人間界で産まれた暗黒大陸由来のキメラアント。その
そんな只人では触れることは愚かその目にする事さえ叶わぬ超常存在を前にビアーとリースが互いのオーラを触れ合わせる
「「『周』に『周』を足す事で今の私達は実質全身『硬』状態。そっちが100%中の100%ならこっちも攻防力100%中の100%でいくわよ」」
瞬間。ビアーとリース双方のオーラが足し合わされたように爆発する
対象に己のオーラを纏わせる『周』は本来であれば一方通行で2人が互いを同時に強化しようとしても互いのオーラが邪魔し合って上手くいかないものだ。だが【神の人形師】によって造られ、
お互いをお互いが周りから包み込む矛盾が成立するのだ
同時に王に突撃したビアーとリースは触れ合う程の距離でありながらお互いの動きを邪魔する事なく、それどころか時に利用しあって王へとラッシュを見舞う
「ぐううう!!」
ただ手数が増えただけではなく
リースは最初に奇襲を仕掛けた時に片腕を落とされてしまったがその後ビアー達の戦闘を観察し、ビアーの強化率上昇をそのまま真似した事で今や王の前に立ち塞がる敵として
ゼロ距離で密着しながら攻防の役割を次々と切り替えて王に痛打を叩き込む二人の動きは一種の社交ダンスのようだ。お互いの動きの癖も思考の癖も理解している二人は異体同心と呼んで差し支えないだろう
「おっと、儂もダンスは最近練習した覚えが有ってのぉ。混ぜて貰おうか」
ネテロは愛する部下と共に(主に反抗した
この爺ぃ最低(今更)である
「なんでもあの踊りはブレイクダンスっちゅうらしいでの。先ずはこの小指からブレイクじゃ」
リースの蹴りとビアーの肘打ちが同時にヒットして後ろに流れて来た王の指を1本だけ掴んだネテロはさながらブレイクダンスのような全身を使った激しい動きで捻りを加え、全体重、全筋力、全オーラ操作を駆使して王の指1本をへし折ったのだ
本来ならばそれ程大きな隙を晒せば指を折る前に王がネテロを切り裂いていただろうが、お互いを強化し合ったビアーとリースの猛攻がネテロの無茶を可能なものとした
仮にリースがお手頃人形サイズでビアーに『周』をするだけのブースト装置に徹していたら王の動きを止めるだけの手数が足りず、ネテロは今も【百式観音】でのチマチマとした攻撃を続けていた事だろう
たかが指1本、されど指1本。通常の蟻ならばまだしも人間を数多く取り込み産まれた王にとって指の有無は小手先の器用さに直結する。複数在る鉤爪で獲物を引っ掛ければ良いだけの女王とは指の重要度が違うのだ
「ほれ、もう1本」
ネテロは続けて折った指の隣の指を掴み力を籠めんとする
「ほざくな。これ以上貴様なぞにくれてやる指など爪先程も無いわ」
背筋に悪寒の奔ったネテロは考える間もなく掴んでいた指を放した。王が指先に『凝』をした上でネテロの指ごと手を握ろうとしたのだ
「っと危ねえ。へし折るどころかこっちの指が無くなるところじゃったわい。なら次こそ折ってやるかの」
ネテロは性懲りもなく再び王の指を掴みに掛かり捻りを加える。無論ビアーとリースの猛攻を受けていても同じ手が通じる相手では無い事は百も承知だ
(祈りとは、心の所作。そして儂の【百式観音】という能力そのものが祈りの産物。ならば『型』なんて動作に一々縛られる必要はねぇ!)
ネテロは王の指を捻るのとは逆回転に力が掛かるように王に【百式観音】のチョップを振り抜いたのだ
「はっ!これで二本目も逝ったの」
ネテロは体術を繰り出しつつ祈りの動作すらも必要とせずに【百式観音】を発動させてみせた
これはネテロが祈ってない訳でも『型』をなぞってない訳でもない。その全てを心の中で完結させているだけなので別に発動速度が早まったりはしていない
ただ体術と【百式観音】を真の意味で融合させただけである
王の身体にビアーとリースの体術に加えてネテロの体術と【百式観音】が絶え間なく襲い掛かる
カストロ?彼は相変わらずビアー(とリース)の体術の補助(踏み台)として活躍しており、ルルはリースに離れ際にパピヨンマスクを顔に掛けられてヒラヒラと蝶のように舞い、王に一睨みされる度にフラフラと蝶のように舞い逃げるのを繰り返している。元々愛玩・生産用であろう念獣のルルは強大な『周』の補助無しにはビアー達の戦闘速度には付いて行けないのだ
「消えよ」
突如、王の砲撃がノータイムで尻尾の尖端から発射された
王の怒りを糧とした念の砲撃は今まで発射前に腕が変形していた。だが今回の砲撃は既に存在している発射口を使用した為に前兆を捉えるのが難しかったのだ
「メヘェ!!?」
狙われたのは
念の爆発に呑み込まれたルルはヘンテコマスクと共に跡形も無く完全消滅した
「「パピヨンマスクゥウウウ!!?」」
「いやそこは羊の心配じゃないんかい」
ルルの本体の【
ネテロの
「ルルの
「私達が
取って付けた様な台詞の上に勝手に死んだ事にされたルルは【
▽
ルル(とマスク)が原子の塵すら残さずに消滅してから私達の死闘は激しさを更に増していった
意識を強制誘導するマスクが無くなった事で王の立ち回りが激しさを増したが、それは私達にも云える事
マスク装備のルルが王の視界に入る様に可能な限り動いてくれてはいたけれどマスクの効果を受けない様に気を配らなければならなかったのは私達も一緒だ
無論リターンの方が大きかったからマスク作戦は続行させたけど私達の動きも多少は制限されていたのも事実
王も私達もそれが無くなった以上、好き放題動けるようになったのよね。それでもその間に確かに刻んだダメージが王の動きから精細さを削ぎ落とす
ダメージの痛みで動きが鈍る事は無くても骨が折れたり腱が切れたりすれば万全の状態と同じ動きが出来なくなるのは道理だ。痛みを無視するだけでは補えないものがある
それにしてもネテロ会長が覚醒するのは予想外だったわね。今も彼は直接格闘しつつ祈りの動作を省略して観音の攻撃を連打してるから傍目には観音がマニュアル操作から
実際にはマニュアルにマニュアルを足してるだけでゲームのコントローラーを1人で2つ同時に操作するような曲芸だ
もっとも素手と観音じゃリーチもサイズも破壊の方向性も違うから組み合わせられる型に制限は有るでしょうけど、元々無数の選択肢が有って近付けないところに接近すれば更に追加で選択肢が増える感じね・・・うん。クソゲーだわ
私?私とリースは普通に殴る蹴るをしているだけよ。お互いにブースト『周』を掛けて今や原作怒髪天を衝くゴンさんの
王だってピトーの顔面を一発で凸から凹に整形させられる私達の攻撃を防いでるけど、やってる事は身体強化と念弾だけだしね。スタンド使いの真似事してる会長がやっぱり一番変なのよ
「奮起せよカストロ!ビアー様方の踏み台と云う大役を完璧に熟しつつも私は更にお役に立つ!立って魅せねばビアー様第一の使徒として、【
「サマージャンボとか後ろに『宝くじ』って付きそうな技名
「承知!」
ビアーは丁度いい位置に現れたカストロの足首を掴むとそのままぶん回して王へと殴り付ける。ちゃっかりヒットの瞬間に「
「殴る」と言ったから爪や牙を
当然カストロには私とリースの合体『周』のオーラが乗ってるから無駄に良い威力が出たのもムカつくポイントね。攻撃が当たった箇所は一発で青黒く変色している
私とリースのお互いの動きを完全に把握しているが故のお互いの動きを阻害しない密着型体術と違って味方をそのまま武器とする攻撃は初出しだから王も『流』で防御に回すオーラ量を見誤ったわね。驚いた?私も予想外よ!
でもこの長物・・・カストロングソードを要所要所で使っていけば王へのダメージは更に加速して遠くない未来に王を倒す事が―――
「
え?
「
え?何が?まさか叩かれ過ぎてドMにでも目覚めちゃった?―――嫌よ、Hanter x Hanterのラスボス(?)がマゾな王様になるなんて
「はっ!前屈みになってどうした小僧?叩かれて興奮して固くなっちまったか?」
別に内股で前屈みになってる訳でも無いでしょ、このセクハラ爺。声に出した瞬間セクハラがこっちにも飛んで来るから黙っておくけどね!
「怒りも、苛立ちも全ては貴様らが居るからだと思っておった。だが今、なによりも
王が自分の怒りの根底に在るものを自覚した瞬間、私の前には『死』の壁が迫っていた。念弾の爆発じゃない。王自身が爆弾で爆心地だ
「しまっ!?全方位!!」
王がユピーの怒りの能力を取り込んでいる時点で原作ユピーの使ってた自分自身を中心に無差別に破壊を撒き散らす技も使えると見るべきだった。いえ、あの技は予備動作が大きいから使われても問題無いと無意識下で切り捨ててた
判る!この爆発の規模だとカストロの連続ワープでもワープとワープのタイムラグの間に破壊の奔流に呑み込まれる!!
そうして刹那にも満たない時間の後、私達は目の前がまっしろになった
▽
「・・・う・・・くぅぅ・・・あ」
王の
(意識が途切れたのは一瞬ね。爆発の中で気を失って地面に落ちた衝撃で目が覚めたってところかしら。でないと今頃は
ビアーは立ち上がると瞬間的に『円』を拡げてリース、ネテロ、カストロの生存を確認する
(生きてるけど全員虫の息ね。そのまま死ぬんじゃないわよ。こっちには借りが有るんだから)
王が自爆したその瞬間。彼等は生き残る事よりもこの戦いに勝つ事を優先する為にビアーの盾となったのだ
ビアーに抱きつく形でリースが、その二人を背に羽根を広げたカストロが、更にビアー達を観音の慈愛の
なお一番前に居たカストロはビアーとリースの『周』の補助で。ネテロはオーラの防御こそほぼ無くなったものの立ち位置的にはビアーの更に後ろに居た為に致命傷で済んでいる
リースはカストロの守りが剥がされた瞬間に『
「動けるのは貴様だけか。つくづく生き汚い事よ。よもや貴様1人動けたところで余に万が一にでも勝てると思い上がってはおるまいな?」
「愚問ね。アンタこそさっきの一撃はだいぶ無理したみたいじゃない。特大の爆発に
ビアーの言う通り
両者共に満身創痍。しかし状況はビアーの方が悪かった
王とビアーでは王の方がダメージを負っているが王にはキメラアントとしての異常な生命力が有り、加えてビアーは倒れているリース達を気に掛けながら戦う必要がある
(それでも、やるしかないわね)
踏み込みの
念を習って1年程とは云えパワータイプの原作主人公のゴンが蟻編で潜在オーラの1割も
400%を超える強化率と合わさればビアーの顕在オーラは実質的に潜在オーラ量をすら上回ると云う人としての限界を超えた領域に片足を踏み入れているのだ
ビスケのマッサージを乱用した超高密度の修行と王との戦いの中での急成長も相まってビアーの潜在オーラ量は約77万オーラ。すなわち顕在オーラ換算で125%・・・否、130%に届くビアーの実質的な顕在オーラは遂に100万の大台に乗ったのだ
原作でオーラ量を数値化していたモラウの弟子の
その破格の一撃を王はただ普通に受け止めた
「威力は確かに増している。だが貴様だけでは所詮この程度よ」
ビアー単体の力が
衝撃は有る。傷付いた身体で受け止める事に痛みが無い訳でも無い。だがビアー以外が脱落した今、脅威でもないのだ
逆にビアーは王が反撃で放った拳を避け、受け流し、横合いから飛んできた尻尾を
それでも構うものかとばかりにビアーは王へ突貫しては致命傷だけは何とか受けないようにしつつ攻防を積み重ねていく。しかし格上の敵を前にお互いに小細工抜きの殴り合いをしていれば順当により強い方が相手にダメージを与えていく
ビアーは王の
吹き飛ぶ途中で絶妙な力加減で地面をタッチする事で体勢を整えて着地するが痺れた三半規管が視界も揺らし、
(血が目に入った訳でもないのに視界が半分赤い。ダメージの回復の
「成程。ただ必死に戦っている様に見せてその実、あの死にかけ共の居る場所から遠ざかっている訳か。余の気を惹く為に多少無理にでも攻撃を重ねる。愚行極まるな。余を
「ひょっとして私に足りないのは危機感とでも言うつもりかしら?
「たわけ。王とは唯一にして絶対の存在。どれだけ見捨てたところで余に
王は薄ら笑いを浮かべるとこれ見よがしに念弾を造り出しリース達が倒れている方向へ発射した
「―――っ!性格悪いわね!!」
少し軌道をズラした程度では念弾が着弾した時の余波で皆が巻き込まれると判断したビアーは瞬時に追い付いた念弾に瞬間的に『
「貴様は頭が悪いようだな。使えぬ仲間など見捨てて余に向かって来ておれば一撃くらいは入れられたものを―――余に背を
今度は連続で王の念弾が発射され、その全てをビアーは弾き飛ばしていく
(くっ!怒りを籠めた念弾じゃないから弾けるけど『
いくら悪態を
だがこのままでは王が雑に念弾をリース達の倒れている場所に向かって放ち続けるだけでビアーが力尽き、勝敗が決定的なものとなってしまう。それがこの戦場における共通認識だ
だからこそ彼らが動くべきと判断したのはこの瞬間であった
「うおおおオラアアアアアアアアあ!!
気合を入れつつかなり遠くから派手に念の
仮に王が無防備にその攻撃を受けたとしても問題にもならない攻撃だと瞬時に理解したからだ
「十分過ぎる働きだぜ、レオリオ」
絶対の王に
キルアの【
「オレのスケボー。ライフルよりも速いぜ」
その距離という概念を一瞬で埋めたのはキルアが具現化系の『発』で創り出したスケートボードだ。某頭脳は大人な小学生探偵のアレを思い浮かべたら大体合っているが、その性能は桁違いだ
具現化系としてこのスケボーに付与された特殊能力に『電気を磁力に変換して動力・推進力とする』という制約がある。大量の電気を用意出来なければただのスケボーと成り下がるこのアイテムもキルアが扱うならば話は別だ
「リニアモーターカーって知ってっか!!」
先程はスケートボードと説明したが正確にはキルアが今乗っている板には車輪が付いておらず形としてはスノーボードに近い。そのボード自体の磁力と僅かに放出系を練り込んでボードの周りに独立して発生させた磁場を利用した超高速移動術
かつてゴンとキルアが幻影旅団のフェイタンと戦った時に彼の無差別広範囲カウンター技である【
「『
キルアは王に接近はするが流石に直接雷撃を叩き込んだりはしないでその手から伸ばした『鎖』で王に拘束と電撃の麻痺を加えていく
キルアがクラピカの鎖の能力を使っているのはクラピカの鎖の能力を一時的に鎖を繋いだ相手も使えるようにする『
本当ならば拘束した対象を『絶』にする『
※関係ない
「ゴン!!」
「うん!―――滅殺のトリプルブレットッッッ!!バーストォオオ!!!」
王が雷撃の中で拘束を引き千切ろうと力を込めたのを見てこれ以上の足止めは不可能と断じたキルアが上空に向かって呼び掛けるとアリスタに運ばれながらその両腕にオーラを溜めていたゴンが飛び降り、王の顔面に 3連+3連の6連ツイン釘パンチ 『滅殺のトリプルブレット・バースト』をかます
「よっしゃゴン!蜂のように刺したら後は逃げっぞ!!」
発電所の供給を切ってゴンが王を殴っている間にアリスタを小脇に抱えたキルアが反対側の小脇にゴンを捕まえるとスカイボードに足下から電気を流してフルスロットルで離脱する。茂みの奥で今や膝立ち状態で口から煙を上げて白目を剥いているクラピカはゴンがすれ違いざまに釣り竿で釣り上げて逃走一直線だ
なおレオリオはビームを放った後はわき目も振らず自力で回れ右をしている
「ビアー!!リースやネテロさん達はレツ達が回収してるからね~!!」
最後にゴンがビアーにリース達の状況を教える。ゴン達が王に奇襲を仕掛けた一番の理由はリース達を回収する隙を作るためであったからだ
ノヴがネテロ達を回収する為のワープゲートを設置しその間にモラウがネテロを、カイトがカストロを、ポンズがリースを回収してノヴの【
ビアーはゴンの言葉を受けて笑みを浮かべると鎖を引き千切った王に向き直る
「ねぇねぇ、どうかしら
「下民にくれてやる言葉など無いわ。貴様が代わりに奴らに届けてやると良い―――貴様の
ビアー=ホイヘンスと名も無きキメラアントの王
戦場に最後に残った
ネテロ達の脱落とその回収。戦場がスッキリしたところで次回で決着ですね