ハンター協会が暗黒大陸への進出を表明してから数日後、ビアーはピトーと模擬戦をしていた
「ウニャ――ァアアア!!」
「ほっ!」
しかしそんな奇襲もビアーは軽々と
「ウニャ!―――ニャニャニャニャニャニャンんん!!」
近接での追撃は危険と判断したピトーは四足獣としての
「よっ!はっ!とっ!ほいっと!」
しかしそれでもビアーはその全てを回避する。キメラアントの王との戦いで研ぎ澄まされた体術と感覚とそれを支えるオーラはピトーの嵐のような攻撃の僅かな隙間を問題なく見切り、避ける
「念弾もただ固めてぶつけるだけじゃ芸がないわよ。刃とか
「その手間も
ピトーが気合を入れるとビアーに向かっていた念弾が
強度も低ければ物質の結合や形状にもリソースを割いてない砂かけの目潰しだ。だがそれがビアーに届く前にその全てが吹き飛ばされる
「今のは中々良いわね。
ピトーの事を
「確かに前に戦った時も負けたけど、こんなに一方的じゃなかったはずなんだけどニャ〜」
生後間もないピトーは以前は欠けていた念の知識を下地に訓練を行い、数日前の自分より格段に強くなった。たかが数日でもピトーの持つ圧倒的な才能は凡百の念能力者の十年、二十年の努力で得られる成長力を凌駕する
それでも両者の間の差が開いているのは単純にビアーが王との戦いで得た経験値がピトーの成長を更に凌駕しているのだ
修行を終えた頃にはピトーは再びボロ雑巾のように地面に転がっていたのだった
▽
いや〜、やっぱりピトーは凄いわね。原作と同じで特質系な彼女は極端な苦手系統とか無いみたいでもう特質系ってだけで1つの『発』みたいなもんよね
ビスケに教えてもらうまでは私も勘違いしてたんだけど、てっきり特質系は系統図の対極の強化系の強化率は40%だと思ってたのに特質系だけは特別で全系統鍛えれば実戦レベルで使える器用富豪な系統とか突き抜けてるわね
感覚としては特質系は特質系100%でその他系統が75%前後って感触かしら
流石に80%までは行かないけど能力の補助としては十分よね。
「ねぇビアー。荒野で修行ってボク達流石に何時も通り過ぎない?」
ポンズ姉とレツが私達の修行の終わりに合わせて毒キノコと毒草のスープに毒魚の香草焼きに毒蛇の串焼きを用意してくれていた
ポンズ姉のよそった毒スープを受け取るとピトーは「ウゲッ!」と顔を
「・・・毎度マスター達の食べるエサはどうかしてるニャ。毒なんて美味しくないのニャ」
ピトーはポンズの命令とオヤツのチュール3倍の効果も有って渋々ながらも毒料理を口に運ぶ。まぁあまり良い味はしないからね。一応これでも試行錯誤の末に大分味は改善されてるんだけど、美味しいかと訊かれると答えはNOだ
私達も基本はお腹を満たした後はお菓子とかで『美味しい』を補給していたりする
「早くピトーも毒耐性獲得してよね。そしたら普通の料理に戻せるわよ。それかキルアに実家の料理人紹介してもらうのも手かしら?流石に我流で毒料理を美味しくするノウハウを研究するのは手間が掛かりすぎるし・・・」
「絶対にすぐに克服してやるのニャ」
「キルアの家ってよくよく考えなくてもやっぱり変だよね」
「・・・毒を感じさせない毒料理のノウハウは毒エサのトラップに応用出来るかしら?危険なニオイに敏感な野生動物なんて沢山居るけど、上手く行けばトラップでハント出来る獲物の種類が格段に増えるわ」
ポンズ姉が真面目っぷりを発揮している中、ピトーはレツにスープのお代わりを要求して毒を身体に馴染ませる。元々生命力の塊のキメラアントの護衛軍の念使いなんて三本柱が建ってる彼女なら半月もしない内にそれなりの耐性を得るでしょうね
「よし!ならこれからはポンズ姉の調合した粉薬(毒薬)も飲んで
「ボスは鬼ニャ!悪魔ニャ!その
むしろ野生で不意に逝ってしまわない為の特訓なんだけどね。それにグルメハンターを目指すなら絶対に有った方が良いスキルだし、文句言わない!
「あ〜、それにしても毒耐性なら王族で兄弟姉妹全員政敵みたいなモモの方が直近で覚えさせたかったわね」
あの後撮影が終わってからレツやポンズ姉達と一緒に顔合わせも兼ねてご飯食べたらすぐに帰国しちゃったのよね。暗黒大陸やらV6やらにモモが深く関わってるとなれば政務も必要になるし、ナスビー国王からも喚ばれたみたいだしね
モモは母親から王座そのものからも遠ざけられる様にされていたみたいだけど、国王直々の指名となれば下位の王妃に出来る邪魔はかなり限られる上に下手したら自分に飛び火するしね
「王族に毒をお勧めしてる時点で不敬罪で死刑じゃない?モモゼはビアーのお勧めならノリ気で食べそうだけど、警護人が黙ってないでしょ」
「そうね。毒を飲ませても電気椅子に括り付けてもギロチンを落としても無傷そうなビアーを死刑に出来るかは別問題だけどね。そのままモモゼとまたお茶してから
「それどこの
二人ともお茶会でモモの事は普通に呼び捨てで呼ぶようになったのよね。てか今言った事、別に私だけじゃなくてレツも出来るでしょ
そうして雑談を進めているとスマホで流していたニュースからカキン帝国がV5に加入し、新たにV6として発足した事が報じられた。ここは荒野だけどグリードアイランドの様な隔離空間じゃないからね。屋外での圏外無しはハンターとしては普通に有難い。流石に海のド真ん中とかは無理っぽいけどね
ニュースではナスビー国王がついでに私の事もバックアップすると明言したけど既にV5が
元々それも原作の様にネテロ会長の息子のビヨンドがV5を無理矢理に動かす為の策だったし、会長が生きてる限り暗黒大陸に行けないって縛りが機能してるならそもそも動けない
パリストンもネテロ会長を書類の山に埋れさせたりビヨンドに一応は協力してるはずの自分が当のビヨンドを置き去りに暗黒大陸進出の話を進めてビヨンドの
「モモも派手に動くようになったけどそのゴタゴタも利用して私設兵も立ち上げたみたいだし、
「私設兵って確かビアーのファンクラb―――」
「私設兵」
「・・・私設兵はカストロさんが鍛えた人達だよね?確か螺旋旋風のギドさんと幻腕のサダソさんに瞬雷の蛇リールベルドさんだっけ?」
発動中は身体が回れば回るほど遠心力を強化してコマの様に回転し、舞う様に強烈な蹴りを次々に放つギドに両腕プラス形態変化で造った二本の腕の四本腕・・・と見せかけて実は六本腕まで増やせる上に『隠』も駆使するサダソに噴射口付きのローラーブーツを履いて縦横無尽にフィールドを走り回りながら蹴りを入れたり鞭を振るったり鞭の鞭打にオーラを乗せて飛ばしたり小細工に電撃鞭を使ったりと、近・中・遠距離合わせたトリッキーな戦いをするリールベルド
天空闘技場でワンパンした時と比べて大分強くなったわね。
「レツも別に妙な二つ名まで覚えなくて良いわよ。他にもグリードアイランドのランクAのモンスターカードを狩れる様になった何人かが出向してるのよね」
さっきの三人なんてゲームのモンスター程度はとっくの昔に余裕だからね
「ええ。元々ハメ組を纏めてた人達は周囲の仲間に舐められない為に最低限は鍛えてたりあちこち精力的に動き回ってたりしてたみたいだから条件はクリアしてモモのファンクラブ私設兵の一員になったわ。でも戦闘担当のジスパーと元リーダーのニッケスは皆の面倒を見るのと基礎力を更に伸ばす為に残ったみたいね。それ以外だとプーハットとアベンガネって人が行ってるはずね」
他のメンバーはオーラ量だけなら合格点だけど戦闘センスの無さからオーラの操作とか戦闘の思考力なんかで苦戦してるみたい。センスの無さは経験で埋められるので是非とも
プーハットは際どい感じの私グッズ販売を推奨・プレゼンして粛清されてたくらいしか知らないけど、アベンガネは優秀な除念師として原作の方でも記憶に残ってる
王侯貴族として邪念や呪念が周囲を飛び交うモモの
そうして雑談を続けているとニュースキャスターの声が一段高くなった
《速報が入りました!たった今東ゴルトー共和国のマサエル=ディーゴ総帥が西ゴルトー共和国の特別強襲部隊に捕縛されたとの事です!》
「お〜、捕まったのね。ならこれから有る事無い事全部背負わされて処刑が妥当かしら?」
毒料理の口直しのプリンを食べながら気の抜けた声が出る。ディーゴなら死んで
「はしたないからせめて
おっと、注意されちゃったわね。確かにレツのお姉ちゃんとしてマイナス5点だったわ。
「ただでさえキメラアントに軍隊の何割かを削られてた上に簡単に復旧出来ない発電所の
ディーゴは当たり前のように西ゴルトーにちょっかい掛けてたから本当に何時戦争が始まっても可笑しくなかったし、西ゴルトー側からしたら千載一遇の好機ってやつだったんでしょうね
この地区を統括している十老頭としても東ゴルトー程に排他的でマフィアの基本ターゲットの下層民がそこら中で餓死してる様な国は商売するにも旨味が少ないでしょうし、もしかしたら裏で後押しとかしてたかもね
「西ゴルトーも決して良い国とは言えないけど、東ゴルトーに比べたらマシではあるわね。後は東ゴルトーを上手く吸収して
「良いの?一部の難民が流れていくかも知れないのに」
「難民だとしても文明の利器を
所詮は
「NGLは私も幻蟲ハンターとして一度調査しておきたいとは思ってたんだけど、アンタの唐突な暗黒大陸進出の話のせいでそっちを優先する事になりそうね。今の人類から見て手付かずの生態系。ハンターとして行かない理由が無いわ」
う〜ん。やる気に満ちたハンター魂
「それに本当にただの無謀な挑戦だったらアンタが私やレツを巻き込んだりするはずも無いしね。そこん所は信頼してるわよ、調査隊隊長さん?」
ポンズ姉からの信頼。心に響くわね
「最初は攻略済みのパプを相手にするからね〜。V5としてもそれなら私を後押しし
基本的に色んなモノがビッグサイズの暗黒大陸じゃ人間なんて文字通り蟻ん子みたいなものだからエサとして認識される以前の問題なんでしょうね
ライオンが一々蟻ん子を気にしたり食べたりしないのと同じだ。尤も中には五大厄災みたいな人間にとって危険な生態をしている奴らも居るんでしょうけど、少なくとも山みたいなサイズの見るからに危険な生き物に自分からケンカ売りに行くバカなんて居ないでしょ
そいつ等の移動や捕食に巻き込まれる事は有っても直接的に狙われる可能性は低い
「まぁでも万一原生生物に襲われても返り討ちにする為に1日で山を8つばかりサンドバッグ代わりに粉々に出来る様にしようかしら」
それ位ならシンプルにデカいだけの原生生物相手なら1日に数回エンカウントしても逆にその場でボコれるでしょう
「どこの世界の海軍の英雄よ、それ」
「首相達に訊いてみようかな?何処か平地にして欲しい場所が無いかとか」
恩も売れるし普段出来ないタイプの修行も出来る。向こうは格安(トリプルハンター依頼料1人分)で広い土地が整地出来る。まさにwin-winね
「それを訊かれた人が困惑する様子が目に浮かぶね―――あれ?でも確かボクとビアーが出逢った町の近くに大きい穴の空いた山が在ったけど、それと同じのを作るのに数日は掛かるって言ってなかったっけ?」
「それは昔の話でしょ?人間、2年も有れば山をくり抜くところから山脈を破壊するところまでは成長出来るのよ」
やっぱり経験って大事よね。旅に出るまで8年間くらいは毎日ひたすら『纏』と『練』で鍛えてたけど内蔵強化や強化率の無意識下での制限とか、赤裸々は
「別次元過ぎる―――それはもう成長じゃなくて進化って言わないかな〜?」
私は別に特段何かが変わった訳じゃないわよ?それに対象が山から山脈になった程度じゃ精々段違いが良い所ね
「何にせよ暗黒大陸行きを宣言したところで今日明日すぐに出航って訳でも無いんだし、じっくり鍛え上げるだけよ。幸い細かい調整とかの大半は我等が勤勉な会長様が副会長の
「それだと貴女の知らない所で変な条件加えられてたりしないのかしら?」
「V6と十老頭敵に回す?頼めば動いてくれるはずよ」
「・・・最強の後ろ盾ね」
ね。持つべき
「うにゃ〜。人間は階級と繋がりがゴチャゴチャしてて面倒臭いニャ〜。とっととボスが逆らう人間を叩き潰して上下関係を刻みつけてやればシンプルになるんだからそうすれば良いのニャ」
「残念だけど世の中そんなに単純じゃないのよ。ピトーはビアーを『ボス』と呼んでるわよね。でも力で劣る
「・・・ニャルほど」
ピトーは1つ社会を知ったわね。まぁキメラアントと云ってもかなり人間が混じってるんだから無意識にそうなってても可笑しくないか
「そう言えばポンズ姉。あれから
ポンズ姉の被っている帽子に目線を向けて訊く。普通の虫と同じに考えて良い奴じゃないからね
「ええ、念を使わなくとも問題無く調教出来たわ。確かに普通の虫や小動物とは少し勝手が違ったけど、人の創ったモノだからかこっちの言葉もある程度は理解してたみたいね」
おお、思ってたより知能高めだった。成る程、意思疎通のハードルが予想より低かったのね
「まぁ自分の虫にフェロモンでハーレム形勢させてるような術者の性癖が色濃く残ってたから逆に当たりをキツく命令と制裁を与えてやれば調教完了よ」
「そんな裏の性癖が存在したの!!?」
虫達を傷付けないで捕らえる為の能力じゃないんかい!?いや、それ自体は間違ってないんでしょうけども、ドMな変態性も掘り当てたの!!?
「元の所有者の心の闇に思いを馳せつつ能力(念獣)を自分のモノにしていく。調教師の腕の見せ所ね」
まず能力者から完全に独立している念獣なんてそこら辺捜しても居ないけどね
「それと名前も付けたわ。オーデンよ。由来は香水のオーデコロンからね。
その連想の枠組みに入れられたレオリオが可哀想・・・でも無いわね。レオリオだし、雑に扱うくらいで丁度いい
「変態って聞いた後だと微妙に名前がカッコいいのが腹立つわね。そう言えばグリードアイランドの製作者としてキングホワイトオオクワガタの隠れ変態性とかは把握してたのかしら?ジンさん」
私が近場の岩陰に向かって
「いいや。オレもそんな細かい仕様までは知らなかったな。まっ、ゲームなんてのは隠し要素が有った方が面白いだろ?ビアー嬢ちゃん」
「ええ。息子さんとも一緒にプレイさせて貰ったけど、他にも恋愛都市の女の子が皆『
「・・・アイアイの設計はドゥーンの奴が担当してたはずだが、そんな事やってたのかアイツ」
あらら、ゲームマスターのリーダーと云えども知らない事が多いわね。まぁ実際のゲーム監督も細かいコマンドを一から十まで把握してるはずも無いか。ましてやグリードアイランドなんて大容量ゲームなら尚更ね
「それで?こんな荒野の外れまで足を運んで何の用ですか?暗黒大陸の件なら窓口はネテロ会長ですよ」
「
ハンター協会も一応ただの民間団体だもんね。国の上層部やら大企業は遠慮なく要望・意見・質問を電話に面接、メールに書面とあの手この手で接触するでしょう。尤もそれだけ仕事を集中して片付けてればそろそろ落ち着く頃合いだと思うけどね
「そこで聞いたぜ。売り言葉に買い言葉。ガキみてぇな嫌がらせ合戦で暗黒大陸なんて爆弾放り投げたんだってな」
「会長への嫌がらせなら会長自身の定めたタブーを正面からぶち壊してやるのが痛快でしょ?」
「まっ、動機は何でもいい。オレも混ぜろよ。で、―――」
「「好きにやらせろ」」
私とジンさんの
「なら自由の対価に暗黒大陸上陸までは素直に協力して下さい。パリストンとか絶対こっちにもちょっかい掛けてきそうですし。代わりに上陸後は自由って事でどうですか?」
パリストンへの抑止力なんてジンさん以外に十全に任せられそうな人居ないからね
ネテロ会長もそうだけど今回はあまり期待出来ないってか、パリストンの手助けはしなくても裏で『良いぞ。もっとやったれ』とか思ってるだろうし
「良し、交渉成立だな。なら早速だが仕事の話をするか。お前さんが狩った厄災は何だ?」
私がパプを提出して環境庁も慌ただしくなっただろうし、暗黒大陸に対してアンテナ張ってるであろうジンさんが五大厄災絡みで進展が有った事は先日のV5応援メッセージも合わさってバレてるわよね
私は収納バッグの中から頑強な小箱を取り出すと神字とダイヤルのロックを外して中身を取り出す
「狩ったのはパプよ。レポートの写しはこのメモリスティックの中。ポンズ姉、パソコン出して。それとパソコン立ち上げてる間に挨拶も済ませましょ―――二人とも、この人はジン=フリークスさん。察しの通りゴンの父親でついでに
ジンさんは短く「おう」と軽く返しただけだった。おうおう!マイスイートシスターズに対して随分と塩対応じゃない?
「で、こっちがポンズ姉もといポンズとこっちがレツ。何者にも代えられないし変えられない
ババン!とポンズ姉とレツの義姉妹の書面を魅せつける。どうだ?羨ましいでしょう?頼まれたって上げないわよ
「あ〜、お前らも苦労してるんだな」
何の話?修行はさせても苦労はさせてないわよ?あと何で二人とも無言で頷くの?
「暗黒大陸には付いてくんのか?」
「私は行くわ。改めてポンズよ。昆虫や小動物の調査・捕獲が専門。宜しくね」
ポンズ姉的にはビルサイズの昆虫もハントの対象なのかしら?まぁ幾ら暗黒大陸のスケールが大きいと云っても人間界基準の普通の小動物も居ると考える方が自然よね
「レツだよ。ボクは本職が人形師だからハンターとしては暗黒大陸はインスピレーションやビアーの冒険そのものがハントの対象かな。吟遊詩人じゃないけど、今の情勢から劇にしたら受けが良いと思うしね。念は色々出来るタイプだから冒険でも役に立てるよ」
自分の冒険を劇にすると言われるとむず痒いわね。尤もレツの作品なら私の芋臭い冒険も夢と希望とロマンと情熱に溢れた大ヒット間違いなしの名作に仕上げてくれるのは確定なんだけど
ジンさんもポンズ姉とレツが暗黒大陸に行くつもりだと知って仕事仲間としては意識を向けた様な気がする
立ち上がったパソコンにメモリスティックを刺して出力したパプのデータをジンさんは真剣に読み込む。そして彼が読み終えて視線を切ったタイミングで声を掛ける。ピトー?あの子は今は荒野に1輪咲いてるタンポポと
「パプを倒した手前私達は最初は無尽石を採りに行く予定だけど、ジンさんは上陸後はどうするの?無尽石ゲットくらいまでは同行する?」
彼の行動が自由ならばその可能性も一応在る訳だし、当然こっちとしてはその方が
「いいや、そっちには行かねぇ。オレは最初に行くならブリオンの方だな」
「成る程、古代遺跡ね」
そう言えばこの人遺跡ハンターだったわ
パプとブリオンの生息域は近いし、そりゃ遺跡ハンターなら遺跡の方を優先するわよね
それに私達が無尽石を採取している間に未だ不明な点が多いブリオンの生態を把握してくれるならそれはそれで有難い。この人は自由にやらせた方が結果を出すでしょうし、どうせパプと無尽石の次に挑戦するとしたらブリオンと万病を治す香草だったしね
アイと三原水は裏技がハマったし、香草でゾバエ病が治せるなら錬金植物メタリオンゲットの難易度下がるし、よく分からないヘルベルとニトロ米は最後でしょうね。特に寿命を延ばすニトロ米は少量でも流通させたら後が面倒過ぎる
暗黒大陸を身近にするなら他の
ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲が在っただろうって?そんな代物本当に在った訳無いじゃん
「植物兵器に万病を治す香草。その遺跡は植物の研究が盛んだったのかしら?」
なんか他にも色々な効能の植物が生えてそうよね、その遺跡
私としては一口で七色の味が楽しめる
「さぁな。それを含めて調べてこそだろ。知らねぇ、聞かねぇ、見た事もねぇ。だが必死こいて少しずつその謎を紐解いていったらその先に
・・・食欲全開でなんかゴメン。まぁその辺は『食』にハマりだしたこのチームの怪猫もとい飼い猫に頑張ってもらうとしましょう。蟻だけど
「あ、遺跡と云えばジンさんって同じ遺跡ハンターのサトツさんって知ってますか?前に世界樹の上で出会った後でその人と一緒に遺跡掘りしてジンさんの仕事ぶりに感銘を受けたから是非一度話してみたいって言ってたんだけど、電話繋げても良いかしら?」
折角ジンさんと出会ったならサトツさんとの約束も果たさないとね
「別に構わねぇぞ。サトツってのは遺跡調査も丁寧な仕事してるって評判だしな」
「ジンさんに影響受けたって言ってるんだからそれって暗に自画自賛になってるわよ」
ジンさんの「うっせぇ」と云う言葉を聞き流しながら彼と話したい
幸いサトツさんには直ぐに繋がって事情を話すと丁寧ながらも
《ビアー君。本日は貴女のお陰で実り在る時間を過ごす事が出来ました。もしもこの先ワタシで力になれる事が有れば何でもおっしゃってくださいね。最大限の力添えをさせて頂きます。無論、ただのお食事のお誘いでも構いませんよ》
確かにサトツさんは雰囲気の良い隠れた名店とか知っているイメージが有るわね
「それは良いですね。ペット同伴可なお店なら尚良しです」
《ええ。ルル君だけでなく
そんな店まで知っているとかひょっとしてサトツさんペット飼いたい人だったのかな?まぁルルもサトツさんになら初めから気を許すだろうし、その時が来たら存分に撫で回させてあげよう。それとルルのフワフワボディだけじゃなくアリスタのツルツルボディもその奥に生命の脈動を感じられて何時までも触っていたいのよね。その時はきっちり
サトツさんとの食事は細かい場所や日時はまた後日決める事になった
彼が今修繕を請け負っている遺跡は発見時点であまり状態が
因みに以前私とレツと一緒にルルと出逢った遺跡は大枠の作業はもう終わって細かい所は後任に任せているそうだ
当然完全に作業が終わるまでは時折様子は見に行くのだと時々やり取りしているメールの中に書いてあったわね
シングルやトリプルハンターになった時も祝いのメールも来ていたし、プロハンターとは思えないまともな大人だ(偏見)
「そう言やお前等は今後はどう動くつもりなんだ?正直あんな発表で世間をざわつかせた張本人がこんな場所で修行に
「暗黒大陸に行くなら今よりもっと力を付けるのは当然でしょ。でもそうね、この修行はその前の下準備を円滑に進める為のものでもあるわ。恐らくあと1年以内にはカキンで次期国王を決める王位継承戦が行われるからそこでモモゼか、最悪それ以外でまともな王子が王に就任してくれればベストね。暗黒大陸行きはその後にする予定よ。カキンには会長の息子のビヨンドが暗黒大陸に行く為に色々ゲスい手段で王族に取り入ってるみたいだし、下手に放っておいてカキンから横槍入れられるのは面倒だから私達がサポートして是非ともモモには王になって貰いたいものね」
その為にも今は特にピトーのレベリングに勤しんでいるのよね。隔絶した才能と産まれたばかりから来る成長の余地のお陰でどんどん強くなってるし、順調順調♪
「ビヨンド=ネテロか。確かに奴は昔メタリオンを手に入れる為に暗黒大陸に挑戦してたな。一度の失敗で諦めるタマじゃあ無かったって訳だ」
「ええ、元々はカキンが新国家として再スタートした時に各国の条約を
会長の動きを阻害なんて優しく言ってるけどビヨンドはマジで殺せるなら殺してたんでしょうね。元気ピンピンのネテロ会長を殺せないってだけで
「人間界のパプを狩って無尽石をプレゼントすりゃあそりゃ許可も降りるだろうな」
見つけた無尽石は小ぶり(ビーズ2つ分くらい)なのが1つだけだけどね。それでも液体の三原水と違って研究くらいは可能でしょう
「ついでに云えば三原水も安定供給の目処を立たせてあげたわよ」
厄災1つに
V5を動かすには十分な対価でしょ
それからジンさんとはその場で出来る情報の
私も代わりにパリストン子飼いの協専のハンターは直接暗黒大陸行きを見据えた未知の環境に適応する
私がV5から人間界の他の場所の判明している五大厄災であるブリオンとヘルベルの討伐許可を貰っているから私同伴なら
尤もこれは断られたけど、まぁ態々今行く理由の方が少ないから順当よね
仕事以外にも共通の話題としてゴンやカイトの話もした。尤もゴンがジンさんを見つけた時の話題を潰しちゃうのもアレだったから修行中の小話とかが主だったけどね。それでも私達って基本四六時中修行の日々だから話すネタはそれなりに在ったから困らなかったわね
「凄い人だったね」
「ええ、ビアーが以前世界でも五指に入る念能力者って言ってたのが理解出来たわ」
レツが端的に感想を述べるとポンズ姉も同じ意見なのか深く頷く
確かにジンさんは単純なオーラ量で云えば恐らくレツとそう変わらない(十分凄い)けど、オーラ量を中心に鍛えてきたレツと違ってそれ以外のパラメーターも全てオーラ量に見合った水準で修めている感じがした
幻影旅団クラスを比較として全てのパラメーターが均等に限界突破して200%!!みたいな?逆に私は一点突破の1000%って感じ
「もう行った〜?」
「スピッ!」
「メェ〜?」
流石は主人公の父親だと改めて思っているとポンズ姉の帽子の中から人形サイズのリースがアリスタとルルを伴って現れる。ルルやアリスタはまだしもレツの念能力者に直結しているリースを緊急時でも無いのに初対面のジンさんに紹介するのも違うからね
「ええ、行ったわよ。それじゃ私達もそろそろ出発しましょうか。ピトーもオーラの操作や各系統の基礎は修得したし、後はまた旅しながらの修行で十分でしょ」
いや幾ら元護衛軍とは云え数日修行に漬け込むだけで技術面でプロの中堅クラスと比べても出来ないことを探す方が難しいレベルにまで達するとか流石って感じね
「人里や街中に行けば毒料理なんて食べなくても良くなるニャン!その辺に毒キノコなんて生えてにゃいだろうし!!」
「残念。毒や薬のプロフェッショナルのポンズ姉が毎回特製ドリンクを調合してくれるわよ」
「ヴニ゛ャあああああ〜↓↓」
明らかにテンション下がったわね。毒耐性を体得するまでは毒料理が続くって言ってたのに
「私達も飲むんだから出来るだけ不味くない様に調合はするわよ。それに毒以外はちゃんと美味しい料理を注文するんだから我慢しなさい。ピトーが料理に興味を持ってるなら飼い主として食費もケチったりしないわよ」
「ゔゔぅ・・・マスターは何処かのボスと違って優しいのニャ。取り敢えず街に着いたらチュール全種類を街中の在庫の底まで買い占めて欲しいのニャン」
遠慮なくエグい量を希望するわね。キメラアントなら問題なく平らげるんでしょうけど
「チュールは料理に含まれないから却下よ。段ボールも3箱までにしておきなさい」
そんな『バナナはお菓子に含まれません。予算も三百円までです』みたいな
「横暴ニャ!食材を加工している以上チュールは立派な料理なのニャ!!」
「ずっとチュール食べてたら一体何時料理の勉強するのよ?それに同じものばかり食べてたら舌の感覚が鈍くなるわよ」
ずっとうまい棒全種類食べ続けてもフレンチ料理のスキルが上がったりしないもんね。ポンズ姉なりのピトーが横道に逸れ過ぎない為の処置か
キメラアントなら段ボール三箱分とか子供のお菓子三百円分と量的にも大差無いだろうし
「ビアー。そう言えば行き先とかは何か予定は有るの?」
レツが上半身を軽く前に倒して少し下から見上げる様な形で質問して来る―――くっ!可愛い!!乙女ゲーか!!?
「そうね、完全に私の趣味だけど次はジャポンにしましょう。一度行ってみたかったんだけど、二人はそれで良い?」
リースは
「ボクは構わないよ。寧ろジャポンの人形のあの独特な雰囲気は一度ちゃんと見てみたかったしさ。夜になると髪が伸びたりするんでしょ?」
レツさんや確かに生きてる人形っぽくてシンパシー感じるかもだけどそれ多分死後の念で呪われてるだけだから。歪んではいてもオモカゲの愛で形創られたレツとは性質が逆だから
愛ほど歪んだ呪いは無い?―――シャラップ!!私とレツ(とピー助)の純愛砲(燃え萌えビーム)ぶち込むわよ!
「私もジャポンには興味有るから構わないわ。なんでも世界最大の蜂である
それなんてオオムラサキとオニヤンマ!?まさかとは思うけどアリスタみたいにポ◯モンの姿してないでしょうね!!?
「ジャポンが試される大地過ぎる・・・」
北海道だけじゃないんかい!
「島国として独自の進化を遂げた動植物も多いから今から楽しみだわ」
前世の記憶が邪魔してこっちは逆に少し不安になってきたんだけど・・・勢い余ってゴジ◯とか出て来たらどうしよう?単なる火炎放射ならまだしも放射線ブレスは私まだ防げないわよ?
「まぁ良いわ。協会やカキン関係で何時呼び出されるかは分かんないけど、別に半端になっちゃったら何回でも行けば良いだけだしね」
「ビアーってホントにジャパン好きだよね~」
「良いじゃん。私の魂にビビッと来たのよ」
「リースの魂もビビッと共鳴してるよ〜♪ジャポンに着いたらみたらし団子に三色団子に寿司、天ぷら、タコ焼き、お好み焼きに懐石料理に椀子蕎麦!出店の暖簾を潜ってラーメンやおでんも食べたいな〜♪」
見事に食べ物ばかりね。なんでかリースって私の分身なのに若干思考が幼い感じがするのよね・・・じゅるり
「むむむむむ!どれもこれも知らないけどそんなうっとりした
「ジャポン料理を心から堪能したいならアンタはさっさと毒に慣れなさい。私達よりよっぽど頑丈なんだから―――ほら、普通の人間なら20人は余裕で死ぬ程度の青酸カリ入りドリンクよ。サービスで苺ミルク味にしといたわ」
「ーーーッ!!やっっってやるのニャ〜〜〜!!!」
おお!腰に手を当てて銭湯上がりの一杯の如く一気飲みしたわね。漢気を感じる呑みっぷりだ
それからお腹をさすって調子悪そうにしているピトーに「ボスも飲んでみるのニャ!」と言われたから苺ミルク味の青酸カリフレーバーをキメながら歩く
「う〜ん。大分マシだけどやっぱり飲み込む瞬間が一番違和感を感じるわね」
もう毒を摂取するだけなら錠剤とかで良いんじゃないかな?そっちの方が料理も全体的に美味しく食べられるし
平気な顔で味の感想を語る私を見て戦慄しているピトーを尻目にジャポンに行く為の飛行船の在る都市を目指す
この世界に生きるプロハンターとして行きたい所もやりたい事も予想外の事だってきっとまだまだ有る
「よ〜し!張り切って行くわよ。私達の冒険はこれからだ!!」
「だ〜!!」
「なに無駄に腕を振り上げて気合を入れてるのよ?」
なんかやらなきゃいけない気分だったから!
「あ、そう言えばハンター試験で出会ったハンゾーさんがジャポンに来るなら観光案内してくれるって言ってたから連絡してみる?」
スルーは酷いよレツ〜!!
ともあれ私達はまた新たな冒険の一歩を踏み出しーーー
「あ、ゴンから電話」
なになに?ちゃんとジンさんと出会ったって?サトツさんに連絡する時にササッとゴンにメール送ったからね。別れて数日ならキルアのボードで空を飛んでくれば直ぐに着く距離だ
電話の向こうからジンさんの《ビアー、テメェ、ゴラァアアア!今すぐこっち来いや!!》と吠えているのが聞こえるけど気にする必要は無いでしょう
ゴンからのお礼を受け取って無慈悲に電話を切るとジンさんの声も聞こえてたポンズ姉にレツと目が合って軽く笑ってから歩き出す
これからも毎日ひたすら楽しく生きていけたら良いわね
冒頭でも書いたように物語としてはこれで一旦は区切りです。あと一話エピローグ的なのでピトーを鍛えた理由とかモモゼの能力とかその他もろもろ保管するつもりです