TSオリ主は完璧なチートオリ主になりたいようです【本編完結】   作:GT(EW版)

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 幕間回です。


【回想】そんなことよりおねショタだ(前編)

 原作アニメでは味方サイドだったティファレトが、敵に回っていた。

 これは由々しき事態である。一体、何故彼女が……ああ。

 

 アレだわ、どう考えてもメアちゃんだわ。

 いや、正確にはメアの中に感じたのであろうケセドの力か。

 

 原作ではケセドの命は光井灯と一体になっていた。それは彼が望んで彼女と融合し、その力を授けたからではあったが──融合後も彼の意識はちゃんと残っており、何なら小鳥型の使い魔として灯ちゃんの周りをパタパタ飛び回っていたぐらいである。専ら魔法少女のマスコット枠だった。

 

 そして、だからこそティファレトもケセドが信じる人間を信じることができ、聖龍との対話に協力してくれたのだ。

 

 それが、この世界では何だ?

 ケセドの力はメアと共にあるが、そこに彼の意志はあっても意識は無い。望んだ契約ではなく、PSYエンスにより強制的に融合されたからだ。

 

 ……そりゃあ仏のティファレトさんもキレますわ。いや、心優しい穏健派の彼女こそ、裏切られたと感じた気持ちは他の天使よりも強い筈だ。おのれPSYエンス!

 

 寧ろケセドのことを作中にて「出来損ない」と切り捨てていたラスボスのケテルの方が、「あーアイツなー、人間なんかと話し合おうとするからなー」と、怒りより呆れの方が勝っているまでありそうだ。その点、コクマーは意外とツンデレだったのかもしれない。いや、ケセドは原作で彼に殺されかけていたんだけどね。

 

 せめてケセド本人の意識が残っていて、話ができればなぁ……ティファレトまで敵に回っているとなると、いよいよ穏健派が存在しない。やべーぞハードモードなんてレベルじゃない。ルナティック級の難易度である。

 もしかして女神様っぽい人のSS、糞なのでは……?と思い始めたがその思考をカットする。まだだ、まだ良作には間に合う。

 

 その為にはどうにかしてケセドの意識を引っ張り出せないだろうか……ん? 引っ張り出す? 引っ張り出す……抜き取る……盗み取る……ハッ!

 

 

「なるほど、ね」

 

 

 見えた……見えたぞ、僕のオリ主ムーブが!

 そうだよ! オリ主たる者、オリ主にしかできないことがあるのだ。一番肝心な時に役に立たなくて、何がオリ主か。女神様っぽい人は初めから知っていたのだ。この原作よりハードモードな世界で、僕だけが物語のキーパーソンになれる存在だということに!

 だからこの「怪盗ノート」を僕に渡した。つまりこれは、そういうこと……!

 

 メアからケセドの意識を盗む──それこそがこの僕、異能怪盗エイトちゃんとしてキャラ立ちした僕がすべきオリ主ムーブなのだろう。

 

 できるかできないかで言えば……実際にやってみなければわからない。そもそも異能というものは聖龍が振り撒いた聖獣の因子がどうたらこうたらしたものが人類に宿ったもの、という設定があった筈だ。

 ということは、大元的にメアから異能を奪うことでケセドの因子を引き摺り出すことも不可能ではない筈だ。くっそ……ここに来る前に試しておくべきだったなぁ。

 盗んだ因子をそれらしい異能と「調合」したら、どうにかケセド復活まで持って行けないだろうか? いや、それらしい異能をどうするかが問題か。

 

 あーもうやだやだ! やーだ! こんなシリアスに悩みとうない! 僕は気持ち良くオリ主したいんだよっ!

 

 ギャグ作品がいきなりシリアスなノリになるような、唐突な思考の切り替えは苦手なのだ。

 そうとも、僕が求めるのは完璧なチートオリ主! ケセドもティファレトも、僕が無敵のオリ主パワーで何とかしてやるよぉ!

 

「助けて……あげない、と……」

「キュウ?」

「ん……眠く、なってきたね……」

 

 いかん、考え過ぎたら一気に疲れが出てきた。

 春の陽気みたいで気持ちいいんだよここ。肩に乗ったカーバンクルの尻尾も、後頭部に当たって枕みたいだし。

 もちろん、それだけが理由ではない。ティファレトの攻撃からみんなを庇った時、僕も怪我をしていたのだ。すぐにヒーリングタッチで治したとは言え、身体の疲れは大きかった。

 まあ、少しぐらい仮眠してもいいか。どうせ炎もしばらく起きないだろうし。原作だと灯ちゃんと一緒に丸一日気絶していたのだ。

 

 ……あれ? 今の僕って灯ちゃんポジ? ってことはこれオリ主と言うよりヒロ……

 

 あっもう駄目だ寝る。

 炎が起きたら起こしてねカーバンクル公。すやぁ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──夢を見ている。

 

 

 まどろみの中で見たそれは、夢らしい荒唐無稽な内容ではなく、僕自身の過去の記憶である。

 オリ主の過去回想キター!と歓喜する僕だが、過去の記憶とは言っても僕自身の掘り下げではないらしい。

 

 あれは……そう、僕の主力異能の一つ「闇の呪縛」を手に入れた時のことだ。

 

 その時、僕は困っていた。ケセドの力を持つメアは光属性、そんな彼女と対の存在になる為にはいい感じの闇属性異能が必要だったのだが……持ち主の捜索が思い通りに捗らなかったのである。

 いやね、それは僕にとっても誤算だった。だって闇属性だぜ? RPGの攻撃魔法では光属性と対を為すメジャー属性だし、この世界でも似たような力を使う者は実際アニメ「フェアリーセイバーズ」にも登場していた。まあそのキャラは悪役で長太の登場回でぶちのめされ、今は収容所の中にいるんだけどね。

 流石の僕も収容所に侵入するのは嫌だった。脱獄対策によりあそこには特に強力な異能対策が施されており、入ったが最後出られず囚人の仲間入り、などという薄い本みたいな展開は御免被る。

 そこまでして盗んだ能力がメアとタメを張れるほど有用かと言うと、多分そんなことはないだろうしね。

 既に底が知れた異能よりも、まだ見ぬ異能を盗んだ方が面白いしリターンも大きい。そんなわけで僕は日本各地をテレポーテーションで旅回り闇系異能使いを厳選したのだが、いずれの地にも僕に相応しい能力者はいなかった。

 

 あーどこかに異能だけめっちゃ強い一般人落ちてねーかなぁ……そう都合の良い呟きを胸の中で溢しながら、僕は見知らぬ小学校の屋上でハープを鳴らしていた。

 

 なんてことはない気晴らしである。

 何故四階建ての校舎の屋上を選んだのかと言うと、僕は高いところが好きだからだ。高いところから町を見下ろしながら、ハープを演奏する。うん、客観的に見てカッコいい上に、純粋に気持ちが良かった。

 時刻もとっくに下校時刻を過ぎている為、部活動も無く閑散とした小学校の屋上はオフの時間に最適である。

 

 

 その筈だったのだが……僕のいるこの場所で、おもむろにドアが開いたのはその時だった。

 

 

「おやおや……」

 

 招かれざる客という奴である。いや、小学校に不法侵入しているやべー奴は僕の方なんだけどね。

 客人は一人だ。一瞬用務員さんか何かかな、と思ったが相手は子供。この学校の生徒であり、帰宅のランドセルを背負った四年生ぐらいの少年だった。

 その少年は階段を走って上がってきたのか、僕の前に現れてははあはあと息を切らしている。大人だったら速やかに撤退するところだが、相手が無力そうな子供だったのでもう少し様子を見ることにした。

 

「はあ……はあ……っ」

「落ち着きなよ。ほら、深呼吸深呼吸」

「すう……ふー、あ、ありがとうございます……」

 

 全力疾走の後、いきなり話すのは健康に良くないからね。ポンポンと背中を擦ってあげると少年は呼吸を整え──るが、また忙しなく口を開いた。

 

「じゃなかった! あ、あのっ」

「うん?」

 

 慌ただしいが、このぐらいの年頃の子はそういうものだろう。変に落ち着いている方が不気味なので、僕は微笑ましいものを見る目で先に続く少年の言葉を待った。

 

「か、怪盗オリーシュアさんですよね!? 下の階にいたら突然ハープの音が聴こえてきたから、それで!」

 

 あれま、ドアは閉めていたのだが、音が漏れていたらしい。

 いや、教室の窓から聴こえてきたのか。生徒は既に下校したと思っていたが、我ながら杜撰な危機管理に苦笑した。

 

 しかし、突然ハープの音が聴こえてきたから僕がいると思ったのか……確かにこの時既にエイトちゃんの名前は有名になり始めていたが、この広い日本で、たったそれだけの情報で僕の登場まで結びつけるのは流石に早計すぎやしないだろうか。

 ……いや、それこそ、このぐらいの年頃の子なら普通か。僕だって子供の頃はいつも、教室に悪者が攻め入ってきた時のことをシミュレーションしていたものだ。

 彼が自分の学校に怪盗がやってくることを日常的にシミュレーションしていたのだと思うと、なんだかとても光栄な気持ちだった。

 

「キミも、ボクを捕まえに来たのかな?」

「い、いえっ」

「おや、違ったか」

 

 さしずめ、悪者の怪盗を捕まえてヒーローになりに来たのかと思ったが、それは違うらしい。

 じゃあ、YOUは何しに僕のところへ? 疑問に思い首を傾げると、少年はきょどった様子で顔を赤らめる。

 

 歳上のお姉さんに間近で見つめられて照れているのだろうか……いや、この反応はアレか。

 

「それじゃあ、もしかしてボクのファンなのかな?」

「え……あ、はい! 実はそうなんです!」

「そうなんだ。それは光栄だね」

「は、はい……」

 

 おーやっぱりか、嬉しいのう。

 僕の瞳を見つめる彼の顔はマセガキのそれと言うより、憧れのプロスポーツ選手に出会って恐縮している時の反応に似ていたのだ。

 

 いやー、人気者はつらいなー! かーっ。

 

 そういうことなら、丁重に扱わねばなるまい!

 オリ主にとってファン──すなわち、お気に入り登録者とは最も大切な存在だ。SS作者であれば真っ先に目が行くことになるお気に入り登録者数は、ぶっちゃけUA数より遙かに気になる。

 お気に入り登録をしてくれた大切なファンに、幻滅されるわけにはいかない。

 僕は失望されないように、いつも通りのオリ主ムーブで彼に応対した。

 

「それじゃあボクのファンであるキミは、ボクに何か、話したいことがあって来たのかな?」

「……はい。実は……」

 

 ええよ、怪盗エイトちゃんに対する質問でも人生相談でもどーんと来なさい。何でも答えてあげるとも!

 なんなら恋愛相談だろうと付き合ってあげよう。TSオリ主故に男女の視点を併せ持つボクならば、きっと為になる答えを返せる筈だ。僕自身の恋愛経験? あるわけないだろ。

 

 屈み込んだ僕は少年の目を真摯に見つめて、その先に続く言葉を待つ。

 そして……

 

 

「……異能を、盗んでほしい人がいるんです」

 

 

 ──放たれた言葉は、ちょいと予想していない内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、妹さんがね……」

 

 意外なお願いから始まった少年の話は、浮ついた思考を一瞬で冷やすヘビーな内容だった。

 なんなのこの世界、ちょっと訳ありの子供多過ぎない?

 

 少年──「闇雲カケル」君には、「アリスちゃん」と言う一才歳下の妹がいるらしい。その名前を聞いた時は苗字に「闇」が付いているなんてカッコいいなぁと厨二心がくすぐられたものだが、彼が語った話の内容は一切合切茶化すことができないものだった。

 

 妹のアリスちゃんは今、学校に通っていないらしい。それどころか部屋から出ようともしないのだと言う。いわゆる引きこもりという奴なのだが、その理由がまたお労しかった。

 

 一年前、二人は母親を亡くした。

 

 交通事故からの、轢き逃げ事件である。

 その時、カケル君たちのお母さんはアリスちゃんと買い物に出掛けていて、道端を歩いていたところを暴走車両に轢かれたらしい。それも、アリスちゃんを庇ってだ。

 

 

 母親は病院に搬送されたものの、既に息は無かった。

 

 ただほんの少し打ちどころが悪かった為に、あらゆる治癒系異能も役に立たず、アリスちゃんの目の前で息を引き取ったのだそうだ。

 

 

 ……重いわー。流石の僕も真顔になる。

 だって、そういう話をするとは思わないじゃん? いや、僕に話すことでほんの少しでも彼の気が軽くなるんならいいけどさ。

 

 しかし、目の前で母が死んだのか……それも状況的に、アリスちゃんは自分のせいだと思い詰めている可能性が高い。

 

 トラウマになるのも当然だろう。この世界は前世の世界より治安は悪いが、だからと言って命が軽いわけではないのだ。彼女が受けたであろう心の痛みは、立派な大人だって一生引き摺っていくことになる傷である。

 

 それも、アリスちゃんは当時小学二年生。僅か一年で心の整理などできる筈もなかった。

 

 

「……妹はそれ以来、異能で作った壁の中に閉じこもって……誰も、中に入れてくれないんです……僕やお父さんさえも……」

 

 うーん……ご飯を食べているのなら自棄になっているわけではないと思いたいが、これは僕の手には余る話だ。

 時間が心を癒やすのを期待するには妹さんは幼すぎるし、もしかしたらこのまま一生塞ぎ込んでしまうかもしれない。

 彼女が引きこもった部屋の壁が普通の壁ならばまだ、カケル君やお父さんがドア越しに話し掛けるなりして打つ手があったかもしれない。しかし「異能」まで行使して完全に拒絶されてしまっては、家族すら悲しみを共有してあげることができなくなる。

 ずっとひとりぼっちで、誰も寄せ付けない。そんな妹の姿を見てカケル君が感じた胸の痛みは、赤の他人である僕に推し量れるものではなかった。

 

「アリスはいつだって元気で……強くて、凄くて……無能力者の僕なんかと違って、妹は凄い奴なんです! だから、一生このままなんてイヤだ……! お願いします! 妹を……アリスを助けてくださいっ!」

 

 両手をつきながら蹲るように頭を下げて、カケル少年が必死な顔で僕に頼み込む。

 

 なるほど……僕に異能の盗みを依頼したのは、そういう理由か。納得したがどうするべきか悩んでしまい、腕を組んで考えた。

 

 そんな僕に、カケル君が続ける。

 

「エイトさんは異能を盗めるんでしょ!? エイトさんがアリスの異能を盗めばまた前みたいに、オレたち家族でちゃんと話ができる……! オレと父さんが、傍にいてあげられる筈なんです……! だから、お願いします! アリスを! アリスの異能を……!」

「カケル君」

「……っ」

 

 まあ……なんだ。熱くなっているところ悪いが、僕の口からはっきり言わせてもらおう。

 なんだか君は、僕について何か勘違いをしているように見えたからだ。

 怪盗T.P.エイト・オリーシュアとしての、僕のスタンスって奴を。

 

 

「キミがボクのことを、どう思っているのかはわからない。だけど……ボクは怪盗だ。義賊でもなければ正義の味方でもない。そもそも誰かにお膳立てされた獲物に食らいつくのは、怪盗の流儀ではないんだ。怪盗は自由で気まぐれで……心の底から欲しいと思ったものだけを、ただ自由に奪い去る存在。それがボク、T.P.エイト・オリーシュアなんだ」

 

 

 僕がそう言い放つと、カケル君は絶望した顔で僕の姿を見上げる。

 

「それじゃ……」

「まあ、待ちなよ」

 

 だが、勘違いしないでほしい。

 

 僕は完璧なチートオリ主として必要なことを、いつだって自由に、自分の意志で取り組んできた。ガバもあったけど。

 故に怪盗としての僕の意志に他の誰かの意志を混同させる気は無い。今も、これからもだ。

 そして、だからこそ……この時もいつもと同じく、僕は僕の意志で行動に移すことにしたのである。

 

「丁度今、無性に盗みたい気分なんだよね。そうだね……今回のターゲットは家族を拒絶する少女の異能と、少年が抱いた絶望の二つにしようかな?」

「! あ……」

 

 気を利かせて、クールに微笑んでみせる。

 堪らずカケル君が泣き崩れたのを見て、僕は慌ててこの腕で彼の身体を支えた。下はコンクリートだからね。ぶつけたら痛い。

 男の子が人前で泣き出すもんじゃない……と言うべきなのだろうが、それは勘弁してあげたい。彼はいっぱいいっぱいだったのだ。妹のことを話している時の顔を見れば、聡い僕にはわかった。

 逆に僕は、誰も見ていない今ならば存分に泣くべきだろうと思っている。

 そう言って、僕は彼に涙を促した。

 

「今までよく耐えたね。偉いぞ、お兄ちゃん」

「う……あああああっ、ああああああっっ!」

「おう、泣け泣け。人は、涙を流すことができるのだから……」

 

 泣き崩れた少年に寄り添いながら、僕は彼の背中をポンポンと叩き、頭を撫でてやる。

 泣きたい時は泣いていいのだ。お兄ちゃんは頑張ったんだから、と。

 そう言いながら僕は胸を貸し、これまで頑張ってきた彼のことを労い、溜めていたものを吐き出させてやった。

 

 実を言うと彼が「妹の異能を盗んでほしい」と言い出した時は、気の毒だが断る気満々だった。

 

 しかし母親を失って辛いのはカケル君も同じなのに、それでも自分のことよりも妹のことを救いたいと想うお兄ちゃんの心意気に、つい感情移入してしまったのである。大概、僕もチョロいのかもしれない。

 

 それに……トラウマの解消まで僕に任せることはせず、本質的な問題自体はあくまでも自分たち家族で寄り添い合うことで救ってみせると言った彼の言葉には、僕なりに思うところがあったのだ。

 

「長男か……つらいよね、本当に」

「……そんなこと、ない……! オレは、アイツの為なら、なんだって……!」

「そっか……強い子だ、キミは」

「僕は……っ! オレは何もできなかった! 母さんが苦しい時、一緒にいなかったのに! アリスにも、何も……! 何も……っ」

「……大丈夫。大丈夫だよ、カケル。時間はいくらでもあるさ……できることは、きっと見つかる」

「……! ……っ!」

 

 赤子のように泣き喚く彼を、みっともないとは言わせない。

 

 何度も言うが、僕はチートオリ主だ。

 チートオリ主とは、その力を利己的に使ってナンボなのである。

 物語とは何ら関係ない寄り道だが、たまにはこういうのもいいだろう。そう思い僕は怪盗モードに入り、妹の為に僕のところまでたどり着いた少年の努力に報いることにしたのだった。

 

 

 目が覚めるまで残り時間は僅かだが、夢の続きはもう少し続きそうだ。

 

 しかし、何だろうな……さっきから何かが引っ掛かっている。

 少年と少年の妹の名前を聞いた時から妙なデジャヴと言うか、記憶の隅に引っ掛かるものはあった。それがこの夢を見たときから大きくなっているのだ。

 

 

 

 

 闇雲カケルに、闇雲アリス……この名前の響きと、それぞれ美少年美少女だった彼らの姿はどうにもただの一般人には……あ。あー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──あの子たち、劇場版のキャラだったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マジか、夢で回想している時に気づくとは何たる不覚ッ! もう終わっているよ一連の事件は!

 

 衝撃の事実に今さら気づいた僕は、道理で強かったわけだと「闇の呪縛」のルーツに納得した。

 




 東映マンガ祭り的なアレです。

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