―AKIBA'S TRIP―   作:ヤマタニ

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駅前で待ち合わせ~妖主襲来



妖主襲来

「ウソ……早すぎる……母さんが、もう……着いた?」

「ユウト君、エージェントから呼び出しかい?」

「はい」

 

 御堂さんからだ。このメールでは、妖主がここに着きそうだから、作戦を詰めるためにも駅前へ来てほしいとの事。瑠衣が言うにはもう着いてるそうだ。

 

「私も、姉さんから」

 

 ふむ、どちらにしろ俺も瑠衣も駅前へ向かう必要があるという事だな。

 

「そうか、それじゃ、我々は引っ越しの準備でもしているから、君たちは気を付けて」

「はい!ユウト、行こう」

「ああ」

 

 と言っても俺はエージェントからの呼び出しで行くわけだから、瑠衣と一緒には行けないんだけどな。

 

「行ってらっしゃいませ」

 

 最後にサラさんに見送られながら、俺達はアジトを後にした。

 

 

 駅前に着き、一応御堂さんと合流する……もうそろそろお別れだしな。

 

「四葉さん!」

「御堂さん、状況は?」

「時間があまりないので手短にお伝えします」

 

 まあ内容はメールの通り、そして妖主の目的地はここ……まあ既に知っていることだらけだな。

 

「現在、瀬嶋さんとエージェント精鋭が奴らの……あっ!」

 

 御堂さんが何かに気付いたので俺もそちらを向く……あ。

 

「あ、ユウト……って、あっ!まずい……」

 

 俺の向いた先には瑠衣と鈴とマスターがいた……出会っちまったかー。

 

「こんな時に……!」

「こんな時だからこその状況だな」

 

 早速戦闘態勢に入る、鈴とマスター……そして御堂さん。

 

「四葉さん、援護をお願いします!」

 

 やなこった。むしろここで裏切ってコイツの首を手土産に妖主に取り入るか……?

 

「眷族のカゲヤシ共を同時に相手にするのは困難ですが、こんな時に妖主が来られると……大丈夫です、私とあなたならきっと勝てます!恐れないで!」

 

 ……哀れだな。俺がまさか仲間だとでも思っているのか?よし、皆と協力してさっさとコイツを……。

 その時、瀬嶋がこの場へやって来た……こいつも相手にするのは面倒か……だが出方によっては。

 

「瀬嶋さん!助かりました、これで……瀬嶋さん?」

「ついてこい、御堂、四葉。そんな連中を相手にしている暇はないぞ」

「まさか、あなたがここにいるということは……!」

 

 なるほど、妖主ともうすぐ会えるな。今は俺もまだ行動を起こすべきではないな。ん、どうしたマスター?

 

「この男……」

「な、なんです?」

「カゲヤシ化している」

「「え!?」」

 

 瑠衣と鈴が驚く……まあそんな気はしていた。こいつはカゲヤシを化け物と蔑みながらも、その力を称賛していた……というかコイツの目的は恐らく……。

 

「来い、御堂」

「は、はい!」

「四葉、君はここで待機……もし戦闘になったら、そこの三人を押さえておけ」

 

 そう言ってさっさと瀬嶋と御堂さんは駅へ向かって行く。

 

「我々には興味なし、か。ふむ、結局最後まで誤魔化せたか」

 

 そうだな……。

 

「ふむ、エージェントはあの二人だけではなさそうだな。気配を消しているが、相当数配置してるな。まあ、全員が駅口を狙っているがな」

 

 そう言って、もし戦闘が発生した場合を備えて、鈴と一緒にその場を離れる。

 

「ユウト君、この子を頼む」

 

 そうだな、マスターは今、瑠衣を任せられるのは俺しかいないと思って頼み込んでいる……俺は黙って頷く。マスターも頷き返し、今度こそこの場から去って行った。

 ……俺は多分、瑠衣が望まない行動をとるかもしれない……だが悪いようにはならないようにするさ。

 

 

 そして待つこと数分、駅口からダブプリの二人を連れた形で妖主が出てきた……あれが、か。

 

「出迎えご苦労。NIROの忠犬」

「久しぶりだな」

「そうね……お互い変わらないわね」

 

 瀬嶋は過去に妖主と面識があるんだな……そうして瀬嶋と妖主は少し言葉を交わしていくが、仲良くはないよな。

 

「フン、君とは長い付き合いだな」

「そうね。いい加減うんざりするぐらいだわ。だから、かしら。こんな大勢で出迎えてくれたのは」

「え?」

 

 ……舞那お前、気づいてないのか?

 

「気配は消してるけど、周囲に相当数が散って配置されてる。多分、ママを追っていた連中が先回りして……」

「わ、わかってる!!わかってた!!」

 

 ……双子だけど似ているのは容姿だけかな。能力も性格も瀬那が上っぽいなありゃ。双子が妖主代理として引きこもり化計画を指揮してると言ってたけど、指揮してるのは瀬那じゃないか?

 

「……なんだ、そいつらは。新しい娘か?」

「あの二人は確か……秋葉原の地元アイドルじゃ……!?」

 

 おーおー、驚いてるねぇ。ま、当たり前だけどダブプリの事をNIROに報告なんかしてないからな。

 

「あれ?……バレて……ない?」

 

 ……恐らく瀬那は舞那に俺の事言ってないな?まあ信じられる話じゃないけどさ……妖主には報告したのかね?

 

「さて、それでどうするの?こんな所で派手にやる気?」

「お互い望まんだろう。そんなものは。挨拶がてら、訊きたいことがいくつかあってね。構わんかね?」

「……いいわよ、手短にね」

 

 どうやら今のところ両者に争う気はなく、瀬嶋は妖主に訊きたいことがあるようだった。

 瀬嶋が妖主に質問したことは、まず一つ目……なぜ秋葉原にやって来たかだった。

 

「娘達の顔を見に来た……親心、というやつよ」

「化け物の分際で……!」

 

 御堂さんシャラップ。双子が物凄い顔で睨んでるから!絶対後で殺される奴だから!

 まあ今の妖主の答えは……当たらずとも遠からずだろう……瑠衣の様子を見に来たのは確定っぽい。

 

 二つ目……引きこもり化計画の本当の目的だ。まあ、人間をヒッキーにさせて空いた働き手にカゲヤシを送り込んで、社会をカゲヤシのものにするっていう事だけど……長くかかりすぎるし、外国からの働き手もある……聡明な妖主がこんな先の見えない計画を自らを囮にしてまでやる意味がわからない……と瀬嶋は言うが……俺もそこは不思議に思っている。

 だがこの質問は完璧に妖主にはぐらかされた……瑠衣が関係してるから答えられないとか?

 

「もう、いいかしら?出迎えは嬉しいけれど、ゆっくりはしていられないのよ」

「だろうな……だが、最後に一つだけ答えてもらおう。秋葉原で計画の指揮を執っていた次の妖主は……その二人のどちらかか?」

 

 もう直球で次の妖主を訊いちゃったよオイ。まあ瑠衣が次期妖主のを隠すためにこの二人に指揮を執らせたんだから、妖主の答えはもちろん。

 

「……そうよ。それが何か?」

「「ママ……」」

 

 そう答えるしかないな。今はぐらかすと、本当に瑠衣が次期妖主だと疑われてしまうからな。そして騙されてはいるが、次の妖主を知った瀬嶋は嬉しそうに言う……。

 

「そう、か……そうなのか。いや、なに……ようやく会えたなと思えてね……そうか、お前たちなのか。ようやく、見つけ…」

「んなわけねぇだろうがぁああ!!」

 

 と、その時、いきなり優が上から飛び掛かってきて、不意打ち気味に御堂さんをぶっ飛ばす。そのまま瀬嶋にも殴りかかるが、真正面からというのもあり、躱された。

 

「そうか。そういえば、もう一人いたな」

「チッ!しとめ損なったぜ!」

「優、何をしている!独断で動くな!」

「こいつさえいなくなりゃ、お袋も万々歳だろうが!?」

 

 これは優の独断か……アイツ、何をする気だ? 

 

「ママ、姉さん、こうなったらアタシ達も!」

「待ちなさい。今動けば全員が動く事になる。それは避けたい」

 

 さすが妖主だ。混乱を避けようとする姿勢は悪いとは思わん……だが、俺が想像していたよりも慎重だ。もっとNIROを潰す気でいてくれると思ったんだが。

 

「違うと言ったな、あの二人が次期妖主ではない、と。では、誰だ?誰が、次期妖主だ?答えろ!」

「優、口を閉ざして下がりなさい!」

「嫌だね!どうせこいつは死ぬんだ、教えてやらぁ!」

「やめなさい!」

「後ろにいる奴だよ!」

 

 妖主の制止空しく、優は丁度後ろにいた瑠衣が次期妖主だという事をバラしてしまった。

 

「馬鹿な子……!」

 

 ……妖主や瑠衣には悪いが、俺は今の行動はナイスだと思う。何せ、思ったよりも慎重でNIROを潰す気がない妖主……それじゃ、俺が困る、俺はこのクソのNIROを潰すために、お前らに協力するっていうのに、このままだと意味が無いからな。だがこれでカゲヤシ達は瑠衣を守るために絶対にNIROを潰さなきゃいけなくなった……その状況を作り出してくれた優にはホント感謝する……お前、最高だよやっぱ。

 

「お前か、お前だったのか……ははは、どうでもいいと思っていた末妹が……そうか、そうか。盲点だったよ……ようやく見つけ…」

「どこを見ている!てめぇの相手はこのオ…」

「黙れ」

 

 瀬嶋はそう言って向かってきた優を一蹴してしまう……あの動き、かなり強いぞ。

 

「グァッ……く、くそ、つえぇ……!」

「……この馬鹿息子!」

 

 俺としてはよくやってくれたけどな、優。

 

「四葉君、何をボサっとしている。文月瑠衣を捕まえろ!」

「……ここでやる気!?」

「構わんさ、妖主と次期妖主を同時に手に出来るなら……どれだけ事を大きくしようが、どうでもいいんだよ……四葉君、瑠衣を拘束だ。こっちは私が引き受ける」

 

 まあ従うわけないけどな。コイツなんかに……というか段々正体隠さなくなってきてるな、お前も。

 

「どうした、四葉君!」

 

 さて、もう裏切る気満々ではあるが、どう妖主に取り入るか……。

 

「フン、四葉ユウト、だったかしら。今まで瑠衣を助けてくれて、ありがとう」

 

 ……お?俺の事を知ってる!?

 

「知っているわよ、あなた、瑠衣のためにいろいろとしてくれていたのよね。その子の母親として、お礼を言うわ」

「なん……だと……!?貴様、どういうことだ!?」

 

 どういうも何も、今言った通りだよ瀬嶋。だがどうやって……?

 

「どうして、それを……」

 

 瑠衣もわからないみたいだし……。

 

「あなたには妹想いのお兄ちゃんがいるでしょう?」

「仕方ねえだろ、お袋からの命令だ。悪いが、監視させてもらった」

「で、でも、どうやって!?」

「秋葉原には盗聴器なんて物がすぐに手に入るからなぁ」

「……最っ低」

 

 いやー俺は良かったと思うぜ?これで俺の事も既に妖主に知って貰えたし……そもそも瀬那や優が俺の事を報告しているかもしれんしな。

 

「四葉君、どうする気だ?裏切りの代償は重いぞ……だが、今その娘を拘束するのなら、全てを水に流そう」

「信じない方がいいわ。その男は目的のためならどんな残虐な事もしでかすわ」

 

 だろうな。さっきまでの会話を聞いてれば、すぐにわかる事……そもそも最初からして、俺を脅して無理やり協力させてたわけだし……。

 

「来なさい、私達の元へ」

「「え!?」」

 

 そして妖主からの勧誘……瑠衣と舞那は寝耳に水っていった感じだが、瀬那と優は俺の事を知っているからか、動揺は見られない。しかしまさか向こうから声を掛けてきてくれるとは……どう取り入ろうか悩んでたから助かる。

 

「さぁ、瑠衣と共に来なさい」

「か、母さん!私は、母さんのいう事なんか……!」

「この状況でワガママはやめなさい」

「ワ、ワガママじゃ……!」

「次期妖主として知られた以上、NIROが血眼になってあなたを狙ってくるわよ……少人数で生き残れると思うの?うん?」

 

 そうそう、次期妖主と知られたんだから、NIROには滅んでもらわないと!

 

「うっ……ユウト、どうしたら……いいんだろう」

「さあ、四葉ユウト」

「四葉!!」

 

 まあ、瑠衣には申し訳ないが……だが悪いようにしない。

 

「これはこれは、まさかそっちから声を掛けてくれるとは。俺もNIROを潰すためにお前たちと協力したいと思っていたところだ」

「ユ…ユウト!?どういう事なの!?」

「賢明な判断よ」

 

 よーし、これで…。

 

「行かせると、思うのか?」

「……瀬嶋、お前、他人をゴミのように扱う割には、随分と俺を信用してたじゃないか……もしかして、自分以外は全て手駒だから、裏切られないとでも思ってたか?だとしたら、随分おめでたい頭してるんだな」

「……第五班、四葉を殺し、次期妖主を確保しろ!他はゴミ掃除だ!!御堂いつまで寝ている!?起きろ、仕事だ!!」

 

 よし、NIROへの宣戦布告も完了したし、まずはここを乗り切るぞ!

 

「あらあら……ふふ。優、瀬那、舞那、道を開いて、ユウト、あなたは瑠衣を守りなさい」

「了解!」

 

 というわけで早速瀬嶋が言っていた第五班とやらが来る。

 

「この人達、カゲヤシ化している……!」

「噂の強化エージェントか……まあ、相手にならんと思うがな!」

 

 とりあえず俺は瑠衣を守りながら、強化エージェントと戦った……まあ、ちょっと強いがやっぱ優ほどじゃねえや。しかも数がいるから大丈夫だろうと油断してやがる……雑魚め。

 というわけで強化エージェント共を倒したが……まだ来る……しかし、妖主の親衛隊だろうか。そいつらが俺と瑠衣を守るように陣形を組む。

 

「油断しないで、まだ終わりじゃない。すぐに増援のエージェントが来る」

 

 そして、退路を確保したのか、瀬那が俺達に近づいてきた。

 

「増援が来る前に我々のアジトに案内する。ついてきて」

「ああ、よろしく頼むぜ。瀬那」

「ユウト……なんで……」

「お前の為だよ、瑠衣……」

 

 瑠衣にやっぱり文句を言われながらも、俺達はカゲヤシのアジトへ向かうのだった。




 主人公がカゲヤシ側に寝返る時の会話は殆どオリジナル。
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