ヨークシンでの地下競売の時刻が迫る中、私は十老頭の集まる屋敷で待機していた
既に彼らも一つの部屋に集合していて、その部屋の隅で高級ソファーに座って
「あはははは♪飛んで逃げようったってこっちにはスナイパーライフルが有るのよ!ヘッショ!ヘッショ!狙い撃つぜ!!臓物をぶちまけろ!!・・・あれ?こっちは別のセリフだったっけ?まぁ良いや。デカイおばさんでもビスケの方が100万倍魅力有ったわよ」
今は某ゾンビゲームで最初のボスと戦ってる真っ最中だ。やっと城の謎解きから解放されると思うとテンションも上がってしまう
「あー。確かに我々も今は会議中という訳では無いが、その物騒な叫びは止めてくれないか。なんでこんな状況でそんなゲームを出来るのかね?・・・と言うかそもそもゲームを止めたまえ、やる気が在るのかね?」
「はっ、素人ね。頭の中でスイッチの切り替えが出来るなら事が起きるまではリラックスしてた方がいざと云う時に高いコンディションで事に当たれるのよ(デマカセ)。それにサボってるとは心外ね。これでもちゃんと監視の目は届かせてるわ―――
私が指パッチンしながら名前を呼ぶと昨日ぶっ飛ばした護衛の代わりに扉の前で待機してた
「貴方から見て今の私、サボっているように見える?」
っしゃあ!一面のボス撃破ぁあああ!!
「滅相もありません。『円』と呼ばれるオーラを用いた高等探知技術で屋敷全体の動きを把握しておいでのご様子。我ら陰獣が10人集まっても足下にも及ばぬ監視網です」
「説明ありがと。あとオレンジジュース持ってきて」
「既にご用意致しております」
【
「・・・
うん。完全に私の下僕ムーヴだったもんね
「それこそ滅相も有りません。十老頭を御守りするのに最善なのがお嬢のサポートに徹する事です。そう諦めました」
―――((諦めたらダメだろう!!))―――
なんか十老頭たちの心の声が聞こえた気がしたけど、気のせいかな?
そう思っているところに私の『円』に引っ掛かる気配が有った
「ん?あ~、人海戦術で来たか~。まぁ屋敷の出入りそのものを結構前から禁じてたからね~。前みたいに変装して侵入とかも無理だったし」
ゲームをセーブして立ち上がると十老頭たちも顔を険しくしていた
「来たのかね?」
「ええ、島の外周を警備してた連中は軒並み操られてこの屋敷に向かってきてるわね。言っておくけど助からないわよ?前にやり合ったから判るけど、これ相手はゾルディックの長兄ね。まぁ十老頭を狙うなら妥当なんでしょうけど」
なんて言いつつ十中八九イルミが暗殺に来るのは分かってたんだけどね
イルミもイルミで前回とは趣旨を変えてきたか。私自身には銃火器は効果は薄いけど、パーシナモンさんの時と同じでターゲットはあくまでも非念能力者の十老頭
四方八方からの銃弾の雨は確かにイルミとタイマン張るよりかは鬱陶しい。てか絶対にモブに紛れてイルミも来るしね
私の『円』は既に半径800メートルを超えて840~850くらいは有る。だからイルミの兵隊がここまで到達するのには少し時間が掛かるし、操られた兵隊程度なら私の『円』圏内で無事だったマフィア達が迎撃するでしょう・・・そう思ったのも束の間。イルミの兵隊がまだ正気だったマフィア達とぶつかったら、そいつ等も飲み込んで一斉にこの屋敷を目指し始めた
「なに?感染型?バ〇オハザード?・・・ってイルミの奴、針人間たちに針を持たせてるのか」
よくよく感知してみたら襲ってきてる連中は銃とかの武器を構えてるんじゃなくて背負ってる非武装の状態だ
正気のマフィアが困惑している内に最接近してイルミに渡された針を同僚にぶっ刺せば良いって訳ね―――ちゃんと応戦してる人も居るみたいだけど、減る数以上に兵隊が増える仕組みね
成る程。確かに基本操作系は条件を満たせばほぼ勝ち確だし、たとえ雑魚軍団でもそれぞれが必殺の武器を持てば脅威度は跳ね上がる―――けど
「舐められたものね」
この世界は個人戦規模なら武器の性能よりも本人のスペックがものを言う世界だ
レベル1の勇者に勇者の剣を装備させたところで序盤のボスを倒せるかどうかでしかない。この程度では私にとっての脅威足り得ないわね
幾らイルミの針でもあれじゃ私の眼球にだって刺さらないわよ。まぁ本命は増やした兵隊の銃火器での
私が殺しを忌避するのに期待してるのかも知れないけど、助からないと解っている以上は今屋敷に殺到して来てるのは死体と同じだ。平気とは言わないけど、むしろ解放してあげる方が彼らの為でしょう
「マナーの悪い客ばっかりだけど、やっとパーティーの開催ね」
ちょっと嫌な気分に成るのを軽口で緩和してると操られた集団の先頭の奴らが屋敷の窓とかを壊しながら侵入してきたのを感じて『円』の範囲をこの部屋及び隣接する部屋までに限定する
流石に広範囲の『円』にオーラを割いてたらイルミクラスの攻撃は防ぐのは難しいからね
正直に言えば針人間たちを私の代わりに
後は針人間から十老頭を護りつつイルミを探し出してボコれば脅威という脅威は無くなるでしょう
こっちの勝利条件を再認識して身構えたところで背筋に“ゾクリ”とした警鐘が鳴った
私の『円』は現在範囲を縮めてはいる。でも『円』が無くとも気配を感じ取れるように、『円』の外側に危険が迫って―――いや!渋滞してるのが判る!
初手で私が対処しなきゃいけないのは―――
「上っ!!」
跳び上がった私が天井に手を突いて『周』を展開するのとほぼ同時に屋敷全体にオーラの雨が降り注いだ―――ウソでしょ!?ここからは見えないけど絶対にこのオーラ小っちゃい龍の形してるって!
驚愕を他所に次なる刺客が二方向からやって来た
扉を弾き開いたイルミと反対側の壁を粉砕したシルバ=ゾルディックだ
直ぐにでも動きたいけどまだ『
「うおりゃ!」
腰のポシェットから取り出した紐付きのナイフを天井に突き刺すと腕力任せに反動で床に降りる。ピー助との特訓で『周』の延長コードとしてよく使ってたから有用だと思って装備欄に入れといて良かった!―――にしてもこの二人。最初から上空に陣取って私の『円』が解除ないし縮小するのを待ってたわね。そして『
十老頭達は部屋の奥の方に居たから
この身一つで戦う私にとって複数方向からの攻撃がホントに護衛する上では面倒臭い
衝撃波だと護衛対象が余波で全身ズタズタになって割と普通に死にかねないし、
だから私は床に足が突いた瞬間にダッシュする!
飛び道具が無いから護衛に向いた能力が無いから対処不可能?そんな事は無い。攻撃がターゲットを襲うまでの間に一つ一つの事象を迅速に処理して次に向かうまでの事!
イメージするなら『鬼殺の剣』の・・・ん?これはパチモンのタイトルだっけ?兎に角その原作の世界の雷の呼吸の使い手の超高速連続居合突進技と同じ
同時に対処するのは無理でも実質同時なら可能なんだから!
理論も何も無いパワーとスピード頼りのゴリ押し戦法。それであらゆる困難を打ち破るストロングスタイル。技でも何でもないけど、あえて名付けるなら
「
そう!暴力こそ、この世で最も強い
―――改めてキルアパッパの姿を見据える
キルアと同じ銀髪に肉食獣のような鋭い眼光。2メートルは有る筋骨隆々な体格
この世界では見た目の筋肉量は当てに為らないけど、この人なら試しの門も全部開けられそう。仮にもゾルディックの現当主だし、素の身体能力じゃボロ負けでしょうね
しかしそれでも彼が攻撃に移る前に十老頭との間に割り込める私の方が迅い!
一瞬で目の前に現れた私のスピードに僅かに目を細めたキルアパッパはキルアと同じ肉体操作で爪を鋭利に尖らせて私の目玉に突き込んできた
それに対して私は彼の突き出した方の手首を軽く爪を立てながらそこそこの力で掴む。当たり前だけど、普通はそれだけじゃ止まらない
「ッ!!」
それでも彼は私への攻撃を中断してでも強引に手を引いて私の拘束とも呼べない拘束から逃れた
流石の判断力だ。でも、その無理やり手を引いた事で出来た技後硬直はこっちが掌底を放つには十分過ぎる隙だよ
半年ちょいのビスケマッサージ&オーラ垂れ流し負荷修行で今の私のオーラ量は65万前後
『練』換算で180時間は持続できるし、おそらくキメラアントの直属護衛軍の中でも1番のオーラ量と思われるユピーが70万オーラなら、ピトーやプフには並んだのかも知れない
さらにそこに私の他の系統や一部の基本技を封じて強化率を4倍近くにまで引き上げる『発』である【
こんな私の『堅』を突破しようとするならキルアパッパと云えども眼球のような急所狙い以外にも『硬』かそれに近い『凝』でなければ攻撃を通せない
さてそこで問題。キルアパッパが腕を突き入れる途中で手首から
まっ、最低でも骨だけ残して砕け散るでしょうね
彼ならそれで
掌底の直前に反対の腕でガードされちゃったけど、最低でも入ってきた大穴の向こうまではぶっ飛ぶでしょう
「次っ!」
結果を見る余裕はないから掌底の踏み込みをそのまま反転ダッシュの1歩目としてイルミに向かう
イルミは既に十老頭に針を投擲してたのでそれを叩き落すのを優先する
しかし下手に衝撃波出ると危ないのでこっちも相応にスピードを落とさないとダメで、そうなると全ての針を処理するのは僅かに手が届かない
全ては無駄にデカイ丸テーブルに座ってる十老頭が悪い!押しくら饅頭でもしてなさいってのよ!
心の中で悪態を吐きながらポシェットの有るのとは逆の腰から抜いた
「ぶった斬る!キャプテン・サーベルゥウウウ!!」
イルミに突撃した私は×字に斬り裂くクロスの構えを取る。片方は鞘(打撃)だけどね
イルミが上半身を逸らす事で私の斬撃を避けようとしている
「っケンカキーーーック!!」
・・・さらばイルミの
「やれやれ、イルミに聞いとった以上の化け物じゃの。割に合わん仕事じゃて」
キルアパッパとイルミをぶっ飛ばした矢先に今度はそんな声が聞こえてきた
今度は
キルアパッパが壊したのとは別方向の壁を突き破ってドラゴンの形をしたオーラが私目掛けて襲ってくる
「って私!?」
狙いは十老頭じゃないのかと思ったけど、私に噛み付く直前に進路が逸れて私と十老頭の間に壁として立ち塞がり、ドラゴンと十老頭の更に向こう側。キルアパッパが吹き飛んだ穴の奥から念弾が飛んできた
キルアパッパはまだ床を削りながら減速中のはずだけど、お構いなしに念弾を放ってきたわね!
奥の手を切ればまだ間に合う。でもまだその時じゃない。何故ってそもそも必要が無いからだ
「【
やっと動き出した
事前にヤバそうな状況になったなら彼の判断で十老頭に能力を行使するのは決定してたのだ
流石は作中上位の便利能力。護衛対象という明確な弱点をコンパクトにできるのは本当に助かる。正直イルミだけならまだしも何故か居る他のゾルディックまで相手にしてたら護りきるのは骨が折れる
ターゲットを見失った念弾がドラゴンのオーラの横っ腹に被弾し、一瞬ゼノの制御が甘くなったところでスライディングで僅かに開いてた床との隙間を潜り抜けると
「Nice
やっぱり陰獣だって音に聞こえる実力者。頑張れるところは頑張って貰わないとね
「ペットかよ!・・・これでも陰獣としての意地が有るからな。少しは役に立ってみせるぜ」
十老頭が居なくなったら口調が崩れたわね。まぁこっちの方が彼らしくて良いんだけど
「その心意気や良し。因みに目の前のゾルディックファミリーを相手に手持ちの十老頭を護りきれる自信は?」
「無い!」
「逃げ切れる自信は?」
「無い!!」
「その風呂敷って自分も一緒に包める?」
「無理だ!!!」
「使えない鳥類ね」
チキンにしてケン〇ッキーの店頭に訳あり格安商品として並べるわよ
「お嬢!?手の平を返すの早くねぇか?あと、普通にヒデェよ!」
お嬢呼びは変わらないのね。それと裏社会に生きてて暴力を前に無力宣言してる時点でこの場じゃ0点よ。これが終わったら補習授業(死ぬ気で特訓)でもする事ね
「お前がビアー=ホイヘンスか。イルミが俺と親父に暗殺協力の取引を持ち掛ける訳だ」
「うん。まさか復帰して初めての依頼でまたあのバカみたいなオーラと対峙するとは思わなかったよ。俺のやり口も実力もバレてるし、また家の名声に傷が付くくらいなら依頼の成功を優先しようかなって。お蔭で今回の仕事は俺、赤字だよー」
イルミの奴、私のオーラを視て自腹で援軍呼んだって訳ね。それは想定して無かったな~
依頼遂行の為なら普通に死ぬ連中だし、自腹くらいだったら切っても可笑しくないか
「ところでイルミよ。さっきから脂汗が流れとるが睾丸は潰れとらんじゃろうの?」
あ~。ゾルディックの痛み耐性ってダメージ軽減効果じゃないから体が反応しちゃう分は表に出ちゃうもんね・・・ひょっとしたら片方くらいは潰れてるかも?
「多分ね~。それでビアーって言ったっけ、キミ。何でそんな恰好してるの?」
よくぞ訊いてくれました!スルーされるかと冷や冷やしたよ
「ビアー?それは一体誰の事かな?」
私はサーベルをクルクル回してからスタイリッシュに鞘に納めると頭に被った海賊と云えばというイメージにある
「アタシこそは陸を支配する十老頭と対を為す、7つの海を制覇した女海賊!アタシの名前を憶えて逝きな―――太陽(レツ)を堕とした女ってなあ!」
ふっ、決まった。今の私は某運命な世界の女海賊の恰好の少し可愛いバージョン。赤を基調とした服装に剣と海賊帽子と眼帯装備だ
なんでこんな格好してるかって?この場にプロハンターのビアー=ホイヘンスなんて来てないって前から言ってるじゃない・・・まぁ九分九厘ただの悪ノリだけどね
「・・・それ結局名乗ってないじゃろ」
「月(ポンズ)ももうすぐ堕とす女ってなあ!!」
「聞いとらんな。それとその口上はせめて実際に堕としてから言うもんじゃ」
大丈夫。堕とす(デレる)結果は既に見えてる(妄想)から過程なんて無いのと同じよ
「う~ん。でも名前か~・・・よし!リ〇=インバースで!」
「いやそれスレ〇ヤーズであってパイレーツじゃねぇだろ。まぁやってる事ほぼ盗賊だからそんなに間違っちゃいねぇがよ」
「なら、カトウ=マ〇カで!」
「モーレツに宇宙で活動する気か?7つの海はどうした。7つの海は?それとかなりマイナー寄りだろ。伝わらんヤツはそれなりに居るぞ」
ノーコメントで・・・メジャーなやつか
「マンマ マンマ~♪」
「ワ〇ピースかよ!てかそれを名乗るって事は将来あの体型になる宣言と一緒だぞ!」
う゛っ、流石に
「アホ~イ♥宝鐘海賊団船長の~♪」
「Vチューバーネタ止めろ!アニメネタより弄り難いんだよ!!」
(´·ω·`)ショボーン
「もう少しノッてくれたって良いのに―――そうは思いません?えっと、キルア君のお父さんとお爺さんで合ってますか?」
当然知ってるけど、一応この世界では初対面だしね
「儂はそこは人それぞれ好きにすれば良いと思うがの」
「・・・キルアを知っているのか?」
お、流石に家出中の息子(歴代最高資質の次期当主筆頭候補)は気になるみたいね
「彼がプロハンターの資格を取ったから念の指導を担当したのよ。基礎スペックだけで言うならそっちの
それもあくまでも基礎だけの話で原作同様に【
「・・・そうか」
表情こそ変わってないけど少し嬉しそうにしてるように見えるわね。ゾルディック家の人達って家族愛はちゃんと有るもんね
一般的感性からはかけ離れてるっていう致命的過ぎる問題があるだけでさ
“ダメじゃん”とかってツッコミは無しね。息子にナイフで刺されて感極まる母親とかが居る時点でもう如何しようもないから
「おっと、危ないわね」
彼らと会話してたらイルミが針を飛ばして来たんだけど、なんかこの針さっきよりもドロドロとした殺気が纏わり付いてるんだけど?
「父さん。爺さん。やっぱりコイツは殺そう。俺たちの家にとって害にしかならないよ」
家の為と言いつつ思いっきり私情入ってない?
「ちょっとキルアのお父さん。お宅の長男ってば少し独占欲強すぎじゃない?自由奔放型のキルアとは相性悪いし、将来暗殺者からストーカーに
正直すでに手遅れだと思うけど
自分の
「お前らそれだけ殺気と覇気をぶつけ合いながら何でお気楽に話してられるんだよ。心臓に毛ぇでも生えてんのか?」
失礼な鳥ね。私はちょっと未来を逆算しただけよ
確かに原作でクロロを殺しに行ってた二人がこっちに来てたのは驚いたけど、これは十老頭が未来を変えた結果でしょう
原作通りイルミに殺される予言を回避したからこそ、この二人が現れたなら、それはこの状況も含めて予言の予定調和ということだ
私自身がもし死んじゃうようなら自動的に十老頭も死ぬだろうから、護衛である私の命も保障されてるようなものだしね。そう考えたら余裕も持てるってもんよ
―――予言の事を理解した上で油断したら死ぬだろうけどさ
「別に特別な事じゃないわ―――私にとってこの状況は昼下がりのコーヒーブレイクとなんら変わらない平穏なものよ」
原作クロロのセリフを借りた強者ムーヴ最高ぉおおお♪
「―――かっけぇお嬢!!」
私の強者オーラに
さて、それはそれとしてあまり悠長にもしてられないわね。イルミの針にやられた奴らがそろそろこの部屋まで辿り着きそうだもの
さっきの『
「
「了解だ。お嬢」
二つ返事で瞬時に風呂敷を広げ直して新たに護衛達を包んで手の中に収めた彼の後ろに回った私は膝カックンを決める
「お?」
丁度良い位置に来た彼の襟首を掴んだら発射準備は完了だ
「おお?」
やることは単純。正面向いたまま後ろにジャンプで外に出る!間に有る壁なんて私にとっては豆腐と変わらない。
「おうわ痛たたたたたっあだああああ!!?」
「今回は全力で行くわよ―――地隆降陣・極!!」
イルミが洗脳した兵隊たちは愚直に屋敷に殺到してた。つまりは一網打尽にするチャンス!
さっきはモブ護衛たちに頑張って貰おうとしてたけど、キルアパッパ・・・ええい!名前はまだちゃんと聞いてないけどもう良いや。シルバさんとゼノさんも居る空間じゃイルミに直接操られるのを防ぐのは難しい
流石に念能力者の敵が無駄に増えても困るからね
屋敷ごと持ち上がったその
ポカンとしてる
うぅ・・・今『円』を伸ばしたらスプラッタな様子が伝わって来そう
「すぅぅぅ・・・はぁあああ・・・・・っし!」
一度深呼吸して気持ちを整える。まったく、マフィア相手とは云え嫌な気分にさせてくれるよ
砂埃が舞い上がる中で
「じゃあ屋敷から這い出て来るような奴が居たら始末してってね。ただこっちの戦場に近づいたら流れ弾一つで死ぬから気を付けるように」
巻き込まれたら挽肉になるわよ。今何故かバズってる『ひ↑き↓肉→です⤴⤴!』をあの世での自虐ネタにしたくはないでしょ?
「「「「「「はい、姉御!行ってきます!!」」」」」」
元気よく(ヤケクソ)遠回りで屋敷の向こう側に駆けていったモブ護衛たち―――ギャグマンガなら走る足が渦巻きで描写されてるかのような逃げっぷりね。何故かジグザグ走行してるし
さてと。あとは煙の中から案の定無傷で現れた3人をなんとかしないとね
実は遠くの方からそこらのプロハンターじゃ気付けないレベルの微かな視線を感じるから、キルアの末の弟(?)のカルトって子が来てるんでしょうね
原作でも居たけど多分十老頭暗殺って大きな仕事の見学に来てたんでしょう
だとすればゾルディック家の前前前当主の・・・マハだったかな?その人もカルトの近くに保護者的な感じで居ると思うんだけど、意識して気配を探っても全然分かんないや
まぁネテロ会長と同じ域に居る人っぽいから精神は植物のレベルで同様に気配も静かでしょうからね。肉体の全盛期は過ぎてても逆に隠密技術は今が最盛期だったりしない?
「ほう。気付いたのかの?」
私が意識を他所に僅かに向けてる微妙な機微に気付いたのか、ゼノさんが感心したような目でこっちを見て来る
「ええ。状況からして四男か五男か新米執事かってところかしらね。『絶』が完璧なだけじゃ70点だって後で伝えといて」
まぁほぼ確で
「ええじゃろう。儂等が死んでおらねばな」
一応こっちは殺すつもりは無いんだけどね。イルミ以外
あなた達相手だと“殺すつもりは無い”の文言の前に『積極的に』って一文が挟まっちゃうから。イルミ以外―――イルミは死んで良いと思う
「お互いにね」
「それは儂等の立場からは良い返事は出来んの。まっ、儂等のターゲットはあくまでも十老頭。大人しく差し出してくれるならお主を狙う理由は無いが」
「残念だけど、こっちも
交渉?が決裂したのに合わせてお互いが身に纏う気配を鋭く尖らせていく
そろそろトークタイムもお開きと云う事だ
「さぁ、ここからが
私達の放つプレッシャーのせいで周辺一帯の蟲や動物たちはとっくに居なくなっており、木々のざわめきだけが空間を支配してる。その空気の中で
正面からはゼノさんの『
そんな十老頭を抱える
しかし問題はない。我、(
“ガシィッ!!”
素早く且つ力強く隣の
彼の(え?また?)なんて心の声が彼のオーラから何となく伝わる中で私は
「ホオオオオオオオオオオ!!?」
この世界では念を使わなくても鍛えられた人間(才能大)の強度は鋼と同等かそれ以上にだってなる。そして陰獣はA級とは言わずともB級程度の武器に成れる逸材だ
イメージとしては
S級→勇者の剣
A級→オリハルコンの剣
B級→ミスリルの剣
C級→鋼の剣
D級→鉄の剣
E級→銅の剣
F級→ひのきのぼう
―――って感じね
これぞ私の
さっきは剣と言ったけど、人間を振り回せば
「『ドレス』―――地上最強の生物にのみ許される
普通ならとっくに四肢が千切れ飛んでるはずの
「せいっ!」
「ぶへぇええっ!?」
地面を通過した程度で衰えない速度で反対側の手で
「ほぼっ!?ぼほぉあ!?ぼっひょおおおおお!!?」
うん?なに?墓標?鳴き/泣き/亡き声をあげられる元気が有るなら必要無いでしょう。叫ぶ暇が有ったら歯ぁ食いしばりなさい
人間ヌンチャクなんて扱い難い武器だったけど、段々慣れてきたからここからは更にダイナミックかつスピードアップしていくわよ
「・・・まるで削岩機だな」
より一層加速した私の嵐のような破壊の球体を見てシルバさんが
「そうじゃの。あの間合いには儂らとて迂闊には踏み込めんわい。じゃが突破は難しくとも隙ならば作れるじゃろうて―――儂がこじ開ける。お主らはその時を待て」
「了解」
「了解~」
二人の一歩前に出たゼノさんが両手に膨大なオーラを収束させていく
「やれやれ、この歳ともなると日に何度も大技を使うのは疲れるんじゃがの」
軽く言ってるけどその大技一発で並みの念能力者数十人がミイラになるでしょうに
「ゆくぞ。『
形作られたのは九つの頭を持つドラゴンのオーラだ。ゼノさんは放出系だったと思うけど、オーラをドラゴンという枠組みの中で形を変える程度ならそんなにリソースは必要ないんでしょうね。扱いきれるかは別だけど、彼なら九匹全部をミリ単位で操作(変化)出来ても可笑しくはない
これが
私は一度
「
「うっぷぇえ゛・・・って!無理無理無理無理!(十老頭が)殺される~!!?」
主人の安否を第一に考えられるなんて上出来じゃない。とは言え彼の意識がプッツンと逝ったら不味いのも事実か
流石の私も急に即死空間に放り出された十老頭を護れる自信はないからね
「あ、因みにですけど、そっちの長男ぬっ殺したらお二人は戦う理由は無くなったりします?」
シルバさんは正直微妙だけど、ゼノさんは貴重なゾルディックでも話が通じて無駄な殺しとかもしない人だし、敵対したくはないのよね―――ただしイルミ。テメェはダメだ
「お主には残念じゃろうがそれは無いの。コヤツが儂らにした
Oh, まさか極悪非道のゾルディックの家族の絆(法的手続き)による結束がここで立ちはだかるなんて・・・それで良いのか?家族の絆
「それは・・・残念ね!」
再び
先ずは一匹目。正面から大口開けて噛み付いてきたやつの
まぁ実際には『はたく』+『かいりき』+『マッハパンチ』+『つるぎのまい×3』程度の威力のノーマル技だと自負してるけどね
事実として衝撃で口から先が吹き飛んだドラゴンのオーラが真横に軌道を逸らし、そっち側から迫っていた別のドラゴンのオーラに勢いよくぶつかった
そんな感じに立て続けに攻撃を弾いて三人に近づいて行くと弾いたものより更に大きな攻撃の気配がすぐ後ろに迫っているのを感じる
体ごと回転して攻撃に繋ぎつつ後ろを確認すると、ぶつかったドラゴン同士が合体してたみたいで地面を削りながら突進してきたのを跳躍で躱す
『
まったく、オーラの塊に文句付けても仕方ないけど、
「ほれ、余所見しとる暇は無いぞい」
私が後方確認の為に僅かに回転の速度を鈍らせた事でゼノさんが次の一手を打ってくる。前方を振り向きつつ視界の端に捉えたのは三匹分のドラゴンが合体しつつ襲い掛かって来る光景だった
因みに後ろからは元のドラゴン二匹分で形作られたオーラ×3匹(実質六匹分)が私をホーミング中ね。いくら私のオーラを纏わせているとはいえ、ガードも無しに意識外からの衝撃に
完璧なタイミングでそれぞれの方向から迫るドラゴンの内、真後ろに居たヤツにサーベルを投げつけてそれの
その反動を利用して後ろから来ていた三匹のドラゴンを躱して正面のドラゴンだけは上段からの振り下ろしで叩き落す!
「うおりゃああ!!・・・って、アレ!?」
“スカッ!”という擬音が宙に描かれそうな程に見事に攻撃を空振った私は遠心力に体が流されてしまう。私が叩こうとしたドラゴンの口から先が消失したのだ
先程『はたく』で強制的にオーラを散らされた時とは違ってオーラを
長い口が消失したドラゴンのオーラがそれでも口の根元を開いて喉の奥を見せるとそこにはシルバさんが野球ボールくらいに圧縮させた念弾を構えている姿が見えた
「『隠』!?ってかヤバッ!!」
多分アレって原作でクロロに放った技の攻撃範囲激狭な代わりにチャージ時間&貫通力増し増しバージョンでしょ?
不味いわね。流石にアレを喰らったら
ああもう!なんでこんな体張って護衛しなきゃなんないのよ!十老頭相手じゃモチベーション上がんないのよ!(無責任発言)
仕事として引き受けた以上は命くらい懸けてやるけども!!(プロ根性)
「こんにゃろ!」
そうこうしている内に撃ち出された念弾を蹴りで迎撃する。莫大なエネルギーがぶつかった影響で閃光弾でも弾けたかのような強烈な光が夜の島を彩った
まぁ一般人には見えないんだけどね!
「っ痛ぁああい!!?」
苦うううう!!流石にゾルディック当主の渾身の一撃は効くわね。今ので骨に罅が入ったかも。こちとら乙女の柔肌装備でキメラアントの外骨格みたいな柔軟性に優れた高硬度の鎧なんて都合の良いのは持って無いっての!
「イタタタ・・・修行不足ね。帰ったら体もオーラも鍛えないと」
これであと1年早く生まれていたらサッカーボールでも蹴るような感覚で対処も出来たでしょうに
「・・・俺も鍛え直さないとな」
念弾が蹴り飛ばされて島の外の海でアホみたいな水柱を建てる結果に終わったシルバさんがそんな事を言うけれど、あなたは現状維持で満足してくださってどうぞ
さっきの念弾なんて並みの念能力者なら四肢の先端を
私としては強い人との試合や模擬戦とかだったら別に良いけど、ゾルディックと戦う時って基本ガチで向こうが殺しに来てる時だけだから歓迎は出来ないのよね
痛みでちょっと涙目になりながらも当然それで止む事のない追撃を見据える
ドラゴン(オーラ)をぶっ飛ばした反動で空中を移動しようとしていた私はそれが叶わなかった事で先程後ろに置き去りにしたドラゴン達への警戒を取り戻さないといけない
「行くぞシルバ!」
「――――っ」
ゼノさんの声に無言で応えた彼が私の真上に跳躍し、その更に頭上に元が9匹分のオーラが全て一つとなった巨大で強大なドラゴンが顕現した
原作で登場した全長1キロメートルくらいは有りそうなあのドラゴンだ
その龍がシルバさんの上から降って来て攻撃的な念の籠ってなかったソレを上に突き出した両手で受け止めたシルバさんがドラゴンの加速力と重圧を味方に付けた蹴りを繰り出す
「喰らえええい!これぞ儂ら親子の必殺技―――『
「・・・気の抜けるネーミングは止めてくれ、親父」
「なんじゃ、ガキの頃好きじゃったろ?あのバッタのライダー」
確かになんともまぁコミカルな空気で気が抜けてそうだけど、研ぎ澄まされたオーラを足に集めた攻撃が降って来る事に変わりはない。気が抜けると言うなら有言実行してくんない?
例えるなら巨大な一本の槍。私だったら『グングニル』って名付けてって!違う違う違う!静まれ私の中二病。そんな場合じゃないって!!
空中跳躍で逃げる?・・・ダメね。速度が足りない
やっぱり私自身で防御するしかないと腹を
今度は骨にまでダメージは通らなかったけど、高速で落下した私は一瞬で蹴り(踏みつけ)と地面との板挟みになり、流石に地面に埋められたら困ると地面に『周』を掛けて耐える
如何に強大なドラゴンのオーラの後押しが在ったとしても出力はこっちが上だ。踏ん張れる足場が在るなら押し合いでも負けやしない
「っぐぬ!」
そうなると上下の圧力に最もダメージを受けるのはシルバさんだ。私への攻撃にオーラの
こっちも罅の入っていた足を半ば庇って踏ん張っているから倒れそうにはなってるけど、徐々に押し返している状態だ。でもそんな状態にもかかわらず彼は直立キックの姿勢を保ったままだ
背中が丸まったりするでもなく先に血管破れるとか、素の筋力どんだけよ
内心驚いてると私達を上から押さえつけてたドラゴンのオーラが全て霧散した
「うえええい!!?」
突然重みが無くなった事でシルバさんを押し返そうとしていた左腕が“ブンッ!”と振るわれ、彼を天高くに吹き飛ばす
「やっと体勢が崩れたね」
シルバさんとゼノさんの攻撃をしのいだ次の瞬間、イルミの声が直ぐ近くから聞こえてきた
既にイルミは一本の針を握りしめて腕を振り抜いている最中だ。対して私は骨に罅が入っていた右足と
「じゃあね、ビアー=ホイヘンス。キミはホントに割に合わない相手だったよ」
イルミの渾身の一撃が私の
「十老頭が殺される~!」はふくろうの叫びでしたねw