―AKIBA'S TRIP―   作:ヤマタニ

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 遂に最終話です。


取り戻した日常

「じゃあ元気でな」

「うん、また来るからね」

 

 新生NIROとの戦いが終わった次の日、早速瑠衣は帰る事になったので、その見送りに俺達は駅まで来ていた。

 昨日、俺は瀬那と舞那から血を貰った事で完全復活も果たしたし、体に問題はない。

 

「母さんもごめんね。心配かけちゃったみたいで……」

「いいのよ瑠衣、あなたが無事だったんだから……ユウト、良くやってくれたわ」

「俺一人の力じゃないけどな……瀬那、舞那、優も、誰か一人でも欠けてたら多分、成功してなかった」

「そうね……あなた達も良くやってくれたわ」

 

 妖主の言葉に瀬那と舞那は目に見えて笑顔になり、優も内心喜んでそうな感じに見えた。

 

「やっぱり瑠衣にはユウトが必要なようね……」

「あ、母さん、その事なんだけど……」

 

 お、どうやら瑠衣は妖主に俺に告白して受け入れてもらった事を報告する気だ。さすがに恥ずかしがっているけどここはちゃんと……って事かな。

 

「あら……ユウトもやっとその気になってくれたのね」

「まあ……でも瑠衣だけには構ってやれないのがな……娘全員と付き合ってるわけだし……」

「……今、なんて言ったかしら?」

 

 あれ?何故か俺、妖主に睨まれているような……え、もしかして……。

 

「瀬那、妖主に俺達の事は……」

「あれ、ママに言ってなかったっけ?」

「あー……まあその、アレだ」

 

 俺は妖主に瀬那や舞那とも付き合っている事を伝える……何か、彼女の親に挨拶って感じで気恥ずかしくなる……まあ親なんだけど。

 俺の報告を聞くなり、妖主には呆れた表情になっていく。

 

「これって何かマズかったりします?」

 

 つい敬語が出て、妖主に問いかけてしまう。だが何のことはなかった。

 

「……ユウト、あなたには彼女たちを幸せにできるだけの甲斐性があるのかしら?」

「ん、何を当たり前のことを……そんなものが無かったら付き合ってないな」

「フフ、ならいいわ。ならばちゃんとみんなを幸せにするのよ」

「ああ、わかってる」

 

 どうやら妖主も納得してくれたようだ……。

 

「……どした、優……あー、はいはい、モテる俺が羨ましいんだろ?そうだろ?」

「うるせえな、そんなんじゃねえよ」

「いやー、持たざる者にはわからないかな?彼女がいる事の幸福さが!」

「オマエ、ケンカ売ってんのか!?そもそも普通一人いればいいだろうが!」

「一人……?優、もしかして彼女いる?」

「あぁ?……いないけど」

 

 何だ今の間は……怪しいな。

 

「兄さんは最近鈴と…」

「る…瑠衣ちゃん何言ってるんですか!?」

「余計な事を言うな瑠衣!」

 

 …………え?マジで!?そこ繋がってんの!?

 

「ち、違いますよユウトさん!ただ連絡を取り合ってるだけで……!」

「まあ鈴は基本秋葉原にいるからな……遠距離恋愛と言ったかな?この場合は」

「ち……違いますからぁあ!マスターもなんて事言ってるんですかぁ!」

 

 うーん、きっかけはやっぱりあの時の作戦かな。鈴がエージェントに捕まりそうになった時に優が助け出したってアレだろうな。

 

「そういえば結構な人数が見送りに来てるねユウト」

「確かにな……」

 

 瑠衣の言う通り、今この場には瀬那と舞那、マスターと鈴、しかもマイカと定命までいた……。

 

「うん……何でお前ここにいるの?」

「おや、一緒に戦った仲間じゃないですか。何か問題でも?」

「元、敵じゃねぇか!」

「元、ならいいじゃないですか。それに今の私はあなたの妹さんに仕えてますので」

「マイカが行く場所にお供すると?」

「はい」

 

 そう言えばマイカもだな。なんで面識のない瑠衣たちの見送りなんか……。そんな俺の考えが読まれたのかは知らないがマイカが答えてくれた。

 

「別に……この後の用事で電車に乗るんだから、暇つぶしみたいなもんよ」

「そうか……まあ舞那も嬉しそうだし良いんだけどよ」

 

 舞那はマイカを後ろから抱きしめている状態だ。しかもマイカの頭におっぱい乗せちゃって……少し羨ましい……。そういえばこの二人はいつの間にかすごい仲が良くなっていた……やはり妹同士何か通じ合うものがあるんだろうか。

 

「それじゃ、そろそろ行くわ。二人とも」

「わかってる……それじゃまたね。みんな」

「優、瑠衣を頼むぞ」

「オマエに言われるまでもない……ま、とりあえず……いずれ決着はつける。その時まで精々腕が鈍らないようにするんだな」

「おうよ!」

 

 そうして三人……というより他にも配下のカゲヤシがたくさんいるが、殆どが秋葉原から出て行く。

 

「……さて、そういえばマイカ。何か用事があるって言ってたけど?」

「お兄ちゃんには関係ないよ。スズナちゃんの……友達のお見舞いに病院行くだけだから」

 

 うん?スズナちゃんって聞いた事あるような……ハッ、まさか募金の!?実在していたのか!というかマイカの友達だったのか!

 

「マイカちゃん、アタシも行っていい?」

「うーん、良いと思います。スズナちゃんも人が多いと喜ぶんじゃないかな」

「やった!」

「では私もお供しましょう」

「うんお願い……お兄ちゃんは来ないでよ。スズナちゃんにキモイお兄ちゃんがいるって思われたくないからね」

 

 …………ヒデェ。いや、別に邪魔する気はないよ。優しいお兄ちゃんだからね!

 

「もちろんわかってるよ……じゃあ俺は瀬那とデートでもするかな」

「え?ユ……ユウトが行きたいなら、行ってもいいけど……」

「ちょっと待って!姉さんだけズルい!……けど今日はマイカちゃんに付き合う!」

 

 お、我慢できたな舞那えらいぞ。というか結構葛藤があったって事は本当にマイカの事も想ってくれてるな……。

 

「舞那さんありがとー」

「えへへ……てなわけでユウト、今度はアタシと二人きりでデートしてよね!姉さんもその時は邪魔しないでね!」

 

 これは……今日は譲ってくれたって事かな。

 

「ありがとう舞那……それじゃあユウト」

「ああ、行こうか」

 

 そうしてこの場は解散となった。

 

 

「これからどうする?瀬那」

 

 俺と瀬那は予定通りデートをすることにする。ただアキバだと俺と瀬那が一緒にいると目立ちまくる事もあって別の街に行くことにはする。今回の作戦で集まったオタク達には俺がダブプリと付き合ってるという事は伝えてない……というかそんな事言ったら暴動起こるんじゃないか?

 まあ、それより今回のデートプランだ。

 

「うーん……あ、そういえば来週ってクリスマスだよね」

「そうだな……瀬那たちは何か予定でもあるのか?」

「そうだね……いろいろと準備がしたいし……グッズとかの買い出しとか、とにかくいろいろとお店を回って行こうか」

「お、いいな……多分クリスマスだと瑠衣は来るかな……」

「その日はママも来るから家族で過ごすことになると思う」

 

 家族水入らずで過ごすクリスマスか……確かにいいな。

 

「俺も行って良いんだよな?というか行くぞ」

「ユウトなら歓迎だよ。ママも瑠衣も反対するわけが無い」

「優は来るかな?」

「どうだろ……あ、鈴に会いに来るんじゃない?」

「ハハ、そうかも」

 

 駅で聞いたまさかのカミングアウトに驚かされたものだ。どっちも明言してなくても明らかにわかりやすい反応だったからな。

 

「場所は……マスターの店だったら料理とか良いかもしれないな。そもそも妖主とマスターは兄妹なんだし、瀬那たちにとっても叔父だ。家族で過ごすっていうんなら、それもありだろ?」

「そうだね……後でママに連絡入れて、叔父さんにはユウトから連絡入れてくれる?」

「おう……そういえば昔はクリスマスになる度にリア充爆発しろとか言ってた気がするな……まあ俺はモテてたからノリで言ってただけだけどね!」

「そこ強調しなくても大丈夫だよ……ユウトは十分、カッコいいから」

「お、おう……そうか」

 

 素直にそう言われると照れてしまうな……。

 

「どうしたの……顔、赤いよ?」

「そりゃあ……な」

「意外と真正面から褒めると照れるんだ……そっかそっか」

「う……もういいだろ!」

 

 俺は恥ずかしさを誤魔化すように少し強引に瀬那の手を取り、引っ張っていく。

 

「それよりほら……来週の準備しないと!」

「あ、誤魔化したー……まあいっか。早くしないと時間も無くなっちゃうし」

「そうそう、折角のデートなんだし時間は多くほしいじゃん?だから……」

「うん、行こうか!」

 

 俺と瀬那は手を繋ぎ、街へと繰り出した。

 

 

 

 

 




 これにて完結です。今までありがとうございました。
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