毎日ひたすら纏と練   作:風馬

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・・・っく!やはり執筆が遅い

前作をなんであんなに鬼のように投稿出来たのか自分でも分からなくなってきた


会議と王様

今、大使館の前には私が直接緊急招集の手紙を渡した人達が集まっている

 

中には事情が有って代理を立ててる人も居るみたいだけど、これからの国の行く末と自分たちの理念を最初から踏みつけるつもりだった大罪人たちの末路という二大議題を前にヨボヨボの老人だろうと根性で出席している人も多い・・・ここに辿り着いた時点で「腰が~!!」とやってる声が時折聞こえてきたからね

 

そりゃあギリギリのペース配分で馬で駆けてきたら健康な若者だって辛いのが普通でしょう

 

そんな彼らが順次集まる間の数日間、私もやる事は多かった

 

具体的に言えば彼らの寝食の確保だ

 

緊急招集(全員集合ver)とか本当に名目だけ存在してるだけみたいな感じだった上に私が手紙を速達したから大使館の受け入れ態勢がまるで整っていないのだ

 

・・・半分くらいは自業自得なんだけどね

 

「いや!国がちゃんとしてなかったのが悪いんだから私は悪くない!!」

 

兎も角お隣のロカリオ共和国までNGL国内でも使える道具なり食料なりを車で買い付けに行った―――明らかにトラックが潰れるレベルの荷物をギャグマンガみたいにテンコ盛りにしてロープや布で固定し、数回の往復で必要物資の確保を済ませる。勿論車は『周』で強化しているのでちゃんと走ったよ。私に掛かればたとえポンコツ車両でも百万馬力(適当)だ

 

圧倒的トルクで強靭化したクランクシャフトを回し、どんなデコボコの道だろうとリムジンが公道を走るが如き揺れの無さを提供してくれるタイヤが揃っていれば大量の荷物を搭載した車も実にスムーズに走り出し、その役割を果たしてくれた

 

私が直接荷物を持っても一度に運べる量はたかが知れてるしね・・・コンテナとかをリュックサック代わりにする事は出来るだろうけど、幾ら何でも悪目立ちし過ぎる

 

裏のNGLと通じていたこの国の人達も流石に少女がコンテナをア〇レちゃん運搬法式でNGLまでお届けしてると耳にしたら調査に乗り出すだろうし、少なくともNGLの方針が決まるまでは態々痕跡をバラ撒くような真似はしたくないという理由で車を走らせて食料と雨風を防げる雑魚寝が出来る簡易の小屋(特大)を設置した訳だ

 

整地にはこっそりとテラースさんの力を借りて一瞬で均一平行に地面を固めて雑草も除去(夜に静かにやって貰った)

 

持って来た木材を木釘などを使って固定すれば簡易の寝床の完成だ

 

木釘もオーラを籠めて素手でぶっ刺せば簡単に固定出来るし、木材をパズルのように凹凸を利用して固定する宮大工の真似事も私にとっては朝飯前。片方の木材に少量のオーラを纏わせて押し付けるように“ギュッ♡”と(たお)やかな手つきで握って上げれば“メシャッ!”とくっ付くからね

 

ちょっとパーツの量が多いけどプラモデルでも作るような手軽さで朝日が昇る前には大使館から少し離れた場所に建物を建てる事に成功した。勿論隣接する形で簡易の馬小屋もセットだ

 

流石に素人の突貫工事だから台風が来たり半年も使えば色々とボロが出そうだけど、数日程度なら問題ない。それに緊急招集が終わったらバラして薪などの用途で消費すれば良いしね

 

他には水没した地下通路が悪用されないように河に潜って河底に穴を開けて水没状態を維持させたり、ボトバイさんの書類整理の手伝いやマフィア達の監視をしたり集まって来た町長、村長たちの対応をしているNGL職員の手伝いをしたりと地味な作業ではあったわね

 

あれで大の大人数人だろうと余裕で運べるルルも癒しと実用を兼ねて手伝っても貰ったけど、なんでか【使徒様】だの【天使様】だのと呼ばれていた

 

・・・NGLに空飛ぶ黄金羊な伝説なんて在ったのかな?

 

※ビアーが“力”を示した人達が上位存在(ビアー)の使役する超常生物として噂を広めた

 

しかしそれはそれとして重たい荷物を小さな羽をパタつかせて運んでいる姿は庇護欲を刺激される

 

荷物を代わりに持ってあげると逆にパチクリお目目をウルウルさせてしょぼくれてしまう所とかもっと見ていt・・・もといイジm・・・

 

結論、天使(かわいい)!!

 

とまぁ、そんなこんなで数日過ごす内に全員集合と相成った訳だ

 

「皆々、よく集まってくれた!此度はこの国の在り方を問う場となるだろう。既に知る者も多いだろうが改めて名乗らせて貰う。我々はハンター協会の者だ。世界中に流通しつつある麻薬の製造元をたどった結果この国が怪しいと睨み、調査の末にNGL建国からの悪事を暴く事となった。この場では中立的な立場からの助言という形で力になれるだろう。これでも私は検事として法律には明るい身だ。信用してくれると有難い」

 

ボトバイさんの代表挨拶からNGL職員の暫定リーダーの女の人の挨拶へと続いてゆく

 

「皆さん!今まで私達は建国者の悪意を覆い隠す為に植えられた雑多な森でしか在りませんでした。それは悔やむべきことですが、めげるべき時ではありません。今こそ自然調和の信念を束ね、世界樹にも負けない折れぬ大樹へと生まれ変わらなければならないのです!すなわちこれより始まる新のネオグリーンライフ。(New)NGLへと国名を改める案を第一の議題とします!」

 

なんか勢いで事前の予定になかった議題をぶち込まれたけど、満場一致で却下(スルー)された

 

そりゃそうでしょ。NewとNeoとか殆ど意味被ってるし、何よりダサい

 

全員の白けた視線が女性リーダーに突き刺さる中、流れを断ち切るようにボトバイさんが(わざ)とらしく咳をした

 

「ごほん!あー、では先ずは他国を含めたこの国の情勢について認識を共有したいと思う。しばし耳を傾けて欲しい」

 

ボトバイさんのお堅い説明がなされる中で女性リーダーは振り上げていた拳を居たたまれなさそうにゆっくりと下ろした

 

ここ数日は不眠不休で働いていたからテンションが可笑しくなってたんでしょうね

 

栄養剤としてマムシエキスみたいなの飲んでたけど、最後の方は在庫も切れちゃってグルグル回ったヤバイ目で尖った木の枝を武器にその辺の蛇を仕留めて皮を剝いでそのまま噛り付いてたし

 

何処(バキ)の世界の宮本武蔵よ?

 

生命力(オーラ)を操る念能力者なら数日の徹夜くらいはやろうと思えば出来るけど、一般人には起きっぱなしの仕事漬けはキツかったかな?

 

ボンヤリしている間にもボトバイさんがこの国と周辺国及び世界情勢についての大枠の説明を終えてくれたみたいだ

 

要約すれば(ディーディー)(麻薬)の生産及び販売を中止すれば隣国のロカリオ共和国を始めとして取引先の国々が麻薬の原材料であるビラの木の群生地であるNGLを保護と云う名目で奪い合う陣取りゲームが始まるって事だ

 

NGLに黒い噂が付き物なのにどの国も手を出さなかったのは麻薬と云う利益が有ったからで、それが無くなれば取引先の国々が連盟して難癖付ければ調査隊という名の侵略者を派遣する事は可能でしょう

 

どの国が抜け駆けするかでお互いに足を引っ張り合うような事態にもなるでしょうけど、その現場はこの国という事になる

 

他国の政治家たちとスパイによる裏工作でどの国がNGLの国土を何割受け持つかが決まるって寸法だ―――本命のビラ畑を逃してもリゾート地にでもして“隣国から仕入れた気持ちよくなる薬”で皆(一般人)がハッピー(グルグルお目目)になる未来に変わりはないって事だしね

 

だからこの国に難癖(?)を付けるって初手だけはそこまで時間が掛かる訳じゃないと思って行動した方が良い

 

今はロカリオ共和国との地下の連絡通路が河底に穴が開いて水没したから商品が届かないのだと思われているだろうけど、ここ数日大使館などからの暗号通信的なものも無いんじゃ流石に不審がられてるだろうしね

 

ボトバイさんからの説明を聞いた代表の人達の間に動揺が広がる

 

当然よね。今まで村単位の取り決めとかはやってきても国際社会のパワーゲームのやり方なんて言われてすぐに頭を回せる訳がない

 

「―――では、今回ハンターの皆さま方が捕まえた国王様(ジャイロ)とその臣下(チンピラ)達に此度の責任を取ってもらうと云うのは如何(いかが)でしょうか?」

 

それでも尚こうして話をしたのは彼らの中には『話の分かる人』が何人かは居るだろうって思いも有ったからだ・・・今手を上げながら重い腰を起こした亀っぽいお爺ちゃんみたいにね

 

これは別に不思議な事じゃないんだけど、NGLという環境保護の『団体』が設立されたのは約23年前の1977年頃でNGLが『自治国』として認められたのが1986年頃―――今からたった14年前程の話でしかない

 

このお爺ちゃんだって現役でバリバリ働いてパソコンのキーボードをカタカタいわして休憩時間に新聞で世界情勢を目で追っていたとしても可笑しくない

 

NGLは純粋に外の世界の事を知らない世代の方がまだまだ少数派だと言える

 

私達ハンターはあくまでも部外者。最終的に持っていく結論は決めていてもそこへ至る過程は出来ればNGLの人々からの自発的発案であって欲しかったから、良い感じの意見が出た事に小さくガッツポーズを取ると私の少し後ろでホバリングしてたルルがそれに気づいたのか私のガッツポーズ(片前足をクイッと上げる)を真似た―――可愛いかよ!

 

「麻薬の取引が無くなれば甘い汁を吸っていた各国が介入してくるのは時間の問題。その前に工場とやらを埋め立てる事が出来たとしても大使館を通さずに機械をこの国に持ち込み、糾弾するマッチポンプをされる恐れがあるとの事。ならば下手に隠し通そうとして在りもしない罪まで被せられるくらいならば逆に今回の一件は『上手くNGL(この国)に潜り込んだ集団が勝手に麻薬の密売を行っていた』とするのです。加害国ではなく、あくまでも我々は被害国なのだと世界に発信すれば“難癖を付けて介入”という手段は取りづらくなるでしょう」

 

「うむ・・・悪くは無いがその場合この国の管理能力が疑われるのではないか?それはそれで各国の介入の口実にもなり得そうなものだがな」

 

お爺さんの意見にNGLの教本を小脇に抱えたオジサンが問題点を指摘する

 

黙秘し続けるよりはリスクは少ないでしょうけど、やっぱり下手な欲を出す国が居るかも知れないからね

 

筋が通ってない言い分でも一度国際的に発信してしまえばその国も後には退けないから永遠にその議論をぶつけてくるのが国際政治だし・・・ただのイチャモンからのカツアゲじゃん

 

まぁ実際政治家なんて半分ヤクザみたいなもんだしね。世界情勢が安定していなければ特に

 

「いえいえ、寧ろ介入させるべきです。麻薬の製造・流出を止めた上で完全に無傷でいようという方が虫が良すぎるでしょう―――ただし、介入先はこちらが選ぶのですよ。主導権を相手に握らせてはいけません。その為に、彼らが居るのでしょう?」

 

お爺さんが代表たちの前に出つつ私達プロハンター組を見据えると全員の視線が一極に集中する

 

やだこのお爺ちゃん優秀!

 

「ハンター協会は一民間企業ではありますが、その影響力と信頼性が世界中で認められている事は皆様方もご存じでしょう。今回の一件で我々NGLの闇を暴き信頼を得たプロハンターに調査・監視をこちらからお願いするというのはそう可笑しな流れでは無いでしょう?―――首謀者たちを捕まえた今、こうして彼らが積極的にこの場に残っているのは大なり小なり利益を見越しての事。彼らとてボランティアという訳にもいきませんからの・・・して、我らに何を求められますか?」

 

おお~、主導権握ろうとしてきますね~。まぁでもこっちは政争したい訳でも利益重視で動いてる訳でもないから気楽なものだったりするんだけどね

 

「我々プロハンターは環境把握や自然保護も活動の一つだ。それはNGLの教義とも反する事は無いだろう。その為にも我々は大使館及び検問所に隣接・一体化する形で動植物などのデータを記録できる機材を含んだ建物の建設の許可を願う」

 

その言葉に代表たちが“どよどよ”と騒ぎだす。最早機械アレルギーとも云える彼らからしてみれば考えるよりも先に拒絶反応が出てしまうんでしょうね。たとえ建物一つ分のスペースでも機械が国内に浸食して来るのが我慢ならないって感じ?

 

今までNGLでは機械の持ち込みが出来なかった

 

当然カメラとかも使えないので例えばNGLに生息する生物だってスケッチブックに手書きするしかないし、自然保護を謳うNGLから生物・非生物を問わず資料を国外に持ち出すなんてのも当然無理だ。でもあくまでもNGL国内にそういった施設が建つなら多少手間暇は掛かるけど十分な調査を行えるようになる

 

NGLは金歯やペースメーカーみたいな金属等を体に埋め込んでたりしてない限り入国制限は実質在って無いようなものだけど、調査に関しては諦めろと言外に示してるようなものだったからね

 

「ふざけるな!このNGLは自然と共に生き、敬い、保護する理念が有る。建国者の思惑は腹立たしいが我々国民の思いは一緒だ!この聖域(NGL)を自然を破壊し、人類を堕落させる機械文明などに侵されて堪るか!!」

 

あ~、出た出た。こういう声だけ大きい人って何処にでも居るよねぇ

 

まぁこういう(やから)が吠えたてるのはこっちも想定内。というか元々通るとは思って無い

 

「ならば大使館及び検問所の中にカメラなど、コンパクトな機材を置けるスペースを提供して貰いたい。それとその場所までのサンプルの持ち込み許可をライセンスを持つ者たちに・・・これならば今まで通りNGLの国内に機械の類が持ち込まれる事は無く、我々プロハンターも環境保護に必要なデータを集める事が出来る。元々NGLでもビラ畑だった特別保護区は絶滅の危険のある生物を保護するという名目で住民の立ち入りが制限され、キミ達もそれに従ってきた。NGL国内のデータの収集はキミ達にとっても今後、必要なはずだ・・・この辺りを落とし処としたいが、何か意見は有るか?」

 

ボトバイさんが歌舞伎顔で眼光鋭く周囲を見渡し、最後に文句を言ってきた人に“ギンっ”と目を合わせる

 

〔ボトバイ の こわいかお あいて の せいしん が ガクッと さがった〕

 

う~ん。オーラも使わずにあの威圧感は私には出せないな~

 

今回のは最初に無理目な要求をして次にそこから一歩引く姿勢を見せる事で相手を尊重している体を見せつつ『譲歩してやったんだからこれ以上グチグチ言うなよあ゛あ゛ん?』という内容だ

 

相手方が調子に乗らないようにボトバイさんの“こわいかお”でそれ以上の要求を封殺する

 

「お・・・俺たちの国に余計な事を“ギャンッ!!”・・・なんでも・・・ないです、はい・・・」

 

何とかイキろうとしてくる人も居たけど理屈ゼロの感情的な言葉なら“こわいかお”からの“にらみつける”に叶うはずもなく、龍頭蛇尾的に語尾が小さくなっていく

 

本物のドラゴン(コスプレ)を前にしたら一般人が息巻いても所詮そんなものよね!!

 

この集会が終わったら細かい事は大人組に任せて私はレツたちと合流すれば良いし、早く終わらないかな~・・・ゴンとかはなんだかんだで合格しそうだけど、キルアとか如何なるんだろう?

 

「ホッホッホ、確かにそれならば我々の理念とも反する事は無いですな。ですが、如何に世界からの信頼の厚いプロハンターと云えども我々からしてみれば赤の他人に過ぎませぬ。そこであなた方の中から責任者となる者を出して頂きたいですな。あなた方プロハンターが我々とは逸脱した力を持っている事はここ数日で良く分かりました。万が一調査の名目でやってきたプロハンターが機械の類を無理やり国内に持ち込んだとしても止められる力が無い。『目には目を、プロハンターにはプロハンターを』もしもの時にその不埒者を狩って(ハントして)くれる信用と力の有るプロハンターとの繋がりはしっかり結んでおきたいですな」

 

おお、ボトバイさんの圧も涼しい顔して受け流しながら要望を言ってくるねぇ

 

成程、確かに責任者に認定されたなら万が一の時は自分にも被害が来るから調査隊もその人が厳選する事になるからNGLの人達からは二重の意味での保険となる訳だ

 

まぁ責任者なんて言ったらボトバイさんだよね

 

「ん?でもそれってハンター十ヶ条のその4が邪魔になるんじゃないかな?」

 

※ ハンターたる者 同胞のハンターを標的にしてはいけない

  (ただ)(はなは)だ悪質な犯罪行為に及んだ者に()いてはその限りではない

 

原作の選挙編でも散々問題視されていたこの第四条だけど、掘り下げるのは後にしてNGLにおける問題点はカメラやビデオなどで記録を残せないこの国では『甚だ悪質な犯罪行為』を証明する手段が乏しいってところよね

 

プロハンターはたとえ殺人を犯しても免責にされる場合が多いという特権を持っているんだから、国民の証言だけじゃ同胞を狩るのは難しいところがある

 

プロハンターの場合『甚だ悪質な犯罪行為』のハードルが無駄に高すぎるのが問題なのよね

 

解釈次第じゃプロハンターになってしまえばその後の人生全部を軽犯罪を積み重ねるマジタニプレイで大手を振って人生大往生(だいおうじょう)とかも出来る訳だし・・・目指すような人は居ないでしょうけど

 

きっとこの十ヶ条その4はプロハンターの実績と権力がそこまでずば抜けてなかった時代の名残からの弊害なんでしょうね

 

この第4項が作られた当初は特に問題視されるものでもなかったけど、念能力という圧倒的なアドバンテージを背に世界に貢献しまくった事で一部に歪みが生じちゃった的な?

 

「確かにビアーくんの指摘したようにいざという時に即断で動くのは難しい。我々プロハンターを全面的に信用して・・・などと云う言葉だけなど望んでいないのだろう?」

 

「確かに仰る通りですな。ですが問題は無いですぞ。プロハンターが強い権力で守られているのであれば、それを上回る権力を持てば良いだけの事です・・・先ほど述べた責任者をこの国の『王』と兼任させれば良いのです」

 

ファッ!?何を言いだすのこのお爺ちゃん!!?もうボケたの!?この場でボケの道へ一歩踏み出し始めちゃったの!?

 

「プロハンターと云えども無法が許される訳では無いのでしょう?その国に準じた法律が有り、それは一民間企業であるハンター協会が上回る事は無い。プロハンターが罪を免責される場合が多いのはあくまでもそれぞれの国がプロハンターを敵に回す事よりも全体の利益を優先させた結果のはず。ですがこのNGLでは機械文明を持ち込む事は殺人を遥かに凌駕する重罪。プロハンターの特権による免責など、この国が(ゆる)しは致しませぬ―――プロハンターの立場で下手人を捕らえるのが難しい?宜しい、丁度この国では空位となったばかりで且つ国営にも外国との交流にも関わらない姿どころか名前すら不明な『王』という立場が有るではありませぬか」

 

NGLの国王は表向き誰がどの様な統治をしているのかは自然調和の理念以外は不明

 

不明ゆえに変幻自在な権力を持たせた都合の良い王を擁立(ようりつ)出来るって意味?

 

お飾りの王とは少し違って責任者の名前を王に変えるだけの単純な話・・・単純って何だっけ?

 

「俺はパスだな。名前だけだろうと『王』なんてガラじゃないし、基本海で活動しているからいざという時に電波が届かない場所に長期間居たなんてザラに在りえるからな。この中じゃ一番適任じゃねぇだろう」

 

最初に嫌そうに辞退したのはグラチャンさんだ

 

確かにアロハシャツな王なんてのもアレだけど、なにより彼の念能力は雨の日限定だから雨の多い地域以外だと同じプロハンターを相手にするのは面倒でしょうね

 

「テラースも山奥に数か月籠るなんて普通だしな・・・リァッケはどうだ?警察との繋がりも強えぇだろ?ついでに王様なんてよ」

 

「冗談言うな。俺が警察とかと違ってハンターとして活動してるのは権力が嫌いだからだってのは知ってんだろ?そんな俺が仮にでも権力の頂点なんて肩書を背負うなんざ、鳥肌が立つぜ」

 

あは~、やっぱり皆『王』という名前に忌避感を持ってる感じね

 

幾ら何にもやらなくて良いと言われても嫌なものは嫌ってか

 

ならやはりこの場のプロハンターで一番年齢もハンター歴も長くて実績も有れば法にも明るく立場もあるボトバイさんが適任じゃないかな?

 

そんな皆の視線が彼に集中する中、意外にもボトバイさんも首を横に振ってしまう

 

「私はこれから世界中のマフィアの動きを制御する為に多忙となる。正直、世界とNGLではNGLの優先度が低くなる。私では本当に名前を貸す事でしか貢献出来んだろう」

 

今までNGLの『王』は基本表舞台に出なかったけど、それは私達プロハンターが『王』になっても同じこと

 

いきなり脈絡もなくプロハンターが王様になりましたなんて世界に報じたら外交という名のツッコミが殺到すること請け合いだ

 

確かにそれだと調査隊の責任者という立場しか最初は明かせない事になる。ボトバイさんの名声も効果は半減だ―――なにせ今まで調査したくても出来なかったNGLに機械を手前まで持ち込めるようになると言えば(よこしま)な感情が生まれるリスクは小さくとも常に有るようなもんだし

 

無論、一度でもそういった違反者が現れたならハンター協会に永遠にグチグチ言うのと同時に調査隊の件も白紙に戻されるんでしょうけどね

 

一切機械文明を持ち込まないという理念を徹底するにはその程度の事は必要でしょうし

 

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

うぇ~い。消去法で全員の視線が今度はこっちに集まってるんだけど~?

 

「あの~、ビアーまだ12ちゃいですよ?」

 

喰らえ!あざとぶりっ子ポーズ!!

 

“きゅるるん♪キャピッ♡”との効果音(幻聴)と共に一陣の冷たい風が駆け抜けた

 

「プロハンターに年齢は関係無かろう・・・あと、無理に年齢を引き下げようとするな。痛いぞ」

 

痛いって!キャラ付け歌舞伎顔(凄く痛い)人に言われた!!

 

この国に入国するにあたって自然塗料のメイクまで態々発注して来てる人に言われるのは何か嫌なんですけど!?

 

ま、まぁ冗談(震え声)はさて置いて『王』ねぇ・・・確かにこの中では私が一番身軽な身分では有るんでしょうし、『君臨すれども統治せず』的な感じでいけるならフロアマスターの称号を取った時と似たようなノリで貰っても良いのかも知れない。折角の異世界での第二の人生、多少破天荒な位が丁度良い

 

ただ言われるがまま名前だけで表にも出せない(かんむり)を貰うだけってのも味気ないのよねぇ

 

「―――と云うかNGLの人達的には私みたいな小娘が責任者(王)なのは良いんですか?」

 

サラッと流されそうになったけど、前提が成り立ってなかったら意味ないよね?

 

それに対して広間に集った皆のガヤガヤとした声が聞こえてくる

 

(あのお嬢ちゃんなら良いんじゃないか?俺、丸太を何本も軽々と持ち運べるような真似は出来ねぇし、戦力的には問題無いだろう?)

 

(ああ、それにやっぱり女の子の方が華が有るしな!)

 

(落石で塞がれた道を即座に何とかしてくれたんだろう?どんなパワーだってんだ)

 

(内政に干渉出来ないなら変な指示出される心配もしなくて良いしな)

 

(俺たちの為に小屋まで建ててくれてたしな)

 

(食料配布の時に触れたお手々柔っこかった)

 

(私はルルちゃんが果物の籠を差し出してくれる姿に心打たれたわぁ)

 

(ああ、ルルちゃんは良いよなぁ・・・寧ろルルちゃんだけで良い)

 

「おい、最後の奴誰だ!ルルは絶対に渡さないからね!!」

 

「ふぅむ。反応は概ね良好なようですな。大使館の方々も特に反対意見は無いですかな?」

 

お爺さんが周りを見渡した後で確認の為に正面に向き直ると先ず女性リーダーが頷いた

 

「ええ、理念に反さず、国民の支持が得られる内容なら良いと思います。元々実体のない『王』の役職。幾らでも融通は利かせられますからね」

 

「うむ。私にも否は無い。無論我々がNGLの理念を妨げないようにプロハンター、すなわち『王』を都合の良い傀儡(かいらい)としないような法と『王』の役割を勝手に変更出来ぬルールは組み込ませて貰うがな」

 

ッチ)

 

「・・・後はビアー君次第だが、如何かね?」

 

ボトバイさんスルーしないで!今隣の人舌打ちしたんですけど!?

 

腹黒い!意外と腹黒いよその人!!

 

「私は構いませんよ。ただし!理念に反さずと云うのならその範疇(はんちゅう)でなら王様としての権限を使わせて貰いますけどね!」

 

高確率で暗黒大陸から一匹の蟻がやって来るんだし、多少の権限は確保しておきたい所だ・・・まぁ有っても役に立つかは今のところ分からないんだけどね

 

それでも、もしもの時に避難勧告を出す程度の事は出来るはずだしキメラアントがエサの確保に時間を掛ければそれだけ『王』の誕生までの時間も稼げる

 

被害ゼロは現実的とは言えないけど上手くすれば『王』が生まれる前には対処できるからね

 

「差し当たって私は電脳ネットの極秘会員に登録するのに『王』の名前を使わせて貰うね。あっ、お金は自分で出すからさ」

 

「ほう、それは何故ですかな?」

 

「いや私ってそこそこ有名になって来てて基本徒歩で旅してるから行く先々でマスコミが待機する事が多くなって来てね。下手に囲まれてもいざという時に瞬時に動き辛くもなっちゃうから、これはNGLにも関わりの有る話だよ?とまぁそんな感じに時折『王』の権利を行使したりもすると思うけど宜しく~♪―――以上!新生女王のビアー=ホイヘンスの就任挨拶でした!」

 

最後を締めくくると周囲から『軽っ!?』とか『いつの間にか就任式が始まっているどころか終わっていた件について』とか色々聞こえてきたけど堅苦しい事して時間を取られるなんて嫌だしね

 

その後はまたボトバイさん主導で細かいところを詰めたら緊急会議は解散

 

国中から集まった代表たちはその日か次の日の早朝辺りにそれぞれの村に帰って行った

 

その間に今回の招集で問題となった連絡網の見直しとかちょくちょく不自然な個所を訂正したり紅いスズランを試験的に栽培する土地を確保したり工場から戻って来たカストロさんが『NGLの一員になります!』とか言ってたのを『一つ星(シングル)の称号は如何した!!』と背中を蹴とばしてお星さまにしてサッサと出国させたりし、電脳ネットで私の極秘会員登録が完了したのを見届けると私もNGLの大使館を後にする事にした

 

「え~っとポンズ姉に最終試験の場所と集合場所の確認のメールを発信したけどまだ返事は無しか・・・まだ試験中かな?ならトリックタワーの近くの街まで行こうかな。確かそう離れては無かったはずだしね―――良し!行こっかルル♪」

 

≪メェ~♪≫

 

「ボトバイさん達もこの後が大変でしょうけど、頑張ってください。お疲れ様でした!」

 

「うむ。ビアー君も達者でな。会長はハンター試験の最終試験には顔を出すので一つ星(シングル)の申請は試験が終わった後になるだろう」

 

「了解です。では皆さんもさようなら!また一緒に仕事出来たら良いですね。それでは~♪」

 

手を振りながら走り出すとそれぞれから「またな~!」とか「今度釣りの穴場を教えてやるよ」とか「お前もカストロと一緒にサーファーにならないか?」とか別れの挨拶?をしてくれた

 

さぁて!9月まで時間も無いし、ゴン達を鍛えるとしますか!

 

その為にもやっぱりアレを解禁しないとね!

 




何故か亀のお爺ちゃんが超有能になってしまった件

あんな戦闘力皆無そうな見た目で師団長ですし頭脳に全振りでも良いよね?
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