―AKIBA'S TRIP―   作:ヤマタニ

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 本編終了後の後日談に繋がるオリジナル回。
 新キャラも登場。


謎のエージェント

「さて、そろそろ時間のようだな。ユウト、オマエは中央通りに行け」

「わかったぜ」

「………」

 

 ……お、どしたん?優。

 

「途中でやられんなよ。オマエとの決着はまだついてないんだからな」

「おうよ!安心しろ、絶対に約束は守るさ」

「フン……」

 

 そう言って優はその場を去る……と言ってもこの作戦はエージェントを誘い出しやすくするため、俺達は時間差で出撃する事になっている。まず出るのは瀬那と舞那だ。まあ優にもいろいろと準備はあるだろう。

 そして今の優のセリフ……わっかりやっすいくらいにツンデレじゃないっすか!

 

「アンタ、裏切ったりしたらタダじゃおかないからね」

「あれ?俺ってそんな信用ない?」

「当たり前でしょ!?今まで敵対してたんだから……というか姉さんも!なんでアタシに教えてくれなかったのよ!?」

「あの段階で話しても舞那が混乱するだけでしょ?それにもし彼を信用できないなら、ママに相談すればいい」

 

 瀬那は相変わらず冷静だな……だが、妖主への甘えぶりを見る限り……本当は無理してる部分はあるかもしれないがな。

 

「うーん……そうだね、そうする。頑張るようなら味方と認めてあげていいか……も。ってわけだからユウト!お前の行動は随時チェックしてるからな!」

 

 最後にそう言って舞那もこの場から去って行く。

 

「優も舞那もツンデレだなー、うん」

「ユウト」

「ん、どうした瀬那?」

「……この戦いは君にかかっているかもしれない。何だか、そんな気がする」

「まあ俺強いしな!」

 

 俺の言葉に瀬那は軽く笑う。

 

「昨日はありがとう、ユウト」

「お?」

「君のお陰で、私の本当の気持ちをママにぶつける事ができたから」

「……そうか」

 

 ……二人はツンデレセリフで退場したのに……あれ?何かいい雰囲気じゃね?

 

「姉さーん、はーやくー!」

「あ、舞那が呼んでるからそろそろ……これからもよろしく頼むね、ユウト」

「……ああ」

 

 そうして瀬那は舞那と一緒に行く……たしかあの二人は駅前担当だったな。

 

「……俺も時間来たら出るか」

 

 まずはここの他のカゲヤシに挨拶でも……って優まだいるやんけ!

 

「おいユウト」

「どうした優」

「狩り行くぞ、狩り」

「狩り?」

 

 優が言うには、大量のエージェントが公園に集まっているらしい……どうやらそこで出撃準備をしているようだが……ここに奇襲をかけるとの事だ。

 

「へー、時間までは暇だし俺も行くか」

「ああ、オマエは先に…電話か?ユウト」

「お?本当だ……うわ、知らない番号だ」

 

 普段なら絶対に出ないだろうが、なぜかこの時俺は直感で出た方が良いと感じた。

 ……結果的にそれは正しい判断だった。

 

『ユウト様ですか!?瀬那様と舞那様をお助けください!』

「お前、二人の部下か?落ち着け、とりあえず……何があった」

『他とは異質な雰囲気を放つエージェントがいるのです!』

「……わかった駅前だな?すぐ向かう」

『あ、ありがとうございます!』

 

 通話を切り、優の方へ顔を向ける。

 

「アネキたちがピンチなのか?」

「どうやらそうらしい……悪いが」

「フン、別にオレ一人でも余裕だ。それよりアネキたちを……」

「ああ、必ず助ける!」

 

 俺はフロアの窓の方へ向かう。

 

「ってオイ!オマエそこから飛び降りる気か!?何階だと思ってんだ!」

「俺なら大丈夫だ!こっちの方が早く着く!」

 

 俺はビルから飛び降り、駅前へ向かうのだった。

 

 

 ―瀬那視点―

 

「瀬那様!舞那様!ここは一度お退き下さい!」

「ここは我々が…ぐあああああ!」

 

 ……状況がマズイ。駅前へ向かった私達は早速戦闘を始めたのだけれど、いきなり来た増援のエージェント……彼らのせいでこちらの陣形は崩壊した。

 

「フッフッフ、戦闘に特化した個体と聞いていたが、大したことないな」

「そうだな、クックック」

「さーて、化け物共を片付けるかね、ヘッヘッヘ」

 

 あの三人だ……あの、白いスーツを身にまとった異質なエージェント……奴らの身体能力がおかしい……ただのカゲヤシ化じゃない。

 

「姉さん……アイツら、何かおかしいくらいに強くない?」

「ええ……でもあの動き、戦い慣れてはいないようね……恐らく強化エージェントでしょうけど。舞那、二人で一気に決めるよ」

「わかった!」

 

 確かに身体能力は高い……私達よりも高いだろう……けど、動き自体はあまり変わらない……油断しなければ!

 

「おっと!他よりも動きが鋭い!これが眷属ってヤツか?」

「ヘッヘ、そういえばアイツらダブプリじゃねーか!?」

「誰それ」

「アタシ達知らないなんて……万死に値するわ!」

 

 舞那は白スーツのエージェント一人に攻撃を仕掛けるが、とんでもないスピードで躱される……けど!

 

「おっと、どこ狙ってるんだ?俺はここ…ごふっ!」

 

 その隙を突き、私が後ろからの一撃を加えた。

 

「クソ、女だからって油断したぜ!おらあ!」

 

 あまり効いてないようだけど……でも!

 

「舞那!」

「姉さん!」

 

 今度は私の方に意識が向き、舞那への警戒が疎かになったコイツを……二人で脱がした。

 

「ぐっ……があああああああああ!?」

 

 白スーツを脱がされて炭化するエージェントの一人……強くてもこの程度なら……!

 しかし、一人を倒せた安堵が油断を生んでしまう。

 

「やった!見たか!これがアタシ達の…」

「……!舞那!後ろ!」

「えっ……あぁっ!」

 

 舞那の後ろに回り込んでいたもう一人のエージェントは、容赦なく攻撃を行った。

 

「くっ……舞那!」

「おっと、貴様の相手はこの俺だぜぇ?」

 

 舞那を助けようにも私を行かせまいとばかりにもう一人のエージェントが立ち塞がる。私は反射的に後ろへ跳び退いてしまう。そのせいで舞那を助けに行くのが困難になってしまった。

 

「うっ……ぐっ……」

「フハハ、油断大敵ってヤツだな!さーて、どうトドメを刺してやろうか?」

「舞那!」

 

 このままじゃ舞那が……誰か、誰でもいいから……舞那を!

 その祈りが通じたのかはわからない……けど、いきなり舞那とエージェントの間に人影が飛び込んでくる。

 

「お前は……吹き飛んでろ!」

「ひでぶっ!」

 

 その人影は……ユウトだった。彼は突っ込んできた勢いのまま、エージェントに裏拳を浴びせ、倒れていた舞那を抱きかかえ、私の方へ跳んできた。

 

「大丈夫か?舞那」

 

 

 ―ユウト視点―

 

「大丈夫か?舞那」

 

 ……フッ、決まったぜ!何今のカッコいい助け方!自分で自分を褒めてやりたいね!まあ俺がカッコいいのなんて今更だけどな!フハハハハハハハハハハ!

 

「あ…あぅ」

「お、舞那どうした」

「あ…ありがとぅ……」

 

 ……おっふ、効果は抜群だったようで俺の腕の中にいる舞那の顔は物凄く赤く染まっていた。い、いや、俺もここまで効果があるとは思わんかった。

 と、それよりもどうやら瀬那の方は無傷らしいから舞那を下ろし、事情を訊いてみる事にする。

 

「ありがとうユウト、舞那を助けてくれて」

「良いって事よ……それよりあいつらだな?」

「ええ、あの白いスーツを着たエージェントの身体能力は眷属以上だった」

 

 マジか……何かヤバそうな雰囲気ではあるよな。

 

「でも動きはまだ戦い慣れてない感じだったから、油断しなければ……!」

「ああ、だが純粋な耐久力もあるみたいだな」

 

 俺が吹き飛ばした一人はもうケロッとして前線に復帰してやがる。

 

「一人はもう倒した。服を脱がせば炭化するみたい」

「一応カゲヤシ化ではあるんだな?」

「うん」

 

 俺は残った二人の白エージェントを見る……確かに他は黒スーツなのにこいつ等だけ白スーツなのは異質だな。

 

「なんだお前!いきなりやってきて!」

「お、コイツデータで見たぞ!裏切り者だ!」

 

 裏切り者?こいつらバカか。

 

「俺は最初からNIROの味方じゃねえよ……つまりは裏切り者ではない!」

「屁理屈じゃないか!」

「どうとでも……じゃあ一気に決めるぞ」

 

 俺は奴らに跳躍……まずは、さっき裏拳浴びせたお前からだ!

 

「フン、さっきはよくもやってくれたな!」

 

 随分な自信だな。身体能力任せのゴリ押しに、俺が負けるわけがない。

 

「ユウト!雑魚は私達が!」

「そっちは任せたわよ!」

 

 これで舞那も俺を信用してくれた事だろう……よし、じゃあさっさと片づけるか!

 

「おらぁ!……なにぃ!?」

 

 相手は俺に殴りかかってくるが……キレがないな!

 

「パンチは……こうやってするんだよ!」

 

 俺は奴のパンチを引き付けて躱し、カウンター気味に拳を突き出す。もちろん、気を込めた重い一撃を持った必殺パンチだ。

 

「がはっ!」

「続けて……そらよ!」

 

 続けて蹴りを入れる。回転と気を込めた必殺キックだ。

 

「トドメに……脱衣!」

「ぐああああああああ!!」

 

 そして最後は師匠直伝の脱衣技でコイツを脱がした。

 

「な、いとも簡単に!?」

「さて、残りはお前だけだな」

 

 見ると周りの黒服のクソザコエージェント共は瀬名たちによって全滅していた。

 

「さーて、お前も片づけ…。……!」

 

 その時、空から俺に蹴りを放ってくる追加のエージェントがいた。美しいフォームのライダーキックだった。

 

「おや、今のを躱されましたか」

 

 出てきたのは同じ白スーツを着た女だった……スーツと顔立ちから見ると……大人のはず。だが、スーツのせいですらりと伸びた高い身長を錯覚してるだけで……実際には低身長、おまけに胸もねえ。……子供なのか?

 

「篠崎さん!」

「あなたは下がっていてください。この方は私がお相手します」

「フン、さっきのを見ただろう?俺は強いさ」

「ああ、あの脱衣の技ですか。確かに見事ですが……私はカゲヤシ化していないので無駄ですよ?」

 

 ……ハッタリか?さっきの動きを見る限り、人間の動きじゃないとは思うんだが……。

 

「まあカゲヤシ化してないんなら……普通に攻撃するだけだけどな!」

「では行きましょうか!」

 

 俺と女はほとんど同じ動きの回し蹴りを放ち、互いの足が激突……する前に何か見えない力で弾き飛ばされた。

 

「……は?」

「……え?」

 

 どうやら女の方も何が起こっているのかわからないようだ。

 

「だがとりあえず!」

 

 俺は気を使った衝撃波を利用し、跳躍する。そして女は俺の突撃を……空高く跳躍することで躱して見せる……まさか、この女……!

 

「お前は……」

「あなたは……」

 

「「同類!?」」

 

 俺と女の声が重なる。そうか、そういう事だったのか!

 

「まさか同じ気を扱う能力持ちだとは……」

「……もしかして遠い親戚同士かもしれませんね……ふむ、そろそろ潮時でしょう」

 

 そう言って女は跳躍し、建物の上へと飛び乗った。

 

「この戦いではもう我々は手を引きます。やりたいことも済んだので」

「逃げるのかよ?」

「はい、見逃してくださいな」

 

 何悪戯っぽく微笑んでるんだ。調子狂うな……。

 

「……お前らは、本当にNIROか?」

「ええそうですよ?まあ、あの男に従う気はありませんが」

 

 あの男……瀬嶋か?

 

「そうそう、一応お名前をお聞きしても?」

「四葉ユウト様だ、覚えとけ」

「じゃあ私は篠崎定命(しのざきさだめ)殿とでも名乗っておきますね」

 

 俺のノリに付いてくるだと!?この女、やりおる……!

 そうして名乗った女……篠崎定命はとんでもない速さで去って行った……忍者みたいな身のこなしだったな。

 

「「ユウト!」」

「おう、お前ら大丈夫か?」

「私の方は」

「アタシももうオッケーよ」

「ユウト、今のエージェント達は……」

「ああ、一応用心が必要そうだな」

 

 もうこの戦いには干渉しないとは言っていたが……さて。

 とにかく駅前の方は済んだっぽいので、俺は本来の目的地である中央通りへ向かうのだった。




 篠崎定命
 20歳
 白スーツの謎のエージェント。
 年齢は20だが、背や、全体のスタイルは妹並みという合法ロリ。
 主人公と同じく、気を衝撃波という現象で扱う特殊能力持ち。

 今回はゲスト的出演だけど後日談編で本格的に登場する予定。
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