NIROに無理やり協力させられる事になったあの日から一夜明け、俺は秋葉原の駅前に来ていた。
「……露出している部分に違和感があるな」
これがカゲヤシの弱点か……日光に当たる顔や手が異常に熱く感じる……だがこの程度なら再生力の方が上回るから気にしようと思わなければ何とも思わないな。
今の俺の恰好はフード付きの灰色のパーカーにジーンズだ。キツイかもと思ってフードを被っているが……大丈夫かこの位なら。だがさすがに裸でこの日光を浴びる事になるなら多分死ぬんだろうな……。
さて、秋葉原自警団もNIROに協力する事になるから、一旦俺も自警団アジトに来てほしいと御堂さんからメールが来たから早速向かうか。
「おいっす来たぞー」
「お、来たなユウト」
「あ、おはようユウト」
「おはようございますユウトさん」
「ユウト君、おはよう」
「お待ちしておりました。四葉ユウトさん」
俺が自警団のアジトに着くと、自警団の皆と御堂さんが出迎えてくれた。
「顔を見る限りでは、憔悴している様子はないですね」
「まあこの四葉ユウト様は?これしきの事でヒィヒィ言わないですからね?やっぱ俺ってすげぇ奴だからよ」
「ハハ、また始まったないつものが。それでこそユウトだけどよ」
「ハッハッハ、そんなに褒められると照れてしまうなノブ君」
「……タ、タフなんですね」
「ひ…引かれてるよ?」
「え?そんな事ないよゴンちゃん。絶対俺を称賛してるよ」
この俺様が引かれるわけないだろうよ。
「え、ええもちろんですよ?そ、それより、改めて自己紹介をさせてもらいます。御堂聡子です。あなたの面倒を見るようにと瀬嶋さんより命じられています」
あのおっさんにはあまり会う機会はないかなこれじゃ。
「上からの指示も基本的には私を通してあなたにお伝えすることになります。きっと楽な事ばかりではないと思いますが、あなたたち好きなこの街を、そして社会をよりよくするために、頑張りましょうね」
本当にNIROは社会をより良くしていくのかコレガワカラナイ。
「それより彼らなんですが……」
と、ここで御堂さんは自警団の皆を一瞥して言った。
「とりあえず名前だけは言い合ったんだけど……ほ、ほら、初対面だからさ」
「何か、お堅い人みたいで、ちょっと。サラさんも相変わらずあんなんだし」
ノブ君がそう言うとサラさんはこちらを向く。
「……なんでしょう?」
「私も頑張ったんだけど、共通の話題がなんもないんだ。訊きたいことはいろいろあるけど、やっぱり、いきなり本題ってのは……ねぇ?」
ヤタベさん達は何とか会話を盛り上がらせようとしていたのか。
「それで、お互い黙っちゃって……空気が重いったらなかったよ」
それで少し気まずそうな雰囲気が流れてたんだな。
「あのー……彼らにも説明するようにと、上から言われております。四葉さんからご紹介いただけますか?」
フッ、なるほどな。俺からの方が理解が早いんだな?俺、説明上手だからな~!
「改めて、どうも。ヤタベというものです」
「ヤタベさんはこの自警団……いや、秋葉原のリーダーだね」
「いや~、そこまでじゃないよ。ユウト君ってそういう冗談言う子だったっけ?」
「でも実際頼りになりますよ?ヤタベさん」
「ハハ、ありがとう」
この俺ですら尊敬する本当に凄い人だからなヤタベさん。
次はゴンちゃんだ。
「え、えぇ~っと、さっきも言ったけど、ゴンって呼ばれています。」
「ゴンちゃんはアイドル、特にダブプリ好きだよね」
「うん、そうだね!彼女らの勢いは凄いです。えぇ。きっと近いうちに…」
あ、語り始めた。しかしダブプリか……俺って三次元にもあまり興味無ければ、現実のアイドルなんてそれこそ全く興味が無いはずなのに、不思議とダブプリだけは気になるんだよなぁ。
まあライブチケットは競争率高すぎて買えなかったりして生ライブを見た事はないんだけど。グッズは買っているな。
一通りゴンちゃんの語りも終わったな。次はノブ君だ。
「二度目ですが、ノブです。どうも」
「ノブ君はアニメ、漫画、ゲームとか好きな分かりやすいオタクだね」
「若干マイナーなものがすきかなぁ。大衆向けって、なんか薄いじゃん。無難で、古臭い手法のばっかで」
「すっごいわかるマン」
「やっぱ分かってくれるよなユウト!」
「勿論だともノブ君!」
ノブ君とは自警団内でも一番よく話す。趣味が一番近いってのもあるけど。
最後はサラさんかな。
「サラと言います。よろしくお願いいたします」
「サラさんは見たまんま。メイドだね」
「正統派メイドカフェ『エディンバラ』で、メイド長をやらせていただいております。是非一度、ご来店くださいませ」
メイドとしては割と完璧な人だな。職もしっかりあるし、このアジトが快適になっているのもサラさんのお陰だ。
「……な、なるほど。ありがとうございました。とりあえず、私の交友関係には存在しないタイプの人達だという事は良くわかりました」
おい引くなよ。素晴らしい俺の仲間たちなんだぞ。
とまあこの後は御堂さんが自警団の皆に事情を説明するらしいんで駅前に先に行って時間つぶしをすることになった。
「……おや?見慣れないやつがいるな」
駅前に着いた早々、この秋葉原には似つかわしく無さそうな奴が居た。というか俺に気付くと近づいてきやがった。
「おい、そこのお前。肌を見る限り人間ではないようだが……」
「その通りだ」
「やはりエージェントか……」
人間じゃない……カゲヤシ化……エージェント……ああ、この時点でNIROにカゲヤシ化しているエージェントが俺以外にもいる事がわかるな。
「悪いが消えてもらう!」
「と、考えている場合じゃないな!」
怪しい男は俺に人間とは思えないスピードで突っ込んできた……こいつがカゲヤシか?
「早いが……ただ真っすぐ突っ込んでくるだけではな」
俺には特殊な能力がある……カゲヤシ化する以前から持っている能力がな。というか俺の家族……四葉家はみな持っている能力だ。
「!」
「馬鹿な!?俺を超える跳躍だと!」
俺には気を扱い、それを衝撃波という現象で使うことができる。その応用で俺は高く飛び上がる……カゲヤシ化しているせいか想像以上に飛び過ぎた…が!
「食らえ!」
「ぐはっ!」
俺はそのまま下で硬直している男を殴り飛ばした。
「くそっ……相手の力量を見誤ったか!……ん?」
その時同じ格好をした男が追加で二人来た。
「ハハハ!形勢逆転といったところか。さあ、このまま一気に片づけて……」
そう言おうとしたところで男が蹴飛ばされ次の瞬間には裸になる。後から来た二人も一瞬で倒された。
裸になったことで日光を直接全身に浴び、炭化していく……そうやって倒すのか。
「御堂さんか……」
やはり経験豊富なエージェント、負ける気はしなかったがここまで早くは今の俺にはまだ無理だ。
「四葉さん、ケガはありませんか?」
「大丈夫です」
「これがカゲヤシ、人類の敵です。またこんなことがあってはいけません。彼女のもとへ急ぎましょう」
「彼女?」
「我々エージェントの間では師匠と呼んでいる人です。対カゲヤシ戦に極めて有効な尋常ならざる技を持った達人です……ただ若干人間性に問題があるというか……」
「御堂さん?」
「いえ、何でもありません。とにかく付いて来てください」
そう言われ、着いた先はとあるビルの屋上。
「……いかがわしいお店か何かで?」
「い、いえ……そういう所では……あ、お…お久しぶりです師匠。御堂です」
どうやらあの上のカーテン越しに謎ダンスをしているのが師匠と呼ばれる人物らしい。
「そうね、お久しぶり。最近来なかったからどうしてたのか心配していたわ。どうなのかしら調子は、うん?」
「は、はい……師匠から教わった技を活用し、日々仕事を……」
「仕事の話はどうでもいいの。私が聞いているのはぁ……あっちの方よ」
「あ、そ……それは……」
「フフ……相変わらずなんだから。昔から変わらない……可愛い」
御堂さんと師匠ってアレですか?そういう関係なんですか……と聞いてみたいけど話が進まなそうだし黙っておこう。
「それで、その……今日はこの四葉ユウトさんを……」
「ええ、連絡は受けているわ。素質があるかどうか分からないけれど、やったげる。退屈で死にそうだったし……ね」
「ありがとうございます!ほら、あなたも!」
あの御堂さんがここまで畏まってしまうとは……。
「いいのよ、ハジメテなんだしね……ねえ君、チェリーは好き?私はだぁい好きなの……あなたはどうなの?」
「……どゆこと?僕わかんなーい。ねー聡子さーん、チェリーってなにー?」
「……へっ?あ、あの四葉さん?」
「うふふ……面白い子。気に入ったわ」
「あ、あの~……今日は例の技の伝授を……」
「そういえばそうだったわね……ユウト、そこにある闘技場へ入りなさい。聡子は、こっちへ来なさい」
「……え?」
ああ、やっぱり御堂さん師匠とアレな関係なんすね。
「気分が盛り上がっちゃったの~……さぁ来なさい」
「で、でも今日は……!それに四葉さんもいますし……」
「本当は分かっていたくせに、可愛い抵抗をするわね。ここに来るという事はそういうこと……本当はもう、体がうずいているんでしょう?」
「そ、それは……で、でも……」
体うずいてる事否定しないんかい!?本当にアレな関係なのか?
「来なさい。来なかったら彼には技は教えない……いいえ、もうNIROには協力しないわ。二度と誰にも私の技は教えない」
「それは……こ、困ります……」
「欲しいんでしょう?私の、
「……はい」
「はっきり言いなさい」
「欲しいです、師匠の……
何この茶番?
「はい、よくできました。ではこちらへ……可愛がってあげる……いつものように……ね」
そして御堂さんは師匠の元へと行ってしまいこの場には俺だけが残る。
「さて、私があなたに教える技は一つ。それは……脱衣!」
それから師匠の指導が始まった。彼女が言うには脱衣の技を扱う上で一番重要なのは、相手を脱がしたいとする衝動らしい。体力や技術よりも優先されるべき事だと教わった。
そもそも、その面に関しては俺は最初から自信ありだし、問題なさそうだ。
「脱がしたいという衝動さえあればもう何も怖くないわ。相手がどれだけ厚着だろうが関係ないの……いえ、むしろ脱がしづらい服の方がやりがいを感じるはず。例えば……ピッチリとしたパンツルックのスーツとか……ね」
「あ、ああ!」
途中御堂さんの喘ぎ声が聞こえたりしたが、この指導によって俺も脱衣技を覚える事が出来た。
「あ」
指導を終えて少し経った頃、御堂さんが戻ってきた。
「服が乱れていますよ」
「え、ええそうね……激しい訓練だったから」
訓練(意味深)……まあ深く聞いてやるのはさすがに可哀そうかな。ただでさえ辱めているのに。
まあとりあえず今日はもう帰るか。
秋葉原自警団について
基本はゲームと同じ。主人公も元々メンバーだが、ヒロはメンバーではない。