毎度更新が遅れて申し訳ありません。そしてお読み下さりありがとうございます。第12話です。
この物語のパルパティーン学園長にとってのラスボス登場・・・
闇は最初は穏やかに近づいてくる・・・
闇の誘惑!文科省の機関の一つである学園艦教育局の局長、辻廉太はベンチャー企業、サブテキスト・マイニングのCEOであるラーシュ・ヒルの招きに応じ、その日本支社を訪れていた・・・・
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〜サブテキスト・マイニング日本支社ロビー〜
「ようこそおいで下さいました、辻局長。ヒルCEOは貴方のお越しを心より・・・「挨拶は結構です。ラーシュ・ヒルCEOの所へ案内を。」
プロトコル・ドロイドが辻の来訪を歓迎する為、長々と挨拶しようとするのを遮り彼はラーシュ・ヒルの元へ案内する様に促す。
「失礼致しました。ではこちらへ。」
ドロイドは辻を先導しエレベーターへと向かう。程なくして到着するエレベーター。
「どうぞ。」
辻を先に招じ後に続いたドロイドはボタンを操作し目的の階へとエレベーターが昇ってゆく。・・・ここは元々はさる大企業の持ちビルだったのだが、経営悪化に伴い売却された際に海外の投資家が購入し、それをサブテキスト・マイニングに貸与している。エレベーターからは都心の景色が一望でき、それを見下ろすのは絶景ではある。
「いかがですかここからの景色は?中々のものだと私は思いますが?」
いささか得意気な口調でドロイドが辻に感想を求める。
「そうですね。」
辻はそっけなく応じたが、内心ではその都心に住む人々を見下すという行為に高揚を覚えていた。
(いずれこの国の全てを私が操る様にしてみせる・・・)
彼は表舞台に立つ政治家になるつもりはない。政治家すら操るフィクサーとして君臨する野望を抱いていた。
やがて最上階に到着したエレベーターが止まる。
「こちらでございます。」
そこは広々とした応接室だった。部屋の中心に居たラーシュ・ヒルが辻に笑みを見せながら歩み寄って来る。ベンチャー企業のCEOといえばどちらかといえば若い年代の者が多いが、ラーシュ・ヒルはかなりの年配者である。
「ようこそおいで下さいました辻様。本日はお忙しい中わざわざお呼びだてして申し訳ありません。」
「いえ。御社の我々に対するご厚意には感謝しております。貴社こそ取材などで多忙の中わざわざお時間を割いていただき恐縮です。早速ですが・・・」
握手を交わし社交辞令の挨拶もそこそこに本題に入る事を促す辻。
「はい。では我々の学園艦再利用プロジェクトをご覧下さい。」
辻がソファーに腰掛けるとプロトコルドロイドが部屋の電灯を消し、ブラインドを操作して外からの光を遮断する。一瞬真っ暗になった後部屋の中央、辻の眼前に立体映像が映し出される。
「辻様のご配慮で我が社が作業を受け持つ予定の大洗学園艦です。この艦を再利用して来たる戦車道世界大会のホームグラウンドとするのがこのプロジェクトの最初の目的となります。」
映し出された大洗学園艦を前に解説を始めるヒル。概要は2年後の世界大会の為に今ある学園都市を撤去しそこに新たに参加各国の宿泊施設や食堂施設などといったいわゆる選手村を建設する。というものだった。映像の大洗学園と周辺都市が消滅しそれがあった場所に宿泊用の仮設建造物と戦車倉庫が次々と建ち並んでいく。
「・・・・そして世界大会終了後は改めて我々に払い下げられ、IR推進法に基づいた超大型リゾート艦として運営していく事となります。こちらがプロジェクトの真の目的です。」
今度は仮設建造物が消滅していき、明らかに高級な建造物が出来上がって行く。
これは元々は大都市圏で行うはずであったIR推進法が各都市の首長や住民の反発が予想外に多く、頓挫しつつある状況から方針を転換し廃校となった学園艦にこれを造り運営していこうというものである。カジノ構想を含めたIR法は国土交通省、観光庁等様々な省庁の利権が絡んでおり、その中には学園艦を管理する文科省も含まれている。このプロジェクトが成功すればそれは莫大な富を産む事になるであろう。
「一つ懸念があるとすればこの艦は元々現学園長の個人的所有物で、彼が自らが学園長になる事を条件に茨城県にほぼ無償で提供している事です。彼がその権利を主張して来た場合は・・・?」
「その懸念は無用です。一旦学園艦とした以上は管轄は文科省になります。その学園長が何を言ってこようと無駄というものです。」
「そうですか。それを聞いて安心しました。あの方はいささか油断出来ない人物と見ておりまして。」
「一個人が
辻の見下したような発言にヒルは曖昧な笑みを返しただけだった。
「この大洗学園艦をIR事業に提供する事で辻様は大いに名を上げる事が出来ましょう。無論、我々はこれからも辻様を支援させていただきますとも。今後とも何卒ご贔屓に。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
辻は、口調こそ丁寧だがその声音や態度は明らかに尊大であった。それを気にも止めずヒルはドロイドに合図しブラインドを上げさせる。電灯も付き部屋に光が差し込む。
「ところで、その大洗女子学園ですが、戦車道に優勝した場合廃校の件は無しになる。という話を聞きましたが、万一にも優勝してしまった場合は如何なさるおつもりですか?」
「ふん、素人どもがどう足掻こうと優勝する事なぞあり得ませんよ。」
辻は必死に食らいついて来た大洗の生徒会の少女達を思い出しながら、苦々しく呟いた。
「ですが、先にも言いました様にパルパティーンは油断のならない相手です。どうやら強力な戦車も手に入れた様ですし万一という事も・・・」
彼女達は口約束ではあてにならないと一筆を所望してそれを得ている。どうやらその油断のならない学園長の薫陶の賜物だった様だ。しかし・・・
「例え彼女達が優勝しても廃校になる事に変わりはありませんよ。然るべく手は打ってあります。」
「ほう、そうですか?それはそれでいささか気の毒な気もしますな。」
「我が国で官僚に喧嘩を売るという事が如何に無意味で無謀な事かを思い知る事になるでしょう。」
「では、万一の際にこれはその手助けになるかも知れませんな・・・もっとも現行のルールを変える必要はありますが。」
そう言うとヒルは資料ファイルを辻に差し出す。
「・・・これは先の大戦の最終盤のベルリン攻防戦で連合国軍に多大な損害を与えた、第三帝国の最強の陸戦兵器です。我々の総力を挙げてようやっと見つける事が出来ました。今、其方で再建している『列車砲』よりも有益なモノとなりましょう。」
「ほう!これは凄い!だがどうやって?その兵器は跡形もなく吹き飛んだという話ですし、試作機等の別機体はもちろん、それの設計図など資料も当時の連合国軍が血眼になって探しても見つからなかったと言われてますが?」
辻は資料をめくり、超兵器の発見に一瞬喜んだものの、その兵器の末路を思い出し訝しげに質問する。
–
「繰り返しとなりますが我々が総力を挙げた結果です。お喜び頂ければ幸いです。」
「なるほど。情報の入手先は企業秘密という事ですか・・・まあ良いでしょう。ではモノだけはありがたく受け取る事にしましょう。ルールに関しては、コレは曲がりなりにも先の大戦で実戦に投入されている事は確かだったのですから頭の古い連中も強くは反対出来ないでしょう。」
「無限軌道以外の駆動形式を認めさせるのですな。」
「世界大会への布石としてそうなるでしょう。」
辻は不敵に笑いその眼鏡が妖しく光った・・・
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〜サブテキスト・マイニング日本支社CEO執務室〜
辻が帰っていくのを玄関先で見送ったヒルは支社の応接室に繋がるエレベーターとは別のエレベーターに乗り込み最上階へと進む。執務室に入る際、護衛のマグナガードに
「私が良いと言うまで誰も入れるな。」
と、厳命し入室していった。この忠実なドロイドはヒル自身が命令を解かない限りそれを守り続ける。
執務室室に入った彼はデスクではなく背後の本棚に向かい、そこから一冊の本を抜き出し、奥にあるボタンを押した。すると本棚が床下へ下がり通路となる。ヒルは通路を進み奥へと進んでいく。その先にはホロネット通信装置がある。ヒルは通信回線を開き正面に立つ。
「すまない、少々遅れたかな?」
「いや。時間通りだ。早速だが例の学園艦教育局長との会談から聞こう。」
ヒルの通信相手は黒いローブを身に纏い、フードで顔の上半分を隠しており口元しか映像に映っていない為、万一盗撮されていたとしても余人には素顔はわからないが、ヒルは彼の『素顔』を知る数少ない1人である。彼らは同郷で、ムウンと呼ばれる同一の種族であった。
「ふむ。彼はこちらの提案に満足していたよ。我々が
辻本人が聞いたら激怒しそうな事を平然と言ってのけるヒル。
「それは結構。せいぜい甘い夢を見させておこう。」
「だが、
「その点に関してはそもそも彼奴に匹敵する人材の方が居るまい。我等の存在を感じさせなければそれで良い。」
男の言葉に頷くヒル。確かにヒルの知る限りパルパティーンと互角以上の者はこの黒いローブの男だけで、多少劣っても他に挙げるとすれば皮肉だが大洗で教師をしている
「そのパルパティーンだが、我々の周囲を嗅ぎ回り始めた様だ。どう対処する?」
ヒルはパネルを操作して大柄ででっぷり肥えた男の映像を出す。
「流石だな。だが君のサブテキスト・マイニングを調べても私との繋がりは出ては来ん。好きに調べさせるが良い。」
「だがこの男、セイト・ペスタージュはパルパティーンの子飼いだけあって油断はならんぞ?」
「今は放っておくが良い。下手に手を出せば彼奴が直接乗り出す。いずれはそうなるが今はその時期ではない。監視を付けるくらいに留めよ。」
ローブの男は今はまだパルパティーンの前に姿を現す気は無かった。だがそれはあくまで『今は』である。そう遠くない未来に直接顔を合わせる事になるであろう・・・。
「ではそうしよう。万一の際の保険はかけておくべきだと思うが?」
「いざとなればサブテキスト社を売却してしまえば良い。好調なベンチャー企業が資産価値のあるうちに大企業に売却する。割とありがちな話であろう。向こうが不審に思ってもそうしてしまえば手繰り寄せる糸は無くなる。」
「うむ。元々ダミー企業だったものだからな。たいした未練も無い。だがあの辻との関係はどうするのだ?」
「学園艦関連の事業は別の会社を立ち上げて表向きはそちらに売却した事にするのだ。その旨をかの男に伝えておけば良かろう。もっともその関係はパルパティーンからあの艦を奪うまでの間だ。さほど気にする事もあるまい。」
「あの艦を手に入れ本来の姿に戻す。それが今回の目的だからな。」
「腑抜けとなった
ローブの男の口元が歪み邪悪な笑みを浮かべた。
「失礼致します。
マジスター・ダマスクと呼ばれたローブの男の背後からワン・フォーディが現れそう告げる。
「うむ、回線を繋ぐがよい。」
「かしこまりました。」
フォーディが恭しく一礼し映像から去る。程なくして複数の立体映像が浮かび上がった。
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彼等は皆、ダマスクに最敬礼をする。ダマスクは手を挙げて感謝を表すとそのまま座る様に手で促す。
「皆ご苦労。早速定例会を始めるとしよう。我等の計画は順調に進んでおる。ラーシュ・ヒルはこの国の文科省の官僚と関係を深め、あの艦の払い下げを確約させた。」
ダマスクがヒルを讃えヒルは一礼する。
「それはようございました。では早速支払い金を用意する事にします。」
「うむ、任せるぞサン・ヒル。マルス・トニス、その支払い金をいつものようにサブテキスト・マイニングに。」
サン・ヒルはラーシュ・ヒルの実子であり、
–ダマスク・ホールディングス–
–黒いローブの男、ヒーゴ・ダマスクを頂点とする影の商社である。世間の者は勿論、政治や経済の分野の長であってもその存在を知る者は殆ど居らず、片手で足りる程しか居ない。しかしながら、第二次世界大戦以降に現れたこの組織はこの世界の裏で著しく勢力を拡げ、世界経済を裏から操れる程になっていた–
「「かしこまりましたマジスター・ダマスク。」」
サン・ヒル、マルス・トニスが頭を下げる。無論この資金は直接サブテキスト社に流れる事は無く、複数の架空取引を通じてサブテキスト社に流れる様になっている。
「気になる報告があります。我等の警戒網を突破して一機の
警備部隊のトレンチ司令の報告にダマスクは動ぜず、それ以外の面々は周囲の反応を窺う。
–
「その機体は何処に降下したのかわかるか?」
テクノロジー部門の長、ワット・タンバーの問いにトレンチは警備艦隊の司令、マー・トゥークを呼び出して報告させる。
「申し訳ありません。実に巧妙な手段を用いたようで我々のスキャンには反応しませんでした。」
トゥークが謝罪し、トレンチも頭を下げる。
「一機だけなら大して問題にする事も無いと思うが?」
ラーシュ・ヒルがダマスクに伺いをたてる。
「気にはなるがな。警備の者達の責任を問う程では無い。」
「ありがとうございます。マジスター・ダマスク。」
「御慈悲に感謝致します。」
トレンチ、トゥークがそれぞれ礼を述べる。
「では次に・・・・」
・・・その後も彼等の会合はしばらくの間続いた・・・・・。
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〜???:ヒーゴ・ダマスクの研究所〜
会合が終わり、ラーシュ・ヒル達の立体映像が消える。ヒーゴ・ダマスクは立ち上がり、歩き始める。その背後にワン・フォーディが付き従い、二人は建物奥深くの研究施設へと入っていった・・・。
そこで最初に目に留まるのは図書室である。そこには書物や巻物そしてディスクやホロクロンが何列にも及ぶ書架に整然と並べられている。其れ等は一部の者達にしたら何を置いても手に入れたくなる物である。二人はそこを通り過ぎ、下降するスロープに乗り地下へと降って行く・・・。
降った先には地球ではオーバーテクノロジーと言える医療施設があった。更に地下奥深く進むとそこには様々な生き物を入れた檻が幾つもある場所へと繋がっていた。さながら大きな動物園とも言える場所でもある。更に先に進み、ダマスクが手をかざすと前方で『カチリ』と鍵が開く音がしてドアが開いた。中へと進み突き当たりの角を曲がるとそこは行き止まりだった・・・。
手術室の様な場所の中央には見上げる様な高いガラス状で出来た透明なタンクがあり、液体に満たされたタンクの中には男性らしき者が漂っている。
「マジスター、これが新しい懐胎の結果ですか?」
「そうだ。我等の新しい手駒となるべき者だ。」
懐胎と言っても普通の懐胎ではない。
男は未だ目覚める様子はなく静かに漂っていた。
ダマスクはそれを眺めながら独りごちる。
「こちらの準備は整いつつある。貴様はどうだ?パルパティーンいや
闇の帳が静かに降り始めていた・・・・・
次回予告:『スカイウォーカーの休日』
久々の休日、アナキン・スカイウォーカーは親子で東京(千葉)にあるテーマパークに訪れていた。そこでアナキンの息子、ルーク・スカイウォーカーは不思議な少女(お姉さん)に出会う・・・