ガールズ&パンツァーウォーズ   作:平四郎

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更新が遅くなり申し訳ありません。第10話です。
各キャラクターの喋り方に違和感がありましたらごめんなさい。


第10話 抽選会です!

組織の論理は時に当事者たちの望まぬ生贄を必要とする

 

 

生徒会会長角谷杏から全国大会抽選会を任された西住みほは衆人が見守る中、引いた番号を高く掲げる・・・・

 

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〜抽選会会場〜

 

「私達の相手はサンダース大学附属高校ですか・・・」

 

華がトーナメント表を見て呟いた。今、隊長のみほが係の者に手渡した番号を司会者が読み上げ、大洗女子学園の名がサンダース大学附属高校の隣に記されたのだった。あんこうチームと501の面々はみほが申し訳なさそうにこちらを窺っているのを見て『気にしないで。』と笑顔で手を振る。しかし・・・

 

「サンダース高とは・・・初戦から大物ですね。」

 

グレガーが額に手をやりながら苦笑する。

 

「サンダース高ってそんなに強いとこなの?」

 

沙織の問いに優花里が頷く。

 

「そうですね。実力は聖グロに引けは取らないと思います。それに規模で言えば、聖グロはおろか常勝軍団の黒森峰や昨年の優勝校であるプラウダ高校をも凌ぐ全国1位で戦車の保有台数は40輌以上、戦車道のチームも1軍から3軍まである超リッチなマンモス校です。」

 

「それに引き換えウチは全員スタメン・・・」

 

沙織が引き攣った笑みを浮かべる。

 

「だが、その全部が出てくる訳ではない。確か1回戦は参戦は10輌までだったはずだ。」

 

レックスの指摘に優花里が頷く。1回戦は最大車輌数が10対10のフラッグ戦である。フラッグ戦とは文字通り相手のフラッグ車を撃破した方が勝者となるルールである。

 

「それでも数的不利は生じるか。」

 

ウォルフが溜め息混じりにぼやく。

 

「まあそれは言っても仕方ないわ。そこを踏まえてどうするかは学園に帰ってから皆で考えましょう。」

 

「そうですね。」

 

アソーカの言葉に頷く華。

 

「ほーらー麻子ーそろそろ帰るから起きてー?」

 

「ん?」

 

沙織が隣の席で熟睡していた麻子の肩を揺らして声を掛ける。そして抽選会は司会が各校の健闘を期待しますという締めの言葉と万雷の拍手によって幕を閉じた・・・。

 

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〜抽選会会場出口〜

 

出口でみほを待っていたアソーカ達は思わぬ人物から声を掛けられた。

 

「こんにちは大洗の皆さん。」

 

「あら、ダージリンじゃない。久しぶりね。」

 

「ええ、アソーカさんお久しぶりですね。この間の模擬戦でお会い出来なくてとても残念でしたわ。」

 

「それは失礼したわね。ちょっと用事があったのよ。」

 

そんな会話をする二人を見ていた優花里がレックスに訊ねる。

 

「アソーカ殿ってダージリンさんとお知り合いだったんですか?」

 

「ああ、私達は様々な学校に行っているからね。とくに聖グロとは縁があるんだ。」

 

「そうだったんですね。」

 

そこへみほがやってきた。

 

「みんなお待たせー。って、ダージリンさん?」

 

「あら西住みほさん、先程はどうも。ところで私が送ったティーセットは如何でしたか?」

 

「その・・中々アレにふさわしい茶葉を用意出来なくて・・・」

 

「それでしたら今度わたくしどもからお送りいたしますわ。」

 

因みに聖グロからティーセットを贈られるという事は彼女達からライバル認定されたという事らしい。

 

「すみませんわざわざ・・・」

 

「いえいえ。」

 

そこへ聖グロの生徒がダージリンを呼ぶ声がしたので彼女はみほ達に一礼をする。

 

「ではごきげんよう皆様。トーナメント表からして私達があたるのは決勝戦となりますが、そうなりますようお祈りしておりますわ。」

 

その言葉には「自分たちは決勝戦で待っている。」という自信が込められていた。

 

「はい。お互い頑張りましょう!」

 

ダージリンが差し出した右手を握り握手するみほ。笑顔で頷いたダージリンはそっと手を離しアソーカに向き直る。

 

「アソーカさんも、決勝戦で会うのを楽しみにしておりますわ。」

 

「ええ決勝戦で会いましょう。貴方達もそれまでどうぞ御壮健で。」

 

そう言って微笑む二人だがその互いの視線には明らかに火花が散っていた。

 

「では今度こそこれで失礼させていただきますわ。ケノービ先生にも宜しくお伝えくださいまし。」

 

そう言ってダージリンは小柄な少女と去っていった。

 

「なんでケノービ先生の名前が出るんでしょうか?」

 

優花里が頭に大きなはてなマークを出して問いかける。

 

「まさか先生に気があるとか!?」

 

沙織が興奮して大きな声を出す。

 

「違うわよ。彼女は聖グロの学院長のサティーン先生の事を言っていたのよ。」

 

「そう言えばこの間の模擬戦の際にケノービ先生がエスコートなさってました。」

 

華が模擬戦の際のぎこちない二人を思い出した。

 

「ええ!?じゃああのお二人は・「ストップ」・・アソーカさん?」

 

人差し指を上げ沙織を止めるアソーカ。

 

「この事はここだけの秘密よ。なんと言ってもあの二人、堅物すぎて中々進展しなくて彼女もウチの会長も困っているのよ。」

 

その言葉にみほ達はなんとなく察して苦笑しながら頷いた。

 

「ところでアソーカさん、私達はこれから戦車喫茶に行くのですが宜しければご一緒しませんか?」

 

顔を見合わせ頷くアソーカ達。

 

「ありがとう。喜んでご一緒するわ。」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

オレンジペコと並んで歩くダージリンに大きなリボンを付けた少女、アッサムが合流する。

 

「ダージリン、GI6(情報処理学部第6課)いつでも準備出来ております。号令があれば直ちに行動を開始致します。」

 

GI6とは聖グロが誇る諜報機関であり、アッサム自身も潜入調査、情報収集活動を得意としていた。

 

「では直ちに行動開始を。但し、大洗だけは避けなさい。」

 

「何故ですかダージリン?大洗はこの間の模擬戦で十分脅威を感じましたが・・・?」

 

「そうね確かに脅威よ。でも私は可愛い我が校の生徒に()()()()()()()()()()()()()()()()()して斃れて欲しくないの。」

 

「はい???」

 

アッサムはダージリンが何を言っているのか理解出来なかった。それはオレンジペコも同様で戸惑った顔を見せていた。

 

(もっともケノービ先生もアソーカさんもいらっしゃいますから余程の事をしない限りそうはならないでしょうけど、思考操作(マインドトリック)辺りは間違いなくされるでしょう・・・)

 

ダージリンは大洗女子学園長(パルパティーン)の顔を思い浮かべる。

 

(必要となったら私自身が潜入すれば良いこと)

 

「とにかく大洗に手出しは無用。これは命令です。」

 

「承知しました。」

 

アッサムはダージリンの厳しい声に恐縮して頷いた・・・。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〜戦車喫茶〜

 

カフェに着いたみほ達一行であったが、他校の生徒達も同じ様に「せっかく本土に来たのだから〜」と考えていた様で店は混雑していた。

 

「・・・9名様ですか、別々のお席でしたら直ぐにご案内出来ますが・・・?」

 

「どうします?」

 

優花里が皆に問いかける。

 

「仕方ありませんね。帰りの時間もある事ですし、ここはそれでいくしかないのでは?」

 

「そうですねぇ・・・待てば良いという感じでもなさそうですし。」

 

店内に直ぐに帰りそうなグループが無い様子を見て華はレックスの提案に頷き、皆もそれで妥協する。

 

「じゃあそれでお願いします。」

 

「かしこまりました。ではこちらへ。」

 

店内に案内されたみほ達はあんこうチームと501チームにそれぞれ分かれて席に着いた。

 

「初めて来ましたが中々スゴイ店ですね。」

 

店内のスタッフは戦車兵のコスプレ、呼び鈴は戦車砲の轟音、注文品のお届けは戦車の模型。正に戦車尽くしである。ウォルフが面食らうのも無理はなかった。ふと、あんこうチームの方を見てみると彼女達は普通に楽しく会話していた。

 

「あっちは普通に楽しんでいる様ですね。こちらもせっかくだから楽しみましょう。」

 

レックスの言葉に頷き、それぞれ注文を決めたアソーカ達は呼び鈴を押し注文を取りに来た店員にオーダーして注文品が来るのをこれからの対策を練りながら待つ事にする。

 

「初戦の相手はサンダース大附属。秋山さんも言っていた様に強豪校ね。」

 

「彼女は聖グロに続いて強豪校と戦える事に喜んでいたが、負けたら廃校(終わり)と知っている此方としてはそうも言ってられない。」

 

「そもそもその件はいつ公表するつもりなのだろうか?こういうのは後回しにするとだいたい面倒な事になる。」

 

「その辺は角谷会長に聞いてみないとな。我々にはどうにも出来ん。」

 

「まあ先ずは目の前の試合に集中しましょう。レックスの言う通り負けたらおしまいなんだから。」

 

「はい。ですが現状相手のデータがありません。先ずは相手の情報が必要ですね。」

 

「情報収集に関してルールはどうなってるの?」

 

「意外なところでは諜報活動が禁止されていない事でしょうか。」

 

「実際に他校への潜入も行われている様ですね。」

 

「ふーん。」

 

「それに附随して試合当日の戦車は事前に提出したリストと違う戦車は出せませんが、仮にこのリストが他校に流出してしまった際に、これに気づき期限内にリストを別の戦車に変更して再提出する事は可能です。」

 

「結構本格的に謀略戦をやっているのね。」

 

「聖グロには戦車道専門の諜報機関もある様です。あのダージリンが指揮を執っているのですから一筋縄ではいかないでしょう。」

 

「・・・・出来ればやり合いたくはないわね。」

 

「間違いなく向こうもそう思っているでしょうね。」

 

-前世のジェダイVSデス・ウォッチ(マンダロア)からの因縁である。時には対立しまたある時は共闘する。その関係は転生した現在も変わらない。互いの手の内は知り尽くされていた。-

 

ケーキが運ばれて来たのでそれぞれ注文した品を取る。ご丁寧にもケーキの形も戦車形だった。

 

「ほう、これはいけますね。」

 

「ああ、見た目重視の場合、味はイマイチなんて事もあるがここはそうじゃない。」

 

「なるほど、人気があるわけだ。」

 

「本当ね。」

 

レックス達の感嘆の声に頷くアソーカ。周囲を見回すと自分達の隣の席以外はすでに満席となっていた。そこへ案内されるだろう二人組がみほ達のテーブルで立ち止まっていた。

 

「あれは・・・黒森峰の制服ですね。」

 

レックスの目つきが変わる。

 

「拙いな・・・どうやら西住隊長に気付いたらしい。」

 

ウォルフの呟きにみほ達の方を見やると髪の長い方と何やら言い合いをしており、もう一人の方はみほの事を睨みつけている様にも見えた。席を立とうとするグレガーをアソーカは止める。

 

「待ってグレガー。様子を見ましょう。」

 

「しかし・・・」

 

その視線の先では普段は冷静な華や麻子も珍しく声を荒げていた。

 

「やはり心配です。」

 

「今行っても何にもならないわ、武部さん達も感情的になってるから火に油よ。それに、あの二人が来る席はそこよ。二人がこっちへ来たら西住さん達のフォローをお願い。」

 

アソーカは唯一空いている隣のテーブルを指さした。

 

「了解です。」

 

「私も行きましょう。隊長(みほさん)達をこちらに来させない様にすればよろしいのですね。」

 

「頼むわね。」

 

ウォルフはアソーカの考えを読み確認を取った。二人は手早くケーキを片付けると、タイミングよく黒森峰の二人も沙織達に睨みつけられながらこちらに向かって歩き出していた。さりげなく立ち上がりアソーカに声を掛けるウォルフ。

 

「あまり騒ぎを大きくしないで下さいね。」

 

「わかってるわよ。」

 

笑顔で答えるアソーカに苦笑まじりで頷いたウォルフとグレガーは黒森峰の二人に「失礼」と声を掛けてその横を通り抜けていった。長髪の方がそれを不愉快そうに顔を顰める。

 

「フン、大勢でゾロゾロのんびりお茶なんて、全くの無名校なのに随分と余裕があるじゃない。大洗女子学園ってトコは。」

 

アソーカ達に聞こえるように言った黒森峰の長髪ともう一人が席に着く。もう一人のショートカットの方はどことなくみほに似ていた。

 

(なるほど、彼女がみほさんの姉、西住まほね)

 

それはそれとして向こうが仕掛けて来たのである。黙っているという選択肢は少なくともアソーカにはなかった。

 

「あら?これはこれは!常勝不敗()()()黒森峰の隊長さんとそのオマケじゃない?黒森峰では隊長さんはのんびりお茶してる時間に下には猛訓練させてるなんて、時代錯誤の学内カースト?」

 

・・・アソーカの師匠はアナキン・スカイウォーカー。挑発行為はお手の物である・・・。案の定長髪の方が噛み付いてきた。

 

「オマケって!?私は逸見エリカ!黒森峰の副隊長よ!そんな事も知らないなんて無知もいいとこね!」

 

アソーカは背もたれにもたれかかり蔑む様な表情で応ずる。

 

「ああ、貴方がみほさんを追い出してその座に着いたってわけね。」

 

・・・アソーカの師匠はアナキン、その師匠はオビ=ワン・ケノービ。例え自身が囚われの身となっても相手を煽る事を決して忘れない舌鋒の持ち主である。エリカと名乗った方は大噴火した。

 

「ふざけるな!!!何も知らない外野が何言ってんの!?」

 

「何も知らない?いいえ、()()()()()()()()()()。知らないのは貴方達の方ではなくて?」

 

「な、なにを・・・」

 

エリカは目の前の人間の瞳が己れの全てを見通してくる様に感じられ、思わず視線を逸らした。

 

「・・・みほに聞いたのか?」

 

戸惑いがちに西住まほが質問してきた。

 

「みほさんに?いいえ、彼女がそういう事を話す人ではないのは貴方なら分かるでしょ?戦車道の事をちょっとでも調べたら前回大会後のいざこざなんて直ぐに出てくるわ。」

 

「マスコミの穿った報道なんて信じてるんじゃないわよ!」

 

エリカが顔を真っ赤にして吠える。全く動じずにいるアソーカ。

 

「あら?何か違うとでも言うの?」

 

「そうよ!真実は私達しか知る訳ないのよ!」

 

「一つ言っておくわ。真実なんて見方によってどうとでも変わるものよ。」

 

「!?あんた、何を言って・・・?」

 

「言った通りよ。貴方の言う『真実』は貴方達(黒森峰)の方から見た解釈にすぎない。別の側面から見れば違う解釈も出来る。」

 

「そんなの真実と言える訳ないでしょ!?真実は常に一つよ!」

 

「そうかしら?少なくとも貴方達の言う真実とみほさんから見えている真実は違うんじゃないかしら?」

 

そう言ってからみほ達のテーブルを見たがすでに彼女達はそこに居なかった。どうやらウォルフとグレガーはみほ達のテーブルに行った際にそのまま彼女達を連れ出した様だった。これで心置きなく話が出来る。

 

「どういう意味だ?」

 

まほの目は動揺していた。アソーカは、まほもエリカも心底ではみほの事を気にかけているのは理解していた。そして彼女を守れなかった後悔も。そんな二人の姿は、前世において自身がジェダイを去った際に別れた師匠(アナキン)の哀しげな姿をダブらせた。

 

「彼女は自分が黒森峰、ひいては戦車道には不要になったから追い出されたと思っているわ。だから戦車道のない大洗女子学園に来た。もっとも何の因果かウチは今年から戦車道が復活してしまった訳だけど。」

 

「それは・・・」

 

違う。と言いかけてまほは止めた。ここでアソーカ相手に言っても意味はないからだ。

 

「だいたい何で戦車道が復活しちゃったのよ!?戦車道のない大洗なら副隊長も傷付かずに済んだのに!」

 

アソーカを指差しエリカが噛み付く

 

「色々事情があるのよ。気になるなら調べてみたらいかがかしら?」

 

「あんた達の事情なんて知らないわよ!」

 

「・・・みほは大丈夫なのか?」

 

まほの問いにアソーカが頷く。

 

「ええ。貴方も見たでしょうけど、自分のチームのメンバーと友達としてこの店に来るくらいには上手くやっているわ。もっとも貴方達が友達と言い争うのを見て少し落ち込んでいる様だったけど。」

 

「く・・・」

 

さすがのエリカもアレは不味かったと思ったらしく言い返すことは無かった。まほは安堵半分、みほに要らぬ心配をさせてしまった後悔半分という表情で黙っている。

 

「アソーカ、そろそろ帰らないと集合時間に遅れる。」

 

レックスが時計を見て伝える。が、実際には時間に余裕がある。

 

(アソーカ、注目が集まっている。そろそろ潮時です。)

 

レックスが目で訴る。頷くアソーカ。

 

「そういう事だから失礼させていただくわ。改めて言うけどみほさんは大丈夫よ。気まずい思いなんてさせないわ。」

 

「・・・すまない。」

 

「それはみほさんに言うべき言葉じゃないかしら?」

 

まほの謝罪にそう返す。

 

「貴方名前は?」

 

「アソーカ。タノ・アソーカよ。」

 

睨みつけながら尋ねるエリカに平然と名乗ったアソーカは、レックスと共に店を出ていった・・・・・

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〜大洗学園艦LAAT/i発着場〜

 

LAAT/iから降りたアソーカにみほが声を掛ける。

 

「すみませんアソーカさん、お姉ちゃんとどんな話をしたんですか?」

 

「貴方の近況を教えてたのよ。心配してたみたいだから。」

 

「心配?」

 

みほが驚いた感じで首を傾げる。

 

「意外かしら?」

 

「えっと・・・」

 

みほは戸惑いを隠せない返事をする。そんな彼女に対してアソーカは穏やかに語りかける。

 

「貴方のお姉さんは、前回の戦車道大会決勝戦とその後の出来事から貴方を守れなかった事を後悔している。只、黒森峰の隊長という彼女の立場上それを表には出せないでいるのよ。」

 

「私は・・・お母さんとお姉ちゃんに見放されて、黒森峰に居られなくなったと思ってました・・・」

 

泣きそうな顔でみほが心情を吐露する。

 

「確かにそういう解釈をしてしまうのもわかるわ。追い詰められてしまっている時は特に。でも貴方の味方になってくれる人も必ず居る。少なくとも私達や武部さん達は味方よ。そして今は無理かもしれないけど、落ち着いたらお姉さんともきちんと話をした方が良いわよ。」

 

・・・ジェダイ評議会に絶望して去る事を決めた自分は、引き止めに来た師匠アナキンとの間ですらそれを怠ってしまった。アナキン自身がジェダイに懐疑を抱いているのを知りながら・・・彼が内心それに深く傷ついていて、後に決定的な破滅を迎える要因の一つとなってしまった事をアソーカが知ったのはそれからかなり後の事だった。

 

「はい。」

 

頷いたみほに安堵の笑みを見せて続けるアソーカ。

 

「黒森峰がどういうところなのかは想像がつくわ。窮屈だった黒森峰より今の方が戦車道を楽しめるんじゃない?」

 

「それはありますね。」

 

そう言って苦笑するみほ。

 

「まあこっちでも色々あると思うけど改めてよろしくね。みほさん。」

 

「い、いえ!こちらこそ宜しくお願いします。」

 

アソーカが差し出した右手を握るみほ。そのまま疑問に思っていた事を聞いて見た。

 

「ところで、あの・・・アソーカさんはどこで私の事を・・・?」

 

「貴方のお姉さん達にも同じ事を聞かれたけど、前回大会の事だもの、ちょっと調べたらすぐわかる事よ。実際秋山さんも知っているでしょう?ねぇ、秋山さん?」

 

アソーカはみほの背後の物陰にそう問いかける。声を掛けられて一瞬ビクッとした優花里が姿を見せて頷いた。

 

「・・・はい。西住殿は私の様な戦車道を知る人からすれば有名人ですし、『あの一件』は話題にもなりましたし・・・」

 

申し訳なさそうに話す優花里。

 

「そ、そうなんだ・・・」

 

頬を引き攣らせながら呟くみほ。

 

「先程あの店でも言いかけましたが、西住殿は間違ってないと思います!あの状況で人命救助を優先した西住殿を私は尊敬してます!」

 

「ありがとう秋山さん・・・」

 

優花里の偽りのない言葉を嬉しく思うみほ。あの一件で自分を認めてくれる人が居る。それがわかっただけでも大洗に転校して来て良かった。と、心から思った。

 

「大会、頑張りましょう西住殿!」

 

「うん!頑張ろうね!秋山さん!」

 

今度は優花里と握手を交わすみほ。そんな二人にアソーカが声を掛ける。

 

「先ずはサンダース戦ね。強敵だけど精一杯やりましょう!そうすれば勝利が見えてくるはずよ。」

 

「「はい!」」

 

二人の返事が元気良くこだました。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜大洗女子学園艦〜

 

・・・・時系列は遡り、みほ達が帰艦する少し前の事・・・・

 

大洗女子学園艦に1人の少女が降り立った。ツーサイドアップの小柄な彼女の名はアリサ。大洗女子学園の制服を着ているが、サンダース大附属高校の副隊長を勤める俊英である。抽選会で初戦の相手が大洗女子学園と決まると直ぐに彼女は大洗へと歩を進め、みほ達より先に到着し、潜入調査を開始しようとしていた・・・。

 

「こちらアリサ。大洗女子学園に到着。これより潜入任務(スニーキングミッション)を開始する。」

 

携帯用録音機の電源をオンにしてそう告げ、早速校内へと進むアリサ。

 

「先ずは戦車道棟を探さないと・・・それにしてもなんでサンダースよりデカいのに交通手段が整備されてないのよ!いったいどうなってんの!?」

 

基がエグゼクター級スーパースターデストロイヤーの大洗学園艦の全長は19000mであり、学園艦の大きさとしては世界でも最大級の大きさを誇っているのだが、それによる不都合も多々あるのであった。

 

「それにしてもこんなに早く行動しているのは私達サンダースくらいなものでしょうね。王道と言えば聞こえはいいけど、相手をよく見ないであくまで自分たちのやり方を通す傲慢な黒森峰や、情報の有用性を知りながらそれを活かしきれていないお堅い聖グロの時代は終わりよ。これからは私達サンダースの時代になるのよ!私がもたらした情報で私が作戦を立てて、それをケイが指揮する。それにナオミの腕が加わればサンダースに敵は居ない。フフフ・・・サンダースに全国制覇をもたらす者、それはこの私!アリサよ!!!!」

 

自分の世界に入り込んでそう宣ったアリサだったがふと背後に気配を感じ振り向く。そこには『用務員』の名札を付けた初老の男性が立っていた。

 

「キャアアアア!!!!」

 

思わず悲鳴を上げるアリサ。だが、その用務員は動じることなく穏やかな笑みを浮かべいるだけだった。名札には『用務員シディアス』と書かれている。

 

「すみません、驚かせてしまった様で。確か貴方は戦車道の方でしたね?もう抽選会からお帰りになられたのですか?」

 

片手を上げ、それを軽く横に振りながら用務員が聞いてきた。

 

「あ、は、はい。つい今しがた帰ってきました。」

 

アリサは、このシディアスという用務員は先程の独り言は耳に入っておらず、更にどうやら自分を誰かと勘違いしてくれたらしいと思い、その流れに乗る事にした。

 

「それは丁度良かった。実は生徒会長さんに頼まれていた戦車道の皆さんのリストが出来上がったのですが、私はこれから学園艦の清掃を始めなければなりませんので、申し訳ないですがこのリストを生徒会長に渡しておいてもらえませんでしょうか?」

 

そう言って彼はアリサにファイルを差し出して来た。望外の戦果に小踊りしたい衝動を抑えて何重にも猫を被り笑顔で頷きそれを受け取るアリサ。

 

「わかりました。会長に渡しておきます。リストの作成ありがとうございました・・えっと・・・シディアスさん。」

 

一礼してアリサは素早くその場を立ち去る。

 

ーーーーーーーーーーー

 

「フフフ、やった!やったわ!これで私達の勝利は間違いなしよ!」

 

アリサはファイルを大事にしまい込み用意していたボートに乗ると一目散に大洗学園艦から離れていった。

 

 

『用務員シディアス』はずっとその様子を眺めていた。表情に暗黒の微笑を浮かべながら・・・・・・

 




大洗で手に入れた情報を基に作戦を練るサンダース。一方の大洗女子学園もサンダースに潜入を果たす。潜入したアソーカ達は意外な先客に驚く事になる。
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