毎日ひたすら纏と練   作:風馬

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遅くなりました。普段仕事の合間とかにスマホのメモ帳に小説書いてたんですが、メモ帳をアップグレードの通知が来てYES押したら何故かデータが吹っ飛んでしまいました。流石に絶望感パなかったです(泣)


ビアーと人形

団員の一人一人がA級賞金首として扱われるという破格の犯罪者集団である幻影旅団の団長であるクロロ=ルシルフルは新たに乱入してきた少女達を見やる

 

一人は緑色の髪をした少女。パクノダの『記憶弾(メモリーボム)』で読み取った中ではシズクを相手に戦っていた蜂使いだ。『発』を考慮しない純粋な基礎能力だけならば敵の中では一番低いだろう

 

蜂の方も下手に展開してくれれば逆に【イレカエ】がし易くなるくらいなので彼女の参戦はそう大きなマイナスには成らない・・・問題なのはレツを連れ去ったもう一人だ

 

「ビアー=ホイヘンスか。パーティーが始まった時は居なかったが、寝坊でもしてたのか?それとも捕らえたアイツ等の監視でもしていたのかな?」

 

「監視なんて詰まらない裏方仕事はしてないわよ。最初から特等席で観戦させて貰ってたわね」

 

クロロにナイフで刺されそうになっていたレツをお姫様抱っこで窮地を離脱した彼女がポンズの横に立っていた。(みなぎ)るオーラは旅団の誰と比べても圧倒的であり、敵意に彩られたソレは強靭な精神かイカレた精神のどちらかを備えていなければ心が折れてしまうだろう

 

「高みの見物を決め込んでいたと言うわりには怒気が強いな。まさか傷付く覚悟すらなく殺し合いに臨んでいる訳でもあるまい?」

 

「そうね。アンタ達みたいな犯罪者を相手にしてるんだし死んでも最悪自己責任だと思う程度の分別は有るつもりよ。でもそれはあくまでも“最悪”の場合なの。強くなっては欲しいけど生き急いでる訳でもなし。今はまだこの子の命の方が大事なのよ。レツの球のような肌はしっとりぷにぷにでモチモチで極上の低反発まくらを上回る抱き心地なのよ。それを傷付ける時なんてのは今じゃないし、出来れば永遠に訪れないで欲しいわね。もしもさっきの一撃で薄皮一枚でも斬れてたらあんたの全身の皮に『ごめんなさい』って隙間なく彫ってやるわよ。当然肌以外にもたとえば髪の毛だって月光を溶かしたような金糸で透き通るサラサラの髪のキューティクルが淡く周囲の光を反射する様は暖かな春の情景を思い起こさせるわ・・・そう、言うなれば調和ね。他を殺してしまう圧倒的な個性じゃなくて周囲の魅力も引き立てつつ主役に立てるような目を離せない存在感。もしもレツの髪の毛一本でも宙を舞ってたらベジータもビックリのMッパゲになるように毛根死滅させてやってたわね。他にもレツの指先は白魚のようと云うだけに留まらず人形師として人形に命を吹き込む神秘を含んだ力強さを―――(早口)」

 

「はいはい。落ち着きなさい厄介ファン(このおバカ)。それら全部ひっくるめて簡潔に言うと?」

 

延々と語っていく上に話の方向も異次元に舵を切り始めた辺りでポンズ(ストッパー)が話をぶった切る。これ(ストッパー)がポンズかレツ以外の誰かだったら止まる事は無かったであろう

 

「私情100%で死刑★」

 

レツを地面に下ろしてそのまま抱き着いた彼女は実にイイ笑顔でウィンクした。自らの言動に何一つ疑念を抱いていない―――原作主要キャラへの手心?そんなもの無しに今ならガチでサクッと殺ってしまいそうである

 

「・・・ねぇポンズ。なんだか何時も以上にテンション壊れてない?何か有った?」

 

レツは頬っぺたをスリスリされる事に諦めた空気を出しながら隣のポンズに問いかける

 

これは一体どういう事なのかと

 

「・・・ノーコメントで」

 

質問にそう返しながら嫌そうに顔を(しか)めるポンズの態度はナニカが有った事を雄弁に物語っていたが、如何にレツでも今のポンズに踏み込んで聴こうとは思えず口を(つぐ)む事とした

 

触らぬ神になんとやらだ

 

「ふっ、随分と過保護な事だ。それと、とてもではないが『分別は有る』と自己主張が許される語りではなかったな」

 

「そんな分別(モノ)はとっくに捨てたわね♪・・・人がその手に収められるものには限りが有るの。器と言い換えても良いわね。だから大切なものを手にする時、相応のものを手放さなければならないのよ。たとえ正誤の(はかり)が見えずとも、その選択に後悔しない事を誓ってね」

 

「天丼!?その下りはクラピカで終わってるよ。あと何を無駄に渋い事まで言い出してるの!?名言の使いどころ間違いだよ!!」

 

「先程までの私の醜態を振り返った上でもアレと同じにされたくはないのだがな・・・」

 

暴走していた自分の醜態を堂々とした面持ちで底値を更新してみせた彼女を見たら一周廻って今度こそ冷静になったクラピカであった

 

「それにしても自らの選択に責任を持つ覚悟・・・それがあの“沈黙”の先の答えか。やはり年下であろうと先達たるプロハンターの言葉は身に染みるな。新たな知見を得られたよ。学べる事はまだまだ多いと云う事か」

 

しみじみと頷くクラピカ(現実逃避)はやはり冷静ではないのかも知れない

 

クラピカが旧アニメEDの如くクラピカ顔('A`)を晒しつつ心理の真理に一歩近づいているのを他所に十老頭の護衛に着いているはずの彼女が前に出る

 

「さて、失敗した中二病みたいなファッションした幻影旅団(クモ)の団長さん。今からボコボコにするつもりだけど、最後の慈悲ってやつで交渉してあげる。今、大人しく捕まるなら他のメンバーも含めて年に一度、檻の中にコーラとポテトとチキンを差し入れて上げるわよ」

 

ものの見事に身体に悪そうなチョイス群である。こんなエサに釣られる者など三流犯罪者にだって居ないだろう

 

言外に彼女はこう言っているのだ―――『慈悲など無い』と

 

それに対してクロロも軽く肩を(すく)める

 

「ふっ、止めておこう。(うま)い話に安易に飛びつけば痛い目を見る事など、ただの子供でも知っている事だしな」

 

(うま)い話だなんて心にもない事を」

 

「それはお互い様だろう」

 

「あら、私は約束は守ってあげるつもりよ?」

 

「態々言う必要も無いだろうが、『旨い話』の方だ。俺たちを釣りたければ拘置所の私物化と自由な出入りに治外法権程度は認めて貰わなければな」

 

お互いに絶対に通すつもりのない要求を突き付け合う。そうして茶番が終わって一瞬の沈黙が流れた後、二人のセリフが重なる

 

「「殺るか」」

 

二人は別に気合を入れたりする為にその言葉を口にした訳ではない

 

羽虫を潰すのに殺意は向けても敵意までは抱かないように、ただ当たり前の作業を行わんとするだけのセリフなのだ

 

「さて、殺ると言っても貴様らを同時に相手取るのは流石に面倒だ。ならばここは一つ、愉快な一手を打たせてもらうとしようか」

 

クロロが【盗賊の極意(スキルハンター)】の新たなページを開き、そこに記された能力を発動させる

 

「この能力の元の持ち主は人の死に触れる事を何より求める殺人中毒者でな。傭兵として戦場を渡り歩いていた奴だった。ソイツは放出系の能力者だったのだが、弾丸として選んだモノは戦場なら幾らでも補充の利く物体である新鮮な死体だったのさ。奇しくも特殊な制約が念を強くした訳だ」

 

クロロの後方、始めにコルトピが具現化したビル群をマフィアの包囲網にぶつけた場所から潰れた死体の山が引き寄せられていく。戦闘が始まってこの短い時間では救急車などで死体や怪我人を全て運び出す事など到底叶わなかったのだ

 

潰れた顔面や手足に、(したた)る血や臓物をそのままにした数多の死体が宙を漂って集まって来た。コルトピの具現化したビル群は彼が気絶した事で解除されていたので引っ掛かる(スタックする)事も無かったようだ

 

「うわぁ、スプラッタホラー過ぎて流石に引くわね」

 

「生者を踏みにじるだけでは飽き足らず、死者すらも辱めようと云うのか貴様は!!」

 

あまりの所業にクラピカが激昂するが当然クロロはどこ吹く風だ

 

「そう思うのなら、精々受け止めてやるといい。避けられてただ地面のシミになるよりは最後に(オレ)の役に立てるならコイツ等も本望かも知れんぞ?俺がコイツ等なら遠慮するがな。だが避けるならちゃんと後ろも気にする事だ」

 

無数の死体はクロロの背後から飛んできた。即ちクロロと相対するレツたちの背後には闇オークションの会場たる超高層ビルが(そび)え立っているのだ

 

クロロが人差し指を天に向けながら左腕を伸ばすと、その指の先の空間に死体の山が集まり、一つの塊に押し固められていく

 

先程までのスプラッタホラーも大概であったが、無数の人が人でない形に異音を響かせながら変形していく光景は目を背けたくなる凄惨さだ

 

(ごく)の番。うずまk―――“ビュンッ!!”」

 

「はいはい、あんたがジャンプ読者なのは分かったからそれの本当の名前は?」

 

言わせねぇよとばかりに落ちてた瓦礫をライフル以上の速度で投擲してクロロのセリフを(さえぎ)ると邪魔されたクロロは無表情ながらも憮然とした空気となり、溜息を吐くと能力名を口にした

 

「・・・通常のが『肉弾(にくだん)』。今使おうとしてるのが『肉詰め(ボール)』だ」

 

『『『『うわ、センス無ぇ~』』』』

 

SAN値が削れるとか死者への冒涜とかを差し置いて全員の心が一致した瞬間だった

 

「なんか・・・遮っちゃってゴメン・・・」

 

「構わんさ。名前は兎も角、威力は上々だからな。この数の死体を使えばお前たちの背後のビルを倒壊させる程度は出来るだろう。能力名など些細な事だ」

 

思いっきり構ってたでしょと云うツッコミをその場の皆は吞み込んだ。これ以上はぐだぐだになると察したからだ

 

「へぇ、良いの?ビルを吹き飛ばしちゃえば盗みに来たお宝も一緒におじゃんになっちゃうわよ」

 

「それも問題無いさ。そのビル最大の金庫が地下に在るのは事前に確認済みだ。上層を吹き飛ばすのは決して分の悪い賭けじゃない。対してお前たちは如何かな?外周の連中は兎も角、ここの守りを抜かれて本陣たるビルが壊滅したとなれば、お前たちにとっては敗北と同義だろう」

 

全ての死体が滴る血すらも再度取り込んで赤黒い塊となる。後はもうクロロがその腕を振り下ろせばミサイルよりも凶悪で強力な一撃が放たれるだろう

 

「そんな最低な挑発されちゃったら真正面から叩き潰したくなっちゃうわね。そんな訳だから・・・行けレツ!キミに決めた!!」

 

「うえええええ!?この流れでボクに全振りするとかキラーパス過ぎるよ!!?」

 

後ろから両肩を掴まれて“グイグイ”と矢面に押し出されたレツが抵抗虚しくクロロの真正面に立たされる。後ろを振り返ってもニッコリ笑顔が帰ってくるだけだ

 

「マフィアとは云ってもあんな風に塊魂(かたまりだましい)チックにされたままじゃ可哀そうでしょ?ここはレツの『かえんほうしゃ』で灰も残さず火葬してあげる方が彼らの為になると思わない?私だとあのミートボールを爆散させて将来この通りが『地獄の一丁目』とか呼ばれる酷い絵面になっちゃうから、流石にそれは嫌でしょ?」

 

「それは・・・そうかも知れないけどさ。あれだけのオーラを纏った大質量攻撃だと燃やし尽くす前にこっちがやられちゃうよ」

 

鉄すら溶かす竜の炎でもまだ火力不足だと確信できるだけの凶悪さが目の前の肉団子から漂ってきてるのだ

 

「だいじょ~ぶ。私がレツを輝かせて(テラスタルして)あげるから!二人の初めての合体技(共同作業)ってやつね♪」

 

「ケーキ入刀みたいな言い方しないで欲しいんだけど・・・あとボクは電飾かなにか?」

 

レツの年頃の少女らしからぬ自身電飾発言に隣で聴いていたポンズがジト目を向ける

 

「女の子を輝かせるって言ったら普通そこはアイドルとかじゃない?」

 

「ボクはアイドルになる気は無いよ。そういうポンズの方がアイドルやったら人気出るんじゃないかな?・・・胸も大きいし」

 

「・・・見ないでよ」

 

可愛い妹分にジト目を向け返されるのは流石に居心地が悪かったのか、そっと胸を腕で隠して身体を背けるポンズであった

 

そうこうしている間にクロロが無感動にその手を振り下ろすと威力を溜めに溜めた『肉詰め(ボール)』が無慈悲に発射された。美少女たちの(たわむ)れなど当然クロロが付き合う義理などない

 

正面に居たレツたちもそれは分かっているので『肉詰め(ボール)』の発射と同時に真剣な目つきに切り替わると瞬時に迎撃に移る

 

「『二人羽織(ににんばおり)』はこれ以上はキツイからこれで最後だよ!」

 

竜の瞳となったレツが息を吸い込むと彼女の肩に置かれた手から莫大なオーラがその身を包むのを感じた

 

「私のオーラじゃ『周』でもレツの火炎にオーラを上乗せする事は出来ないけど、レツが炎を吐いた瞬間に“炎そのもの”を『強化』する事は出来るはずよ。出だしだけだけどね」

 

これがただの念弾であったら意味は無かっただろうが、炎という一つの現象として出力されたそれならば話は別だ。炎に『変化』してブレスとして吐き出された時点でソレはもはやただの炎なのだから、レツを強力な火炎放射器に見立てて『強化』しているのと変わらない

 

迫りくる脅威を前に世界屈指のオーラ量を誇る二人の合体必殺技が解き放たれる

 

いかにマフィアとは云えども死してなお辱めを受ける姿を放置など出来ない。二人の想いが籠った一撃を気合を乗せてヨークシンの闇夜を切り裂くように叫ぶ

 

 

 

 

 

「炎竜王の・・・咆哮ォオオオ!!!」

「萌え燃え・・・キュウ~~ン♡♥♡」

 

 

・・・事前に技名は打ち合わせしておくべきだったようだ。以心伝心による異口同音とは残念ながらならなかったのである

 

ブレスを途中で断ち切ってでもツッコミに回りたいのをグッと堪えたレツの炎はもはや極太のレーザーのような様相を(てい)し、直前まで迫っていた『肉詰め(ボール)』を一瞬で蒸発させた

 

「・・・可愛いは全てに勝る。レツの熱を感じられる吐息を全身に浴びて果てられた彼らはきっと成仏できたはずよ―――アーメン」

 

「成仏にアーメンって、せめてどっちかに絞りなさいよ」

 

因みに彼らは皆マフィアなのであの世に旅立ったとしても行先は地獄一択である

 

ポンズが呆れ顔で呟くと【人形受胎(ドールキャッチャー)】の『二人羽織(ににんばおり)』で自分の限界を超えたオーラを再三放ったレツの身体がふらついた

 

「おっと!お疲れ様。色々文句(ツッコミ)も有るでしょうけれど、今は休んどきなさい」

 

レツを後ろから支えたのはポンズだ。未だ自分の数倍のオーラ量を誇るピー助の力を上乗せする『二人羽織(ににんばおり)』は一瞬の発動でも身体に掛かる負担は大きい。この短い間にこうも連続で発動させれば負担は加速度的に跳ね上がるのだ

 

「うん・・・あの人達(ミートボール)は?」

 

「心配しなくてもちゃんと灰になったわよ。流石にアレな最後だった訳だし、勝手だけどせめて祈っとく?」

 

自己満足かも知れないが、などとレツは思わない。純心で有るが故に純粋に彼らの冥福を祈る為に軽く目を閉じたレツに後ろのポンズから灰となった彼らを見送る言葉が掛けられる

 

 

 

「炎は魂の息吹。黒煙は魂の解放。灰は灰として、その魂よ。炎々の炎にk」

 

「ちょっと待ったぁああああ!!」

 

「ラートm・・・なによ?」

 

祈りの言葉を邪魔されたポンズが困った子供を見るようにレツを見やる

 

「分かって言ってるよね!分かって言ってるでしょ!?ポンズはボクを休ませる気は無いって事!?ツッコミって結構体力使うんだよ!!」

 

「そんな事ないわよ。しっかり休みなさい。ただちょっとここに来る前の戦闘で大変な目に遭ったストレスを何処かで解消出来たら良いなとは思ってたけどね」

 

「『思ってた』って過去形だよね。今ボクを使って解消したんだよね!」

 

もはや涙目になってポンズを見上げるレツだがそれに満足そうに頷くポンズはレツの視線を前方に(うなが)す。彼女には小悪魔的な適性が眠っているのかも知れない

 

「言葉の綾よ言葉の綾。それより見なさい。あっちの決着がもう着きそうよ」

 

レツがその言葉に釣られて戦場を見ると丁度クロロが吹き飛ばされている場面だった

 

 

 

クロロは地面を両足で削りながら吹き飛ばされた勢いを殺しつつ内心で舌打ちをする。攻撃を受けた彼の左腕は今“ギシギシ”と嫌な音を立てていた

 

(一か八かだったが『硬』による受け流しが上手くいったにも関わらず腕が折れる、いや、持っていかれるところだった。あの鎖使いを遥かに上回るパワーとスピードはシンプルに厄介だ。その上体術のレベルも高い。加えて―――)

 

クロロが【イレカエ】で相手の死角に入り込む様にワープするが、暴力の化身のような彼女は目の前から消えたにも関わらず周囲を見渡して確認するというアクションを省いてクロロの転移先に最短最速で追従してくるのだ

 

人間らしい挙動を棄て去ったその動きは一種の不気味さを見る者に抱かせる。そうしてクロロは【イレカエ】を発動させた直後にも関わらず再度【イレカエ】を発動させる。否、させ続ける

 

そうしなければモロに攻撃を受けてしまうだけの速力が彼女には有るのだ。それは彼に反撃の隙など与えない怒涛の攻めである

 

単純に距離を取ろうとマーキングとしてのオーラを籠めた小石を遠くへ投げても二人を取り囲むドーム状のクラピカの鎖(ダウジングチェーン)が全てを弾き、クロロの離脱を許さない

 

(ノブナガと同じく常に『円』を展開しながら戦う事が出来るのか。鎖だけならこの場から離れる事も出来るが、こいつの攻撃を捌きながら投げる小石程度は叩き落されてしまう。先程の『肉詰め玉(こうげき)』で流れを掴み切れなかったのは痛手だったな)

 

クロロとレツの渾身の一撃がぶつかり合った時、大量のオーラを放った際に僅かに身体を巡った虚脱感という0.1秒の隙を心眼持ちの彼女は見逃さなかったのだ。瞬時に間合いを詰められて防戦一方を強いられている

 

そんな攻防の中で感心したように声が掛けられた

 

「流石によく避けるわね。このままあんたの体力(オーラ)が尽きるまで(なぶ)りたいところだけどそっちも段々避けるのも上手くなってきてるし、これ以上余裕を持たれて妙な能力を披露されたら面倒だから次で終わりにしましょうか・・・こっちも実は時間も無いし(ボソッ

 

彼女は最後に小さく呟き、呼気を吐き出すと全身から力を抜く。筋肉は脱力状態から力を籠めると瞬間的に爆発的なパワーを発揮するのはよく知られた話だ

 

脱力に合わせて“ゆらり”と目の前の少女の重心が下がる様子を観察していたクロロは何時攻撃が飛んできても対応できるように精神を研ぎ澄ませる

 

今までの攻防で相手の強さは莫大なオーラ量が根底に有るのは理解していた。正直素の筋力をほんの僅かに上昇させる脱力という技術で大した違いが出るとも思えないし、『練』に手を抜いていたとも思えなかった。しかしその上でも“何かある”と警戒していたクロロの目の前に彼女は既に立っていた―――クロロと云う裏の世界でも屈指の実力者がしっかりと見て、観て、視ていた上で接近に気付けなかったのだ

 

どうやったのか瞬時に間合いを詰めた彼女はクロロの【盗賊の極意(スキルハンター)】を持ち手ごと握り潰して強制的に本を閉じ、能力を封じ込める。クロロの手を握ったままもう片方の手で潰した方の腕を掴むとそれぞれの手を上下反対に力を入れてクロロの右手の指、手首、肘、前腕を次々破壊した

 

幾ら痛みをそれなりに無視できるであろうクロロであってもこれでは右手が(かなめ)である【盗賊の極意(スキルハンター)】を扱う事は出来ない。右手の破壊はクロロの『発』を封じる事と同義だ

 

しかしむざむざ右手が壊れていくのを見ているだけのクロロではない。右手が壊れていく感触を感じながら左手でベンズナイフを取り出すと目の前の敵の脇腹から人体急所の一つである肝臓目掛けて渾身の力で突き刺す

 

肝臓は治療が困難な部位だ。先程見たクラピカの『癒す親指の鎖(ホーリーチェーン)』が他者に使えるとしても治るか分からない上にクラピカが治癒に意識を割けば一度この場から離脱して仕切り直す事も可能だろう・・・ただしそれはそもそもナイフが刺さればの話だ

 

“カッキィイイイン!!!”

 

原作において素の筋力ではビアーの遥か上をいき、最高クラスのオーラ量も持ち合わせていたはずのシルバ=ゾルディックの肉体を切り裂いたクロロのナイフはしかしてただの少女(?)の柔肌を傷付ける事すら出来なかった

 

クロロの右手を放さないままでいた彼女はクロロの顎に向けてかち上げるタイプの肘鉄を喰らわす。クロロは右手を切り離してでも離脱する事を選ぶべきだったのだ

 

ただでさえ複数個所を折られていた右手が跳んでいこうとする本体と掴まれた手先との間で綱引き状態となって肩の脱臼に留まらず筋線維がブチブチと千切れるような音を出す

 

当然それでも放されることのなかった右手が振り回されてクロロの胴体が地面に叩き付けられた

 

「ぐっは!!?」

 

圧倒的なパワーを受けた地面は爆散・・・することは無く、そのままの状態を保っている

 

地面に対して『周』を掛ける事で叩き付けの威力を倍増させたのだ。今のでクロロの全身に深刻なダメージが奔る

 

「クラピカ!」

 

「・・・理不尽を振りまいてきたお前たちだ。理不尽(ビアー)に潰されても文句は言うまい」

 

クラピカが自身の手で全てを終わらせたいと云う想いに蓋をして『束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)』でクロロを捕縛した事により、幻影旅団との決着が付いたのだった

 

それからゴンやヒソカ、キルアにレオリオも集合して倒した他の旅団員も一か所に連れて来る事になった。ヒソカに関しては後でレツがクロロ人形を造って戦わせて上げるとの条件を付けた形だ

 

「まぁヒソカは信用できないし、私が一緒に此処で見張ってるわね」

 

「ええ~。ひどいよビアー♣ねぇ、クロロ(人形)と遊んだ後はキミとも遊んでイイ?」

 

「ほっとくと無理にでも突っかかって来そうだし、ゴンやカストロさんとの先約を果たしたら遊んであげても良いわよ。あの二人の目的でもあるヒソカを私が先に潰しちゃったら悪いしね」

 

「アハハハ♦言うね♠愉しいバトルになりそうだ♥」

 

・・・との会話も有ってヒソカは無理にクロロを逃がすのは『今は』脇に置く事にした

 

無論。機会が有れば狙うだろうが・・・

 

少ししてこの場を襲ってきていたクロロ達をクラピカの鎖で縛り上げ、既に捕まえた団員たちと同じく『律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)』を突き刺した辺りでずっと片目を閉じていた少女はどこか遠くを見やった

 

「さ~て、向こう(・・・)も大体終わったみたいだし、こっちの状況も伝えないとね―――ポンズ姉~。そんな訳だからスマホ貸して~」

 

「あんたのスマホは・・・今は無いんだったわね。ちょっと待ちなさい。今ロックを解除して」

 

「あ、パスワードなら知ってるから問題ないよ」

 

「嘘でもプライバシー守りなさいよアンタはっ!!」

 

何でもないようにパスワードを知られ(ぬかれ)てたポンズは取り出したスマホを叩き付けるように投げつけたのだった

 

 

 

▽◁◁

 

ヨークシンシティで幻影旅団との決着が付く少し前。世界中のマフィアを束ねる十老頭である彼らが年に一度集まり会議を開く舞台となったとある島で人類のトップとも呼べる者達が戦争のような攻防を繰り広げていた

 

その代償としてその島で警護に当たっていた十老頭からの信頼も厚いマフィアの組(複数)の構成員の大半が死亡し、十老頭が居た屋敷は全壊。すぐ隣の庭園は荒れ地へと変貌していた。その荒れ地の中心で破壊の嵐を振りまいていた者たちの決着も今まさに着こうとしていた

 

「じゃあね、ビアー=ホイヘンス。キミはホントに割に合わない相手だったよ」

 

世界最高の暗殺一家の長兄たるイルミの凶悪なオーラを籠められた針がビアーの左目に突きこまれたのだ

 

“ガギィイイッ!!”

 

渾身の一撃を見事通したはずのイルミの目が見開かれる。どう考えても生身の手応えでは無かったからだ。確かに自分はビアーの海賊コスプレの付属品である眼帯の在る方に攻撃したが間違いなくその眼帯は貫通している。元々偶々衣装に紛れていた眼帯に実は鉄板が仕込んであったなんて事もないのでそれで防ぐ事は叶わない

 

ビアーが直前でシルバを吹き飛ばした左腕が彼女の間合いに飛び込んできたイルミの首根っこを掴み、左目に針が突き立てられたままのビアーの口元に邪悪な笑みが零れる

 

「ざ~んね~ん♥左目(そっち)は今は無いんだよね~♪」

 

イナバウアーのような体勢から“グンッ”と勢いよくイルミと至近距離で見つめ合ったビアーが右ひざをイルミの腹に突き刺し、そのままアッパーで宙に浮かすと自分も軽くジャンプして大振りな蹴りをぶち込む三連コンボで屋敷の瓦礫の中に突っ込ませた

 

ゾンビのようなホラーな動きだったが、こんな機敏なゾンビは嫌である

 

完全に内臓がシェイクされて手足も折れているイルミが致命傷なのは誰が見ても明らかであった

 

シルバとゼノの二人が地上に降り立つ中でビアーは自身の眼帯を外して左目に突き刺さった針を左目ごと(・・・・)引っこ抜く。う~ん。このホラー感よ

 

「義眼とはの。そのおちゃらけた態度で気付かんかったわい」

 

「いや~。別に無くても良かったんだけど、やっぱり眼球が無いと(くぼ)んで見えちゃうからね。ファッションよファッション。ふざけて瞳孔に魔法陣描いたものとか万華鏡写〇眼!とか入れてみようともしたんだけど、レツに()められちゃったんだよね~」

 

「写〇眼とやらは知らんが()めといた方が無難じゃろうの。にしても以前イルミと殺りあった時には義眼ではなかったんじゃろ?お前さん程の片目を奪ったのはどんな奴じゃ?」

 

戦力(イルミ)が減った事でより慎重にならざるを得なくなったゾルディックの二人が会話しつつ相手を観察し、戦略を練る。イルミ?化け物(ビアー)相手に放置以外の選択肢などない

 

仮にイルミが死んでたとしても依頼そのものは継続中だから撤退も無しだ

 

「ああ、別に私は左目を失くした訳じゃないわよ。言うなれば今ちょっと出張中なのよね」

 

「なんじゃ?お主目玉を偵察機にでも出来るのか?」

 

常識で考えれば有り得ないが数多の実戦経験を積んだゼノならその程度の能力が有っても可笑しくないと考える。もっともその場合目の前の少女は戦闘能力に加えて高い諜報能力まで備えているという話になるのだが

 

(あた)らずと(いえど)も遠からずとだけ言っておきましょうか」

 

そこでビアーは二人ではなく何処か遠くのものを見るように僅かに視線を逸らす

 

「・・・それで如何する?そっちでノビてるソイツの依頼主が幻影旅団の団長なら、たった今やられちゃったわよ。これで支払い能力はゼロだから依頼はキャンセルよね?まだ続ける?」

 

そのセリフでビアーの左目の出張先を察したゼノとシルバだが、それだけで構えを解く事は当然しない。敵の言葉を鵜呑みに出来るはずもないからだ。だが骨折り損のくたびれ儲けもまた避けたいのも事実である

 

「ふむ。それを今証明できるかの?無理ならばこのままやり合う事になってしまうぞ?」

 

「そう言うと思ってツウィッターの私のアカウントで限定LIVE配信してるから確認してくれないかしら。パスワードは******ね♪」

 

ビアーの言葉にシルバはポケットから小型の通信機を取り出すと一言、「ミルキ」と次男の名を呼んだ。どうやら音声はゾルディック家に筒抜けだったようだ

 

「今確認したよ。確かにイル兄の依頼人がボコボコにされて鎖で繋がれてるね。加工とかの痕跡も見当たらないし、確度は高いと思うよ」

 

「―――そうか」

 

今の一瞬でそこまでの情報を精査できる辺りミルキは機械関連ではとても頭が良いのだ

 

それ以外では残念な面が目立つが、機械関係では家族の信頼も厚いのが彼である

 

「ふむ。儂等は手伝いじゃからの。本来なら情報の真偽における最終判断を下すのはイルミになるんじゃが―――」

 

そこまで聞いたビアーが一切の躊躇(ちゅうちょ)もなく全力ダッシュ((フクロウ)引きずり)で瓦礫(がれき)に埋まって痙攣(けいれん)していたイルミの腹をパンチで打ち据えると今度は首を掴んで無理やり立たせてアッパーを繰り出して浮かび上がらせ、いつの間にか首に巻き付けていたワイヤーを引っ張って落ちて来た所を膝蹴りからのワンツーパンチで再び空中に押し戻し、追いかけるように自身も跳躍して(フルスイング)した

 

ワイヤーも含めて7連コンボだ。とても死に掛けの相手にする追撃じゃない

 

ぶっ飛ばした先に居たシルバがもはや襤褸(ボロ)切れとなった息子をキャッチし、そんな彼にビアーが問いかける

 

「ソレ、意識ないみたいだけど?」

 

「どの口が言うんじゃ」

 

全くもってその通りである。誰が見ても原因はビアーであった

 

「・・・何故殺さなかった?」

 

文字通りに虫の息となってはいるが、イルミはまだ生きていた。先程の一連のコンボは『纏』で行われたものだ。それ故イルミはこの世にギリギリ踏み止まっている

 

「ああ、その事ね。アンタ等がもしも家族を殺された報復とかしてきたら面倒ってのも有るけど、今回はどっちかって言うと一応弟子(キルア)の兄弟だからかな。キルアに家族(イルミ)と敵対したら殺して(トドメを刺して)良いか、事前に確認しておけば良かったわね。まぁ十中八九GOサイン出すでしょうけど」

 

イルミがビアーに見逃されるのはこれが最後になるだろう。もしも次に敵対したならば、イルミの人生はそこが終着駅となる

 

「さて、それでどうするの?早く決めないとソレ、死ぬと思うけど」

 

ビアーのイルミを見る目はもはや人間に向けるものではない。不可抗力でも屋敷のマフィア達を挽肉にした事でちょっと心が荒んでいるのだ

 

「致し方ないの。シルバ、退くぞ。イルミの依頼そのものが無くなったならその手伝いで雇われとる儂等の仕事もここまでじゃ」

 

「でも手伝い自体はしたんだから依頼料はきっちり貰うんでしょ?」

 

「勿論じゃ。イルミの依頼人が捕まったところで儂等の依頼人がイルミである事に変わりはないからの。もっとも依頼の途中キャンセルという形になるから十割という訳にはいかんがの」

 

家族だろうが死にかけだろうが依頼した以上はきっちりと取り立てる。実にビジネスな関係である

 

ゼノと一緒にシルバが繊細なガラス細工でも扱うようにイルミをお姫様抱っこで(そうしないと死ぬ)(きびす)を返してこの場を去ろうとするが、最後にビアーがその背中に声を掛ける

 

「キルアになにか伝言とか有ります~?」

 

それを受けたシルバが首だけを回してビアーに目線を送る

 

「・・・何時でも帰って来い。お前の土産話を聴いてみたい、と」

 

「了解。一言一句そのまま伝えますね。それじゃさようなら~!!」

 

イルミは兎も角シルバやゼノに対しては別段敵意も不快感も持っていないビアーは元気よく手を振って二人が見えなくなるまで見送ったのだった

 

 

 

クロロ達がクラピカの鎖で心身共に拘束されてからヒソカはもうその場に用は無いと去って行った

 

クロロ人形との闘いも今はレツが疲弊しきった状態な上に自分もゴンの攻撃で万全ではなかったからだ。闘いに有利不利などの言い訳など自分にも相手にも求めないヒソカだが、折角頼めば戦わせてくれるという好条件を出されたならそれに乗るのもまた一興との考えからである

 

それに今夜は十分に愉しんだのだからデザートまで一気に平らげてしまうのは勿体ないとの思いも有る。自分の愉しみの為ならば『待て』が出来るタイプの変態なのだ

 

クロロ達も先に捕まえたマチやフェイタン達の捕まっている場所に連れて行ってちょっと小細工をした上で監視をホテルの警備をしていた陰獣の半数に引き継いだ

 

元々陰獣の一人は監視の為に配置されていたのだが、クロロ達が捕まった事でホテルに居た陰獣の一部を監視(こちら)に引っ張って来た形だ。そうして幻影旅団が居るのと同じビル内では有るが別の部屋に案内されたレツたち6人(・・)(ようや)く緊張を緩めた

 

「後はアイツ等を引き渡せば一件落着ね。皆今夜はお疲れ様~。」

 

皆にテーブルの上(・・・・・・)から(ねぎら)いの言葉を掛けた存在に視線が集中する

 

「・・・なぁ、正直今でも信じらんねぇんだけど、お前は何で現状を受け入れられてるんだよ?」

 

「ああ。普通ならアイデンティティが崩壊しても可笑しくないと思うのだがな」

 

キルアとレオリオの質問にビアーの人形(・・・・・・)(ぬいぐるみサイズ)は“やれやれ”と首を振る

 

「前にも言ったじゃん。昔(赤ん坊)の頃の私は哲学っ子だったって。今居る自分は本当に自分(オリジナル)なのかとか、コピーや偽物の人権や存在証明とか、そういう小難しい事なら幾らでも考えたのよ。人形(コピー)と云ってもお互いに害する気持ちが無いなら双子と変わらないからね」

 

「だからって『自分の人形造れば戦力アップ!』とかお前さんの頭がイカレちまってるのは確かだよ。普通そこまで割り切れるもんじゃねぇっての」

 

「ねぇ、キミの事はなんて呼べば良いのかな?ビアー2とか?」

 

この場には頭のイカレてるのがもう一人居たようでビアー人形に問いかける。流石に本体と同じくビアー呼びでは混乱もしそうだ

 

「ビアー2ってミュウ2じゃないんだから・・・う~ん。ここはレツが決めてくれる?ほら、私にとってはレツが創造主(マスター)な訳だし」

 

「え、ボクが決めて良いの?だったらそうだな~・・・ビアー=ホイヘンス・・・小っちゃいビアー・・・うん!『リ』トルビア『ー』=ホイヘン『ス』で縮めてリース!リースにしよっか!」

 

「はい決定!そんな訳で私の事は以後リースで宜しく~♪」

 

デフォルメ人形のまま笑顔で愛嬌を振りまくリースにキルア達の呆れ顔が突き刺さる

 

「か、軽いな」

 

「あ~、頭空っぽにしてビール飲みて~(ヤケクソ)」

 

「やっぱりコイツどっか俺たちとは視点が違うぜ」

 

「宜しくリース!」

 

約一名(ゴン)はそのままを受け入れたようだ。やはり大物の素質は持っているのだろう

 

「・・・それにしても幾らビアーから片目を貸して貰っているとはいえ、100%の力でないのによくあの幻影旅団(クモ)の団長に勝てたものだな。特に最後の動きや奴のナイフが微塵も刺さらなかった時など、目を疑ったぞ」

 

「流石に両目を『魂呼ばい(タマヨバイ)』する訳にはいかないからね~。でも片目ずつだと相手の見ている景色を意識すれば共有できるって利点も有るのは嬉しい誤算だったわね。それとアレ(・・)の正体は自分で考えてね。私の奥の手ってやつだからネタばらしまではしないわよ」

 

幾らリースと云えどもクロロの渾身のベンズナイフをただの『堅』で完璧に防ぐ事は出来ない。刃先程度は食い込むはずのソレをあの時は完全に弾いてみせたのだ

 

色々と話したい事も多いが今夜の戦闘で消耗した体力を万が一に備えて回復させるのが先だとして男女それぞれが交代で仮眠を取る事となった

 

レディーファーストとしてシャワーで体に付いた埃などをサッと洗い流したレツとポンズが眠りにつく。警戒の為に同じ部屋ではあるがグリードアイランドの荒野でずっと同じ空間で寝ていたので今更ではある・・・無論、ぶしつけな視線を送ろうものなら最凶のセコムが動き出すだろうが

 

「ヨシ!それじゃレツ~♪一緒に寝よ~♥♥♥」

 

ぬいぐるみサイズのままレツに甘えた声を出しながらその胸に跳躍したリースだったが、空中で“むんず”とポンズに頭を鷲掴みにされた

 

「ポ、ポンズ姉?」

 

「ストラップサイズで私の胸で無駄に這い回ったと思ったら今度はぬいぐるみサイズでレツの胸に抱かれたいって事?全く良い御身分ね」

 

ポンズの目は過去最高に冷ややかだった

 

「うん♪本ッ当に最高だったよ!小人サイズで胸の谷間挟まれるとか本体の私には決して辿り着けない至高の楽園!桃源郷、ポンズ姉の胸に見たり!!」

 

ポンズだけでなくレツも底冷えするような視線をリースに向けるが脳内桃源郷状態になってる彼女は気付かない

 

「ふん!」

 

ポンズが綺麗なフォームでゴン達の居る方向へリースを投げつけ、ゴンが咄嗟にキャッチした

 

「ど、どうしたのポンズ?」

 

「ゴン。リースは人形で睡眠必要ないから寝ずの番をするんですって。だからリースが絶対に(・・・)こっちに来ないようにしておいて。後でクラピカの鎖で確認するから」

 

「何故私まで巻き込まれているのだ」

 

「そんな~!!?あんまりだよポンズ姉~!!」

 

こうしてレツたちの夜は問題無く(?)()けていくのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みにリースにおっぱいダイビングの感想を詳しく訊き出そうとした医者志望の男はそのリースに腹パンを喰らわせられたのだった

 

「あの独占欲の塊にそんなん訊くとかバカじゃん」

 

キルアの声を聴きながら、もう二度と訊くもんかと泣く泣く諦めたレオリオだった

 




はい。まさかのW主人公・・・と言って良いんですかね?流石に色々制限は付けるつもりですが、どうなる事やら
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