのは、耳当たりの良い、囁くような少女の歌声だった。
それは、アビスに対する激しい怒りのまま、引き金を引き絞った風岡翼の魂をこの世界に押し留めるような──祈りにも似た、T.P.エイト・オリーシュアの歌だった。
翼は満天の星空を仰ぎながらその目から一滴の涙を落とし、灰色の堕天使は俯いて目を瞑りながらその歌に聴き入る。
今はただ、自分たちが戦うことでこの歌に雑音を挟みたくないと──敵対した二人が共に、同じ感情を抱いていた。
「……貴方なの? エイトさん……」
ハープの音が穏やかな曲を奏で、続いて少女の歌声が届く。
誰かに対して説教をするわけでも、自分の意見を押し付けるわけでもなく。
少女はただこの夜空に歌い、今この瞬間を祝福している。
鼓膜に触れるその歌詞は、巷でも聞いたことのあるありきたりな言葉だ。
しかし……だからこそ、どこまでも純粋で。
彼らが過去に失ったものを、そっと思い出させてくれるような……優しい歌だった。
「……約束……守ってくれたんだな……」
鳴り響くハープの音色は、夜空を吹き抜ける一陣の風のように──どこまでも気まぐれだった。
エイトは二人の喧嘩にあわあわしながら、「ひろしの回想」みたいな曲に適当な歌を乗せて弾いたようです(´・ω・`)