毎日ひたすら纏と練   作:風馬

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GIの報酬にトガ神に筆を取らせるってSSカード入ってたりしないかな?


調査と決定

ヨークシンシティの9月2日。深夜1時過ぎ

 

マフィアとの抗争と地下競売品の略奪に向かった団員との連絡が取れなくなったアジトに待機していた残りのメンバーに幻影旅団の団長たるクロロが指令を下す

 

「先ずは二手に別れる。俺、パクノダ、ボノレノフはウボォーギン達が陰獣と戦ったと思しき郊外の荒野に向かう。フィンクス、コルトピ、ヒソカは街に出て情報収集だ。騒いでるマフィアでも痛めつければ概要くらいは掴めるかも知れん―――コルトピ。ウボォーギン達が捕まったならこのアジトの場所もパクノダやシャルナークと同系統の能力者が居たなら割れている可能性が有る。念の為ビルをあと10棟程増やせるか?」

 

コルトピの能力である本物と寸分(たが)わぬコピーを生み出せる【神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)】は『円』の役割も果たす

 

ここで求めている役割は敵に見つからない為と云うよりは鳴子のような警報装置に近く、またシャルナーク達が自力でアジトに戻って来た時に態とコピーに触れる事で所在を知らせる効果も期待できるのである。コピーのビルが多ければ多い程『敵』が侵入してきた場合に探索に時間が掛かり、クロロ達がアジトに引き返して奇襲を仕掛けられる確率も上がる

 

「50は平気」

 

「よし。これからは定期連絡の密度を増やす。行け」

 

そうして旅団(クモ)は動き出す。クモが自らの巣を離れる行為の代償も知らぬままに

 

 

◁◁◁

 

ビアーと別れたレツたちは捕らえた幻影旅団を陰獣に引き渡す事とした。十老頭の名の下ならばヨークシンでの監禁場所には困らない。木を隠すなら森の中という訳だ

 

「忠告しておくけど、あまり陰獣や十老頭直下の物件やクレジットカードなんかでの金の流れを作らない方が良いわ。どうやら旅団(クモ)の中にはハンターライセンスの所持者も混ざっているみたいだから、少しでも証拠を残せば一発で足取り辿られちゃうわよ」

 

旅団たちの武装解除をした時にシャルナークの懐からハンターライセンスを取り上げて(ネコババして)おいたのだ。ポンズもレツもジェニーに換金する気満々である―――シャルナーク達を倒したのはゴン達なので最終的な報酬に合算した後で山分けという形にはなるだろうが

 

「けっ!俺たち陰獣がガキのパシリでコソコソしなきゃならねぇとはよォ」

 

「然り。念も行動も封じているコヤツ等のお守にしては過剰と言えよう。しかしこれは十老頭のお決めになった事だ」

 

「イエスマン(じじい)の処世術なんざ聞いてても反吐が出るぜ。先に死んだ雑魚どものせいで陰獣の格が堕ちたまんまなのは気に入らねぇ。なんなら俺が旅団(クモ)の頭だけでも狩ってきてやるぜ。精々牢番でもやってるんだな」

 

タラコ唇な陰獣はビアーが居なくなった事で調子を取り戻したようだ。強気な発言は下手をすれば無鉄砲な行動にまで繋がり兼ねない。事実、決して仲が良い訳でもない残りの陰獣の説得で彼が止まる確率は低いだろう

 

そんな彼にレツが近付いて声を掛ける

 

「ねぇハニワさん?」

 

開口一番失礼である

 

「誰がハニワだ!陰獣は全員生物モチーフのコードネームが与えられてんだ。俺だけ無機物な訳無ぇだろうが!!」

 

「じゃあ、マンボウさん!!」

 

「し・ば・き・倒すぞチビガキ!その二つの共通点つったらマヌケ面な所だけじゃねぇか!?俺様はツチガエルだ!!」

 

カエルもカエルで十分マヌケ面だと皆の心情が一致したが、態々ツッコミを入れる者はこの場には―――

 

「ぷっ♪『俺様はカエルだ!』なんて威張って言うセリフじゃねぇし、ウケるんだけど!」

 

空気を読まないガキ(キルア)はどこの世界にも居るものだ。自分の事を指差してウザイ嗤い顔を向けて来るキルアを目にして彼のこめかみに野太い血管が浮かび上がる

 

「カエルの凄さを教えて殺ろうかテメェ!あいつ等素早い獲物だろうが毒持ちの大型の蜂だろうが捕食する自然界のグルメハンターなんだぞ!」

 

「いや明らかにソレって一部のカエルだけだろ?ああ、でもハンター試験の時に他の受験生丸のみにしてるようなやつも居たんだっけか?後ろの方から悲鳴が聞こえてたけど、霧が深かったからよく見えなかったんだよなぁ」

 

※ マチボッケ ヌメーレ湿原生息 一軒家くらいの大きさ

 

先程から全く話が進む気配が無い様子を見て軽く溜息を吐いたレツが一度視線を切ると次の瞬間暴力的なオーラが吹き荒れた

 

「二人とも?しばき倒されたくなかったら余計な事は考えないようにね?」

 

レツの縦に割れた瞳孔に睨まれた二人はその背にドラゴンの姿を幻視する

 

生命力(オーラ)というよりは王気(オーラ)。頂点捕食者の重圧を前にある程度慣れていたキルアは冷や汗程度で済んだが、陰獣達からすれば少し前に自分たちを襲ったまるで足下で破局噴火が起こったような、はたまた巨大隕石でも落ちてきたかのような、大自然でも相手にしてるかの如き圧倒的な力の奔流に近いものを感じ取っていた

 

(すなわ)ち抵抗すれば、否、反抗すれば死

 

抵抗などという甘え(・・)が許される余地などないのだと

 

(在り得ねぇ!在り得ねぇ!!在り得ねぇだろこの重圧!!!俺じゃあさっきの茶髪のガキとどっちが上かも判らねぇ。レベルが、次元が違い過ぎる。こんな世界のバグみたいな存在が二人も居て良い訳ねぇだろう!?ましてやこんな小さなガキがだぞ!?・・・あれ?ガキが何時の間にか俺よりもデカく?・・・ああ、そうか。俺が座り込んでるのか。ハハハ・・・もう笑うしかねぇや)

 

彼が壊れた機械のように乾いた笑いを発するようになってレツは【ドールキャッチャー】の『二人羽織』を解いた。ビアーの時は一瞬で気絶させてしまっていたので今回はキッチリと上下関係を叩き込んであげたのだ。義姉の背を見て育った義妹の末路である

 

「レツ。それを使って大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよポンズ。ボクも修行してオーラも増えたから、ちょっと脅すくらいの時間なら筋肉痛になったりもしないからさ。それよりも『ビアーが居なければ』―――なんて思われてたら安心して旅団を預ける事なんて出来ないからね」

 

レツ自身は殺気や闘志を叩き付けるのは苦手だが、元々殺意が振り切れているピー助をその身に宿している時ならば苛烈な殺気を『発』っする事も出来る

 

ヤベェ奴認定される気配(オーラ)度で言えばビアーよりも上かも知れないのだ

 

残りの陰獣たちはその名の通り近くの岩場の陰で恐怖に震える獣のように縮こまってしまった

 

彼らがレツたちを侮る事も歯向かう事も今後、一切起き得ないだろう

 

「それじゃ寄り道ついでに本命の大半は片付けちゃった訳だけど、本来の予定(ヒソカ)に戻りましょうか。話がどう転ぶかは分からないけど、戦闘には発展しないと思うし、その後は休養を取りましょう。皆さっきの戦闘で少なからず消耗もしてるから今は休むのが先決よ」

 

「同感だ。棚ぼたに浮足立って機を急いては旅団(クモ)を相手に致命的な隙を作り兼ねないからな。命のやり取りの後で皆少なからず疲弊している。休む事も含めて戦いだ」

 

「え~。俺はまだやれるよ?」

 

「はいはい。腕が千切れたばかりのゴンはバカ言ってないで後でさっさと肉でも食べて寝なさい。あんたならそれで十分回復するでしょ。仮に今すぐ戦ったらフィギュアのパーツみたいにまた腕を落っことすわよ?」

 

それを聞いたゴンは渋々頷く。流石に玩具のような脆さで戦闘に出るのは仲間にも迷惑が掛かると思ったからであろう

 

「医者志望としては一言二言ツッコミてぇ内容だな」

 

人間の手足はそう簡単に千切れてもいけないし、ましてやその場でくっ付くものでもないのだ

 

「現実を受け入れなさいレオリオ。一般人と逸般人は生物学上でしか同じとはみなされないわ」

 

「普通そこが同じだったら大差ないはずなんだがなぁ・・・」

 

レオリオの“やってらんねぇ”という思いの籠った呟きが夜の荒野に溶けてゆき、彼らはヒソカとの待ち合わせ場所に向かうのだった

 

 

 

「・・・とまぁ昨夜から半日ほど経ったけど、幸い奇襲を受けたりはしなかったわね。ゴンは腕の調子はどう?」

 

個室制のレストランで注文したステーキ定食を切り分けながらポンズが訊ねるとゴンは既に三皿目へと伸ばしていた手を一旦止めて切り飛ばされた左の手首をクネクネと動かして完治した事をアピールする

 

「バッチリ!もうどこを斬られたかも分かんないや!」

 

元々刀による綺麗な切り口で切断面の細胞も殆ど痛んでいなかった為、『念糸縫合』の精度とゴン自身の驚異的な回復力を合わせてもはや継ぎ目すら視認出来ない程である

 

「ゴンの怪我は問題無いとして残りの旅団は上手く釣れるかなぁ?」

 

海鮮パスタの大きめの海老(エビ)にフォークを突き刺して小さな口で半分ほど(かじ)って咀嚼(そしゃく)するレツがポツリと(つぶや)

 

「正直分からない・・・が、連中のアジトに直接乗り込むのは今選択すべき行動ではないな。動き出した奴らがどんな罠をアジトに仕込むか不透明な上、“待ち”よりも積極的に動くような奴らだと云うのが昨夜の連中を見て抱いた印象だ。アジトで律儀に待機している団員が居るのに賭けて敵の本拠地に足を踏み入れるリスクは極力避けたい」

 

「街中でメガホンでも使って『街の外の荒野で決闘を申し込む!!』って宣伝して回ったら来てくれないかなぁ?」

 

ゴンの提案?にキルアが呆れ顔でジト目を向ける

 

「ああ、来てくれるだろうぜ。そのまま街中でバトル勃発して大勢巻き込まれて死ぬまでがワンセットだけどな―――ったく、もうちっと考えて発言しろよな。思い付きを整理しないまま口に出してるとバカなだけじゃなくてアホだぜ」

 

「う゛ぅ~。そこまで言わなくても良いじゃないか~」

 

暗にバカなのは確定と言われているがそれに気付くゴンではない。バカだから

 

そんなゴンを尻目にメニュー表から顔を上げたレオリオが確認事項を問う

 

「なら、やっぱり決戦は明日って事で良いんだな?」

 

「ええ。でもその前に私達が探り当てられたり、不意の遭遇なんてのも有り得るから、その気構えだけは忘れないようにしなさい・・・取り敢えずメニューのお酒の項目から目を離すのがレオリオの今やるべき事よ。ていうか真っ昼間からお酒飲もうとするんじゃないわよ!」

 

「そ、そんな訳ねぇし?未成年の俺は当然、その上のジュースの欄を見てただけに決まってんだろ(目逸らし)」

 

「あんたの国じゃもう成人とか言ってビールをゴクゴク飲んでたのは何処の誰だったかしらね?都合の良い時だけ未成年を名乗るんじゃないわよ。全国の未成年が穢れるわ」

 

ポンズはそう言いながら穢れが移らないようにと微妙にレオリオから距離を取る

 

「そこまで言う必要ないだろうが!今のは流石に傷つくぞゴラアアア!」

 

「本当に傷付いてる人間はそんな風に怒鳴ったりしないわよ。それに(ツバ)が飛ぶから止めてちょうだい。強制的に黙らせるわよ」

 

「・・・おい、その帽子から取り出した物騒なゴツイ銃っぽいのはなんだ?」

 

「キルアが修行の時に使ってたスタンガンとか発電機とかの余りを改造して作ったのよ。クマも一殺(イチコロ)最高電圧500万ボルト。特製テイザーガンよ」

 

「殺意高過ぎだろ!?普通100万ボルトでも一発でぶっ倒れるわ!!」

 

「一般人相手ならね。念能力者を相手どるならこの位の電圧は欲しいところよ。ちゃんと帽子の奥の発電機と繋がってるから大抵の相手なら気絶するまで電気を流し続けられるわ・・・帽子を被ったままだとちょっとコードが鬱陶しいのが欠点だけどね」

 

大型機材の力をそのまま現場で出力できるのは空間収納系の能力を持つ者の強味である

 

「電気か~。俺もキルアの電気を幾らオーラでガードしようとしても出来ないもんね。同じオーラなのにこっちの防御を貫通してくるのってなんでなんだろう?」

 

「ああ、その事ね。確かにそれは炎や電気なんかへの性質変化の強味だと云えるわね。体は鍛えれば筋肉や骨の強度や関節の柔軟性とか物理面では強くなるからオーラで目に見えて強化されるけど、耐熱とか耐電とか鍛えようが無い上に元々の抵抗値が低すぎるモノは強化してもあまり数値に変化が無いのよ。仮に耐熱値が0.001程度だとして、それをオーラで十数倍に高めたところで殆ど意味が無いでしょう?電撃が平気なキルアも痛みに慣れてるだけで電気そのものが効かなくなってる訳じゃないんだもの・・・まぁ強化のオーラを極めれば理論上は雷に打たれても平気な絶縁体なボディになれるはず!ってビアーは意気込んでたけどね」

 

「ビアーの奴、本当の意味で雷を克服するつもりなのかよ。俺ん家の立場が無くなるぜ。いや、無くなった方が良いんだろうけどよ」

 

「大丈夫じゃない?普通は人間ってそこまで人外になれないから・・・あの子は・・・何時かあっさりとその境界線も飛び越えちゃいそうだけどね」

 

“分かる”とばかりに全員がしみじみと首肯(しゅこう)する。オーラとパワーは既に人外なのだ。成長を続ける彼女を目にすれば他の項目も人外の領域に足を踏み入れたところで驚くに値しない

 

「そういや組手で電撃をビアーに喰らわせても『ちょっとビリっと来た』とかって反応だったからな。今にして思えば拷問の訓練も無しにあの程度とか、既に電撃が効き辛くなってやがるぜ。あの時は『ビアーだから』で思考停止してたけど、そういう事だったんだな」

 

このままでは自分がビアーに勝てる未来が100%訪れる事が無くなりそうだとキルアが遠い目をする。電撃を喰らっても平気な人間は特殊な訓練を受けた自分のような一部の例外だけであり、生物相手ならかなりのアドバンテージを常にキープできるはずの『発』がオーラ量だけで捻じ伏せられようとしているのだ―――理不尽である

 

(そうだよな。ビアーは参考にならないとしても電撃に耐える訓練をしてる奴は探せば少しは居るはずだし、そんな事をしてるなら戦闘員だろうしな。単に電気をぶつける以外の活用法とかも考えとかないとな)

 

その後も細かい打ち合わせをしつつ食後のデザートやコーヒーなどを胃袋に収めた彼らはその店を後にする。明日の決戦に向けて武具の手入れや英気の充足の時間に充てる為だ

 

「あ~お腹一杯♪最後のホットケーキとかフルーツとかクリームを山のように乗せててもうどっちが主役なのか判らなかったね」

 

「あの量を一人で食べてたら口の中で甘さの洪水が巻き起こってたわね。でもあのホットケーキには蜂蜜も掛かってたけど、三叉槍大蜂(トライデント・ビー)の蜂蜜(一瓶数十万ジェニー)と比べたら流石に劣るわね。前に採取した蜂蜜も『ロイヤル・キング・カイザー・エンペラー・ロイヤルゼリー(一瓶三百万ジェニー)』もだいぶ前に使い切っちゃったし、また採りに行こうかしら?」

 

そう考え込むポンズの帽子の奥の異空間からアリスタがポンズの頭をテシテシと叩く

 

「どうしたのアリスタ?・・・え?少量なら自分が蜜を作成できる?―――そう、助かるわ。また今度お願いするわね」

 

「・・・なんでそんなに意思疎通が出来るんだよ?以心伝心ってかもうそれテレパシーの領域だろ。そういう『発』でも作ってんのか?」

 

「ただのブリーダーの必須技能よ。キルアの肉体改造(爪ナイフ)と大して変わらないわ」

 

キルアの疑問にポンズが素っ気なく返す。特別な技能(念能力)など使ってないのだ

 

「俺が云うのもなんだけど、普通は出来ねぇからな?やっぱお前もどっか可笑しいぜ」

 

「流石にあんまりこうして外は出歩かない方が良いからね。アジトに戻ったらゲームでもやる?」

 

キルアの言葉を意にも介さずポンズはすんなり話題を逸らす

 

「ああ、いいぜ。マリオカートで俺のドライビングテクニックを披露してやるよ」

 

「え?キルア、免許もないのに運転できるの?」

 

「実際に運転する訳じゃねぇよ。お前はゲームをなんだと・・・そっか、こいつ超絶現実体感型(グリードアイランド)しか知らねぇのか。それと俺らはライセンス有るから実質免許は持ってるっての」

 

そうしてアジトではちょっとしたゲーム大会が急遽開催され、ゲーム下手なゴンと理論だけは完璧?なクラピカの壮絶な最下位争いが巻き起こったのはまた別の話

 

 

 

「明日の地下競売に奴らが現れると?」

 

「うん♣隠す気もないみたいで簡単に情報が手に入ったよ♦」

 

二手に別れた旅団(クモ)はそれぞれが持ち寄った情報を一度アジトに戻ってからお互いに交換していた。携帯電話では傍受される危険性が高い為だ。盗聴が普通に横行しているこの世界はやはり治安に欠けていると云えるだろう

 

「競売が行われるビルの周辺一帯をマフィアが完全封鎖する。そこにフェイたちを捕まえたプロハンターの連中が警備に加わるって情報がこれ見よがしに流されてる。それも十老頭とやらの命令で警備のマフィアはバリケード周辺を重点的に固めるように指示されてるらしい」

 

「つまりバリケードからビルまでの道中はもぬけの殻という訳か」

 

「ああ、戦うにはお(あつら)え向きの舞台って訳だ」

 

「あと、ビルの中は陰獣の生き残りが警備に当たるみたい。多分最初と最後をマフィアで固める事で面目を保とうとしてるんだと思うよ」

 

ヒソカと(嫌々)班分けされていたフィンクスとコルトピが得られた情報を追加する

 

幻影旅団が狙っていたお宝は明日のオークションに出品される。逃げ出せばA級盗賊相手にお宝を守り通し撃退したマフィア側の勝利。逃げずに向かって来るとしても武装したマフィアの集団がケジメをつける為に殺る気満々で待機

 

最初から外部のプロハンターをぶつけるのではなく、あくまでもマフィアの戦争という意義を持たせるのだ・・・なお、十老頭含めて極一部の上層部は下っ端マフィアのバリケードなどで止められるとは思っていないので死ぬ事前提(知らぬは本人たちばかり)ではあるが

 

「どうすんだ、団長?向こうは『決着付けよう』って言ってるぜ」

 

「プロハンターか。あのような子供にしては高い能力を持っていたようだからな。自信が有るのも頷ける」

 

「あん?団長、そいつ等にもう会ったのか?」

 

「いや、パクノダの能力で戦場の残留思念を調べて回った。陰獣どもと戦った場所からは少し離れていたが、子供が6人と大人が1人の組み合わせのようだ」

 

「紛らわしい言い方すんなよな団長。そいつ等の顔を見たのはパクノダだけじゃねぇか」

 

「そうか。お前たちはパクノダの3つ目の能力は知らなかったか。だが既に半数やられてる今、この情報は出来るだけ共有した方が良い。パクノダ。コイツ等にも記憶を撃ち込め」

 

「了解、団長。そんな訳でそこから動かないでね。怖かったら避けても良いけど、二度目のサービスはしてあげないわよ」

 

具現化した銃に同じく具現化した弾丸を3発込め、フィンクスたちに銃口を向けたパクノダが挑発の笑みを浮かべる

 

「誰がビビるかよ。下らねぇ事言ってねぇでさっさとやれ」

 

当然銃口を向けられた程度で動揺するような一般的な精神の持ち主などこの場には1人も居ないので満場一致でパクノダに続きを促す

 

“ドンッ! ドンッ! ドンッ!!”

 

パクノダが連続で引き金を引くと発射された弾丸がフィンクス、コルトピ、ヒソカの額に突き進む

 

パクノダは読心術(サイコメトリー)系の特質系能力者で触れた相手や物の記憶を読む事が可能であり、逆に自身の読み取ったものも含めて記憶を具現化した弾丸に籠め、撃ち込んだ相手にその記憶を共有する事も可能としている

 

攻撃性は無いものの微かな着弾の衝撃にフィンクスとコルトピは僅かに首を仰け反らせ、ヒソカは後ろに在った木箱に勢いよく突っ込んだ

 

「あ、御免なさいねヒソカ。あまり普段使いしない能力だから間違えて一発だけ普通の弾丸を具現化しちゃったわ」

 

特に悪びれた様子のない謝罪が響いた後、砕けた木箱の下から“むくり”と起き上がったヒソカは額に張り付いていた弾丸を剥がして捨てる

 

着弾の瞬間に違和感を感じ取って刹那の差で防御したのは流石の一言だ

 

「危ない危ない♣【伸縮自在の愛(バンジーガム)】じゃなかったらノーダメージとはいかなかったかも♦・・・ところでキミ、ボクの事嫌いだったりする?」

 

「たった一度の銃殺未遂(ミス)から被害妄想(はなは)だしいわね。ただ嫌いかどうかと云う話なら仲間の安否も不明な中でずっと気持ち悪い薄ら笑いを続けているアンタは好きじゃないわ。どうせ強い奴らと戦えるのが嬉しいとかしか想ってないんでしょ?アンタが無駄に(たぎ)ってもこっちは()えるから止めて欲しいわね。できればその命ごとね」

 

「それって滅茶苦茶ボクの事嫌いってストレートに表現してると思うんだけど♠」

 

「気のせいよ」

 

パクノダは幻影旅団の中では比較的仲間想いだ。フィンクスたちと同様に敗けて死んだら仕方ないとは思っているが、愉し気な空気を隠しもしないピエロには若干イラっとするものが有る

 

パクノダは再度弾丸を具現化すると回転式弾倉(シリンダー)に弾を込め直す

 

「さて、今度はちゃんと【記憶弾(メモリーボム)】を撃ち込むから避けないでね?」

 

「う~ん♦可笑しいな♣なんでまた3発弾丸を装填してるんだい?フィンクスとコルトピにはもう撃ち込んだなら弾は1発で済むはずだよね?」

 

「ええ、だから“たとえ”間違えたとしても記憶を撃ち込めるように3点バーストしてあげるだけよ。これならさっきみたいにハズレが紛れ込んでても安心でしょ?ゴメンなさいね。まだこの能力に慣れてなくて」

 

「ボクの直感が正しければ3発の内2発はただの実(念)弾(ハズレ)だと思うんだけど♠後やっぱりキミ、ボクの事嫌いでしょ?」

 

「そう?その予想は外れると良いわね。別に私が食べようと盗っておいたイチゴのショートケーキがアンタの胃袋に収まってた事なんて関係ないから気にしないでちょうだい」

 

「ああ、あのケーキってキミのだったの?だとしてもお代が鉛玉って高価すぎやしないかな♦普通の人なら最初の一発で脳漿(のうしょう)散乱させてるよ♣」

 

パクノダは放出系からは離れた特質系能力者の非戦闘員だが、撃ち出すのが念弾である以上は通常のライフル弾以上の威力は有るので一般人なら脳漿どころか首から上が千切れ飛んだ上に粉々になる事だろう

 

何より彼女が銃が効かない相手と遭遇した場合でも下手に殺すよりも恐ろしい無力化の手段も奥の手として所持している

 

「パクノダ、その辺にしておけ。それとヒソカは後でケーキを差し入れておけ。女性の甘味の恨みを何時までも引きずっても面倒だろう」

 

団長の決定にパクノダは一度銃の構えを解くとリボルバーから具現化した弾を消し去り、新たに具現化した弾を1発込める

 

「団長がああ言うなら仕方ないわね。イチゴのショートケーキよ。間違えないでよね」

 

「はいはい♠分かったよ♣―――ところでさっきの3発ってもしかしなくても全部ハズレだったんj“ドキューン!!”」

 

ヒソカがなにかを言い終わる前に放たれた【記憶弾(メモリーボム)】がヒソカの額にヒットした

 

パクノダが読み取ったのも僅かな残留思念のみなのでゴン達の戦闘シーンをきっちり見れた訳ではない。あくまでも断片的な記録だ

 

(ああ♥イイ!イイよ♦昨夜逢った時にも感じてたけど、やっぱり死合ってる時の方がより確かに成長を感じるよ♠僅か半年ちょっとでここまで美味しく実るなんて、期待以上だよ♥)

 

記憶弾(メモリーボム)】を喰らって僅かに仰け反ったところからどんどんイナバウアーのような体勢に移行し、感情(オーラ)と股間を滾らせながら恍惚(こうこつ)の表情で「イイ♥イイよ♦」と呟く変態を前に皆が内心呆れたり気持ち悪がったりする

 

「パクノダ」

 

「なに?」

 

「やれ」

 

「ええ」

 

団長の命令の下パクノダは再び実弾を3発具現化するとヒソカの下半身に勃っている三角のテントのそれぞれの角に三点バーストをぶち込む

 

男の急所の要所に衝撃を受けたヒソカは今度もガードは間に合ったが流石に痛かったのかくぐもった声を漏らした

 

「気勢は去ったかヒソカ?話を戻すぞ」

 

「イタタ・・・気勢じゃなくて去勢しようとしてなかったかい?容赦ないね♦」

 

「規制が掛かるような奇声を何時までも上げてたアンタが悪いのよ」

 

そこで一旦会話が途切れたのを見計らってクロロは全員を見渡す

 

「明日、俺たちは盗賊としてお宝を頂く為に動く。ウボォーギン達の事は後回しだ。だが当初の予定を少し変更し―――派手にやろう」

 

 

 

クロロがマフィアンコミュニティへの襲撃を決定した丁度その頃、隠蔽工作をした上で適当に見繕ったアジトの中でレツたちはクロロ人形の前に集まっていた

 

「―――派手にやろう」

 

クロロ人形が力なく項垂れて核となる人形へと戻ると地面に落ちた人形をレツが拾い上げる

 

「聞いての通りだよ。逃げたりせずに明日地下競売の有るビルに攻めてくるみたい」

 

「・・・エゲツねぇな、その能力。プライバシーもセキュリティーも有ったもんじゃねぇ。向こうにも記憶を読む能力者が居るみたいだが、こっちはその100倍ヤベェだろ」

 

「だな。しかも人形で戦闘まで熟せるとかお前の兄貴とやらって旅団の中でもかなりヤバイ奴だったんじゃねぇか?・・・てかちょっと思ったんだけどよ。ゴンの親父もこの能力で現在地喋らせれば一発なんじゃねぇか?」

 

レオリオとキルアがレツの人形の完全自白モードの異常さに普通にドン引きし、キルアがふと活用法を思いつく

 

「う~ん。確かにそうだけど、やっぱり親父は俺自身の力で見つけたいから要らないや」

 

「ふっ・・・ゴンならそう言うだろうな」

 

「だね~。別に切羽詰まって探してる訳でもないんなら、過程重視で良いと思うよ」

 

「そうね。そもそもゴンは過程の為なら最悪結果が悪くても良いってタイプよね。ハンター試験であのハンゾーとかって忍者と戦ってた時とか正にそれを体現してたもの」

 

各々が決戦を明日と見据えて1日後、運命を勝ち取る為の戦いの時が訪れた

 

 

「―――さぁ、開幕だ」

 

「―――皆、開演だよ」

 

「―――やっとパーティーの開催ね」

 

戦いの火蓋が切って落とされる。今夜の主役となれるのは勝者のみだ

 

「さぁ、ここからがハイライトね」

 

 

「無理無理無理無理!(十老頭が)殺される~!!?」

 

 

・・・勝者のみだ

 




次回!ビアーの身に何が!!?・・・正直設定固まってない!!
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