毎日ひたすら纏と練   作:風馬

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『質』と『枠』

リースと別れたレツ達は数多の生物の特徴が歪にまろび出る護衛軍の猛攻に晒され続けていた

 

その中でも特に執拗に狙われているのはネテロ会長の連れてきたメンバーの1人で巨大な煙管(キセル)を武器としているモラウだ

 

彼の煙を自由自在に操る能力で巨大なドームを造り出し、内外の出入りを禁じている為にプフは遠くで戦う王の存在に気付いてもその下へと参じる事が出来ないでいた

 

(王!王!王!―――王が戦っておられると云うのに私は王の下へ辿り着く事も周囲を飛び回るこの羽虫共を排除する事もままならぬと云うのか!)

 

最早感情によるものなのか能力の副作用によるものなのかさえ判らない血涙を流しながらプフは身に余る殺意と破壊を振り撒いていく

 

「よっしゃ。やっぱコイツずっと煙のオッサン狙いだ。狙いが明確だから対処もし易いぜ。理性飛ばし過ぎ。将を射んと欲するのにマジ将しか見えてねぇ」

 

「だがこのままではモラウ氏の体力が先に尽きてしまう。それに幾ら注意が我々から逸れていても無造作に振るわれる一撃すらも致命傷になり得る。主導権を奪わなければジリ貧だ」

 

事実としてモラウの消耗は誰よりも激しい。常に最高速度を維持しながら逃げ回りつつプフを逃さない壁や煙による目隠しや分身を使ったサポートを並行しているのだ

 

同じくネテロにサポート要員として呼ばれたノヴは戦闘に置いてはヒットアンドアウェイでのゲリラ戦、長期戦でこそ真価を発揮するものである為に今回のような短期決戦の全力戦闘に向いている能力ではない

 

空間ごと敵の身体の一部を彼のマンション内に強制転移させる本来なら必殺級の技も有るには有るが、有効射程が短い事以上に分裂が出来る敵が相手では絶対安全空間にして万一の時の逃走経路でも有るマンション内が敵の出待ち空間へと変貌してしまう為に使いたくても使えない状態だ。今の彼は自身の系統である放出系の基本技である念弾による微々たるサポートしか行えていない

 

(このままではいけませんね。小さな隙も見逃さず奥の手を使う事が出来れば良いのですが、言うは易しとはよく言ったものです)

 

ノヴと同じ思いを持つ者は他にも居る。クラピカが言っていたように主導権を握られたままで立ち回れる程甘い状況ではないのだ

 

皆が皆、流れを変える逆転の一手を狙っているのである

 

だがこの場に居る全員が後先考えずに全力を出したら主導権を奪えたところで直ぐにガス欠となってしまい、時間稼ぎも満足に出来ずに全滅と云う愚にもつかない結果を招く

 

この場の全員の力を結集しても無敵モードのプフが粘り勝ちしてしまう。それ程までにプフの内包するエネルギーは莫大な物となっているのだ

 

「だったら足りない分は他所から盗ってくるしかねぇよなぁ!―――【神速(カンムル)】!!」

 

吠えたキルアは全身に雷を纏うとその技名に恥じぬ稲妻の如き速度でプフの懐へと潜り込むとプフも看過出来ない高電圧の打撃雷撃斬撃を雨あられと浴びせ、プフのカウンターの全てを意にも介さず回避しては反撃を叩き込んで戦場を紫電を(なび)かせながら駆け回っていく

 

神速(カンムル)】はキルアの体内に流れる電気信号をオーラの電気で代用し、あらかじめ記憶した電気信号を送り込み、考えるよりも早く動く極限の素早さを体現する技である

 

本来は電気信号の分の微弱な電力の消費で発現可能だが今のキルアはオーラと融合し、溜め込んだ電気エネルギーを惜しみなく攻撃にも転用してプフの気を逸らす

 

プフもダメージこそゼロに近いが同じく電気信号で身体を動かす生物である以上は大量の電撃は肉体の動きを阻害するのに十分な効果を持つのだ

 

(ビアーのオーラ絶対主義に付き合わされて充電出来る量は増えたけど、こんなバカスカ消費してたら2分も経てば電池切れになっちまう。あれだけ修行してカップ麺も作れねぇとか泣けてくるぜ)

 

そもそも原作のキルアを遥かに上回る雷撃を2分間も浴びて消し炭にならない相手がイレギュラー過ぎなのだと彼は自覚するべきであろう

 

そこから約2分。ワンサイドゲームを続けていたキルアの全身に(ほとばし)っていた雷電が唐突に終りを迎え、いきなり肉体の操作権を投げ返されたキルアの動きが一瞬鈍る

 

(ヤベ、もう全部使い切っちった。やっぱオレのオーラを直接変化させてる訳じゃねぇから充電の残りがどんくらいか判んねぇ)

 

「アハハハハハハハハ!愚かですねぇ!効かない攻撃をひたすら繰り返して貴方の切り札はもう底を突いたようだ!このまま我が腹の中に納まりなさい!!」

 

プフは巨木のような腕でキルアを掴みに掛かる。否、その手の平にはギザギザの歯を蟻地獄のように覗かせる口が形成されていた。あの口とも手とも呼べる部位に掴まればキルアと云えども即座にミキサーに掛けられた挽肉と同類になるだろう

 

「勿論そんな事はさせないよ」

 

キルアが1人で護衛軍の動きを止めていた間に周囲の者達が何もせずに見守っていただけなのか?答えは当然否である

 

レツが開いた五指を閉じると何時(いつ)の間にか周囲に張り巡らされていた念の糸が一気に収束し、護衛軍の全身に絡みつく。事前にマチの人形を『人形受胎(ドールキャッチャー)』させて強靭な糸を忍ばせていたのだ

 

当然レツ1人の膂力(りょりょく)では綱引きにもならないが、周囲の木々や岩果ては地中深くまで糸を通し、大地そのものを重しと化してしまえば流石のプフでも一歩踏み出すだけでも牛歩の如き鈍重さを強いられる

 

プフの一歩に合わせて繋がれた地盤がズレる事は有ったがレツとしてはその程度の現象はビアーがちょくちょく発生させているので驚いて念糸を掴む手を緩ませたりはしない

 

「この程度の拘束で私を止められはしない!しない!!しな痛ィ゙ィ゙ィ゙ィ゙〜〜ィ゙ィ゙〜〜!!!」

 

だが巨体であろうと分裂が出来るプフにとっては細い糸による雁字搦めなど幾らでも抜け出る隙間が有るのと変わらないヌルい束縛だ。しかし束縛は束縛。抜け出す為の一瞬の遅延は他の誰かの一手に繋がっていく

 

「滅殺のトリプルブレットォオオオ!!」

 

ミイラのようにグルグル巻きにされているプフの頭上からゴンの必殺技が咄嗟に上を見上げた彼の顔面に叩き込まれる

 

顔面から股下に向かって一直線に奔る破壊エネルギーはその途中でプフの身体が霧のように細分化する事で再びスカされる

 

だがゴンとてそんな事は先刻承知だ。故に彼は次なる一手を放つ

 

「弾けろ!!」

 

ゴンの言葉に合わせてプフに叩き込まれたオーラが純粋な衝撃波に『変化』して周囲の極小サイズの無数のプフ達をその存在ごとすり潰す

 

「―――ッ!!?」

 

頭部を分解していたプフは声量こそ人間の可聴域には届かなかったが、僅かながらも確かに己に届いたダメージに驚愕の声を張り上げる

 

ゴンの必殺技は三段階。始めに射程を短くする代わりに威力を上げた念弾を至近距離でぶつけ、間髪入れずに拳を重ねる事で120%の威力の原作ジャンケン・グー(溜め攻撃)を多段ヒットさせ、最後に相手に捩じ込んだオーラが射程問題で消滅する前に衝撃波に変化させて籠められたオーラを余す所無く破壊力に変換する三段ヒット技だ

 

如何にプフが体質として状態異常が効かなくともそれ以上の分裂が限られた中で破壊の奔流に晒されれば物理的に消滅する

 

莫大なオーラによる防御も同じく細分化されてしまえば形無しだ。無論今の肥大化したプフの肉体からしてみれば削れた量は決して多く無い。しかしゴンの攻撃が通った瞬間にこの戦いは一方的な狩りでは無くなってしまったのだ

 

「っしゃ!どうやらゴンのパンチなら無敵貫通してダメージを与えられるみたいだな。行けゴン!殺せぇ!そのまま殴り殺すのだ〜!!」

 

レオリオは腕をブンブン廻してチンパンジーのように甲高い鳴き声で応援を送る。まるで動物園のチンパンジーコーナーの風景のようだ

 

「医者志望の吐く台詞ではないな。戦闘中だからとて品位を棄てるものではない。人間性すら疑われるぞ」

 

「そんな生真面目なクラピカ君はあちらをご覧あれ。アイツの背中の方からワシャワシャ生えてるアレは蜘蛛の脚だよな?」

 

レオリオの指摘した節の有る細長いパーツは丁度その脚先から蜘蛛の糸を振り撒いている所であった。蜘蛛は普通脚から糸を出さない?キメラ相手に細かい事は気にしたら負けである

 

「―――今すぐ貴様のその穢らわしいパーツを千切り取って磨り潰して豚の餌にしてくれるわ外来種の害虫が!」

 

品位?品性?まどろっこしい。虫退治にそんなもの要るか!

 

クラピカは此処に理性の鎖を引き千切って一匹の獣と化す!―――いや鎖使いが鎖千切るな

 

「分かった分かった、悪かったよ・・・って、何で俺が謝らにゃぁいかんのだ」

 

「コントはその辺にしておけ。どうやら奴は霧化したところに物理範囲攻撃を叩き込む事で削れるらしい。攻撃する時は同じ箇所に連撃を入れる事を意識しろ」

 

カイトは幾つか切り替えていた武器の中で今出していた棒状の武器を消し去り再びスロットを廻す。3番で呼び出せる伸縮自在のロッドは便利だが攻撃範囲が線状で今のプフ相手に有効的な武器とは言い難かったのだ

 

『ダハハハハハハ!これはコイツ相手には違ったか?お次は望みの目が出ると良いなぁ!ドゥルルルルル!―――2!』

 

「―――あ」

 

スロットが止まり、カイトの手に呼び出された大鎌は確かに攻撃力は高そうだった。霧化した相手に効果は望めないが前提となる霧化までは系統から外れた銃やテクニカルな戦闘に効果を発揮しそうなロッドよりは良さそうに思える

 

事実として攻撃力と云う一点で語るならカイトの武器の中でも最上位だ

 

「お前達!オレが合図したら上に翔べ!」

 

「はぁ!?出来る訳ねぇだろ。全員揃ってんな隙晒せば一網打尽にされるわ!!」

 

「コイツはオレを中心に周囲を無差別にぶった斬ってミステリーサークル作るしか出来ねぇんだよ!一度は使わないと消せねぇし―――クソ!鬱陶(うっとう)しい能力だぜ」

 

((((((((なら何故そんな能力に・・・))))))))

 

全員の心が1つとなり結局カイトは遠く離れた場所で仲間の迷惑にならないように技の無駄打ちをする羽目になったのであった

 

カイト、一時戦線離脱

 

 

 

私は今、原作ではメルエムと名付けられたキメラアントの王との戦いでかつて無いレベルで技量の習熟を感じている

 

天空闘技場で半ば戯れで身に着けた数多の武術が目の前の1秒、そのまた次の1秒を生き延びる為の引き出しとして明示され、呼吸のように自然に自分の技術として使い熟し、戦闘力を引き上げ続けていく

 

勿論これは悪い事ではないし、なんなら諸手(もろて)を上げて歓迎するけど、これだけじゃコイツ相手に勝つ未来が視えない。具体的にはパワーが足りない

 

相手の攻撃は回避するか回避に重点を置く受け流しが精々で打撃はほぼ無効。関節技をキメようにも私の筋力じゃコイツが抑え込んだはずの腕1本、脚1本に雑に力を込めるだけで技を解かれるから当然折ろうとしても間に合わない。てか多分頑張っても小指くらいしか折れない

 

そんなの違う!そんなのは私の求めてる強さ(パワー)じゃない!

 

別に弱い者イジメしたい訳じゃない。ただあらゆる理不尽を鼻歌交じりに跳ね除けられる強さが欲しいのよ。今みたいに極限のテクニックを要求されている時点で条件を満たせてない

 

そんな技術面はまだしも肝心のパワー面でまごついてる私を嘲笑うかのように会長もカストロもどんどんと纏うオーラの力強さが増してる

 

私と会長じゃ超高精度の『流』を加味しても私の方が一撃の破壊力は上だったのにこのままだと追いつかれるどころか追い抜かれる

 

カストロも召喚の度に跳ねの良い踏み台として反発力(堅さ)が増してるし、私と彼等で何が違う?

 

オーラの総量が増えている訳じゃない。細かい事を云えば増えてるかもだけど一息つく間もなくオーラを消費している現状では目に見える程の変化には結び付かない。第一それで顕在オーラ量が増えているなら2人だけじゃなくて私も増えてないと可笑しい

 

量でないなら次に考え付くのは―――

 

「―――質?」

 

ここで云う質とは強化率の事。私の【一念発氣(いちねんほっき)】は自身の得意系統の強化率を引き上げる技だけどこの『強化率の引き上げ』は大小差はあれど皆やっている基礎の基礎だ

 

オーラに想いを籠めて力強さに補正を掛ける。例として上げるなら原作ゴンが1ヶ月間の強制『絶』を受けていた間に煮詰めていたピトーに向けた最終的に怒髪天を衝く(物理)な感情補正とかネテロ会長の祈りのポーズ超速強化とかその辺が分かり易いでしょう

 

燃える方の四大行の『点』で自身のオーラに強靭な想いを蓄積させればさせる程に強化率の補正に磨きが掛かる

 

勿論凡百の念能力者が5年10年と念(オーラ)に念(意志)を籠めたところで制約と誓約で得られる程の爆発的な効果は見込めないと思う。ましてやこの戦闘中にジリジリとながら判るレベルでオーラに補正が掛かるなんて私達の命綱である戦闘技術の刷新よりもあり得ない

 

でもこの2人は『祈り(点)』におけるスペシャリスト

 

ネテロ会長は以前の模擬戦の時より更に早い速度で祈り(オーラ)を時間を短縮して(掛けて)ジックリと練り上げてるし、カストロは、まぁ、カストロだし

 

【百式観音】一発打つのが副次効果で修行と結び付くネテロ会長と私に踏まれてるだけでそれに追い縋るカストロぇ・・・

 

ネテロ会長以外に一部変なノイズが混じってるけど、ともあれ2人のオーラの力強さが現在進行系で増している要因は『点』(それ)だと思う

 

「あ゛ぐっ!!?」

 

考え事に気を廻し過ぎて回避が遅れた!

 

王の拳が私の身体のド真ん中に突き刺さって猛烈な勢いで地上に激突する

 

「くっ!―――かはっ!」

 

今ので肋骨何本か逝ったわね。完全で無いにしろ身を引いて威力は殺したのに一撃でコレとか笑えない事この上ない!!

 

「ビアー様!」

 

「集中切らすなボケ!」

 

カストロの切羽詰まった声とネテロ会長の叱責が耳を打つ

 

「うっさい・・・わね。あれこれ悩むのは若者の特権なのよ」

 

口端から溢れるやや粘着性のある血と唾液のブレンド液を袖口で拭いながら立ち上がる。全く、吐血してる相手に無駄にツッコミさせてんじゃないわよ

 

※逆ギレ

 

毒づいたその瞬間に王の背後より拡がる二対の羽根が大きく羽ばたき私に突進して来る

 

【百式観音・壱乃手!!】

 

しかし加速が乗り切らなかった王にタッチの差で【百式観音】の叩き落としチョップが届いて地上に激突しそうになったけど、脚が地に着くすんでの所で無理矢理羽ばたきを足して回避した

 

なに今の挙動?普通に着地してたらそのまま反撃に移れて今頃私の目の前に王の拳もあったでしょうに

 

もしかして私達のようなエサに高貴な自分が落とされるのは即ち『貶される』と同義だからプライドが赦さないって事?

 

「おのれ!余を(ひざまず)かせようとは!!」

 

その台詞(セリフ)マジか。一丁前に英雄王ばりの自尊心発揮してんじゃないわよ!

 

「ビアー様!ご無事ですか?」

 

王が憤ってる間にカストロが私の斜め前に舞い降りた。私の視界を遮らず、いざとなれば王からの攻撃の盾となれるようにその背中を見せている

 

ヒラヒラと舞うマントと羽根が実に鬱陶(うっとう)しい

 

「いやいやいやいや、何時ツッコむべきか迷ったけどその翼はなに!?」

 

さっきのネテロ会長の【百式観音】が間に合ったのもアンタが自力で飛んで王の尻尾の先端をギリギリ掴んで妨害したからだったわよね。だって王の翼は一対なんだもの。重なって二対の翼に見えてたんでしょ

 

カストロの背中に生えているのは王の持つ肉体を変化させている生体的な翼じゃなくてオーラを直接翼の形状にしたような感じね。間違いなく変化系の『発』だ。何時の間にそんなの開発したの?

 

「私はビアー様のお役に立てるならば羽根程度ダース単位で生やしてご覧に入れましょう。今の私は正に為虎傅翼(いこふよく)!(※鬼に金棒の類似語)―――ビアー様の使徒としてこの『発』(つばさ)は【虎に翼(タイガー・ウィング)】と名付け、私自身も【ビアー様の使徒虎(エンジェル・タイガー)】の二つ名を名乗っていく所存」

 

いやそれ答えになってないから!12枚の羽根が生えたらルシファーやミカエルみたいな天使長クラスじゃない。気軽に人の『枠』を放り出して勝手に私の右席(となり)に座んな!なにより虎虎連呼しながらマジに動物並にIQ下がってるそのクソダサネーミング聞いてるだけで恥ずかしいわ!

 

「無様だな。弱者(配下)に気を使われるようでは器も知れると云うもの。何より底を晒した貴様はほとほと退屈な存在よ」

 

ほほ〜?随分と態度でも物理でも上から目線に見下してくれるじゃない

 

「一体何時誰が底を晒したって?節穴なのかな?どれだけ人間を取り込んだところで蟻ん子の目玉じゃ解像度足りてないんじゃない?」

 

「見苦しい虚勢は止めよ。それが判らぬ程の凡愚ではあるまい。貴様の才は行き詰まっている。凡夫はそれを指して限界と呼び、底と表し、器と解するのだ」

 

限界ね。確かに私は今限界を感じている。でもそれは正確じゃない。より正確には前々から成長が止まっていた

 

勿論身体の成長や筋トレにオーラ量増加の鍛錬では問題無かったから気にもしてなかったけど、強化率においては頭打ち状態だった

 

強化系以外の他系統全てと基本応用技の一部を棄て去る事で強化系の強化率を爆上げする【一念発氣(いちねんほっき)】で今もなおオーラに補正を掛け続けているネテロ会長達と比べても強化率では追いつかれてはいない

 

追いつかれてはいないけど現状距離は縮まる一方なのも事実なのよね

 

オーラに補正が乗らない=私がこの能力を信じていない?

 

「あり得ないわね」

 

そう、あり得ない。原作知識が込みで前世の記憶なんて反則(もの)を持って生まれた私が考えた最強の能力を疑った事なんて無い!

 

 

ぼくの かんがえた さいきょうの のうりょく〜!(小並感)

 

 

ん?なんか変なノイズが一瞬流れたわね。まぁ気にする程の事じゃないでしょう

 

合間の語りは終わりとばかりに再び高速で突っ込んできた王を連続踏み台(カストロード)(かわ)

 

足場の堅さだけでなく翼の揚力だか浮力だかでより踏み易くなってるわね。これで今までよりも更に機動力を上げられる

 

「―――でも違う」

 

飛翔する王の指先が私の背中に届く刹那に私の正面に居たネテロ会長の【百式観音】の水平チョップが私と王を同時に叩くけど、私に当たる部分のオーラは最小にして逆に王に当たる部分は『硬』に近いオーラを込める

 

その攻防力の差やネテロ会長ならそうするだろうと云う信頼(イメージ)の差が会長の攻撃を受け流しつつもその勢いを利用して背後の王を足蹴にする私と蹴り飛ばされる王と云う結果に結び付く

 

技量の上達と連携の強化は着実に私達の次の一瞬の生存権確保に繋がっていく

 

「―――それでも違う。私が真に求めているのは圧倒的なパワーであってテクニックじゃないのよ。添え物のテクニックがメイン張ってどうするの!」

 

そもそもこのままテクニックを伸ばしていったところで王に届く牙にはなり得ない。何事もパワーが無ければ始まらないのよ

 

でも実際に他系統の強化率を合算した私の【一念発氣(いちねんほっき)】の・・・ん?

 

「何か見落としてる?」

 

違和感。そう、何か今大事な所をスルーしてしまった感覚が有る

 

強化率・・・合算・・・380%?

 

瞬間、私の口の端から笑みが溢れるのを感じ、今までよりも更に一歩王の間合いに踏み込む

 

「ひらっめいったぁあああ!!」

 

先程までの私なら命を懸けた、いえ、命を棄てる代わりに放つ通常パンチ。リスクとリターンが釣り合ってないどころの話じゃない選択肢だった。当然、王の神速のカウンターが私の身体を穿つ

 

「―――かふっ!痛い・・・けど、どうかしら?アンタの腹パンで私のスベスベお腹に風穴空いてないわよ」

 

また口から血が垂れてるし、なんだったら腹パンを左手で受け止めてガードもしてる上だからちょっと格好悪いけど、代わりに王の顔面に入れた私のパンチもほんの僅かだけど王の鼻っ柱を青く染めた。青い血が流れてるキメラアントだから赤くはならないのね。でもそれは絶対の王相手に一撃でダメージが通った何よりの証(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「貴様っ!!」

 

王の尻尾が私に襲い掛かるのを殴った右手を引き戻して防御に充てがう

 

先程の王の腹パンとは怒りを乗せた渾身である分、受ければ粉砕骨折は免れないと悟る

 

「―――を棄てる」

 

私の宣言と同時に凄まじい衝撃が右腕を襲い腕の骨から甲高い嫌な音が鳴り響く

 

「ビアー様!」

 

吹っ飛ぶ私をカストロが空中キャッチして慣性を殺す為に必死に羽ばたいて姿勢制御に成功する

 

天使なカストロの腕の中とか言語化し難い不快感があるけど地面に突っ込むよりはマシと思うしかないわね

 

防御した右腕に視線を落とすと紫色に変色して膨れ上がっているけど拳は握れるわね。罅は入ってるけどギリギリ折れては無いかな?逆に左は腕は無事だけど受け止めた手の平の挙動がまだバグってるのか上手く手を開閉出来ない。まぁ一時的なものでしょう

 

「問題無いわ。たかがライトアームとレフトアームがやられただけよ」

 

「不敵!流石はビアー様で御座います!」

 

「両腕逝ってんじゃねぇか!肉弾戦主体ならメインアームはもちっと大事にせい!―――ふん。じゃが何かは掴んだようじゃな」

 

「男子も女子も3日会わざれば刮目して見よってね。もっとも私なら3秒で十分だけど」

 

「慣用句も捻じ伏せる迅速さ。流石はビアー様で御座います!!」

 

「アホ吐かせ。(戦い始めてから壁を破るのに)3分はもう過ぎてるわい。今時の若者はカップ麺もまともに作れんのか」

 

「100歳超えのお爺ちゃんにはバリ硬もましてや超硬麺(ハリガネ)なんか消化しきれないでしょ。心遣いよ、心遣い」

 

「慈母の如き介護精神。流石はビアー様で御座います!!!」

 

「「うっさいわ!!」」

 

さっきから一々私への称賛を台詞の間に挟み込んで来るの普通にウザいわよ!

 

さて、私が何をやったのかだけど勘違いを正しただけなのよね。他系統の強化率、修得率をゼロにして強化系を380%の力で扱う・・・なら応用技の一部(『凝』、『隠』等)の封印の制約や命懸けの誓約のブースト分は何処にいったのか?

 

『フハハハハッ!!私の強化率は380%だ!』

 

思い出すのは幼き在りし日の記憶。念能力は術者の思念に大きく影響を受ける性質が有る事を思えば私は今まで自身の能力に思い込みと云う名の制限を掛けてしまっていた訳だ

 

制限を掛ける代わりに他の何かしらの能力の項目を底上げする制約とは違って本当にただ能力に蓋をしてしまっていた状態。そこに気付いたならその(リミッター)を外してやれば一段上のステージへと足を踏み入れる事が出来るって寸法ね。『質』と云う名の『枠』を超越した私はもう止まれないわよ

 

「まっ、それでもいきなり強化率1000%で「10倍界王拳!!」みたいにはならなかったけど、400%は超えたわね。ダメ押しで将来特質系に変わる可能性も棄てたから数%の足しにはなったっぽいし良かったわ。あれが無かったら絶対腕折れてた感触だったし」

 

強化系だろうと低確率で後天的に特質系になる訳だし、暗黒大陸の寿命UPアイテムであるニトロ米を将来食べて数百年程度は生きてみるなら『棄てる /可能性』に十分含めて良い選択肢だと思った(・・・)のよね

 

お陰でさっきまでは幼児VS鎧を着たボブ=◯ップだったのが今は中学生VSボ◯=サップ(鎧有り)くらいの戦力差にはなったんじゃない?―――全く相手は生後0歳0ヶ月0.01日くらいだってのにホントこの世界は才能の差ってのがエグいわね

 

毎日ひたすら『纏』と『練』を極め続けてきた私自身に感謝ね。私みたいな小娘が暗黒大陸の危険生物と正面から殴り合えるんだからやはり私の歩んで来た道に間違いは無かったんだってより強く実感出来る

 

「確かに先程までより堅くなったな。だがよもやそれで余と対等になったなどと思い上がってはおるまいな」

 

「「「ーーーっ!!?」」」

 

平坦な声とは裏腹に鉛のような重圧を伴うオーラが空間を軋ませ、私達の全身に降り掛かる。これは、王のオーラが増大してる!?

 

「小さな苛立ちも積み重ねれば怒りへと昇華もしよう。ここより先は喰う事よりも殺す事を優先する。せめて四肢の1本程度は残してみせよ、雑兵共!!」

 

あ、ヤバい。ブチ切れちゃったみたい

 

王が台詞の最後に感情を表すのと同時に王の片腕がボコボコと隆起して太めの生体バズーカみたいな形に変形した。アレって原作ユピーの怒りを破壊エネルギーに変換する能力よね!原作の試し撃ちと違って怒りフルチャージの一撃だし、あんなの喰らったらマジで消し炭になっちゃうわよ!

 

「ネテロ会長!一旦離れtーーー!!」

 

「無差別格闘流奥義!敵前大逆走ーーおおーーぉおおお!!」

 

「待てごらジジイーーイイーーィ゙イイ!!」

 

つい口が悪くなっちゃう位にもう豆粒なんですけどあの爺さん!?老獪(ろうかい)にも程があるわよ。てかアンタの流派は心源流でしょうが!

 

「ビアー様!」

 

カストロが必死に手を伸ばして来る中、無慈悲に放たれた王の怒りを籠めた念弾が炸裂して隕石の衝突の如き破壊が撒き散らされる

 

 

 

その日その時、東ゴルドーが確かに揺れた

 




サブタイの『質』は強化率380%で『枠』は思い込みリミッターでしたね
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総合評価:35687/評価:8.61/完結:37話/更新日時:2019年09月20日(金) 22:31 小説情報

ハンター協会の美食料理人(作者:火取閃光)(原作:HUNTER×HUNTER)

美食ハンターとか言う凄く面白い設定があったのに、序盤しか活躍しなかったのでオリジナルキャラを作り2次創作を書いてみました。▼気分転換に書き溜めたプロットを形にしてみました。温かく見守って頂ければ幸いです。▼2026/02/24 19:05頃▼日間ランキング177位を記録! ご愛好ありがとうございます!▼2026/02/26 23:39頃▼日間ランキング58位…


総合評価:4515/評価:7.46/連載:33話/更新日時:2026年04月26日(日) 00:30 小説情報


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