※『』はメールでのやりとりになります。
結論を言うなら、すごいライブだった。
佐伯がハマる理由も分かる。どの曲からも沢山の苦労や挫折を乗り越えて強くなってきた、彼女たちの軌跡が沢山の色で感じられた。
音楽で感情を伝えることは出来ても、自らの歩んできた軌跡を音で伝えるのは本当に難しい。演奏技術こそまだ未熟だが、伝える力、音楽で表すという点においてはプロ顔負けのモノを持っているだろう。
それは彼女達が音楽に対して人一倍本気で向き合っている証拠。
.....少し羨ましく思う。こんな音楽を奏でることが出来たらどんなに楽しいか。
〖カフェ〗
『感想聞きたい!!!』との香澄のうっきうきのメールを見て、カフェで待っていた。
短い道中で、さっきまで同じライブを見ていたのであろう人たちの晴れやかな話が耳に入る。
「すっごいライブだったね!」「次も見に来ようね!」「ポピパさん...!やっぱり素敵だなぁ...」「初めてのライブがポピパでよかった!」「戸山さんの歌...やっぱり素晴らしい...一生ついていこ」
なんか見知ったやつもいた気がしたがきっと気のせいだ。
そんなこんなでカフェの真ん中らへんの、ポピパのみんなが来ても大丈夫な席に座る。
座って一呼吸置くと同時に、キラキラ輝く彼女たちの姿と音が再び目に浮かぶ
(あ゛ぁ゛~~~~ほんっとにすごかったな...)
深く余韻に浸る。
10分後
「志輝くーーん!!!」
「香澄?!もう来たのか」
「志輝くんっ!私たちのライブどうだった!!!」wkwk
「めっちゃわくわくしてるとこ悪いけど、ちゃんとみんな揃ってからな。ほら、有咲とかバテバテじゃん。」
「か、香澄...速すぎだー…!」ゼェゼェ
「香澄速~い」
「えへへ~ごめんね~すっごくいいライブだったから、早く志輝くんに感想聞きたくなっちゃって!」
「まぁ確かにここ最近で一番盛り上がったライブだったよね~」
「それでそれでっ!ライブどうだった?!」
「あぁ、凄かったよ。一人一人は全然違う音を奏でてるのに、5人集まると星座みたいに綺麗に繋がるんだ。まるで真っ暗な夜空に一際輝いて見える星たちみたいだったよ。」
「おー!私たち星みたいだって!!やったね有咲!!」
「星って言われて喜ぶのはお前くらいだろぉ?ま、まぁそういう詩的な表現も悪くは無いけど....!///」
「あ〜有咲が照れてるー!」
「有咲ったら〜可愛い〜」
「おたえに沙綾もやめろよ!!って香澄はくっつくなーー!!!!」
「ふふ、でも星なんてとっても素敵だね。ありがとう志輝くん」
「うん。また見に来るよ」
「そういえばさっきから気になってたけど、それギターでしょ?志輝もやってるの?」
「あぁ、ちょっと早めにcircle来てライブまでの時間でやってたんだ。」
「ホントだー!志輝くんの演奏聴きたーーい!!あ、そうだ!これから有咲の家の蔵で志輝くんのクライブやろうよ!!!」
(くらいぶ?....有咲の家の蔵でライブだから...クライブかなるほど。って有咲さん家に蔵あるの...?)
「は、はぁ?!そんな突然家に連れてってライブなんて駄目に決まってんだろ?!?!」
「えぇ〜〜あ〜〜りさ〜〜〜〜」
べったぁ〜〜と有咲にくっついて駄々をこねる香澄と「お前が何とかしろ」とでも言いたげな目をこちらに向ける有咲。
完全に外部の人間である俺絡みである以上ツッコみづらいのだろう。
「志輝くぅ〜〜ん....( ;ᯅ; )」
うっ、そんな顔で見ないでくれ....ん?あそこのクマの銅像のところ....
「香澄?有咲もこう言ってるし、有咲の家はやめておこう」
「Σ(|||▽||| )ガーン」
「その代わり今からそこの銅像のところで路上ライブするよ」
「えぇいいの?!やったーーー!!!」
「いいのか?香澄のわがままに素直に付き合ってると苦労するぞ...」
「あはは...覚えておくよ」
ミッシェル銅像前
「志輝くんの演奏楽しみだね!」
「うん!志輝君のアコースティックギターカッコよくて似合ってるよ!」
「志輝ー!いつでも飛び入り参加の準備は出来てるよー」
「志輝のライブなんだから乱入すんなよ~?」
「写真撮る準備はできてるからね〜!カッコイイところたくさん撮るよ!」
(みんな期待しすぎよ...笑)
背中を向け準備をする。
少年準備中...
「志輝くんのライブ楽しみだな~」wkwk
「あの背中...志輝はできる人だよ...!」
「おたえ分かるの?!」
「ううん、勘だよ」
「勘かよ!」
「でも準備もかなり手慣れた感じだし、おたえの言うことも間違いじゃないかもね」
「あれ?志輝君眼鏡外してる」
「ほんとだー!本気モードって感じかな!!」
「そんな厨二臭いのはないだろ」
「もしかしたらなんかかっこいい目だったりして」
「もっとないだろ!」
少年準備完了!!
ギターの準備も喉の準備も曲決めも完了し、少しの緊張と不安を心の奥に押し込み、五人からの期待のまなざしを背中から真正面に受け、ライブが始まる。
音の調子は悪くない。少し暗くも見えるが多分緊張からくるものだろう。
しかし
「...ッ!」
正直、こうなるんじゃないかと予期していたことではある。やはり注目は一瞬志輝の目に注がれる。
(こんな目のやつが出できたらそりゃあビックリするよな)
だが、
(...え?)
一瞬の驚きの視線はすでになく、五人はただ真っすぐに志輝の奏でる音に向き合い、確かに受け止めてくれていた。
(...)
「ふぅ...ありがとうございました!」
パチパチパチパチ!!
五人から始まったライブも、すっかりたくさんの人で溢れている。
五曲ほど演奏したが、曲の合間は皆その星空のような目に、来る人は興味津々というような視線を送る。
しかし次の曲、また次の曲と演奏を重ねていくたびにその視線は少なくなり、彼の奏でる音楽に耳を傾け集中し、20分ちょっとのライブが終わるころには皆、彼の音楽を名残惜しく思っていた。
「すごかったよ志輝くん!!!静かだけど心の中にぐわぁ~って音が入ってきたみたいだった!!」
「うんうん!ギターもすごく上手だったよ。私の勘は当たってたね...!」
「...」
「志輝君?ボーっとして大丈夫」
「あ、あぁ...なんかびっくりっていうか...てっきりライブそっちのけで目のことばかり言われると思ってたから」
「たしかにね~。志輝の目を見たときはびっくりしたけど、曲を聴いてて思ったんだ。『あの目と合わせて志輝の音楽が在るんだ』って」
「...!」
「私も思ったよ。多分私たちが楽器で自分の音を表現するなら、志輝君は楽器と歌とその目で表現してるんだろうなって!」
「そうだぞ~。そのインパクトに負けないくらい志輝の音楽がすごかったから、香澄はじめみんなお前のこと認めてるんだ。」
「う~ん...志輝の目はよくわからないけど、志輝の音楽がすごく良いってことはわかるよ!」
「志輝くんに感じたキラキラドキドキの正体。はじめは志輝くんの目のことだと思ったんだ。でも曲が始まった瞬間すぐに違うってわかった...私にとって志輝くん自身がキラキラドキドキだった!!」
キラキラドキドキがなんなのかはいまだにわからないが、気持ちは伝わった。俺の曲を聴いてもらえたことが何よりもうれしくってしょうがない
「あっ!これからスタジオのバイトだった!!それじゃ私行くから!みんなまたねー」
「いや間が悪すぎるだろ!」
「もう結構いい時間だし、それじゃあ今日は解散しよっか!」
「そうだね。香澄ちゃんと有咲ちゃんと志輝君はどうするの?」
「わたしは帰るわ~。もうへっとへとだ~」
「俺もかえるよ」
「えぇ~!みんな帰っちゃうの~?!」
「ほら、香澄!帰るぞー!」
「うぅ~...」(´;ω;`)
ハロハピに出会ったり、ポピパのライブ見たり、自分が路上ライブしたりと波乱の一日だった。
だけど間違いなく、俺の中で何かが変わった日でもあった。
おまけ
夜ベッドでウトウトしながらスマホを見ていると一通のメールが
佐伯『今日のポピパのライブ来ていたな!!!素晴らしかっただろ?!!!!』
(んぁ?ってなんだ佐伯か。まぁあんなライブ見たら熱狂する気持ちも分かるな)
志輝『あぁ、凄かったな。佐伯がファンになる気持ちも分かった』
そういえばりみから伝言預かってるんだった。
志輝『そういえばお前に伝言を預かってんだ』
佐伯『͡° ͜ ʖ ͡° ) what?』
志輝『いつもライブ来てくれてありがとう。だってさ』
...あれ、既読ついてんのに返事がこn 『くぁwせdrftgyふじこlp?!?!?!?!?!?!』
志輝『www』
佐伯『......』( ꒪Д꒪)
あぁ、歓喜のあまり魂抜けたなこれ
書いてるうちにいろいろ浮かんできて何度も何度も書き直しちゃう...w