ゲンスルーの人形からハメ組の詳しいアジトやグループの予定などを訊き出してリーダー役の人以外のハメ組初期メンバーと集会の日に合わせて『影武者切符』で入れ替わった私達は予定通りゲンスルーが爆弾を発動させるのを待ってから彼らの交渉の場の主導権を乗っ取った
ゲンスルーには強めの敵意を乗せたオーラを浴びせ、それ以外のハメ組の面々には優しく撫でる程度の圧に留める。てかそうじゃないとショック死しそうなのが結構な割合で居るのは皆さんもうちょっと修行しましょうと言いたい
何故か幾分薄毛になっている倒れたゲンスルーを引っ掴んでハメ組の人達と物理的に距離を取ると『練』を引っ込める。これで喋る事は出来るでしょう
「さて、あなた達も時間は限られてる訳だし早速交渉に移りましょうか」
なにせ『
「ま、待て待て!その前にお前たちが入れ替わった他の仲間たちは如何したんだ!?」
「その人達ならそこの荷物の木箱や大タルの中に詰めてあるわよ。軽く眠って貰ってるけど『
私が指を差すと男子組が箱やタルを除けてその人達の無事を見せてくれた。それにホッとした様子を見せたニッケスとか呼ばれてたリーダーの人がこっちに向き直る・・・ってかこの人私がこのゲームで最初に出会って地図貰ってった人じゃん
「交渉というのはソイツの・・・ゲンスルーの身柄の引き渡しと俺達の集めたカードって事か?」
ニッケスが恐る恐るといった感じに内容を確認してくる。さっきまでゲンスルーに全部のカードを寄こせと迫られてた訳だから私達も同じ要求をしてくると思っているんでしょう
「そうね。あなた達には二つの選択肢から一つを選んでもらうわ。でも安心しなさい。たとえどっちを選んでも爆弾の解除は保証してあげるから」
私は腕を突き出して指を一本立てる
「一つ。私達にランクSSのカードである『ブループラネット』2枚及び
ランクSSのカードはNo.000を除いて全部で4種しか無いけど、その中でも『ブループラネット』だけはカード化限度枚数が5枚(他は3枚)な分SSカードの中では一番簡単に手に入るっぽいのよね。コイツ等が持ってるのは他の上位陣のプレイヤーが入手したのを
原作のレイザー戦を見てると勘違いしそうになるけど、アレはゴンが居たから難易度が変更されただけで本来はキルアに「念無しのオレでも楽勝」とか言われてた強化系のモブ(ゼホ)の居るチームでもランクSまでなら普通にカードを入手してる訳だし、可笑しい話ではないでしょう
何だったら『ブループラネット』のカード化を解除して使用する事で入手できるカードも有るみたいだしね。なんかカード集めしてる時にNo.16『妖精王の忠告』を手に入れようと色々試練を突破して妖精の国への扉を開けようとしたら“この世ならざる証”的なキーアイテムが必要って言われたんだけど、多分この星に存在しない成分で出来てる『ブループラネット』の事でしょうし・・・丸い物を嵌め込めそうな穴も有ったしね
まぁSSカードを消費してSカード1枚って事も無いでしょうから扉の奥の派生イベントでもう1~2枚レアカードも貰えそうだけど
私は指を更に一本立ててもう一つの条件を告げる
「二つ。今の要求を拒否する。この場合はシャッフル時にこっそり私達のバインダーに仕舞っておいた『ブループラネット』だけで
やれやれと言った感じを出しながらバインダーのフリーポケットから2枚の『ブループラネット』を取り出すと周囲から「泥棒!」とか「卑怯者!」とか聞こえてくるけど流石に片腹痛い
「それで?お前さん等が『大天使の息吹』を諦める・・・だけな訳ないよな?」
私の言葉の切れ目にハメ組の一人で名前は忘れたけど原作でゲームの選考会でキルアに
「勿論よ」
てかそうでないと選択肢を提示する意味ないでしょう。意味の無い質問・・・いえ、周囲の未だ動揺から立ち直ってない人達に気を配ってるみたいだから脳みそが痺れてる人達に状況を少しでも
「断った場合は今この場であなた達にはこのゲームから強制的に一度退場して貰うわ。この『挫折の弓』でね」
荷物の影に実体化した状態で隠しておいた弓をレツが念の糸で引き寄せて私達に配る。それをキャッチして見せ付けた形だ
「勿論このゲンスルーも一緒にゲーム外に出して上げるからバッテラさんの城で存分に爆弾を解除すると良いわ。あとの処遇はあなた達に任せるわよ。その代わりコイツがあなた達を正面から皆殺しに出来る実力を持ってるってのは忘れないようにね」
ゲンスルーに関しては殺されたら殺されたで仕方ないんじゃないかって感じだ
「俺達のフリーポケットの
「ええ。双方にとって面倒だと思わない?一つ目を選べばSSカード2種を失う代わりにあなた達はまだ戦える。二つ目を選んだ場合はあなた達の5年間の努力をやり直す事になる。とは云え人数もノウハウも有るんだから2年以内には今と同じ状況に盛り返す事は出来るんじゃない?―――大事な決断でしょうし気絶してるそこの人達(初期メンバー)も起こして相談して良いわよ・・・時間はあまり無いでしょうからそれまでは待ってあげるわ」
何せ皆結構ドキドキしてるのか6000から始まったカウントが4000を既に切ってる人が大半だもんね。多少は落ち着いてきたでしょうけど、残された時間は20分ってところかな?それ以上は死の恐怖の方が大きくなるでしょうし、『
・・・素で何トンもの扉を開けられる時点で解っちゃいたけどね
そんなNINGENパワーで軽く地面を爪先で小突くと私達と彼らの間に横一本の亀裂が奔る
地隆降陣の一つ『
「この線を取引を終える前に越えたら問答無用で『挫折』させるからそのつもりでね・・・ああ、それと伝え忘れてたけど
相手が座る瞬間を狙って恐ろしく速いクッション敷きでゲンスルーのお尻を守護って上げればアラ不思議。一度だけ言われた事に全力で応えちゃう従順ボーイの完成って訳。それでもってちょっと全力で自分の認識を勘違いして貰ったりとかね
「本当はコイツって年末最後の集会で動き出す予定だったみたいだから、今日がその日だと思い込ませておいたのよ」
だから今は年末じゃなくて10月の終わり辺りなのよね
勿論だけどサブもバラもゲームの外で待ち構えてたりは当然しない・・・野放しとも言うけどこの情報を与えた上でこれだけの人数差があって下準備も可能な時間も有って如何にか出来なかった本当に
「それじゃ後はごゆっくり~☆」
私は何故か頭髪の大半を失ってるゲンスルーの首根っこを掴んでズルズルと引っ張ってレツ達の居る場所まで行くとその場に座り込む
「じゃあ向こうの話し合いが終わるまで修行も兼ねて(トランプの)ダウトでもやろっか」
私は実家に帰った時に手に入れた検知不可能拡大バッグ・・・異次元バッグでいいや。それからトランプと
リボルバーは元々バッグに入ってたやつだね。事件後はほぼ一直線でくじら島まで移動だったし、邪魔にもなってないからバッグの底で放置されてたやつだ
「・・・凄く嫌な予感しかしないんだけど、なんでピストル?あと普通に遊ぶ事も覚えたら?」
大丈夫大丈夫。所詮は遊びの延長よ。てか今までも普通に遊ぶ時は幾らでも有ったじゃん
「銃がある理由勿論場に出したカードの
「撃たれてね★じゃねぇよ、死ぬわ!!」
「待ちなさいレオリオ。確認が先よ。「撃たれて」って言う事は自分で自分に引き金を引く訳ではないのね?」
ポンズ姉、そこに気付くとは流石の慧眼!(※別に流石でも何でもない身内贔屓目線1000%)
「そゆこと。ダウトの宣言をした方とされた方の二人で相手を上回った(騙したor見抜いた)方が銃を扱えるわ。で、ここからがチキンレースとロシアンルーレットの時間。さっき言ったように撃たれる方は初めは『絶』。発砲の刹那を見極めて『凝』でガードしてね。射線を見誤ると普通の人がエアガンで撃たれた位の痛みは走ると思うわ」
エアガンには狩猟用のも在るけど皆のオーラ量ならBB弾程度でしょ
「それでもしも引き金が引かれるよりも早くオーラを『練』り上げちゃったら撃つ方はもう一発だけ撃てるわ。逆に弾が発射されないのを見極めて『絶』を維持出来たらこれまた一発だけお返しに銃を撃つ事が出来る。勿論
私の場合『練』→『凝』の過程を経ずにただオーラを『練』れば良いだけだからね
レツ(マチ)もレオリオ(医者志望)も居るし、失敗しても脳みそが弾けない限りは如何にかなるでしょ。仮に心臓ぶち抜かれてもマチの『念糸縫合』さえ有れば・・・ね?
怪我はしても命の危険には配慮(?)した安全(?)仕様。う~ん。この常識人(?)感が
それから始まるカードゲーム。ビスケ辺りは断るかなとも思ったけど意外と普通に参戦してた。彼女にとってはその程度のオーラの精密操作は朝飯前だからかな
▽
「ダウト」
「げっ!」
あれから少ししてレツの宣言にキルアが苦い声をあげる
なにせ皆の運が良かったのか悪かったのか、既に銃は5発空撃ちされた後だからだ。つまりこの一撃はキルアの
レツが用意されたリボルバーを手にしてキルアに狙いをつける
「あ、先に言っとくけど最後の一発だからって早々に防御したら
「このタイミングで言うのは後出しっつぅん―――“ズガンッ!!”」
キルアが私に文句を付けようとすると言い終わる前にレツが引き金を引いて鉛玉をキルアの肩口にぶち当てた
「っぶねぇええ!?今のはマジで外すかと思ったぞ」
ここで言う“外す”は『凝』の防御部位ね。確かに今のは半ば勘でガードしてたわね
「だってキルアが私の方を見ないで
ぷっくりと頬を膨らませるレツ可愛い!
「それで銃をノータイムでぶっ放すって何処のメンヘラ女だ!!」
「いやぁ、
イタズラっぽく笑うレツ可愛い!!
「笑ってんじゃねぇか!そんな地雷キャラを態々攻略なんざしなかったに決まってんだろ!」
「なに!?俺が付き合った女の子達は皆最後には包丁振り回したり展望台から突き落とそうとしたり密室で練炭焚こうとして来たりしたぞ!!?」
「レオリオはレオリオでそこまで行くと逆にコツを訊きたいレベルでクソじゃねぇか!つかレツもターゲットに選ぶ相手絶対にコイツだろ。どう聞いても百戦錬磨の猛者だぜ」
確かに。アイアイで色んなキャラにこっ酷くフラれたのは知ってたけど、まさかあの恋愛都市にそこまで危険なシナリオが隠れていたなんて・・・まぁレオリオくらいしか辿り着けない幻のルートな気はするけど
「じゃあ負けたキルアはゲームが終わるまで腕立て伏せ(最高速)でもやっといて。罰ゲームね」
「だからそう言うのを後出しっつってんだよ!」
文句を言いつつ腕立て伏せを流れるように始めてる辺り修行脳がきっちり形成されてるわね。半年間程心身ともに修行という沼に漬け込んだ成果だ。しっかり染み込んでる
「さて、時間も押してる事だし誰かがリタイアするごとに弾を増やしていきましょうか」
私はレツからリボルバーを受け取ると今度は弾丸を二発セットする
「じゃあ再開ね。K(キング)を2枚!」
私は宣言しながら場にカードを裏向きで2枚出す
「ダウト」
「・・・・・・・・」
「ほら、早く
ポンズ姉に促されてカードを反転させると1枚はキングだったがもう1枚はJ(ジャック)だった
“ズガンッ!!”
一切の遠慮なしに素早く放たれた弾丸は炎と共に銃身から飛び出し一直線に私の急所に向かって来る。オーラを『纏』った状態なら身体強化で銃弾程度空中で割りばしキャッチも余裕だけど、『絶』状態で一切のバフが掛かってない今の私では欠片たりとも集中を解く事は出来ない
極限の集中力を発揮して弾丸が、いや、弾丸が纏うソニックブームの端が私の肌を刺激した瞬間に『練』で防御し、弾丸は肉体に届く前に砂と化した
ふぅ。視線や銃運び、殺気なんかで何重にもフェイント入れて最後に喉を撃ち抜いてきたわね。相手の意識が逸れた瞬間を狙い撃ったレツといい、戦闘タイプじゃない二人も大分バイオレンスが板についてきたようだ
「おい、アイツなんで撃たれたのに満足気に頷いてるんだよ?」
「ほぼゼロ距離で喉イッたよな?アイツ等仲間なんだよな?何であんなに
なんかこっちを見てたモブの人達が
単に弾丸が当たる瞬間に『練』をして、防いだ瞬間にまた『絶』に戻しただけだ
ド〇ゴンボールの悟空が瞬間的に戦闘力を増減させて戦っているのをスカウターで計測出来なかったのと同じ理屈ね
恐ろしく迅い『
私の燃費最悪の強化技である『
てかあんたらは目の前の会議に集中しなさいよ。それか『練』を維持して会議しなさい
※出来るか
そうしてまた少し時間が経過してゲームも終盤となった。今残っているのはゴンとレツの二人ね
「すまない。答えが出た」
でもそこでさっき私が地面を割いた線の際からええっとぉ・・・そう!ニッケスさんが声を掛けて来た。どうやら皆の意見が纏まったみたい。と言っても最初からほぼ答えは出てたから損切りをする覚悟する為の時間みたいなものだったけど
「もうちょっと待ってて。今仲間たちの勝つか負けるか、生きるか死ぬかの大一番だから」
6人居なくなった残り二人となった時点でリボルバーの弾倉には6分の5で弾丸を込めてある
丁度今レツがダウトを取ってゴンに銃を突き付けてるからこれで決着かも知れない
―――“カチンッ!”
しかし響いた音は火薬の炸裂音ではなくて撃鉄の落ちる金属音のみだった
ゴンは6分の1の幸運を引いたか。次のダウト宣言で今度こそ決着ね
「この期に及んでカードゲームだと!俺たちの命が掛かっているんだぞ!ふざけないでくれ!!」
「は?」
「え?」
今すっごく冷めた声が出た
「ねぇ、今までの見てなかったの?失敗したら弾丸で身体撃ち抜かれるのよ?遊びの要素は入ってたけど、決しておふざけじゃないの、分かる?理解できる? Do you understand?」
私だって皆に強くなって欲しいからところ構わず修行要素ぶち込んでるけど、それだってこのハンターハンターの世界が危険の温床じゃなかったらここまでしてないわよ
でもポンズ姉危険に突っ込む根っからのハンター業だし、レツは存在がお宝だからどうしたって危険が向こうからやって来るので最低限十二支んや幻影旅団並みの力は備えておいた方が良いから修行における怪我なんかは泣く泣く許容してるのよ
「それをおふざけたぁ言ってくれるじゃないの。あんたもおふざけで鉛玉急所にプレゼントしてやっても良いのよ?」
私は収納バッグから別のゴツい拳銃を取り出すとニッケスの顎下に突き上げるように銃口を押し付ける。コイツ等レベルの念使いなら十分脅威でしょ
「わ、分かった。俺が悪かったから銃を仕舞ってくれ。カウントが早まっちまう!!」
カウントねぇ・・・
「ねぇあんたさぁ、念の四大行を覚えてから何年?少なくともこのグループを立ち上げてから5年は経ってるはずよね」
それだけの時間コイツ等は何をしてたんだか
「さっきの
それだけのオーラ量を鍛え上げてるなら顕在オーラ量も少ない訳ないしね。少ないオーラ量の中でテクニック中心に鍛えてたりすれば悪い意味で潜在オーラに見合わない顕在オーラになる事も有るでしょうけど―――それに戦闘中の『流』みたいな駆け引きなんかも必要ないしね。存分に『硬』くガードすれば良いだけなんだからオーラさえ有れば後は楽なもんよ
「『練』の持続時間を10分延ばすのに普通だと1ヵ月掛かるとされてるって知ってる?普通の才能の
流石に念を覚えた高揚感に任せてゲームをやったりはしてないと思う。最低でも何年かは別で働いてたりとかはしてるでしょう
「あ、ああ、・・・念の基礎を覚えたのは8年くらい前になる」
「8年?基本を覚えるまでに2年近く掛かってたとしてもう10年選手じゃない。なんで未だに拳銃程度にビビってんのよ」
使用者への反動とか考えずに装甲車も突き抜ける
「・・・・・ふざけるな」
私がニッケスに詰め寄ってると小さく、しかしハッキリと怒りや憤りの感情が滲み出たような声が聞こえてきたのでそちらに目を向ければハメ組の顔も名前も知らない“その他大勢”がこっちを睨んで来る―――言葉を発したのは一人でもそれが皆の想いを代弁した一言だったってのがヒシヒシと伝わって来るわね
「お前に・・・お前みたいな若くしてトップ街道ひた走ってるような才能の持ち主に俺達凡人の気持ちなんか分かるか!―――俺は、俺達は・・・俺達が弱いって事はちゃんと分かってんだよ!弱いから妥協してんだ!弱いからカッコ悪くても自分に言い訳して!誤魔化して!悪知恵も肯定してせめてお零れに縋ろうとしてんだ!お前に分かるか!?この世界に来て初めて出会ったモンスターの一つ目
全く、弱い事と弱いままでいる事を一緒くたにしている人の典型ね
私は銃を収めてハメ組の人達に向き直る。コイツ等は自分たちが如何に“幸運”なのか分かってない。折角だし、言いたい事はしっかり言わせて貰いますか
・・・あ、でも折角なら少し試してもみようかな?
▽
ビアーがハメ組のメンバーに向き直ると軽く息を吐いてから目を瞑り、その後ゆっくりと目を開き、彼女の紫の瞳が『全て』を捉える
瞬間、ハメ組のメンバーは肌が泡立つような感覚に襲われた。それは決して恐怖ではなく、ある者は“ピシリ”と、ある者は“リンッ”と、音が聞こえてくるかのように空気が張り詰める感覚を全身に感じたのだ。まるでこの空間から一切の雑音が消え去ったかのような思わず背筋を伸ばしてしまいたくなる異世界がそこに在った
「聴け!」
何物にも侵害されないはずの空間を割くように、さりとて調和を乱さぬ声が一条の矢のように一同の鼓膜を震わし、更にその奥の脳を奮わす
その声を『発』した少女に誰もが視線を奪われる
「弱さは罪か?弱さを認めるのは罪か?弱いと気付けないのは罪か?未熟は罪か?恐怖は罪か?挫折は罪か?小賢しさは罪か?金銭欲は罪か?承認欲求は罪なのか?」
この空間をその存在でもって支配する少女はハメ組の一人一人の瞳の奥まで見透かすかのように視線を、そして言葉を投げかけていく
「違う。それは違うと私はここに断言する!」
己の心の見たくない部分を羅列させるにつれて
「何故ならばそれは強者も弱者も等しく持ち得る感情だからだ!ならばこの場において問う罪とは何か?それは・・・上を目指す事を諦めてしまう事だ。挑戦、向上心、一歩前へ踏み出す勇気。それら無くして人は生きる事は出来ても活きる事は出来ない」
ビアーは最後に残念そうにゆっくりと首を横に振る。それを見ていた者たちもその姿に
ゲームのシステムの穴を突いてコソコソ動き回るだけの今の自分たちは本当に上を向いているのかと。胸を張って前へと進んでいると云えるのかと
「キミ達は念能力者。世間では超人や天才と呼ばれる人種だ。しかしキミ達はそれが努力によって手に入る称号とよく知っている事だろう―――このゲームをプレイして己の力不足を味わい、正面からでは敵わぬと思ったのなら思い出して欲しい。たった2年。念の修行を始める前後の2年間でキミ達は何倍の力を手に入れた?生物として確実に一つ上のステージへと至った高揚感に思わず手を握りしめて不敵な笑みを浮かべた自己肯定感を、全能感を!キミ達はまだまだ味わえる立ち位置に居る!念の成長は習得した後も果てしなく続いて行くものだからだ!」
彼らは“ブルリ”と背筋から全身に掛けて抑えきれない震えが奔るのを感じた―――これは天才の戯言に対する怒りから来る震え?否。彼らにも身に覚えのあるこの沸き立つ高揚感は武者震いだ
どこまでも天高く昇ってゆけそうな、一切己の内にある可能性を疑う事のない
「キミ達は歯を食いしばってでも此処に立ち続けた!立ち止まりはしても決して諦めるという楽な道を選ばなかった。ならば後はかつて歩いた
ビアーが檄を飛ばす度にある者は口元引き締め、またある者は静かに固く拳を握る。彼らは本能で察したのだ。自分たちは強者になり得る道が目の前に広がる勝ち組なのだと
「―――仮にその時500億の報酬が無くなってしまっていようとも問題は無い。本来キミ達が手にしようとしていた一人頭数億ジェニー程度の金額はプロハンターになってライセンスを売るでも良し。天空闘技場で荒稼ぎするでも良し。簡単かつほぼ確実に手にする事が出来るモノに成り下がっているからだ」
最後に付け加えたかのように語られた言葉に聴き入っていた一同は軽い笑いを
ハメ組のメンバーに殴り合いを得意だと云える者は少ない。だが念も知らない一般人相手ならば鍛え直した自分たちが遅れを取る道理などない。そう考えれば自分たちの執着していたたかだか数億ジェニーの取り分など欲しいモノではあっても固執する程のモノだと如何して思えるだろうか?
ハメ組の一同の想いは今や一心同体だ
目の前の人を遥かに超越した存在感を放つ、不甲斐ない自分たちの心に芯をくれた新たに信ずるべき進路を示しし真たる神に
洞窟内にムンムンとした湿度の高い熱気が爆発する
ビアーを見つめる彼らの瞳はまるで夕日に向かって走り出すスポコン青春時代のような純真無垢さに満ちたキラキラとした輝きが灯っていた
そんな彼らの期待を一身に受けるビアーはその光景を見て一つ頷く
「やっば・・・・・やり過ぎた」
元凶となった
▽
あ゛あ゛ぁああああ~~~!コレどうしよう?ちょっと文句を言うついでに『発』声練習しただけなのに変な状況になってる
『発』声練習と云っても勿論固有能力とかじゃなくてちょっとオーラをこの空間に満たした上で感情を意識して強めに乗せて話しただけだ
更に言えば常にハメ組の人達の精神状態をオーラの流れや目線の動きに『
原作ではキメラアントの護衛軍の一人で参謀的な立ち位置に居たシャウアプフの『
脳みそフル回転で情報収集してたから正直自分が何言ってたかもあやふやだけど、正直大した事は言って無かったはず・・・なんだけどなぁ
思わず後ろの皆の方を向くとあからさまに目を背けられたり手を振って追い払うような仕草で返されたりした。やらかしたのは確かだけど、皆薄情だな!
「ほら、取り敢えず爆弾だけでも解除させてやりなさいな」
そんな中でビスケが未だ気絶して地面に横たわっていたゲンスルーを掴んでこっちに投げ渡してくれた。ああ、うん。忘れてない。忘れてないよ?
ハメ組の人達に
「どうしてこうなった?」
※自業自得
大体ここに居るメンバーが念使いとしてレベルが低すぎるのが悪いのよ。基本中の基本である『纏』すらしてない奴らが殆どって如何いう事?そりゃ私のオーラも初めてで加減が分からなかったからちょっと(?)強めだったかも知れないけどさ
私が悪い?私が悪いの?違うでしょ
「違う違う違う違う。私は何も悪くない。私は何も間違ってない。そう!間違っているのは私じゃない!
「大丈夫ビアー?思考回路が無惨な事になってるよ?あと何処かの皇子も混ざってる。せめて一貫性持たせよう?」
「レツぅううう~~」
なんとも情けない声が出てしまった。けど仕方ないじゃない。まさか操作してる訳でもないのに洗脳紛いの事が出来るとは思わなかったんだもの
「それで実際どうするの?まさか本当に弟子にして面倒を見る事なんて出来ないでしょう?いっそのこと全員気絶させて逃げる?」
ポンズ姉も冷めた提案してくれるけど、ゲーム内に居る以上は幾らでも
「じゃあカストロさんとかは?あの人のビアーへの信仰心っぷりなら同志となったこの人達も面倒見てくれるんじゃない?」
レツは今度はコイツ等が過熱しそうな提案をしてきた
でも確かに悪くはない考えかも知れないわね。最初に追っかけとかグッズ販売とかをしないように釘を刺しておけば彼なら全力で遂行するでしょうし、後はただ気にしなければそれだけでこっちへの害も実質ゼロになるしね
「じゃあ今からでも一度ゲーム外に出てカストロさんを呼び出して―――」
「お喚びとあらばこのカストロ。何時でも何処でも馳せ参じます」
「―――ああ、うん。そんな感じはしてた」
何時の間にか音もなく私の前に
「てかカストロさん。グリードアイランド持ってたの?」
それ以前のツッコミ所はこの際置いておくとして、武術バカの彼がゲームを持ってるイメージが湧かないんだけど、私と同じように殲滅したマフィアの押収品とかだったりするのかな?
「はて?グリードアイランドとは何なのでしょうか?」
「え・・・」
まさかとは思うけどコイツ・・・
「因みにこの場所にはどうやって来たの?」
「はい。何時でもビアー様の
「いやメモリの無駄ぁあああ!!?そんなもんに貴重なメモリ割いてんじゃないわよ!それと神託とやらも下してないって!それも『発』なの!?作ったの!??」
「いえ、神託に関しましては自然と聴こえただけでこれといって特別な能力は使っておりませんが?敢えて理屈を付けるなら信仰心の類かと」
「そっちの方が怖いわよ!!?」
無自覚に念を使ってるんでしょ?そうでなきゃ可笑しいって!!?
「それで此度はどういったご用向きでありますか?このカストロ。万難を排してでもビアー様のご期待に今度こそ応えて見せる所存であります」
聞いてるだけで何とも頭が痛いけれど、過程はどうあれ脳を焼かれたハメ組連中の監督役を任せようとしてた彼が来てくれたのには変わりないのでその旨を伝える事にする
「おお!こんなにも沢山の同志と見えようとは!・・・しかし成る程。確かにビアー様の信徒を名乗るには些か実力不足でありますな」
信徒って戦闘力必須な役柄だったっけ?てか信徒も臣下も弟子も認めてないんだけど
「畏まりました。未だ至らぬ身でありますが、先達として彼らを導いて御覧に入れましょう。多くの念能力者に
ホントこの人は修行と武術に対しては真面目なのに、なんでこんなに残念なんだろう?何処かで育て方間違えた?・・・基本放置だったのが悪かったかな?
「ちょっとちょっとビアー。誰なんだわさ、この甘いマスクの細マッチョイケメン!!?」
私が内心遠い目になってるとビスケが顔を近づけて来て鼻息荒く問い詰めてきた。甘いマスクとイケメンって意味が被ってるわよ。落ち着きなさいってば
「あ~、一応私が念を教えた人で今は天空闘技場のフロアマスターやってる人かな。あとついでにプロハンター」
ほら!ちゃんと答えたんだからちょっと離れてくれませんかねぇ!?
でもそっか。カストロさんは確かにビジュアル的にはビスケが好きそうなタイプではあるわね。流石に
ビスケが黄色い声を上げている中、実際これから如何するべきかと考えていると突然“バシュン!”と鋭い音が響いて筋肉質で糸目のスポーツマン的な人物が現れた
移動系
突如として現れた人物でかつかなりの実力者である事が纏っているオーラからも伝わって来るのでそれを察した皆は思わず身構える
そんな中でその男は周囲を見渡していた。ハメ組や私達の様子を見たり地形なども把握しているようで、最後に正面のカストロさんに向き直る
「これはまた大所帯だな。まさか不法侵入者の下にこれだけのプレイヤーが居るとは思わなかったよ―――さて、手早く済ませようか。俺はこのゲームの製作者の一人でレイザーと云う。キミが不正な手段で入島した者で間違いないかな?」
一見穏やかに話しかけているようだけど、彼の糸目の奥ではカストロさんの一挙手一投足まで注視してるみたいだ。彼もカストロさんの実力を肌で感じ取ってるんでしょうね
その上不法侵入者。警戒するのも無理はないか・・・まぁ杞憂なんだけど
問い掛けられたカストロさんもそもそも敵対する気は皆無なので自然体のまま正直に答える
「ゲームというのが如何いった意味で言っているのかは分からないが、入国の手続きなどは火急であった為にトバしてしまったな。ハンターライセンスは有るので近くにパソコンなどが使える施設は無いだろうか?遅れ馳せながらビザの代わりになるはずだ」
カストロさんのなんともズレた返事に質問したレイザーを含めてやり取りを見守っていた周囲の皆が気持ち的にズッコケそうになる―――ゴメンなさいレイザーさん。そこの残念イケメンはガチで状況理解してないだけなんです
「・・・いや、残念だがこの島はハンターライセンスでの入島は認められていないんだ。それとキミは如何いう経緯かゲームとは無関係に此処に来てしまったようだな。そういう相手にこのカードを使うのは少々気が引けるが、これもこの島のルールなんでね。恨まないでくれ」
彼がそう言って取り出したのは『
「ゲームマスターだけが使える特別
「ビアー様・・・」
カストロさんが説明を求めるようにこっちを見て来るので彼が跳ばされる前に簡潔に述べる事にする。流石に長々と説明するのを待ってくれるとも思えないしね
「後でQ(協会が独自に保有する電話局を使った秘匿通信網。暗号化などで情報漏洩には二重三重のセキュリティを設けている)に詳細(ゴンの家&ゲームに『練』など)送っておくから確認しておいて」
「承知致しました」
後でミトさんに長髪マントが向かうって連絡入れておかないとね。ゲームは私達8人でプレイしてるからもうこれ以上はセーブは出来ないけど、プレイ自体は出来るからね
実際セーブ無しでプレイするデメリットなんてクリア報酬の3枚の指定ポケットカードを自分のバインダーからは選べないとか、ゲーム外に出たらフリーポケット以外にも全てのカードデータが消え去るとか、あとは多分だけどゲーム内で出会ったプレイヤーや訪れた街のログも外に出たら消える程度の話でしかない
ゲームクリアを目的としてない上に長期滞在する気も無いならほぼ無視できるレベルのデメリットでしかない
「では行くぞ―――『
レイザーさんがカードを掲げて
・・・ついでに私も消え去った
▽
カストロとビアーの
「ちょっとゲームマスターさん!なんで不正には関係ないビアーまで一緒に跳ばしてるのさ!!?」
「いや、済まない。まさか彼女も跳ばされるとは思わなかった。如何やら彼女自身が
「思いっきりビアーの足引っ張っちゃってるじゃん、カストロさんのバカァアアアアア!!」
レツの叫びに合わせてゴン達もカストロの失態(そもそも不法侵入する方が悪い)に頭が痛そうにするのであった
一方その頃予想外に跳ばされたビアーはと云うと・・・
「両手を上げろ!侵入者め!」
「小娘が!王子のお命を狙う暗殺者か!?」
「王子!お下がりを!」
「モモゼ王子!!」
何処かの立派な洋館の中庭に備え付けの白い石造りの屋根付きテーブルで優雅にお茶をしていた女の子の対面の席に座る形で跳ばされていた
「・・・取り敢えず私にも紅茶を一杯頂けるかしら?」
周囲を取り囲むスーツ姿の男達に銃を突き付けられながらも彼女は余裕の笑みを崩さず、さも自分は正式に招待された客であるかのように振舞っていた
ビアー は こんらん している
ビアー は わけもわからず おちゃ を たのんだ
原作でもブループラネットが他チームのゲイン待ちとかゲンスルー戦の直前にゴレイヌが言ってたんですけど、何処で使うんですかね?仮にもSSカードなのに