毎日ひたすら纏と練   作:風馬

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特定と訪問

強い権力を振りかざす警察関係者から冷たい目で見られるようなクソガキムーヴで正門を突破した私達は意外な事にこの館の館長さんには快く受け入れて貰えたようだ

 

この辺りはホント流石は安心と信頼のプロハンターって感じね・・・警察関係者からの視線?気にしたらいけない

 

今は館長さんからこれまでの現場検証で判明している分を聞かせて貰っているところだ

 

そうして判ったところを纏めると以下の通り

 

1.閉館後の館内に張り巡らされた赤外線センサーや重要文化財の周囲の床などに仕掛けた重量感知センサー、ケースの振動感知センサーなどは異常無し

 

2.監視カメラの録画も各種センサーやカメラに不審者が映った場合に過去30分から遡って録画をする事でメモリ容量を抑えるタイプだったので、すり替えの瞬間は録画できず

 

3.入口、裏口、窓、天窓(強化ガラス)も破壊された痕跡も最近ネジなどが外されてるような痕跡も無し。勿論センサー搭載

 

4.コンクリ片に貼られた紙には『お前らは石でも眺めてるのがお似合いさ』と明らかに挑発的な文章(印刷で筆記鑑定は無理)

 

「お恥ずかしながら、これでもかとセンサーを導入していたので誰かが盗みに入るのは不可能だと思っていたのです。これでは何時頃盗まれたのかも判別できません」

 

館長さんは気落ちしているけど確かにこの館はかなりのセンサーが張り巡らされているのが『円』で探知できる

 

Fateの暗殺王ザ〇ードの他愛無し(ハサン)ダンスでも無理でしょうね。そもそも隙間が無いし

 

「どう思う?」

 

「う~ん。普通に考えたら建物内への侵入は難しいんじゃないかな?」

 

「センサーを司る管制室も独立・保護されて人も居たみたいだしね」

 

今は屋上に案内してもらって私達三人で意見交換だ。因みに博物館の周囲も庭で囲われていて、監視カメラ等は設置されている

 

「なによりも分からないのは宝物の代わりに入れられていたコンクリートブロックよね。愉快犯の挑発目的だとしても態々そんな重い物を持ち運ぶかしら?文章だけで十分だと思わない?」

 

「それは紙も併せて愉快犯だと思わせる為のミスリードって事?」

 

「ええ、レツが言ったようにこの館は普通には侵入出来ない。なら、普通じゃない方法なら可能よね。愉快犯のような行動は同業者の調査の目が向く可能性を少しでも減らす為だとしたら?」

 

「つまり犯人は念能力者。その場合、今までの情報の中で一番怪しいのはやっぱりブロック片よね。一番意味が分からないし・・・挑発文が犯人像へのミスリードなら同時にブロック片への注意も逸らそうという意味合いも含まれるとか?」

 

「侵入の痕跡は無し・・・盗まれたのは広間中央の三つだけ・・・真上の天窓・・・入れ替わった中身・・・入れ替わった中身?」

 

レツが気になる単語を並べていくと最後に意識の端に引っ掛かったモノが有るようで、私とポンズもレツの声音の変化から一気に天啓を得たかのような気持ちになり、思わずレツに詰め寄った

 

「「それだ(ね)!!」」

 

「犯人は(モノ)(モノ)瞬間移動(イレカエ)を可能にする放出系能力者。恐らく能力の制約は対象を目視する事。まだセキュリティーの守りの薄い屋上に潜入してお宝を天窓から見下ろして事前に用意したブロック片と入れ替えたってところかな?」

 

「能力の射程は分からないけど屋上から一階の広間まで20mくらいしかないから十分可能だと思うよ。ただそれだけだと紙と宝物を入れ替えたら良い話だし、入れ替えるモノ同士に共通点という名の制約が必要だよね」

 

「無機物でも金銭的価値でも無いわね。やっぱり重量が近いモノとかかしら?」

 

うんうん♪三人揃えば姦しい・・・じゃなくて文殊の知恵って言うだけあって一気に考察が進んで行く!これで犯人は・・・犯人は・・・何処?

 

How done it(手段) については仮説が立ったけど Who done it(誰が) が全く不明じゃん!高確率で念能力者(放出系?)とか『犯人は人間です』と言ってるのとそこまで違いが無いよ!

 

これだけだと肝心の盗まれた国宝が今もこの国に在るのか如何かすら特定出来ないしっ!

 

一旦考察が行き詰った私達は国宝館周囲の調査に行動を移す事にした。訊きたい事は聞けたしね

 

勿論犯人が念能力者じゃなくてミッション・イン〇ッシブルばりのスキルと仲間を揃えた単なるプロフェッショナルな可能性も有るけど、そういうのは警察の人達の領分だ

 

新しく判明した事が有れば後で教えて貰えば良いんだから、特殊な視点を持つ念能力者(わたしたち)は普通じゃない方向から探って行かないとね

 

 

 

「庭は塀と上部が槍状の鉄柵に囲まれてて警備員の不定期の巡回有り。館内も展示場以外の職員用の部屋に夜勤が常駐してて仮にセキュリティーを切ったなら記録に残るから職員の犯行の可能性も低いかぁ・・・」

 

取り敢えず国宝館の外周をグルっと廻ってみた。因みに庭の方はセンサーを仕込むと誤作動が酷い上に巡回も出来なくなるので各所の監視カメラは24時間フル稼働だそうだ

 

外のカメラは録画し続ける関係でメモリを抑える為に画質が低く、逆に館内のカメラは録画時間を限定的にする代わりに最高画質で録画できるようになっているらしい

 

「まっ、それで犯行の瞬間を撮り損ねたんだから笑い話にもならないわよね」

 

ポンズが辛口の評価を下すけど普通はそれで十分だからね?あくまでも念能力は希少で貴重で一般に流布されてない知識だから責めるのは酷だよ

 

念能力は千差万別だから完全な対策とか無理だし・・・まぁだからこそ探偵系のプロハンターも居るんだけどさ。追跡系の能力とか、珍しそうなので言えば過去視の能力者なんてのも居るかもね。あとは純粋にコ〇ン君や金〇一少年みたいに推理力勝負とか

 

「う~ん。でもそれだと犯人は天窓の在る屋上へは如何やって移動したのかなぁ?壁際からジャンプしても20数mは跳べないと登れないし、そもそも庭に不審者の影は無かったんだよね?」

 

「ええ、屋上なんかは普段から閉鎖されてるからセキュリティーも掛けっぱなしだったみたいだし、閉館前に屋上に潜伏してたとも考えづらいわね。それにさっきも言ったけどセキュリティーを切って出入りしたなら記録が残るわ」

 

「なら柵の外側から大ジャンプで―――」

 

「「人間の常識(げんかい)を舐めないでよね!」」

 

ええぇ・・・なんで私ってばいきなり二人に怒られてるの?

 

「ビアーなら出来るかも知れないけど、外側からジャンプ一回で屋上に登るとか念能力者でも普通は無理なんだって判るよ!・・・ボクも出来るかもだけど、ボクとビアーのオーラ量が逸脱してるレベルなのはちゃんと計算に入れてよ!」

 

「大丈夫よレツ。貴女はオーラ馬鹿(ビアー)と違ってまだ人類最上位程度でしかないわ。天空闘技場の闘士やカストロさんと比べてビアーのオーラが如何に頭が可笑しいかは私も十分理解出来てるから」

 

ああ!ポンズがお姉さんムーヴでレツを優しく抱きしめてる!くそう、ポンズってば姉になる気は無いと言いつつ外堀から埋めていくとは実は姉マウントで私達姉妹間のヒエラルキーの頂点に自然と居座るつもりだな!

 

”ブシュッ!!”

 

「危なっ!?」

 

唐辛子スプレー緊急回避!ポンズのスプレー攻撃(ツッコミ)ってオーラでも意が読めない位自然体から繰り出されるから私でも避けるのは一苦労なのよね。流石は若くしてプロハンターの本選を勝ち進むだけの素質は在るって事かな・・・私を攻撃するのに微塵の躊躇も無いだけって意味じゃないよね?

 

後さり気にポンズの私への評価が人外認定になってない?レツで最高峰なら私はもう人間じゃ無いみたいじゃない!

 

「さて、ビアーの頭も冷やしたところで現実に話を戻しましょう。屋上の落下防止の柵まで20m以上。外周の塀から建物までの距離も似たようなものね。正面の入り口の方はまだ距離が近いけど昨日はお祭りで大通りに面してるあの場所でそんな大ジャンプをしてたら間違いなく目立つわ。幾ら何でも目撃者は居るはず・・・その前にそんなジャンプを決行出来るだけの能力者が犯人だなんて、『可能性はゼロじゃない』程度の話でしかないわ。候補として挙げるには弱いわね」

 

っく!確かに一つ星ハンター(ツェズゲラ)のジャンプが16mかそこらだったはずだからジャンプの線は薄いか・・・あれって修行を始めたばかりのゴンやキルアより劣っているような描かれ方だったけど、あの時点でオーラの総量や扱いは上だったはずだからジャンプで負けたのは強化率のせいかな?

 

理屈屋っぽかったから操作系?それかリーダー張ってたし特質系かもね

 

「犯人が私達が思ってるように入れ替え転送系の能力を持っているなら、テニスボールとかを屋上に投げてそれと入れ替わったって云うのは?」

 

「それも難しいでしょうね。それだけ質量を無視した入れ替えが可能な瞬間移動なんて、制約が緩い分射程距離も相応に落ちるはずよ。並みの術者なら精々数m。それなりの術者でも15m・・・いえ、10mにだって届くか怪しいものよ」

 

だからと言って屋上にそう都合よく入れ替え可能なモノが置いてあったりなんてしないからね・・・第一下からじゃ角度的に見れないし、国宝館の周囲には防犯の一環なのか背の高いビルとかも無いし、仮に在ってもやっぱり射程が問題になる

 

それからずっと頭を悩ませたままって訳にもいかないのでこの街で仕入れる予定だった旅の保存食などを買っていき、荷物を置くのとアリスタとルルにエサをあげる為にも昼食をレストランで済ませた後で一度宿に戻る

 

「ほ~らアリスタ~、冷たくて甘いバニラアイスだよ~♪ルルも出ておいで~♬」

 

今は夏なのでやはり定番はアイスでしょう!帰り道にアイスクリーム屋でドライアイス付きの持ち帰り用袋に入れて貰ったのだ。キンキンに冷えた甘い御菓子を並べるとダメ押しに薄黄色をした液体の入った瓶を取り出してアイスにアクセントとして掛けていく

 

・・・そう。これはあの一瓶三百万ジェニーはする『ロイヤル・キング・カイザー・エンペラー・ロイヤルゼリー』だ。アリスタと出会ってから彼女が回復するまでの約一か月間。その間に近場の高級食材を採取(ハント)しない理由が有ろうか?―――いや無いっ!!

 

勿論一瓶数十万の普通(?)のハチミツもゲット済だ・・・ゲットの方法?少しの『練』に敵意を乗せて威圧してあげればトライデント・ビー達は皆、生まれたての小鹿みたいにブルブル震えて襲ってこなかったよ?巣の奥に居た女王バチは逃げ場無しで私もつい気分が乗って「小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いをする心の準備は・・・OK?」と告げたら意味は解ってないでしょうけど気絶しちゃったのよね。まぁあれはアリスタを追放した事への制裁って事で!(責任転嫁)

 

取り敢えず実家にも一瓶ずつ郵送しておいたらお母さんから≪勿体無さ過ぎて最初に料理に使った時は味が分からなかった≫と苦言のメールが届いた・・・慣れろ、母よ

 

兎に角それぞれがお好みでプレーンで食べたりハチミツやロイヤルゼリーだったりを少量垂らしたりして宿のベッドに腰かけながら昼食後のデザートに舌鼓を打つ。ん~♡デリシャス♪

 

「そう言えば昨夜は宿から見る花火は如何だったの?あの子達は怖がったりしてなかった?」

 

「ええ、問題無かったわ。寧ろ好奇心が刺激されたみたいで最後の方にあの光る風船が舞い上がってた時なんか、窓から飛び出して追いかけようとするのを(なだ)めるのが大変だったんだから」

 

あ~、売り子が風船ばら撒いちゃったアレか~

 

私が昨夜の風船売りの屋台であったアレコレを話していくと途中からポンズはどんどん思案顔になっていった。なにか気になる点でも有ったかな?

 

「・・・・・ねぇ、入れ替えの能力の対象って重さとかじゃなくて大きさなんじゃないかしら?」

 

思考が有る程度纏まったのかポンズが顎に手をやりながら静かにゆっくりと呟く

 

「それは有ると思うけど、詰まりは風船屋が一枚噛んでるって事?・・・確かに花火の最中なら屋台のゾーンから外れてる国宝館は衆人環視からも逃れてるだろうけど、風船なんて何処に飛んでいくかなんて分からないよね?」

 

海の果てに消えた風船おじさんの逸話のように・・・

 

「海風よ。もっと内陸なら考えすぎと言えたけど、港に近いこの辺りは海の方から一定方向に風が流れ続けているし、風船に光る重し(オモチャ)を入れたのは風に飛ばされた風船が国宝館の上を丁度いい位置で通過する為だったとしたら?」

 

「そっか!点滅する風船もしっかりと転移能力者が風船の位置を把握する為のもの!加えて大量の点滅する風船の一つが途中で入れ替わって(光らなくなって)も気付きにくい!!帰り道は予め通りの裏にでも目立たない(光らない)風船を設置しておけば屋上に証拠も目撃証言も残らないって訳ね!」

 

暗い夜の中で国宝館の屋上から普通の風船が空の彼方に消え去っても誰も気付けないでしょう。転移だとすれば犯行に掛かる時間は精々数分。花火が打ち終わって人々が帰りだす前なら逃走ルートの確保も難しくはない

 

「加えて言えば屋台の位置が一番端の方だったのも風船を空に放つ為の布石って事だよね?」

 

「屋台を出したのは今年からで、せっつかれたってあのオジサンは言ってたわよね。オジサンは分からないけど、あの売り子の着ぐるみは間違いなくアウトでしょう。海風と国宝館の位置を計算に入れて町内会に圧力を掛けられるとなれば犯人・・・いえ、犯行グループはこの街に根付いた相手って考えるのが自然ね」

 

私達はお互いに頷き合うと残ったアイスを急いで掻っ込み宿を後にして公共のパソコンを使えるカフェに急ぎ、ハンターライセンスを差し込んでハンターサイトを立ち上げる

 

あの風船屋のこの街における店の位置。あの売り子自体の経歴、背後関係。せっついたと云う相手、etc.etc・・・兎に角多角的に情報を読み込んでいく

 

「ハンターサイトの存在は知ってたけど、思ってた以上にエグイレベルで情報が出て来るわね」

 

プロハンターを前にすればプライバシーなんて言葉はそよ風に等しいからね

 

情報の宝庫であるハンターサイトを調べた結果としては先ずあの屋台のオジサンは白っぽかった

 

下町の小さな玩具屋らしいのだが親会社の方が裏にマフィアが居るらしく、売り子も祭りの日限りのアルバイターとして送り込まれた形だったみたい。風船の発注も弄った形跡がある

 

「となるとこのマフィアの所有する物件全てが隠し場所の候補になるわね。細かいのまで含めればそれなりの数が有るけど、仮にも念能力者が付いていたなら警察が動き出す前にガサ入れのし難い本拠地とも言える場所に隠すはずよ」

 

ポンズの言に従い標的を絞れば候補の建物は僅か数件だ

 

「ビアー。ここから先は貴女の仕事よ。あの無駄に広い『円』なら地下金庫が在っても外から探れるわよね?・・・もしもこの中に無かったら順次捜索の手を広げる必要が有るけど、20~30件程度なら苦も無く廻れるでしょう?」

 

「OK~。ゆっくりして何処か別の街に輸送されても堪んないし、ちゃっちゃと行きましょうか」

 

マフィア関連の建物にチェックを入れた地図をプリントアウトした私達は本命の中でも近いところから順番に『円』で探って行く

 

一件目と二件目は外して最後の本命である郊外付近の三件目の屋敷の前を通行人A、B、C を装って歩くと昨日見た純金シリーズが巨大金庫っぽい場所に保管されているのが感じ取れた

 

「それで如何するの?今からでも直接乗り込む気かしら?」

 

「ううん。昼過ぎのこんな中途半端な時間じゃ構成員とかボスとかも半端にしか居ないだろうから暗くなってから仕掛けるよ。下手に人数を残したくないし、幸い屋敷の周囲は頑丈な壁で囲まれてるから最初に屋敷の奥まで突入すれば流れ弾が市街に向く事もほぼ無いだろうしね」

 

騒ぎを聞きつけた警察の人達とかが来た時に下手に銃撃戦を繰り広げられても困るからね。出来るだけ一纏めに潰しちゃった方が良いでしょう

 

「さて、それじゃあ一旦戻って色々準備しよっか。折角怪盗相手なんて意気込んだのに蓋を開けたらマフィアのコソ泥とかじゃテンション下がっちゃうし、せめて様式美に沿ったカチコミをしないとね!お祭りの続きだよ」

 

さぁ!プロハンターの力を魅せてあげようじゃありませんか!

 

 

 

夜の帳が降りきって帰宅ラッシュも鳴りを潜めた頃、この街の住人は晩御飯を食べつつゴールデンタイムのバラエティー番組を視聴したり、お風呂に入ったり、夜の町の居酒屋を梯子したりと思い思いに過ごしていた

 

そんな夜の喧噪に紛れてとある狭い密室に少女たちの喜怒哀楽の混ざった声が反響する・・・なお喜と楽は何処かのオーラ馬鹿娘で残りの二つはそれ以外が担当しているようだ

 

郊外だけあって鼻の利く人なら僅かに薫る程度の潮の匂いと生暖かい空気を切り裂いて10tダンプがアスファルトの表面を削りながらひた走る

 

「Here we go!! やっぱり映画でもゲームでも街中を爆走するなら盗んだダンプやトレーラーで障害物を蹴散らして行くのが最高に燃えるシーンよね!」

 

10tダンプの手綱(ハンドル)を握って危ない発言をしているのは未だ12歳のビアー=ホイヘンスだ。特殊技能免許(ヘリコプター)とかならまだしも車の運転免許程度ならハンターライセンスで代用可能だ

 

マフィア(ヤクザ)屋敷(事務所)訪問(カチコミ)する時はダンプで突っ込むのがお約束である

 

「いやいや別にこのダンプ盗んだ訳じゃないよね!?中古品を一括払い(700~800万ジェニー)しただけだよね!ていうかなんでダンプ?そしてなんでさも当然のように車の運転が出来るのさビアー!!?」

 

金髪美少女(レツ)のツッコミを受けたビアーはキリっとキメ顔を決める

 

「へっ!前世(ガキ)の頃、教習所(ハワイ)指導員(オヤジ)に習ったのさ!!」

 

「御免!それの元ネタ知らない!!」

 

当然である。寧ろ知っている方が可笑しい。因みに言うと普通車免許なので大型車の免許はまた別物なのだが、そこに突っ込む者は当然居なかった

 

今世のハイスペックな肉体と『円』によって強引に(安全)運転しているだけである

 

ダンプの高い座席からは昼に下見した建物が見えてきた

 

「純金シリーズ再感知!予定通りこのまま突っ込むから二人ともちゃんと『堅』っといてね。私はダンプに『周』もしとくから!」

 

ビアーお得意の『円』『堅』『周』の併用である。触れている物体を己の体の一部と認識する『周』も『円』の感知と併せれば巨大物体(ダンプ)だって巻き込めるのだ

 

その分オーラの消費は激しくなるが、一瞬の強化ならば何も問題は無い

 

今のこのダンプの追突を前にすれば屋敷を囲む丈夫な壁も玄関も発泡スチロール以下・・・なんだったら豆腐レベルにまで落ち込んでいる

 

正門をぶち壊して正面玄関を無理やり開いたダンプは玄関先の大広間で停車する

 

「それじゃあ私は此処のボスとお話してくるから二人は主に外回りの人達の相手をお願いね」

 

ダンプから飛び降りたビアーはそれだけ言い残すと感知したボス部屋っぽい場所まで派手に壁を壊しつつ最短距離で挨拶に向かった

 

「おい、侵入者がボスの部屋に向かってんぞ!追え追えっ!逃がすなっ!撃ち殺せぇええ!!」

 

分かり易い陽動だがいきなり非常識(ダンプ)が生活圏に侵入してきた事で動揺が抜けきって無かった構成員の大半はビアーが開けた壁の穴をカルガモの雛のように付いて行く

 

「はぁ・・・あの子の中の常識って私達とは何処かズレてるわよね。それじゃ、こっちもボチボチ始めましょうか」

 

「うん。手筈通りにね」

 

苦笑しつつも頷きあったレツとポンズもダンプの外へ飛び降りたのだった

 

 




ポンズ(理屈屋)が居ると推理をさせやすいですねww
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