希望は絶望の中から生まれる
➖大洗学園存亡の危機!学園長パルパティーンはこの危機を打破する唯一の方法を生徒会のメンバーから伝えられていた・・・・・・➖
〜学園長室〜
「戦車道で全国制覇が存続の条件?だが我が校には戦車道が絶えて久しいと記憶しているのだが?」
学園長席に座る白髪の男性が生徒会の三人、角谷杏、小山柚子、河嶋桃に問い掛ける。彼がこの大洗学園の長パルパティーンである。
「はい、ですから至急に戦車道を復活させ、全国大会に備えて欲しいのです。」
ポニーテールの生徒、小山柚子の要望にパルパティーンは快諾しつつも疑問を持つ
「宜しい。そういう事ならばすぐにでも対処するとしよう。まず担任顧問はケノービ先生にお願いするとしよう。戦車道は素人だが彼ならこういった指導には打って付けだろうからな・・・して、肝心の戦車はどうするのかね?」
「えっと、そ、それは・・・・」
眼鏡を掛けた生徒、河嶋桃が若干狼狽えながら隣に座る会長の角谷杏に視線を向ける
「ま、探すしかないでしょう。昔は戦車道やってたんだしなんとかなるでしょ」
と、楽観的な返答をする。たしかにないなら探すしか方法は無い。
「メンバー募集などは任せてしまっても良いかね?」
「はい、お任せ下さい。しっかりと集めてご覧に入れます」
河嶋桃が確かな声で請け合う。集まったとしても全員がほぼ素人なのは間違いない。その辺は顧問と『彼の弟のような友人』の手腕に任せるとしよう。まぁ『かつての私の弟子』でもあった男だが今では本校で外国語講師、そして自動車部顧問として勤めている。そこでふと、まもなく転校してくる1人の少女に思い至る。彼女が加われば・・・
「そういう事ならば、彼女の転校は天の配剤かもしれんな」
そう言って三人に一枚の紙を見せる。そこには戦車道を嗜む者には知らぬ者は居ない者の名が写真と共に記されてあった・・・・
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放課後、学園長室に呼集されたケノービ先生こと、ケノービ・ベン(日本人)は一連の事情を説明された上で依頼された顧問の件を了承した。
「承りました学園長。ですが、ご承知のように私自身戦車道の事は詳しくありません。まずはルール等をしっかりと学んでおきたいのですが?」
「そちらに関しては自衛隊にアドバイザーを依頼してある。私共々その者から学ぶとしよう。さて、『彼女』の件だがキミはどう思う?」
➖西住みほ➖
彼女こそ大洗学園に転校してくる少女であり、戦車道の名門中の名門、黒森峰学園に所属していた。そして何より彼女の実家は西住流の家元である。そんな彼女が『戦車道の無い大洗学園に転校してくる理由』それはかつて(前世において)ジェダイやシスと呼ばれたフォース感応者でなくとも、少しは戦車道、更に世情のゴシップなどに注意を払えばすぐにでも答えが得られるものであった。
–戦車道全国大会決勝で起こった出来事、それによって10連覇を逃した黒森峰学園–
その件の張本人として、彼女が普段戦車道など扱わない大衆誌にすら恰好のネタとして扱われてしまっていたのである。そんな人間が戦車道の無い所に転校する理由は考えるまでもない。戦車道にはもう関わりたく無いからであろう。そんな少女に学園の未来を守るためとはいえ再び戦車道に足を踏み入れさせるのは残酷とも言える所業ではある。しかし、彼女が居なくては勝ち目は皆無に等しいだろう。
「この件は生徒会に任せるとしよう。この学園は生徒の事は生徒同士で、という事になっているのでな」
「あまり強引な勧誘は望みませんが、彼女達はやるでしょうね」
ため息混じりにケノービが成り行きを予測する。しばらくすると生徒会のメンバーも参加し今後についての打ち合わせをするのだった・・・
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〜自動車部整備棟〜
「
「オビ=ワンが?」
辺りが暗くなり始めた頃、自動車部のナカジマ(中嶋麗羅)に呼ばれた自動車部顧問アナキン・スカイウォーカーは整備していた車の下から顔を出し時間を確認する為に時計を見た
「おっと、もうこんな時間だったか」
「私との約束より機械いじりの方が楽しいだろうからね」
そんな皮肉を言いながらアナキンの所へ歩いて来るオビ=ワン
「ところで何故アナキン師匠はケノービ先生をオビ=ワンって呼ばれるんですか?」
「なに、昔からの愛称のようなモノだよ中嶋君」
ナカジマの素朴な疑問に笑顔でそう答えるオビ=ワンことケノービ先生。
仰向けのまま台車を滑らせ車の下から出て立ち上がり埃を払いながら
「まぁ、車はお説教はしませんからね」
皮肉に皮肉を返すアナキン。そんな彼を微笑で受け流すオビ=ワン。
「では、僕はこれで上がる。君達もあまり遅くならないように」
『はーい』
ナカジマ以下、スズキ(鈴木真莉阿)、ホシノ(星野慶子)、ツチヤ(土屋夢屯)の返事を聞き届けて整備棟を去るアナキンとオビ=ワン。
➖アナキン・スカイウォーカー➖
この世界のモータースポーツ界では知らぬ人が居ない程の伝説のドライバーである。彼が未だ幼少期と呼べる頃にはすでに『神童』と呼ばれ、その類い稀なるテクニック、随所に見せる神の領域とも呼ぶべき判断能力、恐れを知らぬ大胆不敵な行動、それとは正反対とまで言えるマシンに対する繊細な対応で10代も半ばになる頃には特例に特例を重ねられモータースポーツの最高峰であるF1ドライバーに選ばれていた。そしてそこでも彼はその才能を遺憾無く発揮して常勝不敗の存在となった。事実、彼が現役であった頃は年間チャンピオンは常に彼のモノであった。そう、彼は完璧過ぎたのである。あまりにも彼が強過ぎた為、最初は盛り上がりを見せていたが常に彼が勝ち続ける為、一部の熱狂的な彼のファンを除き業界そのものが冷めて来てしまったのである。結果、視聴率離れ、放送局の撤退、スポンサー離れが芋づる式に起き、このままでは存続の危機にまで繋がりかねない事態になるに及び、業界は彼を敬して遠ざける事にした。即ち、彼にあらん限りの名声と報償金を与え現役を退いてもらうよう懇願したのである。周囲のそういった空気や思惑、何より自身の熱も冷めつつあった彼がそれを受け入れ現役を退いたのがおよそ一年前、その際にパルパティーン学園長とケノービ先生が
「その歳で悠々自適な隠居生活も無かろう。第一、子供の教育に悪い」
と、学園の教員にスカウトしたのである。教員免許等の問題は彼自身の名声に加え交渉上手な学園長とケノービの両名にかかれば瑣末な事であったのはいうまでもない。着任早々、彼は自動車部に歓呼を持って受け入れられ早速『師匠』と呼ばれ尊敬を受けた。
ー「子供の教育」ー
そう、彼は3歳になる双子の兄妹の父でもある。今は妻の仕事の都合で大洗に単身赴任状態の彼だが毎日の連絡を欠かさないのはもちろん週末や休日には都内の家に行き、妻や多忙な妻の替わりに双子の世話をしている
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〜大洗町内のとある割烹旅館の一室〜
アナキンは先に着ていた学園長と着いて早々駆けつけ一杯を飲み干したケノービから今回の経緯を説明されていた。
「戦車道で優勝出来なければ廃校ですか?ずいぶんと無茶苦茶な条件を出されたものですね。それにしても戦車道は女性の嗜みと思いましたが何故男性のオビ=ワンが担任を?」
「担任に関しては大洗は戦車道がなくなって久しい、故に戦車道に通ずる者が我々の元には居ないのだよ。更に負けたら廃校になる。こんな状況で担任を要請して引き受けてくれる者などマスターケノービしか居らん。」
「なるほど、それはそうでしょうね。しかしそもそも戦車道で残留なんて受けずに学園長が乗り込んで行って『
パルパティーンの説明に頷くアナキンだが状況そのものへの疑問を抱くアナキンは単純な解決策を口にする。二人の『元マスター』は顔を見合わせ
「マスターケノービ、常々問おうと思っていたのだが『君の
「お言葉ですが『
と
「アナキン、それでは解決にならんのだよ。我が大洗学園は地域的な問題等によって昨今入学者が減っており、特にこれといった実績もあげていない。そこは『
パルパティーンは大洗学園の現状と戦車道を始める目的を説明する。様々な要因から入学者数が減少傾向にある大洗学園。そこをつけ込まれ今回の廃校危機となってしまったがそこを逆にチャンスにしようというのがパルパティーン学園長の狙いである。言うのは簡単だが・・・
「しかし学園長、学園には戦車道経験者はいないのでしょう?もしその『
「ふむ、その際には
「別の手段とは?」
「今はまだ口にする段階ではない」
別の手段が気にはなるが学園長は答える気はない様だ。オビ=ワンも知っているようだし後で聞こう。よし今は今後の確認をしよう。
「まあいいでしょう。ところでそれはいつから始まるんですか?」
「生徒会の準備が整い次第、直ぐにでも始める事になる。ところでアソーカやレックス達にも参加して欲しいのだが」
オビ=ワンが戦車道は直ぐにでも始まると伝え、チーム501にも参加させるように打診してきた。
チーム501とは前世における
「それはまぁ大丈夫でしょう。ですがその際には廃校の件も包み隠さずに伝える必要がありますよ。どのみち隠そうとしてもバレると思いますが」
「ふむ、まぁ彼女たちならば廃校の件を話しても他の者達に漏らす事はしないだろう」
「しかしいつまでも秘密にしてはいられないでしょう。いずれはバレます」
アナキンの懸念に学園長が答える。
「いずれはそうなる。だが最初から皆に話してしまえばそれこそ無用な緊張を生徒達に強いる事になる。それは避けた方が良かろうて」
「確かに。では廃校の件を知るのはここにいる我々と生徒会のメンバー、それにアソーカ達という事で?」
「うむ、未だ他の教員達にも知らせてはおらんのでそうなる」
「何時知らせるようにするのですか?」
「まだはっきりとは決めてはおらん。ある程度事態が動いてから話していこうと思っている」
現状では学園の存亡という重大事を秘しておけという事だ。情報漏れの心配はパルパティーンが目を光らせてればしばらくは問題あるまい。
「では、話しはここまでとして、これからは忙しくなる。当分ここにも来れなくなる様だから今宵は楽しむとしよう」
学園長が何やら
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〜大洗学園艦行き乗船場〜
アナキン達が晩餐をしている頃、1人の少女が途方に暮れていた・・・
「やっちゃった・・・もう最後の船、行っちゃってるよ・・・どうしよう・・・」
ショートカットの少女の名は『西住みほ』、黒森峰学園からの転校生であるが、ここに来る途中で、具合の悪くなったお婆さんの介抱をしていたら予定していた列車に乗れず、大洗に着いた時には学園に向かう本日の最終便が出た後になってしまっていた。
「こんな所でどうしたのかしら?もう船はないわよ?」
不意に声をかけられてビクッとし「ヒャッ!」と小さな悲鳴をあげる西住みほ。彼女が振り向くとそこには銀髪褐色の美しい少女と黒髪褐色の体格の良い三人の少女が居た。
「ごめんなさい、驚かせてしまって・・・あら、見ない顔ね?あなたは?」
「あっはい!私は西住みほっていって大洗女子学園に転校して来たんですが・・・」
みほは今日の経緯を彼女達に説明する。銀髪の少女が微笑んでみほに話し掛ける。
「そう、貴方はとても優しくてすてきな人ね。私はタノ・アソーカ。アソーカで良いわ、よろしくね西住さん。で、私の後ろに居るのは・・・」
「レックスです」
「ウォルフだ」
「グレガー、よろしく」
彼女達は体格に見合った無骨な声でみほにあいさつする。
「彼女達は三つ子の姉妹で私の友人よ」
「改めて、西住みほです。よろしくお願いします」
そう言って一礼したみほは思い出した様にアソーカに問いかける。
「あの・・・アソーカさん達はどうしてこんな時間にここに・・・もう船は行ってしまった後・・ですよね?」
戸惑いがちのみほにアソーカが答える
「それはね、私達の迎えがそろそろ到着するからよ。丁度良いわ、貴方も乗せてってあげる」
そうアソーカが告げるとまもなくみほの耳に聞き慣れない音が空から聴こえてきた。夜空を見上げると見た事のない飛行機がこちらに飛んできて着陸した。よく見るとタイヤらしきものはなく、地面に胴体が着いている。その胴体の中央部分が開いた。
「LAAT/i人員輸送艇よ。まあ私達にとったらタクシー代りと言ったところかしら?さあ、行きましょう」
そう言ってアソーカ達は機体に乗り込んで行く。後に続きながらみほは独り言の様に呟く
「タクシーがわり・・・ですか(飛行機をタクシーがわりに使うなんて大洗学園ってどういうところなんだろう・・・?)」
彼女達が乗り込み席に着くと機は直ぐに上昇を開始した。
「ところで皆さんはこんな時間まで何をしていらっしゃったんですか?」
みほの疑問にレックスが答える
「我々は大洗市民の代表の方々と今年度の学園行事などについての打ち合わせをしていました。本来なら生徒会が出るべきなのだが何やら緊急の要件が出来たというので我々に参加するよう要請があったのです。」
アソーカが捕捉する
「それが結構長引いてしまって、まあ深刻な話しじゃなくて雑談とかしてたからだけど」
「そうなんですね、ご苦労様です。」
そう言って頭を下げるみほに礼を言うアソーカ
「ふふ、ありがとう」
そうして会話をしていると大洗学園艦が見えてきた・・・が、みほはその姿に驚愕する。
「お、大きい・・・・?」
そう、それはとてつもなく巨大な学園艦であった。(大洗学園艦って確か7〜8キロじゃなかった・・・?)と、みほが思いにふけているとアソーカが苦笑しながら学園艦の説明を始める。
「西住さん驚いた?そう、あれが大洗学園艦よ。全長19000メートルもあるの。無駄にデカいから色々と不便なところもあるけど、学園周辺だけなら迷う事もないはずだし、なかなか良い所よ」
「19キロ!?黒森峰・・・ううん、聖グロリアーナやサンダースなんかよりも大きいんだ・・・。」
みほはそう呟きながら改めてクサビ型の学園艦を眺める。たしかに巨大な艦の割に中央部の学園を中心とした街並みは小さな印象を受ける。ここが新しい生活の場となるのだ。みほは小声で
「よろしくお願いします」
と呟いた。
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〜地球から遥か遠く離れたとある惑星〜
「♪〜♪〜♪」
沼地と鬱蒼とした密林が広がる場所で『青と白のカラーリングのアストロメクドロイド』は嬉しそうな電子音を上げた。
「見つけたようじゃの」
その傍らにいた『緑色の小さな友人』が声をかける。それにたいして肯定の電子音を上げたアストロメクはかつてレッド5のコールサインで呼ばれた四発エンジンの機体に乗り込もうとする。彼はそれを呼び止め、
「これを
そう言って彼は数個の『結晶』が入った袋を差し出した。それをサブアームで受け取ったアストロメクは袋を自身の胴体を開けそこに入れながら問いかけた
「???」
「一緒に来ないのか?うむ、わしは行かぬよ、ここでおまえさん達の事を見守るとしよう」
アストロメクは少し寂しそうな所作をしたがレッド5の自分専用のソケットに乗り込むとエンジンを起動して別れの挨拶をした
「♪」
「うむ、おまえさんもな、フォースと共にあらんことを」
アストロメクはその言葉を聞き機体を上昇させるとそれはあっという間に宇宙へと昇って行った。それを見上げていた者はその光が消えたのを見届けるとスーッと消えてしまった。まるで最初からそこには誰も居なかったかの様に・・・・・・・
〜次回予告〜
大洗女子学園廃校の危機を乗り越えるべく動き出した生徒会の面々は、転校生西住みほに強引に戦車道を受ける事を決意させる。一方、アナキン・スカイウォーカーは一連の背後に蠢く陰謀を探る為にチーム501と共に行動を開始するのだった・・・・・