ここもオリジナル色が強いところ。
……俺が悪役みたいじゃないか。
しかし俺も反省点がいっぱいある……まともな言い訳をすればいいものを、すぐばれるウソをついてしまった。よく考えればわかるが、本来係員がここに連れてくるはずなのに俺一人で来ちゃ、あんなウソすぐにバレるに決まっている。
そして、ライブを途中で抜けてしまった点。仕方ないとはいえ、ダブプリからの好感度思いっきり下がったろこれで……。
だが面白い情報も聞けた。あのクソのNIROは普通にカゲヤシ化したエージェントを使用している点だ。しかも奴等お得意のと来たもんだ……。
おっと、まずは誤解を解くためにもまず話をしよう。
「まあ俺はお前らを倒す気は…」
「諦めないで、舞那。私達はここで、倒れるわけにはいかない。今、私達がやられればママの計画に支障が出てしまう!」
「!!……うん、それだけは、絶対にさせない!絶対に、絶対にママの足を引っ張ったりなんてしない!」
聞けよ……お前ら……。
「そうだ、私達のためじゃなく、大好きなママのために……死ぬ、その瞬間まで!!」
「戦い抜く!!」
「エージェント!」
「「かかってこい!!」」
……え、マジで?まだやるの?ヤダー、戦いたくないでござるぅ!……そんな俺の願いを受け取ったのか、この場に救世主が現れる!
「あれー?何だろう、ダブプリの声が……聞こえたような……あれは!?」
ゴンちゃんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ゴンちゃんはそこにいるダブプリを認識した瞬間、超高速移動で二人に近づく。
「こ、これが本当のファン交流会!?」
そういいながら、今度は三人に分身してダブプリの撮影を始める。……ゴンちゃんもこういう時の動きは人間離れしてるよな。
「中止になったって聞かされたけど、こ、ここまでシークレットだったなんて!確かに表のイベントじゃできない、本気の出血大サービスだ!!」
「ちょっ、な、え!?や、やめて、撮らないで!!」
「シャッターを押す手が止まらない!」
「コラッ、や、やめろ!撮るんじゃない!き、君は、なんなんだ!?」
おお、ピリピリしたムードが一変してギャグやる感じの展開に!俺もそれに乗っかるしかない!
「あとで俺にもくれゴンちゃん」
「も、もちろんだよ、ただし、少しだけサイズは小さいのにさせてもらうけど……オ、オリジナルは僕だけが……あ、ユウト。君も無事にチケットを入手でき…うわぁっ!」
その時、後ろからダブプリの急襲を受け、地面へとゴンちゃんは倒されてしまう。そしてついには舞那に頭を踏んづけられている格好になる。我々の業界ではご褒美です。
「どうやら、知り合いのようね。エージェント」
「……え、なに、なんなの?ま、まさか、本当にダブプリってカゲヤシなの?」
「……そうだ。どうやら、その辺りの事情は知っているようだな。エージェントではなさそうだが……」
「エージェント、この子にひどいことはアタシもしたくない」
「……そ、そうなんだ。カゲヤシなんだ」
お、こいつらゴンちゃんを人質に取ったはいいが、ホントに酷い事をする気は無さそうだな……大方、任務だから仕方ないだけで、こいつらの中ではファンは大事にすべきという考えなのだろう。
「悪いけどそこのエージェントと知り合いのようだから、人質になってもらう」
「わー卑怯だぞー人質なんてー」
「アンタ、なんかすごい棒読みじゃない?」
「気のせいだよー」
それよりもゴンちゃんの反応だ。
「あ、う、うん。わ、わわわかりました。ていうか、その、むしろ……何か、う、嬉しいです」
「「……はぁ?」」
ほれ見た事か!憧れのアイドルに踏んづけられて、人質としてだけどお役に立てる状況……ファンなら嬉しいに決まっている!俺は踏まれるより踏む方が好きだけどな。
「あ、いえ、そ、そそそ、の……ずっと好きだったから、そそその、なんていうか……ファンで、いつも追いかけさせてもらってて……それで、その……ユウトには悪いけど、なんだかお役に立てるみたいなんで……」
「良いぞゴンちゃん!それでこそファンの鑑だ!」
俺は思わず人質になっているゴンちゃんに向けて、ガッツポーズをする。
「だからアンタは何でお友達を人質に取られてるのに余裕そうなのよ……」
「舞那、その子を……」
「……うん」
結局俺が人質を気にしなかったためか、ゴンちゃんはあっさりと解放される。
「……え、え?どうして……?」
「うーん、人質感足りなかったんじゃないの?」
「それはアンタのせいでしょ!?それに、バカを人質に取って、まで生き延びたいとは思わないし」
「舞ー那」
「愛、情、表、現!」
「あ、あいじょう……?」
まあこれでうやむやになって話を聞いてくれる気に……。
「エージェント、時間をとらせた。勝負だ、来い!」
「……負けない」
ウッソだろお前ら!?まだヤル気なわけ!?
と思ったら俺たちの間に、正確にはダブプリを庇うようにゴンちゃんが立ち塞がった。
「ご、ごめん、で、でも!!……でもっ!」
「ナイスだゴンちゃん!」
俺は二回目のガッツポーズをゴンちゃんへと向ける。
「え?」
「いや、俺最初から戦う気ないのにこいつらが勝手に襲い掛かってくるからさー」
「何を言っているエージェント!お前は私達の計画に気付いて…」
「姉さん……ここは」
「………わかった」
どうやらわかってもらえたかな?とりあえず二人には戦闘態勢を解いてもらうことができた。俺も脱がした服を二人に返す。
「……あ、あの」
ゴンちゃんが何か言おうとしたところで舞那にカメラを盗られる。
「カメラは預かっておく。明日の朝、中のデータを消したら、この公園に置いておくから」
「え、えぇええ!?そ、そんなぁ!」
「当たり前でしょ!撮影許可出してないんだから!このバカッ!ちなみに、今のはノー愛情表現」
「まあ仕方ないよね……惜しいけど、惜しいけど!あの写真がもしネットに拡散なんてしたら、それこそ二度とダブプリはアイドル活動できなくなってしまう……ここは俺たちの脳というフィルムに焼き付けておこうゴンちゃん」
「…………」
………?何か今の発言の後に瀬那から不思議そうな顔で見つめられた。
「……行こう」
だが、何かするわけでなく、そのまま去って行ってしまった。
「……ありがとうゴンちゃん。もし君が来てくれなかったら、ダブプリとの戦いが終わらなかった」
「う、うん……僕、間違ったことしちゃったのかな?」
「そんな事ないさ。ファンとして当たり前の行動だと思うぜ?俺だってファンなんだし」
「そうだね……じゃあ今日はこれで……またね。ユウト」
「おう」
俺はゴンちゃんと別れ、一人になる……さて、どうしようか。
―瀬那視点―
「舞那、あなたは先に戻ってなさい。私、少し用事を思い出したから」
「姉さん、用事って?」
「大した事じゃない。あなたは先に戻って、ママに連絡をつける準備をお願い」
「う、うん……」
私は舞那と別れ、大急ぎでさっきの公園に戻る。
公園に戻ると、さっきのエージェントが、まだ一人でいた……話す価値はあるか……。
「ねぇ君、ちょっといいかな?」
「お、確か……瀬那だったな。まさかお前から接触しに来てくれるとは思わなかったぜ」
「……君は、何か私達に話したいことがあるんじゃないかと思ってね」
戦闘中は気付かなかったが、この男は最初から私達に敵意を抱いてない……せめて目的を探りたい。
「そっか……お前は、優から何か聞いてるか?」
「優から?いや何も……」
「そっか、事が事だし、誰にも言ってないなあいつ」
優が関係しているのか……?
「優には話したんだけどさ、俺は……いつかNIROをぶっ潰したいと考えてる」
「な……え……?」
「ハハ、やっぱそういう反応だよな。優もそうだった」
話によると、彼はあのエージェント組織に無理やり協力させられた身だという。しかもさっきのファンの一人も参加している秋葉原自警団を人質にもとっていると。そんな彼がNIROに忠誠なんか誓うわけがない。
「今すぐ信じてもらおうとは思ってない……けど、あの組織をぶっ潰すために、カゲヤシ達と協力したいんだ」
「……確かに優一人の判断では手に負えない案件ね」
「まあとりあえずは俺の考えを知って貰いたいってだけだからな……あ、そうだ。さっきは本当にすまない」
いきなり話を終わらせて、今度は謝られた。
「どうしたの?急に……」
「あ、いや……実は今日、ダブプリのライブを生で見るの初めてだったんだ。なのに、その……事情があったとはいえ、途中で抜けるような事をしてしまったのが心残りで……ごめん」
そうだ……私はこの男に強烈な怒りを覚えてたはず……けど……。
「本当に申し訳ないと思ってる?」
「思ってる!土下座してもいい!」
「いや、そこまでは……」
でも、謝ってくれたし……多分この人も本当は私達のファンなんだろうし……まあ、いいかな。
「いいよ、その件に関しては許してあげる」
「ほ、本当か!?……ああ、ありがとう!」
「……そういえば、君の名をまだ聞いてなかったね」
「俺か?俺は……四葉ユウトだ」
「ユウト、ね。覚えておく」
何か、不思議な感じだ。さっきまで敵同士だったのに、今は……。
「私はまだ君の事を完全に信用したわけじゃない……でも、何かあった時の為に連絡がつけられると助かる……だから」
「お、いいぞ。俺の連絡先ぐらいならいくらでも教えてやろう!」
こうして私と彼……四葉ユウトとの、不思議な関係が始まった。
ここから、細かい部分はオリジナルになっていく予定。