創作ウマ娘:パンダトレノ   作:ふゆうさぎ

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いつものハチのお話。
本編の続きは早めに投稿します。

登場人物が多いため、下に書いておきます。

前編…ハチゴー、メジロパーマー
後編…ハチゴー、サユキトレーナー
後編…ハチゴー、シンボリルドルフ、エアグルーヴ



25.5話.ハチゴーの進路

 

 ライスシャワーさんとのバトルが終わった次の日。

 私は久しぶりに中央トレセンへと赴いていた。

 用事は、ライスシャワーさんのトレーナーさんにある。

 日曜日ということもあり生徒の影は少なく、全く違う制服を着ている私を凝視するような視線は感じない。

 

 

「ここ来るのも、一か月ぶりかぁ」

 

 

 事前に連絡を入れておいたためか、校門前の警備さんに怪しまれることは無かった。

 入校許可書も無事に貰うことができて、私は校内に足を踏み入れる。

 今回迎えはおらず、私は一人で目的地まで行かなければならない。

 

 

「えーっと……今ここにいて、職員室がそっちにあるから……トレーナー室があっち……?んん?」

 

 

 中央の建物は群馬トレセンに比べてとてつもなく広い、そんなこと分かりきっていたはずなのに、あっけなく迷う私。

 来客用入口から入ってすぐの場所にあった地図を思い出しながら動き回るものの、完全に迷子状態だ。

 あっちに右往左往、こっちに右往左往、階段を上がったり降りたり。

 そのうちに目が回り始めて、私は目の前にあったラウンジに逃げ込んだ。

 自販機の前にある椅子が四つある机に千鳥足で向かい、座ってすぐに足を放り出す。

 

 

「トレーナー室どこぉ……?」

 

 自販機で買った水をあおって、オーバーヒートしかけた脳みそを強制冷却した。

 少し落ち着いてきて辺りを見渡してみれば、生徒はほぼいなくて閑散としている。

 前回来たときの喧騒が嘘のように思えてしまい、私は少し寂しさを覚えた。

 

 

「おーい、そこの彼女!」

 

 

 誰かが声を張った。

 声が飛んできた向きからして、ラウンジにいる誰かに声をかけたのだろう。

 こんなセリフは友人同士のノリでしか通じないため、私に向けたものではないのは確かだ。

 

 

「あれ?聞こえてない?ここのトレセンじゃない制服のキミー?」

 

 

 前言撤回、私だ。

 おそるおそる声の発生源である方向に顔を向けると、そこにいたのは茶髪の前髪に流星を持ち、後ろ髪をポニーテールのようにまとめているウマ娘。

 TVで何度も見たことのあるその顔に、私は声がひっくり返った。

 

 

「めっ、メジロパーマーさんっ!?」

「お、私のこと知ってるんだ!そう、パーマーさんだよ!」

 

 

 メジロパーマーさんは小走りで近づいてきて、正面の椅子の横に立った。

 

 

「ここ、座ってもいい?」

「もっ、もももちろんっス!どうぞどう!」

「ありがとね!それじゃ、失礼~♪」

 

 

 目の前の席にハンカチを敷いて、上品に座るメジロパーマーさん。

 その姿は群馬トレセンにいるようなギャルとは真逆で、まさに清楚系ギャルである。

 いや、メジロという名を冠しているのだから、正しくはお嬢様清楚ギャルなのかもしれない。

 

 

「キミ、名前は?どこから来たの?」

「わっ、私、ハチゴーって言います!群馬トレセンから来ました!」

「ハチゴーちゃんか……そうだ、ハチちゃんって呼んでもいいかな?」

「ハチっ……!はい、はい!よろこんで!」

「そっか。それじゃ、私もパーマーでいいからね~」

 

 

 著名人にあだ名で呼ばれ、向こうもあだ名で呼んでいいなど、私は前世でどんな徳を積んできたのだろうか。

 そんな感動に浸っているのも束の間、パーマーさんは私に質問を投げかけてくる。

 

 

「ハチちゃんさ。さっきからこの辺りをずっとウロウロしてたけど、どっか行きたいの?」

「あ、はい。実はトレーナー室を探してるんですけど、広すぎて……」

「アハハ、ここ広いから迷っちゃうよね~!ところで、誰を探してるの?」

「えっと……サユキトレーナーを探してます」

 

 

 パーマーさんの質問にそう答えると、パーマーさんは少し首を傾げた後、手の平に拳をポンと置いていかにも思い出したという仕草をした。

 

 

「さゆき……サユキ……ああ!あの蒼い車に乗ってるトレーナーさんかぁ!あの人なら多分、練習用のコースにライスシャワーちゃんと一緒にいると思うよ」

「練習用のコース?」

「うん。ほら、あそこ」

 

 

 パーマーさんはラウンジの窓から見えるターフコースを指さした。

 窓際まで移動して見てみれば、ストップウォッチを持ってライスさんのタイムを計っているトレーナーが見えた。

 

 

「あ、トレーナーさん!」

「見つかった?良かった~!」

 

 

 私はさっきまで座っていた席に置きっぱなしになっていたペットボトルをかっさらうと、廊下に飛び出す。

 すぐにパーマーさんへのお礼を思い出し、少しだけ振り返って、パーマーさんに手を振った。

 

 

「ありがとうございましたパーマーさん!」

「どういたしまして!じゃあねハチちゃん!」

 

 

 手を振り返されたのを見てから、私は前に向き直った。

 階段を駆け下りて、玄関でシューズに履き替えてトレーナーのいるコースへ向けて走り出す。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 渡り廊下を横切って、グラウンドの見える開けた場所へと出た。

 目の前にあるのはダートコースで、トレーナーのいるのはその隣のターフコースだ。

 

 

「サユキトレーナー!」

 

 

 私はコースの横の土手を全力で走り、トレーナーの下へ向かう。

 私の声が届いたのか、トレーナーは私を見て手を振った。

 

 

「ハチちゃん!昨日ぶりだね!」

「はい、昨日はお世話になりました!」

 

 

 少しだけ額に滲んだ汗を袖で拭う。

 走っているライスさんを見てみれば、碓氷峠での走りとは違った力強い走りをしていた。

 その姿に無意識に感嘆を漏らしていると、トレーナーは小さく笑った。

 

 

「意外?」

 

 

 トレーナーのその一言に、私の思っていることが見透かされているのに気づく。

 私の目に映るライスさんの姿は、一言でまとめるならば『意外』の他の言葉では表現できない。

 碓氷峠であれほどの走りをしておきながら、平地のレースの走りでも十二分な走りをしている。

 二足の草鞋を履くのがどれほど大変か、自身でしたことが無いから想像などつかないけれども、想像を絶するような苦労があるのは間違いないだろう。

 

 

「……はい。ライスさん、凄いです。練習でこのペースだなんて、信じられません」

「ライスはもっとペース上げられるよ。今はウォーミングアップ中だから、ちょっと軽めなだけ」

「これで軽め……?これが、ホンモノ……」

「なに言ってんのよ。ハチちゃんもなるんでしょ?ホンモノに」

 

 

 サユキトレーナーは手元のバインダーから一束の紙を外して渡してきた。

 一枚目の紙に「本格化を過ぎた後に行うトレーニング理論」と書かれている。

 それを受け取り何ページか捲ってみれば、中は教官がいつも唸りながら読んでいるような文章の羅列。

 

 

「……なるほど。もう私は、これくらいやらなきゃ追いつけないってことですね」

「残念だけど、そういうこと。本格化を過ぎれば後は衰退していくだけ。維持することすら難しいのに、ここからトレーニングなんて……正直、無茶だと思うわ」

「……ぐうの音も出ません。でも私は……」

「やるんでしょ?知ってるわ」

 

 

 トレーナーはライスさんから私に視線を移す。

 笑って、背中を叩いてくれた。

 

 

「月並みの言葉になっちゃうけど、ハチちゃんならきっとできるわ!その脚を抱えながらも諦めずに峠を走り続けてきたあなただもの。きっとそれは何よりも武器になるはず」

「諦めないことが……武器ですか?」

「そう。こんなこと言っちゃトレーナー失格だけど、結局最後にモノを言うのは、ターフを走るウマ娘自身の諦めない心と根性だと思うのよ。だから、きっとハチちゃんは勝てるわ」

「……その言葉、信じます」

 

 

 私はトレーナーに頭を下げて、頂いた資料を持ったまま再び校内に戻る。

 次に目指す場所は、シンボリルドルフさんのいる生徒会室だ。

 

 

 

 * * *

 

 

 

 今度は校内地図をしっかり確認してから歩き、迷わずに目的の場所である生徒会室に来ることができた。

 しかし私は、重厚な扉を目の前にして二の足を踏んでしまっていた。

 

 

「やっぱ……プレッシャー感じるなぁ」

 

 

 どう入室したものかと考えあぐねていると、後ろから声がかけられる。

 少し低めの、鋭い声。

 

 

「おい貴様」

「えっ。あ、はい……?」

 

 

 振り向くと、そこにいたのはルドルフさんの側近、もしくは右腕とも言えよう人物、エアグルーヴさんだ。

 彼女はオークスと天皇賞秋を制し年度代表ウマ娘にも選ばれた、女帝の異名を持つ実力派ウマ娘。

 有象無象の中にはいない、光り輝くウマ娘の一人。

 

 

「貴様……確か会長の」

「は、はい!群馬トレセンから来ましたッス、ハチゴーと言います!」

「会長に何か用か。あるならば早急に済ませろ。会長も暇ではない。呼ぶからここで待ってろ」

 

 

 そう言うとエアグルーヴさんは扉を叩き、扉の向こうに入っていった。

 閉められた扉に私は耳を当てる。

 盗み聞きだ。

 

 

「会長、失礼します」

「ああ、エアグルーヴか。各職員への周知は済ませてくれたかな?」

「はい。それと、別件の資料について、理事長からの許可も取ってまいりました。サインは既にこちらに」

「そうか。ありがとうエアグルーヴ」

「……会長、もう一つあります……おい、入れ」

 

 

 部屋の中からのエアグルーヴさんの言葉に急いで扉から離れ、開く扉に当たらないようにする。

 開いた扉から細い目で私を睨むエアグルーヴさんに気を飲まれそうになりつつ、開けてもらった扉をくぐって生徒会室に入った。

 部屋の中には、眼鏡をかけて書類を読みこんでいるルドルフさんが顎に手を当てている。

 こちらに視線を向けたルドルフさんは私を見るなり目を見開き、手帳を確認してから眼鏡を外し、席から立ち上がった。

 

 

「ハチゴー君!来ていたのか!」

「あっ、はい。久しぶりッス、ルドルフトレ……ルドルフさん」

「……ああ、直接会うのは久しぶりだな。それで、今日はどうしてここに?来る予定にはなっていないが……」

「トレーニングも休みでしたので。それと、ライスさんのトレーナーさんに助言をいただいたので、その共有をと思いまして」

「なるほど……まさに磨穿鉄硯。その勤勉さ、殊勝な心掛けだな」

「ませ……?えっと、ありがとうございます?」

 

 

 理解できない言葉に首を傾げてしまうが、雰囲気で褒められていることは理解できたため、とりあえず頭を下げた。

 その私たちの会話と仕草を見ていたエアグルーヴさんは、ルドルフさんと私の会話の意図が掴めないのか、度々横目でこちらを睨んでくる。

 静観を決め込もうとして机上の書類の整理をしようとしていたらしいが、それを放棄して私たちの会話に割って入って来た。

 

 

「……あの、会長」

「ん?どうしたエアグルーヴ」

「いえ……その、彼女とはどういったご関係で?少し前から会長と親しくしているのは遠目に見ておりましたが……」

「……」

 

 

 予想外の所からの質問だったのか、ルドルフさんは目を泳がせて額に汗を滲ませている。

 私が何か言ったところで怪しまれるだけだと思い黙っていたが、ルドルフさんも黙ってしまえば怪しさは増すばかりだ。

 どうにかして誤魔化せないか、私が眉間に皺を寄せて思案しようよした、その時。

 

 

「……エアグルーヴ」

「はい」

「……悪いが、まだ教えることはできない」

「……そうですか」

 

 

 ルドルフさんは言葉を濁すこともせずに、エアグルーヴさんの疑問を断ち切った。

 それにエアグルーヴさんは耳を少し垂らしたものの、すぐに立ち直る。

 

 

「それでは、私は席を外します。少し外を歩いてきますので、終わりましたらご連絡を」

「……すまないなエアグルーヴ」

「いえ……それでは失礼します」

 

 

 エアグルーヴさんは踵を返してドアノブに手をかける。

 今にも部屋から出ていこうとする彼女に、ルドルフさんは咄嗟に声を出した。

 

 

「私は知己朋友の君に、中途半端なことを言いたくない。時が来たら必ず教える!それまで……待ってはくれないか?」

 

 

 ドアノブを回そうとしていた手を止めて、エアグルーヴさんは振り返る。

 どこか寂しそうに、でも嬉しそうに。

 

 

「……ええ、待っています。彼女……ハチゴーさんには、期待していますよ」

 

 

 一つ言い残して、エアグルーヴさんは部屋から去っていった。

 最後の一言が私たちの関係を暗に応援していることを意味しているのは、すぐにわかった。

 

 

「まったく……彼女には敵わないな」

「多分……いえ、もうバレてるんじゃないっスか?私たちのこと」

「聡明な彼女の事だ、もう分かっているだろうな」

 

 

 ルドルフさんも同じことを考えていたようで、少し困ったように笑った。

 私はエアグルーヴさんの言葉にプレッシャーを感じてしまい、肩が少し重くなったような気がした。

 

 エアグルーヴさんが去って少しして、話が変わる。

 ここに来た本題にだ。

 

 

「それで、私以外のトレーナーから貰った助言、というのは?」

「はい、これです。ライスさんのトレーナーさんからです」

「ライスシャワー君の……サユキトレーナーか。どれ……」

 

 

 サユキトレーナーから頂いた紙の束をルドルフさんに渡す。

 ルドルフさんは椅子に座ると眼鏡をかけて、その資料を軽く流し読みし始める。

 それから十分ほどして、ルドルフさんは細く長い息を吐き、眼鏡を外した。

 

 

「……なるほど、な」

 

 

 ルドルフさんは資料の上に手を乗せて、天を仰ぐ。

 まるで参ったとでも言いたげな表情で。

 

 

「……やっぱり、難しいですか?」

「そうだな……いや、そんなことは初めからわかっていたさ」

 

 

 でも問題はそこじゃない、ルドルフさんはそう言う。

 どういう意味か理解できない私は、頭上にクエスチョンマークを浮かべた。

 

 

「群馬ではもうレースは行っていない。そうなると、デビューの場所を選ぶことになる。それすなわち、転校を視野に入れなければならないということだ」

「……転校?」

「ああ。レースが開催されている別の地方トレセンで実績を作る。そして、まず君の目標を達成する」

 

 

 私の目標、1000mの壁を超えること。

 まずそれを達成すると言ったルドルフさんの、「まず」の意味がわからない。

 ますます困惑する私をよそに、ルドルフさんはトレーナーとしての目標を口にした。

 

 

「私のトレーナーとしての最終目標は……中央の重賞」

「じゅっ、重賞!?」

 

 

 私のリアクションに、ルドルフさんは頷く。

 中央の重賞ということはつまり、G3以上のレース。

 ルドルフさんの引退までに勝利したレースのほぼ全てが該当する。

 

 

「もちろん、そこに至るには一朝一夕にはいかない。順を追って目指していくつもりだ」

「い、いやいや!重賞って!無理ですよ私には!?」

「そう言うなハチゴー君。磨斧作針、どんな困難だろうと諦めなければ、必ず夢は成就する」

「そ、そんなこと言ったって……私、ルドルフさんみたいに強くないし……そもそも、皆みたいに普通に走れるわけじゃないし……」

 

 

 癖のように口に出した自己評価に自分の欠陥度を再確認してしまい、少し気分が落ちる。

 そんな私の気分を察したのか、ルドルフさんは私の肩に手を置いて励ました。

 

 

「君の才能はまだヴェールを被ったままだ。君の真の才能は、1000mの先にあるかもしれない」

「で、でも……ないかも、しれませんよ?」

「無かったら無かったで、また別の長所を探せばいいさ。それに、私の目標を無理強いするつもりはない。私が最優先で行わねばならないのは、君の目標の達成だからね」

 

 

 柔和な笑みで私に言うルドルフさんに、サユキトレーナーの姿が少し重なって見えた。

 私は自身の目標を最優先と言ってくれたルドルフさんの期待を裏切るわけにはいかない、そう感じた。

 

 

「……私、転校するなら笠松に行きます」

 

 

 口をついて出た言葉は、以前教官と話したことの結論。

 あの日から各所のトレセンとレース場について調べ尽くし、たどり着いた答えは教官が勧めた通りの場所だった。

 順を追うならば私が走り切れる距離で実際のレースの雰囲気を覚え、経験を積み、勘を育てるのが最適だろう。

 

 

「考えていたことは一緒か。私も、笠松を勧めるつもりだったよ」

 

 

 ルドルフさんはそう言い、引き出しから紙を一枚取り出した。

 何かと思えば、それは推薦状。

 私を群馬から笠松に行かせるためには必須レベルの代物。

 万年筆にインクをつけて、ルドルフさんはサインをさらりと書いて渡してくる。

 

 

「これがあればいつでも転校できる。推薦人を私にしておいた。親御さんのサイン、群馬トレセンにいる君の担任、教官、校長先生のサインも必要だが……私の名前を見ればすぐに書いてくれるだろう」

 

 

 自信満々に言うルドルフさんに、私は驚倒しそうになる。

 彼女の権力と影響力がこれほどまでに強いことに、改めてシンボリルドルフというウマ娘が卓越したカリスマ性を具有しているかを知った。

 私はその紙を受け取り、ファイルに挟んでカバンの中にしまう。

 

 

「ありがとうございますルドルフトレーナー。転校する時期を決めたらまた連絡しますので、よろしくお願いします」

「うむ、連絡を待っているよ。それまでは、この前渡したメニューに沿ってトレーニングを続けてくれ」

「わかりました。それじゃ、今日はここで失礼します」

「ああ。頑張ってくれよハチゴー君」

 

 

 頭を下げて、すぐに生徒会室を後にする。

 プレッシャーから解き放たれて軽い足取りに……なっていない。

 笠松での第一目標達成、最終目標の中央の重賞勝利、そして皇帝と女帝の期待。

 これらを背負って気楽になど、なれるわけが無い。

 

 

「でも……頑張ってみる価値は、十二分にあるよね」

 

 

 新しいプレッシャーにもう押し潰されそうになるが、私は使い物にならない自身の脚で踏ん張る。

 こんな脚を使えるものにしなければならない、それはルドルフさんに言われるまでも無い、最初に解決すべき最重要課題。

 爆弾を抱えてレースなど、走れるわけがない。

 

 

「……さて、帰ってトレーニングしなきゃね」

 

 

 私は小走りで中央トレセンを後にする。

 背中に期待を、脚に爆弾を。

 そんな状態でも、私は走ると決めたんだ。

 

 

「いつか、パンダたちをあっと言わせられるように……!」

 

 

 小走りから本走りに変えて、私はウマ娘専用レーンを駆ける。

 隣を走る車すら追い越して。

 走り始めた場所から1000m以内の物を、全てを追い抜いて。

 私は、群馬へ戻る。

 





ちまちま匂わせはしていましたが、今回でルドルフがハチのトレーナーであることを明言させました。
なおルドルフはまだ仮免なので、正式な担当契約ではありません。
その辺も追々書きます。

群馬の峠に行ってから本編を書くと言いましたが、行く機会が意外と早くきました(ニートでもやることはある)。
長野から碓氷峠を通って、妙義、榛名、赤城の順番で撮影しに回ってきましたが、非常に疲れました…9時間は運転した。
でもこれのおかげで良いバトル描写が書けそうですわ…苦労した甲斐はありましたわ。
愛車の黄色いスイスポちゃんは酷く汚れましたが、未だに洗車してません…洗ってあげなきゃ…
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