ハンター試験の二次試験会場へ向かうバスの最後部の座席で隣に座ったヒソカが私の顔を覗き込みながらデートのお誘いをしてくる
そのデートって絶対に碌なもんじゃないよね!?血で血を洗うナニカだよね!?
つぅか11歳相手にデートとか言うな!ロリコン疑惑を掛けられるぞ・・・この変態はそんなの気にしないだろうけどね
「キミが190階を勝ち上がった日、僕はずっとキミが200階に現れるのを待っていたのに放置するんだから♣その後も結局会えずじまいだったしね♦もしかしてボクに焦らしプレイをしてたのかな?だとすればボクもうギンギンに滾ってきちゃいそうだよ♥」
"ドガァアアアアアンッ!!"
その時、私たちの乗っていたバスの最後部の座席の一部が吹っ飛んだ・・・具体的にはヒソカが座ってた辺りがまるでそこに座っていた人物が強力な裏拳を叩き込まれて吹き飛んだかのような破壊痕を残している。バスに伝わった衝撃が一瞬だった為かバス自体の損傷は大人一人分より少し大きめの穴が開いた程度だ
まったく、移動中も気が抜けないとは流石はハンター試験だ
隣に変態が座ったと思ったら体の特定部位を盛り上がらせるんだから
「イタタタタ♥スゴイ威力だったね。咄嗟にガードしたのに左腕と肋骨イッちゃったよ♣右腕も罅が入ってるし、知り合いのウボォーって男の全力パンチよりかなり強いんじゃないかな?焦らしたと思ったら今度は激しいプレイに移行するなんて、やっぱりキミ素質有るよ♥」
うわっ、普通に戻ってきた。遥か後方に殴り飛ばしたけど直前に念能力を発動させたな
ヒソカの能力はオーラをガムとゴムの両方の性質を持たせる【
殴った感触も変だったから裏拳も能力含めてガードされてたみたいだね。ゴムって打撃には強いし
それにしても私の今のパンチはそれくらいなのね。まぁ単純な肉体強度は幻影旅団一の筋肉ダルマには劣るだろうし念を集中させたパンチと『堅』の私って違いも在るし妥当なところかな?
通常攻撃は全て【
ん~、話を聞く分にはウヴォーって人には勝てそうだけどヒソカや万全状態の幻影旅団の団長相手だと過大評価しても精々互角くらいかな?相手の2倍スペック程度だとその二人のような戦闘のプロだとまだまだ十分詰め切る事も出来るだろうし、如何やら私にはまだパワーが足りてないらしい。相手が技術を押し付けられる程度のパワーでは私の通常攻撃は必殺技・・・『必ず殺す為の技』には届いてない
だってヒソカまだ生きてるしね
「ふん!至高の輝き(強化率増し増しオーラ)を放つビアーさまに情欲に駆られた眼を向けるような輩が、これ以上口を開くな。天空闘技場で再戦する前に今この場で始末してやろうか?それだけのダメージを負った貴様を倒すのは武人として気乗りしないがな」
はい。実は私の隣・・・ヒソカが座っていたその反対側にはカストロさんが座ってたんだよね
最初のヒソカのセクハラ発言に彼が物申す寸前に私の裏拳が炸裂しちゃった訳だけど
カストロさんが虎咬拳の構えを取りながらオーラを高めるとヒソカも18禁SAN値直葬な愉悦顔を更に深める。二人のオーラがお互いを向いているから良いけど八方に振りまこうものなら阿鼻叫喚の地獄絵図になっちゃうんじゃないかな。このバスに乗っていた他の受験者もそれなりに感覚は鋭いからか全員バスの前方に避難してるし
「ああ、カストロ♥キミもアレから僅か半年とは思えない成長ぶりだよ♠自信を付けつつも万全のボクに勝てると驕っている訳でもない♣しっかりと基礎を磨いているみたいだね♦感心、感心♠キミも今すぐ食べちゃいたいくらいだよ♥」
まぁ両腕と肋骨が骨折してるらしい今のヒソカならカストロさんもそれなりの勝負は出来るかもね。ヒソカの遊び癖も考慮すれば大ダメージを与える事は出来るかもだけど、勝つのは無理じゃないかな?せめて右腕を完全に折って片目片肺くらいは潰さないと互角にはならないでしょう
「―――それにしてもキミ、彼に「ビアーさま」なんて呼ばせてるの?なんだい♦キミも案外ノリノリなんじゃないか♠なら、キミはカードで言えばさしずめ『
ダメだ。この変態と会話するの疲れる。そしてカストロは『さま』呼びを止めろ
仮にもイケメン二人に挟まれてるこの状況だけど欠片も嬉しくない。代わりたいって人が居るなら是非代わって欲しいくらいだ
「ほら、カストロさんもヒソカも殺気を仕舞って大人しく座っててよ。こんなところで戦う気なんて無いんだから」
なんかバスの前方に避難してた他の受験者たちから『お前がソレ言うの?』みたいな視線を向けられたけど黙って封殺する。貴方達だって隣に変態が居たら叩き出すくらいするでしょうに
私の言葉を受けてヒソカは元々座ってた場所が吹き飛んでいたので、一つ前の席に座り直して私たちに向ける殺気は収めてくれた
「ァアア♣これだけボクをその気(ズタボロ)にさせておいてまた焦らすだなんて・・・♥何処かで鎮めないとイケないなぁ♦」
あ~、あ~、聞こえない聞こえない!
そうしてヒソカのねっとりボイスを全力で聞き流して暫くの間バスに揺られていると漸く目的地に到着したようだ。同じバスに乗っていた他の受験者たちは皆青い顔をして我先にとバスを降りていき、途中のヒソカの殺気に中てられた人なんかは地面に色々ぶちまけていた
きっとバスから降りた事で緊張の糸が切れたんでしょうね
「おい、今年のルーキー全員イカレてやがるぞ」
「おいおい如何した?何が在ったってんだよ?スゲェ汗だぞ」
「てか途中バスが爆発してたのは何だったんだ?俺はてっきり移動という名の二次試験でも始まったのかと思ったぜ」
「アレはあの女のガキがピエロ野郎を殴り飛ばした痕だよ。アイツはアイツでボロボロになりながらイイ笑顔浮かべてるし、銀髪マントは茶髪のガキがバスを破壊したのを子供みてぇなキラキラした瞳で見てやがるし、今回のルーキー、狂人しか居ねぇぞ!」
「はぁ!?アレが殴ったって痕かよ!鉄球クレーン直撃させても一撃で穴が開いたりしねぇぞ」
「いやマジなんだって!信じてくれよォ!」
ちょっと外野が煩いけど、バスの一部を破壊する程度なら念を習得してない受験者でも出来る人は出来ると思うんだけどね。具体的に言えば超絶重い扉で有名な『試しの門』を開ける人ならなんとかなるでしょう
バスから降りてきた私たちを待っていたのは毛皮の服を着た原始人スタイルの試験官だった
さっき話題になったウヴォーって人を細身にしたような感じだね
「俺が二次試験官だ。猛獣ハンターをやっている。今回お前らにやって貰う試験の内容は
腕を組んで仁王立ちしていた試験官が後ろの森をビシッと親指で指さす
「俺の後ろに見える森は通称『死の森』。大小様々な毒虫や猛獣、それらを捕食する食獣植物などが
その説明を聞いた多くの受験者から生唾を飲み込む音が聞こえる
「それで?俺たちは一体なにを
何処かからそんな声が聞こえてきた
う~ん。やっぱり大きくて危険な猛獣とかを取っ掴まえてこいって感じなのかな?
「今回のお前らのターゲットは『
うん?ウサギ?
「見た目は普通の兎と変わらない、この森に生息する唯一の兎だ。だが先程も言ったようにこの森は非常に危険だ。そんな森を
試験開始の合図と共に他の受験者たちが一斉かつ慎重に気配を殺して森の奥へと踏み入っていく
「ふっ、獅子は兎を狩るのにも全力を尽くすと言いますが、それは虎とて同じこと。ではビアーさん、お先に失礼させて頂きます」
カストロさんもそれだけ言い残すと素早く森の中に消えていった・・・あのマントとか邪魔だと思うんだけどなぁ
さてさて、私は先回りして罠でも張ってみますかね?
他の受験者たちがゆっくりと森の中を兎の姿を探しながら慎重に進んでいる間に私は『絶』で気配を殺しつつ森の木々の上を大きく跳躍して誰よりも先にある程度森の奥の方まで入り込むと『円』を発動させる
「ん~、流石にいきなり探知に引っかかったりしないか~」
『円』は基本的に隠密性の高い念能力だ。自身のオーラを周囲に拡散させれば当然その密度は低下する。キメラアント編の敵とかは禍々しいオーラを放っていたし、殺気や敵意をオーラに乗せれば流石にすぐに分かるけど原作キルアがすぐ隣でカイトが張っていた『円』に気付かなかったように本来は早々気付ける類の能力じゃない
逆に態と『円』を気付かせる事でプレッシャーを与えてターゲットを追い込んだキルアの祖父のような使い方も出来るんだけどね
そうして『円』を維持したまま暫く待っていると
ハンター試験は本選ともなれば毎年多数の死者が出る過酷な試験。最初に最低でも十数人程度はこの森の洗礼を受けて騒がしくすると思ったんだけどその通りだったみたいだ
加えてヒソカが「辛抱堪らん」って自主規制顔してたから悲鳴は更に多くなる
すると如何でしょうか。森の比較的浅瀬に居たらしきウサギたちが我先にと逃げてくるではありませんか
その中の一匹でも私の『円』の範囲に入ればこっちのもんよ!
「伊達に小さい頃から森の中を全力疾走してた訳じゃないんだからねぇえええ!!」
私の『円』の中に偶々引っかかったウサギを全力で追いかける
「って!迅!?森の中でこれ100km/hは出てるんじゃないの?確かにコレは普通は追いかけて捕まえるの無理だわ。さっきから猛獣の隣を掠めるように走ってるし、意外と
直感で分かる。このウサギはMMORPGとかやったらモンスター・トレインとか普通にキメるタイプね!(偏見)
「でもこれで・・・捕まえたぁあああ!!」
捕らえた『
「へぇ、見た目は本当にただのウサギね。これって売り物にしたとしても需要有るのかな?」
実は肉が絶品!とかならまだしも毛皮に価値は無いだろうし、一部の物好きかウサギレースに熱を上げてるような人達とかでもないと欲しがらないと思うんだけど・・・
「てかウサギレースってなによ。極小ジャンル過ぎるでしょ」
呟きながらもヒソカとエンカウントしないように注意しつつ開始地点に戻ると森から現れた私の前に体格こそ違うけど似たような顔立ちの帽子を被った三人組が立ちはだかった
「悪いが嬢ちゃん。そのウサギは俺たちが貰うぜ。痛い目に遭いたくなかったら大人しくそいつを渡しな」
「へっへっへ!アモリ兄ちゃんの言った通りだ。森の入り口で待っていれば一人か二人は運よくウサギを見つけて直ぐに帰って来るって・・・アレ?その場合僕の分のウサギは如何なるの?」
「安心しろイモリ。そん時は俺もウモリもウサギ狩りは手伝ってやるよ。つってもお前の分のウサギだからな、キリキリ働けよ」
「そ、そんなぁ!俺たち三人一緒だろぉ!いっつも俺だけ割を食うんだから」
「文句を垂れるな。馬鹿なお前じゃ今回のような作戦も思いつかないだろう。三人分のウサギを自力で狩るより遥かに楽なんだから愚痴を吐く前に働け」
おー!この三人組は覚えがあるね。ハンター試験の希少なギャグキャラ要員だからモブなのに印象には残る感じの人達だ
感心もそこそこに私は手に持っていた『
私が降参したと取ったのかさっきまでの三下萎縮顔から高慢な感じの表情に切り替えた
「そうそう、それで良いんだよ。俺たちだって好き好んで小さい嬢ちゃんをイジメたい訳じゃないんだからな」
そう言って手を伸ばしてきたところで私も一歩前へ踏み出す
森の中のような足場の悪い場所で時速100キロは出せるウサギのバタつく足が丁度顎に当たるくらいの位置にね
"スコーンッ!!"
小気味のいい音を響かせて顎を蹴り飛ばされた末弟くんは白目を剥いて後ろに倒れた
「おお~!何事も使いようと云うか、やっぱりパワーって大事なんだね」
「な、なにしやがるこの餓鬼ィイイイイ!!」
私がウサギの脚力に感心していると三兄弟の残り二人が同時に殴りかかってきたのでウサギを抱えなおして天空闘技場でやっていたように足技で蹴り飛ばした
三人とも気絶してるけど森の外だから多分大丈夫でしょ
そうして劣化版ウヴォーみたいな試験官に『
「お前が二次試験合格の第一号だ。もうすぐ次の試験会場へ向かう為の飛空艇がやってくるから合格者は次の指示が有るまでそこで自由に時間を潰せ」
それから一時間もしない内に確かに飛空艇がやってきたので私は一足先にシャワーとベッドに溺れる事にしたのだった
「よ~し!空いた時間は『纏』と『練』!三日も有れば20分は伸ばせるかなぁ?日々の積み重ねがパワーに繋がるんだから頑張りますか!!」
―――と言うかそれ以外やる事無いし!!
今回の話で主人公の現時点での大体のスペックは明かしましたかね?
二次試験の試験官の末路は・・・まぁ、はい