冒頭はちょっとサンダース潜入話、それ以降に辻廉太さん絡みの話にするはずが…潜入話が長くなってしまったので今回はサンダース潜入話。次回に『暗黒の会合』を投稿します。(シレッと前回の予告も変更済み)今年最後の投稿でこの体たらく・・・申し訳ありません。
m(_ _)m
上には上がいるものだ・・・
開幕間近!戦車道大会に向けて各校が対戦校の情報収集や自校の戦力拡充を図る等準備を進める中、大洗女子学園のチーム501もサンダースへの潜入を果たす。彼女達はR2-D2を用い、サンダースの情報を調べようとしていた・・・
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〜サンダース学園艦サーバールーム〜
アソーカ達チーム501はサンダース大附属の情報を得る為、R2-D2を伴いサンダース学園艦のサーバールームへと潜入していた・・・・
「情報の吸い出しは順調?
「♪〜♪」
R2の肯定の返事に頷くアソーカ。R2は監視カメラにも細工を施し、こちらでモニター出来る様にしており、レックスがそれを確認しこちらにサンダースの者が近づいて来るのを警戒している。もっともサンダースの監視ルームには常時無人のサーバールームが映し出される様になっている為、気づかれる可能性は低い。彼女達が調べているのは主にサンダースの運営費の流れであった。そこから購入履歴等を追っていたのだが、戦車道に関連する費用は呆れる程凄まじいものだった
「しかし、本当に凄い所だな。サンダース大附属というのは。」
「全くだ。保有戦車台数もさることながらそれと同数のアストロメクドロイドも揃えているとは・・・」
「戦車1輌に1台のR3型アストロメクドロイド。ハハッ、CMにでも使えそうなキャッチフレーズだな。」
レックス、ウォルフの感嘆にグレガーが冗談で応じる。アストロメクドロイドは数あるドロイドの中でも高価な部類に入るモノである。それを40機以上揃えているのは高校レベルとしては破格の存在であった。
「それだけじゃないわ。演習場等への設備投資にも出費を惜しんでいない。全国制覇を狙う学校というのはこういうものなのかしらね。」
「そういう所から勝ち抜き続け、優勝しなければ廃校とは・・・いやはや厳しい闘いになりますね。」
アソーカの言葉を聞いたグレガーがモニターを流れる文字と数字の列を見つつぼやく。
「全くね。でもやるしかないわ。」
その時、艦内に非常警報が鳴り響き続けて非常アナウンスが流れて来た。
『侵入者発見!繰り返す!侵入者発見!総員は直ちに侵入者確保に全力を上げよ!繰り返す・・・・』
「ちょっとR2!?何やってんの!?」
「!!!!!!!」
「R2の言う通りです。見つかったのは我々じゃない。」
アソーカの文句にR2が抗議する。レックスがそれを肯定し、監視カメラの映像を映したモニターの一つを指差す。そこには大手コンビニの制服を着た特徴のあるくせ毛の少女が映っていた。
「秋山さん!?サンダースに来ていたの!?」
アソーカが驚きの声を上げる。
「どうやら私達とは別のルートでサンダースに潜入していた様ですね。どうします?逃亡を手助けしますか?」
レックスの確認にウォルフが待ったをかける。
「待て、彼女は上手く立ち回っている。下手に介入すれば彼女はもちろん、こちらも不味い事になる。」
ウォルフの指摘通りモニターの中で優花里は巧みにサンダースの生徒たちの追跡を躱し続けていた。確かにこのままならこちらが何もしなくても逃げおおせられそうではあった。
「そうね。このままなら私達の手助けは必要なさそうね。」
アソーカも優花里の意外な才能を認め、介入しない事に賛成する。
–実際優花里は上手く逃げ切り、西住みほ達にいつの間にかドキュメント仕立てに編集した情報を届けるのであった。–
「ではこちらはこちらで任務を続けましょう。R2、後どれくらいかかる?」
「♪〜!♪」
レックスの問いに5分とかからないと返答するR2。
「では5分後に撤収するわよ。警戒態勢は敷かれたままだから油断しない様にしないと。」
彼女達はサンダースの者達に察知される事なく大洗へと帰還した・・・。
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〜サンダース戦車道ミーティングルーム〜
大洗からの潜入調査員と思われる『自称オッドボール3等軍曹』に逃げられてしまったサンダース戦車道の面々は、再びミーティングルームに集まり対策を練る事にした。
「ところで大洗からの潜入者は彼女1人だけだったのかしら?大洗には噂のチーム501も居るけど?」
サンダース隊長のケイが副隊長のアリサに確認をする。
「
アリサの言葉に頷き、あらためてミーティングを始めるケイ。因みにR3タイプは
「皆、大洗に私達の編成その他モロモロバレちゃったけどどうする?思い切ってチェンジしちゃう?」
ケイの提案にアリサが異議を唱える。
「その必要はないわ!私の持って来た大洗のリストを見てもコチラのファイアフライを超える戦車は居ない。このままで充分イケるはずよ!」
因みにそのリストは『用務員シディアス』がアリサが他校の潜入調査員と知りながら意図的に流したもので、編成状況は聖グロリアーナとの練習試合時のものであり、当然現在の大洗の切り札である自動車部のヤクト・パンサーや、色んな意味で
「でも、大洗がリストがリークされた事を知って、ストロングな戦車をオーダーする可能性もあるんじゃないかしら?」
ケイが自信満々なアリサに懸念を示す。その指摘はある意味で当たっているのだが、彼女達がそれを知るのは試合当日で両校が顔合わせをした時になる。
「その可能性が当たっていたとしてもだ、試合は明日だ。今更編成替えをするのはリスクが高すぎる。」
チームの副隊長でNO.2のナオミが現実的な問題点を指摘して編成替えに反対する。普段口数が少ないが、冷静で観察眼も高く射撃手としても優れている彼女は隊長のケイがもっとも頼みとする存在である。
「大丈夫!私の作戦は完璧よ!仮に大洗にティーガーやパンサーが居たとしても、昨日今日始めたばかりの素人レベルに何が出来るっていうの?私の作戦の前では有象無象と化すわ!」
アリサが自信満々に言い放つ。
「副隊長の2人はこう言うけど皆はどう思う?」
ケイがミーティングルームに居る戦車道の全員を見回して問うが特に異論は出なかった。
「オーケー!じゃあ明日の試合はこのままGOAHERD!ALLRIGHT!?」
意を決してケイが宣言する。皆が元気良く返事を返す中、アリサは1人思考に耽っていた
(さっきのミーティングでは『アレ』は話題にも上っていない。当然ね、知っているのは私を始めとしたフラッグ車の乗員だけだもの。・・・・
明日の試合で驚愕するであろう大洗の戦車道の面々を想像しアリサは不敵な笑みを浮かべた・・・・・
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〜大洗学園艦生徒会室〜
R3の監視を何なくすり抜け必要な情報を手に入れたR2とアソーカ達は大洗学園に帰還し報告の為、生徒会室を訪れていた。
「ご苦労さん、今西住ちゃん達も来るからちょっと待ってて。」
「西住さんはどちらに?」
「はい、西住さん達は、今日学校を無断欠席した秋山さんのお家へ行ってまして、まもなく秋山さんも連れて学園に戻ってくる事になっています。」
アソーカの質問に小山柚子が答える。
「え!?彼女無断欠席してサンダースに潜入してたの!?」
「いやはや無鉄砲振りは
アソーカが驚くがレックスはそれに対して苦笑する。そんなレックスを睨みつけるアソーカ。そこへみほ達が生徒会室にノックをして入って来た。
「すみません、遅くなりました。」
「んじゃ、揃ったところでさっそくはじめますか。」
杏の一言でそれぞれ席に着き先ずは優花里が撮ってきた映像を見る。そこではサンダースがファイアフライを中心とした編成で臨む事まではわかった。その後、調子に乗った優花里が質問した事で逆に詰問されて逃亡するところで映像は終わった。
「
「は、はい!会長、申し訳ありません、ありがとうございます!」
杏が苦笑しながら優花里に警告しそれに礼を述べる優花里。
「それにしてもよく1人で入り込む気になったねー?」
「はい。西住殿のお役に立てればと思いまして・・・。それにサンダースはマンモス校ですから逆に1人ぐらい増えてもバレないんじゃないかと思いまして・・・」
「秋山ちゃんって意外と大胆なんだね。」
「?」
杏はニヤニヤ笑いながらみほと優花里を見る。優花里はうつむき頬を赤くしながらみほの方をちらちら伺う。当のみほはきょとんとしていた。
「まあ、冗談はこの辺にしといて話を進めようか。」
「西住、今のを踏まえてどう戦うつもりだ?」
河嶋桃が優花里のビデオを見てみほがどう戦うつもりなのかを問うた。
「その前に一つ確認したい事があるんだけど良いかしら?」
「うん。どったのアソーカちゃん?」
杏がアソーカの発言を許可する。
「私達はサンダースの搬入リストを調べたんだけど、彼女達、ちょっと変わったモノを購入しているのよ。」
「変わったモノ?なんですか?」
みほがアソーカに先を促す様に質問する。
「かなり高額な通信機器なんだけど使い方がわからないのよ。思い当たる事があるにはあるんだけど・・・・」
「思い当たる事というのは?」
「一つは通信傍受。まあいわゆる盗聴ね。で、もう一つはそれを利用して相手に欺瞞情報を流す事。」
「我々が確認したいのは戦車道のルール上こういう事が出来るのか?という事なのです。」
華の質問にアソーカが答え、レックスが補足する。
「確か通信傍受に関してはルールで明確に禁止されてはいなかったはずだけど・・・」
みほが首を傾げながら呟く様に言う。
「はい。西住殿の言う通り、ルール上では禁止とは明記されていなかったはずです。只、スポーツマンシップというか乙女の嗜みとしての戦車道と考えた場合、自ずと暗黙の了解でどこもやらない様にしているはずです。」
「つまりはやったところでルール上では問題無いという事ね。」
「・・・・そうなります。」
「アソーカ殿達はサンダースが通信傍受をやってくるとお考えなのでしょうか?」
優花里が不満気な様子で問う。戦車道好きな彼女にしてみたらこういった行為をやってくるとは思いたくないのであろう。しかし・・・
「そうね。仕掛けてくると思っているわ。」
「・・・根拠は?」
華の問いにアソーカはあっさりと言う。
「単純に勝つ為よ。ルール違反ならともかく、やっても相手チームや観客の印象が悪くなるだけなら仕掛けてきても不思議じゃない。」
「サンダースの隊長殿はそんな方に見えませんでしたが・・・・」
「そうね。彼女はスポーツマンシップを重んじるタイプね。知っていたら反対するでしょう。」
「隊長も知らないのにどうやって?」
沙織の問いにはレックスが答える。
「副隊長のアリサです。彼女は情報をとても重んじる傾向があります。現に彼女は抽選会直後、私達が学園に帰ってくる前にここに潜入していました。」
「え?」
優花里がポカンと口を開ける。
「で、今回の通信機器も副隊長の彼女が購入していたのよ。」
「まあそーゆー事ならアソーカちゃんの言う通り備えておいた方が良いね。なんたってウチ等は負ける訳にはいかないんだから。」
(まただ。会長さん、抽選会から帰ってくる便のでも「絶対に勝たないと〜」と言ってた。小山さんも「負けたら大変な事に〜」とか言いかけていたし・・・。何かあるのかな?)
杏の言動に違和感を覚えるみほだが、今はサンダース戦に集中する事にする。
「わかりました。基本的な作戦は決めてますので盗聴がある場合に備えて若干変更します。」
「ん?もう作戦は考えてあると言うのか?西住?」
「はい。アソーカさん達のポルシェティーガーとレオポンチームのヤークトパンサーを中心にゴリゴリ押してくゴリゴリ作戦です。」
桃は軽く驚きながらみほの作戦案を聞いた。その作戦は想像していたものと違い力押しの作戦だった。
「こちらには強力な戦車がありますからそれを中心にサンダースにプレッシャーをかけていくつもりだったんですが、こちらの動きが筒抜けだと、逆に待ち伏せされて撃破されてしまう可能性が出てきてしまうのでその辺を修正しようかと。」
「その辺は任せるよ。でも、相手にこっちの動きがバレているのをこっちも知っているならそれを踏まえて動けるんじゃない?」
「そうですね。」
杏の指摘にみほが頷く。
「こいつは面白くなりそうだな。」
グレガーが不敵に笑う。サンダース戦は当初の想定とは違う戦いになりそうだった。
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「ところでアソーカ殿達はどこからサンダースの搬入リストを手に入れたんですか?」
会議が終わった後、優花里がアソーカに疑問を投げかけた。
「ふふ、私達もサンダースに潜入していたのよ。生徒会に頼まれてね。」
「元々彼女達はこういった事の
アソーカが肯定し、麻子もチーム501の『活躍』を噂で聞いていたので補足する。
「ええ!?じゃあ私のした事って・・・」
「無駄じゃないわよ。相手の作戦会議に潜入するなんて私達では考えもつかなかったもの。」
「それに逃走の仕方も見事なものだった。」
「あ、ありがとうございます。」
意外にもアソーカとレックスに褒められて照れる優花里。もう一つ疑問に思ってる事を聞いてみる。
「それにしても相手のセキュリティーを担っていたアストロメクドロイドはR3タイプだったのにR2タイプでよくバレませんでしたね。」
「それは
「一般的じゃない?どういう意味ですか?」
「そのままの意味なんだけど、そもそもアレはスカイウォーカー先生の『相棒』なのよ。」
「スカイウォーカー先生曰く『アールツーは特別だ。』という事らしい。」
「実際スカイウォーカー先生が色々改良しているみたいだしな。」
「はあ、それでなんですね。」
優花里はわかったようなわからないような曖昧な返事をする。スカイウォーカー先生絡みで色々とある事だけは理解した。
優花里はこの後、アールツーと組んで様々な所に潜入する事になるのだがそれはまた後の話である・・・・
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各校が本戦へ向けて準備を進める中、その裏で暗躍をしようとする者達が居た・・・・。その1人である辻廉太は、とある会合に招かれた。そこで彼が目にする人物とは・・・?
本年は拙作をお読みくださいまして誠にありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。