「御堂さんからメールか……次の標的ね」
メールの内容は俺の新しい仕事について、標的はJKV、女子高生の恰好をしたカゲヤシ。男を誘って金奪って吸血してるらしい……そいつを倒せと。
「文面からカゲヤシへの恨みがにじみ出てんなー」
女性といえばいいのに雌とかいう呼称を用いたり、化け物の分際とか……御堂さんも結構危険思想だな。カゲヤシだって人の一種みたいなもんだろ。
「ふむ、制服脱がすには特殊な極意が必要みたいだから師匠に相談ね」
話は御堂さんが通してくれたらしい。俺は早速師匠の元へと向かう。
「あの子から話は聞いているわ。女子高生の制服を脱がす方法……だったわね」
その字面の犯罪臭よ。
「あなたは知らなかったかもしれないけどアレは難易度が相当高いわよ。一見すると簡単そうに見えるけれど、実はとても脱がすのが難しい装備なのよ。乙女の柔肌をを包む神秘のヴェール……それが普通の薄い生地の服なわけがないでしょう?実は、様々な最新技術が惜しみなく注がれた極めて特殊かつ高性能な衣服なの……普通のテクでは……おそらく無理ね」
早口で女子高生の制服について語る師匠。
「ふむ、ところでユウト……あなたは女子高生が好きなの?本心から、脱がしたい?」
女子高生が好きかって?リアルのはそんなに……いや、別に女子高生というジャンルが嫌いなわけでは……。
その長考がいけなかった。
「ダメね、全然ダメ……今のあなたは女子高生の魅力を知らなさすぎる。そんな事では、どんなテクを使っても制服を脱がすことなんて、夢のまた夢ね」
しまった!長く考えすぎて興味ないと思われたか!?
「……まったく、しょうがないわねぇ。あなたにも、女子高生の魅力を理解できる良い方法を教えてあげるわ」
「ほう?」
師匠の話によると、この秋葉原のとある場所で、地方の某有名進学校の正規品の制服を闇ルートで仕入れて販売しているお店があるらしい。その制服のコードネームは『シンディ』。それを手に入れ、誰かに着てもらって観賞せよ……とのことだ。もちろん制服は俺が着るんじゃない。
「女子高生の魅力を理解し、彼女らの柔肌を白日の下に露わにたいという衝動に駆られたら……その時、また来なさい」
「わかりました」
どこで販売してるかは……師匠に訊く以外で見つけだせという事だろう……ならまずヤタベさんだろう。あの人なら何でも知ってそう。
「……え、シンディ……制服?ああそういった商品を専門に扱っている人なら知ってるけど……店閉めちゃったんだ」
「え……」
「あ、この前公園で見かけたよ。まだ細々と商売をしているらしいよ」
あ、なんだよかった。いきなり積んだかと。
「わかった。ありがとうヤタベさん」
「うん、またいつでも相談しにおいで」
本当にヤタベさんは頼りになるなぁ……。
「シンディ知ってる?」
「!?……いえ知りませんけど」
あからさまに怪しいコイツに話しかけてこの反応……ビンゴだな。
「シンディ知ってる?」
「僕知りましぇーん」
「シンディ知ってる?」
「しつこいなキミ、知らないよ」
「シンディ知ってる?」
「なんなんだねキミ、警察よぶぞ!」
「シンディ知ってる?」
「………シンディなんてもんは……知っているに決まっているだろうっ!!」
やっと話が進んだぜ。手間取らせやがって……!
「コードネーム『シンディ』!某有名進学校の制服をボクの流通(企業秘)でアナタにお届けする!マニアがノドから手が出るほどに欲しがるプレミア商品である!」
「で、今も扱ってるの?」
「勿論だバカヤロー!文句あっか!……保存用、観賞用、使用用、それにお客様用を一着ずつ持っています。キミのシンディに対するしつこさは少なからず将来性を感じます。三万で手を打ちましょう」
金ならたんまりある。謎のバイトを斡旋してくれるおっさんやNIROからの給料でな。
「金ならここに」
「……いいでしょう。これが『シンディ』のセットだ」
そう言って未開封の制服一セットを受け取る……冷静に考えるととんでもないことしてるな。
「シンディを狙う者は多い……ちゃんと家に帰ってから開けるんだよ」
「了解ですよ」
後は誰に着てもらうか……と、メールだな……これは!
「おお、愛しのマイラブリーシスターマイカからの呼び出しメールではないか!」
メールの文面は……予備校行かないで秋葉原で遊んでいるのを親に黙ってほしかったら……分かるよねってか……フフフ、恥ずかしがり屋さんめ。俺に会いたい口実だろう。
「待っていてくれたまえ我が最愛の妹よ!」
俺は足早に家に帰っていった。
「ただいま!愛しのお兄ちゃんが帰ってきたぞ!」
「……ウザ、ホントにキモイ!」
四葉マイカ……俺の愛しの妹であり、四葉家最強の戦士でもある。カゲヤシ化した俺ですらまず敵わないだろう。
「まあいいや……で、口止め料にいくらくれるの?」
「可愛い妹にならこの諭吉をあげよう!」
「うっそ、ホントに!?お兄ちゃん、ありがとう!」
ああ、マイカの笑顔が眩しいぜ……!
「優しいお兄ちゃん、アタシは嫌いじゃないよ?……どしたのお兄ちゃん」
「ああ、マイカに頼みがあるんだ……制服を着てみないか?」
「制服?えっと……アタシが通ってる中学校の?」
「このシンディっていう女子高生の制服なんだけど」
「……?よくわからないけど、お兄ちゃんの頼みならいいよ!」
そう言って快く応えてくれる……ああ、天使だな。数分後、着替え終わった妹が呼んでくる。
「似合う……かな?」
ああ、これは凄いたまらん。今すぐにでも襲ってしまいたい……だが俺は紳士。妹のためにも誠実に振舞おう……決して襲おうとしてもマイカに勝てないとかそんなんではない。
「満足した?」
「もちろん」
「……よかった」
はぁ、可愛い天使かようちの妹は。
「それじゃ、またね。お兄ちゃん!」
「ああ」
女子高生の魅力を理解したというより、妹の可愛さを再確認しただけのような気がするが、とりあえず師匠に元に戻るか。
俺が師匠の元へ向かうと、早速師匠が出迎えてくれる。
「女子高生の制服の魅力はわかった?彼女らを裸にしてやりたいという衝動は芽生えたかしら?」
「愚問ですね。むしろ衝動を持て余してるくらいですよ」
「着てもらった女の子が余程よかったのかしら?」
もちろん、とはいえ妹相手に襲えるほど鬼畜じゃない……勝てないわけじゃないよ。だから代わりにJKVを襲うんだ。
その後師匠から制服の魅力を改めて話してもらっているが……もうその説明は必要ないな。
「……どうやらその顔は釈迦に説法、という感じかしら。それもそうよね、あなたはその魅力を十分に理解しているからこそ、ここに来たのよね」
そうそう、だから早く教えてもらいたいな。女子高生の制服の脱衣。
「いいわ、お喋りはここまで……調教に入るわよ。新しいテクを、あなたにあげる。私の下僕を相手にやってみなさい」
そうして出てきたのは女子高生の制服を着た……おっさんだった。
「どうしたの?そんな残念そうな顔をして」
「いや、これ……」
「ホラ、脱がせたいでしょ?おいしそうでしょう?」
「もういい、さっさと始めてください」
もうヤケである。俺はこの変態おじさんに殴りかかった。
「……さっさと終わらせてやる!」
俺はこの空気に耐えられる気がしなかったのですぐにおっさんを脱がした。
「いやぁあぁああぁああぁあぁん!!」
「変な声出すな!」
ともかく制服を脱がすための極意は覚えた……うん、覚えた。
まあ、ともかくこれで後はJKVを見つけ出すだけだな。
俺は秋葉原自警団のみんなと連携しつつ、遂にゴンちゃんとノブ君がJKVを発見したと連絡がきた。場所は駅前、早速向かう。
「あ、ユウト、こっち」
駅前に着くとゴンちゃんとノブ君を見かけたので近づく。サラさんとヤタベさんは仕事だろう。俺達と違って自由に時間を使えるわけじゃないからな。
「早速でアレなんだが……わりぃ、見失っちまった。ほら、駅前はホラ、人の行き来が激しいじゃん?それに結構入り組んでたりするし……わかるだろ?できるだけゴンちゃんと追ったけどダメだった。いや、ホントに頑張ったんだぜ?だから…」
「それよりもまたJKVを発見する方法を探さないと」
「ゴンちゃんの言う通りだノブ君」
そうだな。ノブ君の言い訳を聞く暇があるならそうするだろう。
「でもまた、この街中走り回って見つけるのも大変だぜ?」
「うーん……あ、そういえばさ、あのJKVって、お金持ってそうな男の人に声掛けまくっていたよね」
「そういえばそうだな……俺達は無視したくせに、ビシッとしたスーツを着た男とかには……待てよ?あの例のオヤジ狩りの犯人だから、それで金持ってそうな奴を……」
「じゃ、逆に考えればさ、お金持ちそうな恰好をしていれば向こうから寄ってきたりするんじゃないかな?」
ほういい考えだゴンちゃん。
「よし、じゃあ俺はスーツとかでも着てくるかな」
「ああ、普通にスーツ買うのは高いから偽ブランド品で十分だと思うぜ」
「あ、いいねそれ!」
よし、確か中央通りにそういった店があったな。
俺は早速偽ブランド品スーツに着替えて、また駅前と向かう。
「お、決まってるじゃねえか。偽ブランド品には見えないな」
「うん、十分カッコいいね」
「まあ俺がカッコいいのは当たり前として、俺はその辺をうろうろしていればいいかな?」
「僕たちは遠くから見守っているよ」
というわけで俺は駅前周辺を歩く……すると女子高生の制服を着た娘が近づいてきた。
「ねぇねぇ、そこのお兄さん。ちょっと……私と遊ばない?」
来たか……恐らくこいつがJKV。
「安くしておくからさぁ……サービス、一杯してあげるよ」
「うむ」
「やったぁ!それじゃ、いい場所知ってるから行こっか」
「イヤだ、ここでヤろう」
相手の思う壺にはならないのさ。
「え!?こ、ここで!?ちょっとなにそれ……真っ昼間のこんな人通りの多い場所で……アンタ一体どんな趣味してんのよぉ……」
ここですかさずファイティングポーズ!
「え、あ、ちょっと、ちょっと待って……ちょっとマジ~……なんでそんなヤる気満々なわけぇ……」
「さあ……存分にヤろうじゃないか!」
「……ん、アンタその構え……まさかエージェント!?」
おっと、脱衣の技の構えはエージェント共通なのか。
「……誘われたのは私の方だったってことかしらね……いいわ、相手になってあげる」
「そうだ……来い!」
「みんな来て!こいつを脱がすわよ!」
「え……」
JKVがそう言うと、女子高生のの制服を着た彼女の部下が四人来る。
「ちょっと五対一って聞いてないんですけど!?」
「フン!人を誘き出しておいていざ戦いになると弱腰になるの?」
グッ……面倒だが、やるしかない!
「「はあっ!」」
まず二人の部下が左右から向かってくる……時間差で前後からももう二人……囲まれるのはマズイな……なら!
「とおっ!」
「「!!」」
まずは左右から来た二人を引き付けてから地面に気を込めた拳を叩き込み、衝撃波を拡散。俺はそれを利用し後ろへ跳躍、包囲網を抜ける。そしてあの二人は衝撃波を食らわせ吹っ飛ばす。
「不可解な技を……!」
「まず後ろにいた……お前だ!」
「!」
俺は後ろから向かってきた奴の制服に手を掛け、一気に脱がした。
「そんな!?こんなにもあっさり……!」
「一気に行くぜ!」
俺はその後も襲い掛かる女子高生の姿をしたカゲヤシをどんどん脱がしていく。瞬く間にJKV以外は倒し終えた。
「後は……お前だけだ」
「くっ……!」
JKVは俺に向かって行き、鋭い蹴りを放つ。
「お、速いな……だが、阿倍野優ほどじゃあ……ない!」
「え……キャア!?」
俺は蹴りを躱しつつ、衝撃波を食らわせる……阿倍野優だったらガードが間に合っていたぞJKV!
「くっ……ここは一旦……!」
「逃がさん!」
俺はカゲヤシに敵対意識を持っているわけでもなければNIROの命令に従う気もない……しかし今、NIROを裏切ることはできない。それにこの女はもしかしたら自警団の誰かを襲うかもしれない……それは許されないことだ!
「……そんな!この制服が……脱がされるん……な…んて……」
俺はJKVの制服を脱がし、彼女を討伐した。
「あ、お疲れ様ユウト。格好良かったよ」
「うん、まったくだ……何でかわからねえが、不思議と胸がスッとしたぜ」
「あ、そうそう。ユウトが無事JKVを倒したって御堂さんの方に連絡しておいたよ」
さてこれで今回の任務も終了かな。
「さーて、飯でも食いに行くか!ノブ君、ゴンちゃん」
「お、そうだな!」
「うん!」
仕事を終えた俺達三人は、飯を食いに行くのだった。
四葉マイカ
主人公、四葉ユウトの妹であり、四葉家最強の戦士。恐らく師匠と並んで作中最強。原作と同じで守銭奴。