ガールズ&パンツァーウォーズ   作:平四郎

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毎度お読みくださりありがとうございます。更新遅れて申し訳ありません(定期になってきたな・・・)GW過ぎたら落ち着くどころか余計に忙しくなった・・・。更にBD/DVDプレイヤーとしても使ってきたPS4が壊れる事態・・・ガルパン見られん・・・。

気を取り直して、13話サンダース戦前編です。原作とは少し違う流れになります。


第13話 サンダース戦始まります!〜1回戦前編〜

策を弄する者は得てして自らの策に縛られる。

 

大会開幕!西住みほを隊長とする大洗女子学園戦車道チームは1回戦の相手となるサンダース付属校と開始前の挨拶をする為、彼女達と相対していた・・・!

 

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〜1回戦:大洗女子学園対サンダース付属高校戦試合会場〜

 

サンダース校の待機場でアリサは副隊長のナオミと共に今手渡された大洗の編成表を見ていた。因みにそれを渡した隊長のケイは、先日潜入してきたオッドボール三等軍曹(秋山優花里)に挨拶して来ると笑顔で大洗の待機場に向かっていった。いい加減に見えるかもしれないが、これは副隊長のナオミと策士のアリサを信頼しているからこそ出来る行動である。

 

大洗女子学園戦車チーム編成表

 

     38(t )《フラッグ車》車長兼砲撃手 角谷杏

               操縦手    小山柚子

               通信手兼装填 河嶋桃

               サポート要員 R2-D2

 

 

     Ⅳ号戦車      車長     西住みほ

               操縦手    冷泉麻子

               砲撃手    五十鈴華

               通信手    武部沙織

               装填手    秋山優花里

 

 

     八九式中戦車    車長兼装填手 磯辺典子

               操縦手    河西忍

               通信手    近藤妙子

               砲撃手    佐々木あけび

 

 

     Ⅲ号突撃砲     車長兼通信手 エルヴィン

               操縦手    おりょう

               通信手    カエサル

               砲撃手    左衛門左

 

     M3中戦車リー   車長     澤梓

               操縦手    阪口桂利奈

               通信手兼装填 宇津木優季

               主砲砲手   山郷あゆみ

               副砲砲手   大野あや

               副砲装填手  丸山紗希

 

     ヤークトパンター  車長兼通信手  ナカジマ

              操縦手     ツチヤ

              砲手     ホシノ

              装填手    スズキ

 

 

    ポルシェティーガー 車長     アソーカ

              操縦手    ウォルフ

              砲手     レックス

              通信兼装填手 グレガー

 

 

 

 

              

              

 

 

   

 

 

 

 

                    

         

 

 

 

 

 

 

 

 

「してやられたな。ヤークトパンターにポルシェティーガーとは・・・」

 

ナオミがリストと大洗側に整列している戦車群を見て嘆息する。アリサが事前に入手していたリストと違う戦車が二輌。しかも強力なヤークトパンターに、故障の多さから欠陥品扱いされているとはいえ(ティーガー)の異名をつけられているポルシェティーガーである。

 

「ぐぬぬ・・・用務員(大人)を使ってニセ情報を掴ませるなんて卑怯よ!」

 

アリサが、ケイと和やかに会話している大洗の連中を睨みつけながら呻く。実際には、みほ達が預かり知らぬ所で学園長であるパルパティーンが勝手に用務員に化けてアリサに聖グロリアとの練習試合の際のリストを手渡したのだが、そんな事とはアリサは知る由も無い。

 

「フン!ま、いいわ。戦車は強力でも昨日今日乗り始めたばかりのシロウト同然の相手なら問題無しよ!コッチの切り札で目にモノを見せてくれる!フフフ・・・」

 

「イヤな予感がするな・・・」

 

自信満々のアリサに対し一抹の不安を覚えるナオミだった・・・・。

 

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優花里との挨拶を終えたケイが去っていった大洗陣営は作戦会議を始めていた。

 

「あのケイという方はとても通信傍受を計る様な人には思えませんでしたね?」

 

「確かにとても爽やかで正々堂々とした方とお見受けしました。」

 

優花里と五十鈴華がケイの人柄とサンダースが仕掛けてくるであろう盗聴作戦と結びつかず首をかしげる。

 

「・・・別に彼女が作戦を考える事も無いだろう・・・むしろ彼女が預かり知らぬ所で作戦を考える者が居るかもしれない・・・」

 

「そんな事あるの?」

 

「参謀とはそういうものだろう・・・ウチは西住さんが隊長と作戦立案も兼ねているから分かりづらいかもしれんがな。」

 

朝に弱い冷泉麻子が未だ半分寝ている様な様子で、武部沙織達にそう説明する。ケイに勝利を掴ませたい故に、彼女が望まぬ事をしてでも勝ちにいく者が出てきても不思議はない。それだけ慕われているという事だ。

 

 

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〜サンダース付属対大洗女子学園観戦エリア〜

 

「大洗も中々戦力を整えて来た様ですね、ダージリン様。」

 

観客席から少し離れた場所の小高い丘の上で、整列する両校を眼下に見下ろしながら聖グロのオレンジペコは、傍らで澄まし顔で紅茶を飲むダージリンに問いかける。

 

「戦車を揃えてもそれを扱う人がいなければ、下馬評通りサンダース有利に変わりはないでしょう。」

 

強豪校であるサンダースと復活したばかりで戦車道経験者がほとんど居ない大洗とでは多少強力な戦車があろうともその評価が変わる事はなかった・・・のだが。

 

「それはご本心からですか?」

 

「ふふ、どうかしら?」

 

オレンジペコの問いに澄まし顔のまま返事をするダージリン。カップを置き、大洗陣営の方へ顔を向ける。その視線はポルシェティーガー、否、アソーカ達チーム501と隊長であるみほに注がれていた。

 

(さて、お手並み拝見させてもらいますわ、アソーカさん、そして西住みほさん・・・・)

 

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〜大洗陣営〜

 

「んで西住ちゃん、作戦は昨日の打ち合わせ通りでいーの?」

 

生徒会長にして今回のフラッグ車の車長も務める角谷杏がみほに確認をする。もっとも試合が始まれば操縦は小山柚子に、その他の事は河嶋桃とサポート要員のR2-D2に丸投げするつもりである。

 

「はい。とりあえず偵察のアヒルさんチームとうさぎさんチームを除いて会長さん達を中心にまとまって動いてもらいます。」

 

「うさぎさんチーム?ああ、一年生のM3の事か。」

 

桃が首をかしげるが直ぐにそれぞれの愛称(コールサイン)を思い出す。

 

「改めて確認しておきましょうか?」

 

柚子の一声でそれぞれの愛称を確認する事にした。

 

生徒会の38(t)はカメさんチーム、バレー部の八九式はアヒルさんチーム、歴女チームのⅢ突はカバさんチーム、先述の1年生チームがウサギさんチーム、自動車部のヤークトパンターがレオポンさんチーム、チーム501のポルシェティーガーはコイ(鯉)さんチーム、そして西住みほ達のⅣ号があんこうチームである。因みに本戦から彼女達はお揃いのパンツァージャケットを着ており、その背中にはそれぞれのチームの絵が描かれている。尚、レックス、ウォルフ、グレガーの3人はどうにもスカートだと動きづらい。という事でロングパンツスタイルとなっている。

 

「アヒルさんチームとうさぎさんチームにあえて無線で指示する事で相手が無線傍受をしているか?を確認するという事だな。」

 

「あ、あの、私達大丈夫でしょうか?」

 

カバさんチームの車長を務めるエルヴィンがアヒルさんチームとうさぎさんチームの方を見ながら頷く。それに対してうさぎさんチームのリーダーとなった澤梓が若干青ざめながらみほに問う。

 

「西住さん、私達の戦車(ポルシェティーガー)はエンジントラブルで動けない。修理が終わったら貴方達に合流する様に行動開始するけど、そこで()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「了解です。ではコイさんチームは修理を完了したら速やかに合流して下さい。」

 

みほが心得たとばかりに笑顔でアソーカ達に指示を出す。

 

「了解!直ちに修理を行います!」

 

アソーカはみほに敬礼してポルシェティーガーへと向かう。

 

「えっとつまりどういうことですか?」

 

「君達の後ろには我々がいる。もし敵に見つかったら安心して全力で逃げればいい。」

 

「ただし、戦車からは降りないようにな。」

 

「あ、あはは・・・・」

 

レックスとグレガーがウサギさんチームへ冗談混じりのアドバイスを送る。それに苦笑する梓達。

 

「もちろんアヒルさんチームの方にも行くかもしれない。」

 

「その時はよろしくお願いします!」

 

ウォルフの言葉に元気よく返事をするアヒルさんチームの面々。こちらのチームの士気は高そうだ。

 

「そろそろ時間ですね。では皆さん戦車に搭乗して下さい。」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

みほの指示に従い皆それぞれ自分の戦車へと乗り込んでいった。

 

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〜サンダースフラッグ(アリサ)車〜

 

アリサはヘッドホンの中で行われている会話に集中していた。

 

《こちらコイさんチームアソーカ。ごめんなさい西住さん、ポルシェティーガーはエンジントラブルで動けないわ。修理してから皆と合流する。》

 

《こちらあんこうチーム西住。了解です。修理が終わったら改めて連絡ください。》

 

《了解。アソーカ以上。》

 

《では他の皆さんは行動開始して下さい。パンツァーフォー!》

 

「フフフ・・・ポルシェティーガー(張子の虎)はしばらく動けない。先ずは偵察のM3から血祭りにしてくれるわ。」

 

「ケイ、先ずは・・・」

 

アリサはケイを無線で呼び出し、ウサギさんチームのM3が向かおうとするポイントへの待ち伏せを指示した。

 

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〜ウサギさんチーム〜

 

「や、やっぱり来た!?4、5・・・どんどん増えてく!?」

 

梓が上部のハッチから頭半分だけ出しサンダースのシャーマンが近づいて来るのを確認した。その数9輌。ほぼ全車がこちらに来た事になる。

 

「どど、どうするの?」

 

「西住さんの指示どおりに動くの!桂利奈、全速力で逃げるわよ!」

 

「あい!」

 

M3は反転し一目散に逃げ出す。直後に複数の砲弾が炸裂した。

 

「優季はあんこうチームに無線でこの事を伝えて!」

 

「でもでも無線は・・・」

 

「そう。でも向こうはこちらが傍受されてる事を知っているとは気づいていない。だから今は普通に無線を使うの!」

 

優季の懸念に梓が説明して通信させる。これでサンダースが無線傍受をしている事が証明された。この後の事はみほやアソーカがなんとかしてくれる事を信じるしかない。

 

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〜コイさんチーム〜

 

「修理完了。いつでも動けるぞ。」

 

「では、行きましょうか。」

 

グレガーの報告に頷きアソーカが号令する。ポルシェティーガーは実際にエンジントラブルを起こしていたのだったが、それを修理して行動を開始するところであった。

 

「ウサギさんチームの面々が我々が本当に故障しているのを知ってたらああも素直に動いてくれたかな?」

 

レックスが苦笑混じりで誰にともなく問う。

 

「どうだろうな。だがもう済んだことだ。」

 

「フ、そうだな。彼女達はしっかり役目を果たしてくれている。」

 

ウォルフの言葉に頷くレックス。その時、そのウサギさんチームからの通信が入ってきた。

 

「どうやらサンダースがウサギさんチーム(彼女達)に食いついた様ね。ウォルフ、急いで!」

 

「了解です。」

 

ウォルフは返事とともにアクセルを全開に踏む。その間にみほからの無線がアソーカの耳に届くがこれは欺瞞情報である。本命は・・・

 

「武部さんからのメールが届いたわ。私達はこのままウサギさんチームの援護。他のチームはアヒルさんチームと合流してサンダースの裏をかく。」

 

そう、みほは相手が無線傍受をして来た時の為の対抗策として、携帯メールで本当の指示を皆に出す様にしていたのである。これはメールの早打ちが得意な沙織あっての策であった。

 

「なるほど。我々は単独で遊撃というわけですね。」

 

「コイツは故障さえしなければ火力も装甲も一級品です。問題無いでしょう。」

 

「では故障しない様に祈っておく必要があるな。ハハッ」

 

アソーカが沙織のメールで届いたみほの指示をレックス達に伝える。ウォルフの言う通り、ポルシェティーガーならシャーマン相手なら1対他でもそうそう後れをとる事はない。但しグレガーの言う様にそれは故障しない事が前提の行軍になる。ポルシェティーガーはウサギさんチームとの合流予定地点へと走っていった。

 

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〜サンダースフラッグ車〜

 

「ケイ?次は・・・」

 

アリサは大洗の隊長からの無線を聞きながら次の策を指示していた。それを了解したケイはM3を追撃する1輌を残して指示されたポイントに全車で向かっていった。アリサは地図を眺めながら、追撃しているシャーマンからの報告されたM3の向かっている方向が先程傍受した無線の指示と違う事に首を傾げる。

 

「それにしてもこのM3どこに行こうってのかしら?さっきの指示とはてんで違うトコ向かってんだけど?」

 

ウサギさんチームはみほから指示された合流ポイントとは全く違う方向へ走っていた。

 

「慣れてないから自分達がドコ走っているか分からなくなってんじゃないですか?」

 

操縦席からそんな言葉が返ってくる。それにアリサも同意する。

 

「そうね。素人がいきなり実戦でテンパってわけわかんない事になってるだけね。」

 

アリサが仕入れた情報によると、どうやら大洗はこの大会で敗退すれば即廃校となるらしい。その初戦が自分達サンダースだったとは大洗は余程運が無かった様だ。

 

(気の毒だけどアンタ達とはここでサヨナラよ)

 

アリサは自分達の勝利を微塵も疑ってなかった。

 

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〜コイさんチーム〜

 

ハッチから身を乗り出して周囲を警戒しているアソーカの耳に砲声が聞こえてきた。

 

「居たわ!10時の方向!ウサギさんチームよ!」

 

「了解。」

 

アソーカの言葉に落ち着いて左へ操縦桿をきるウォルフ。

 

果たしてウサギさんチームのM3は追ってくるシャーマンの砲撃を躱しながら丁度アソーカ達の方に向かってくる様な形となった。

 

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〜ウサギさんチーム〜

 

「あれは!?桂利奈、右!」

 

「あい!」

 

梓の号令で右に急旋回して曲がるM3。大野あやが顔をぶつけてメガネが割れた・・・

 

「撃破されてないのに!?」

 

その後ろでシャーマンが砲弾を放つ。結果的にM3はそれを回避した形となり、砲弾はポルシェティーガーの正面装甲に当たった。それはM3の後部もしくは側面装甲なら貫けるハズのものだったが、ポルシェティーガーの正面装甲には弾かれるだけに終わった。

 

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〜コイさんチーム〜

 

「お疲れ。」

 

その一言とともに主砲を撃つレックス。その砲弾はシャーマンの装甲を易々と貫き、シャーマンから白旗が上がった。

 

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〜観戦席、大洗教師用エリア〜

 

「ふむ、1輌撃破か。中々順調だな。」

 

「ですがこれで相手も目が覚めるでしょう。ここからが本番ですよ。」

 

生徒達の戦果に感心するケノービに対して、サンダースもこれで本気になるだろうと指摘するアナキン。試合はまだ始まったばかりである・・・・・。

 

 




無線傍受を逆手に取り、優位に試合を進める大洗女子学園。しかし、サンダースの切り札ファイアフライを駆るナオミはその事に疑問を持ち、独自に行動を開始するのだった・・・

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