終末世界の壊れた神機使い   作:真鳥

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1 新しき世界

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゴッドイーター3、全部のコンテンツ、ストーリーともにクリアをした。

 

 次はクリアデータ使って最初から強くてニューゲームだ。

 

 じゃあニューゲームを選択して、また始めて行こうか。

 

 さてさて、まあ何回もプレイしたわけだし、操作もだいぶ慣れてかなり自信あるんでここは思い切って……女性キャラで行こうか。

 

 今まで男アバター使っていたが、今度は女アバターにしよう。

 

 アプデのおかげでゲーム内でも自由にキャラクリ出来るけど、ずっと同じキャラだったからな。愛着あったから、終ぞ弄らず仕舞いだった。

 

 今回は最初からじっくりストーリーやるし、長時間ひたすら男の尻眺めるより新鮮な女の子の尻眺める方がいい。どうせ男女で能力値の違い出ないし。がっつりイケメンもいいけど、きゃわいい女性アバターも萌えるね。

 

 さて序盤ストーリー導入が終わり、キャラメイクだ。髪は一番長いロングヘアーを選択。色はちょいシルバーラベンダー系の紫色のグラデーション。エクステの紅い付け毛を真ん中とサイドにふわり。眼付き鋭く、瞳の色はゴールデンイエロー。凛々しくも可愛い頼れる強気な女の子の見た目で。スキンカラーは褐色、あまり濃くはせずこんがり艶々な小麦色で。うーむ、凄くえっちぃ。タワワなバスターバインがバインボインが堪りませんねえ。

 

 おっとアクセサリの眼帯を忘れてはならない。左眼に装着。うむうむカッコ可愛い見た目だ。

 

 声は勇しくも優しみのあるバリトンボイス姉御系。くっ、殺せっ、とか似合いそうだ。

 

 まあだいたいこんな感じかな。ゲーム内でもいろいろと名前も容姿も自在に変更する事も出来るので、また弄るかもしれんが。

 

 さてさて、オレはヴァリアントサイズとヘヴィムーンとバイティングエッジしか使ってなかったからな。銃はスナイパーとレイガンのみ。盾はタワシ一択だったから、多分今度もそれになるだろう。

 

 一応、使う神機はそれぞれ+60まで強化してあるから引き継ぎも問題ない。

 

 アイテムもプラグインスキル諸々も自分が使い込んだバーストアーツもOK。

 

 さあさあ、改めて始めるぞっ! ゴッドイーター3ッ!! 

 

 オレはコントローラーの決定ボタンを押し、キャラクリエイトを完了した。

 

 その瞬間、オレの意識は暗転した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近未来、あらゆるものを「捕食」する謎の生命体「アラガミ」にその大部分を食い荒らされ、世界は崩壊の危機にあった。

 

 生化企業フェンリルが開発した生体兵器「神機」を扱うことができる「神機使い」通称"ゴッドイーター"だけがその脅威に抗う唯一の希望となっている時代。

 

 しかし、人類は未知の厄災「灰域」の発生により、さらなる滅亡の危機に陥っていた。

 

 辛うじて生き存えた人々は各地で通称「ミナト」と呼ばれる地下拠点を建造した。

 

 人間たちは「灰域」への高い耐性を持つ「対抗適応型ゴッドイーター(Adaptive God Eater)」通称“AGE”という兵士を造り出し、地表を覆う脅威に抗い続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その少女は、とある小さな廃棄された施設の拠点跡の村で生まれた。

 

 生まれてから暫くの間、少なくとも10歳を迎えるまでは、特筆すべき事はない平穏な人生だった。

 

 アラガミ────―そう呼ばれる怪物がいたるところに闊歩し人々を脅かす存在がいる以外は。

 

 父親は正規のゴッドイーターではなかったが、村で唯一のまともにアラガミと闘える戦士だった。母親もまた父ほどの資質はなかったようだが神機使い夫婦として、村の安全を護り通した。だから娘である彼女は、この生活が続いて行き、いずれ自分は両親と同じゴッドイーターになるのだと疑いもしなかった。

 

 オレはゴッドイーターの世界に転生していた。

 

 気が付いたら赤ん坊になっており、オギャアと泣いていた。

 

 ここがゴッドイーターの世界だと暫く経ってから気付いた。何故なら神機を両親が所持していたからだ。後は村に時折り襲撃する怪物、ゲーム内で見かけるオウガテイルやなんやらアラガミそのものだった。

 

 オレは歓喜した。オレは大好きなゴッドイーターの世界に転生した。何故転生したかは謎だが、些細なことである。ここがゴッドイーターのどの世界線かはよく分からないが、国的にはヨーロッパらしい。みんな外人で日本語じゃなかった。

 

 極東で無いのは、まあいい。問題なのはオレがゴッドイーターになれるかどうかだ。この村は廃棄された施設を利用してサテライトぽいバラック小屋を幾つか繋いで出来ている。

 

 そこに明らかにターミナルらしい機械があったのに興奮した。

 

 ターミナルを使えるのは神機使いの両親の二人だけだったが、だいぶ壊れているようでアーカイブは見れないらしかった。残念。ちなみに両親は第二世代型だった。羨ましい。

 

 あと、神機には絶対に触らせてはくれなかった。どうやら施設の設備が壊れてるのでメンテナンスが上手くいかなく不安定だと愚痴っていた。

 

 なるほど。暴走したり、所有者以外を侵食する、という設定のあれか。だから自分たちでやるしかないのか。いつか自分の神機が欲しいなぁ。そしてアラガミをバッタバッタ倒してオレつえーしたい。

 

 オレは漠然としながらも、呑気にそんなことを思い描いていた。

 

 オレは何も分かっていなかった。

 

 この終末の世界がどれほど絶望と隣り合わせで有ったのかを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある日、その人生は唐突に終わりを告げた。なんて事はない。いつもの如くアラガミが襲撃してきたのだ。

 

 大量に。大群で。

 

 二人の神機使いでは、どうにもならないぐらいの数が押し寄せた。

 

 父親は大型のアラガミに挑むも、無惨に殺された。逃げ惑う村人たちは次々喰われ、母親は自分を逃すためにオトリになり、目の前で頭から喰われた。

 

 オレは母親の返り血で真っ赤に染まりながら思った。

 

 ああ、もう終わりか。始まる前にゲームオーバーとは。

 

 その時、何処からか複数の両腕に腕輪を装着したゴッドイーターたち『AGE』が現れ、自分は助かった。この時、ここがゴッドイーター3の世界だと初めて理解した。

 

 ────―ただひとりの生き残りの少女であるオレは、かくして牢に繋がれた。

 

 酷い話ではあるが、命は助かった。ただそれだけのことに過ぎなかった。こんなことは日常茶飯事なのだ。

 

 問題は、そのミナトがペニーウォートでは無かったことだった。

 

 そこのミナトの連中は、自分達なら上手くやれると、細々と物資を流用し利用し、周りのミナトに傭兵としてAGEを貸し出し、成り上がれると本気で信じ込んでいたのだろう。

 

 気概だけは見事な心構えであったろうが、このアラガミが支配する混沌の世に覇を唱えるぐらいは妄想していたのかもしれない。

 

 その目論見に、どの程度の打算や勝算が存在したのか、分からない。

 

 そしてオレは念願のゴッドイーター、AGEになった。

 

 何人かの自分と似たような男女が子供含めて数人。ただ問題もあった。看守たちはオレたちを牢から出し、アラガミと強制的に戦わせた。

 

 そしてオレたちを名も無きただの人形として扱った。オレはそのまだ幼い身体を看守たちの慰み物とされた。そして飽きると牢へ送り返した。その繰り返しが日々の日課となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何年か月日が経った。運良く生き残ったAGEたちは僅かだった。かつてここに連れてこられたオレは変わらず酷い扱いを受け続けていた。

 

 今のオレはキャラメイクでクリエイトした女キャラだ。皮肉にも眼帯は飾りではなくアラガミにやられたから着けている。

 

 新しい神機使いの女もオレと同じように弄ばれていたが、この前、アラガミ討伐の最中に自分からアラガミに喰われに行って自殺した。

 

 オレたちは逃げる事は出来ない。二つの腕輪が身体の制御を管理している。少しだけ自由の権限があるのは戦闘だけだ。その隙をついて敢行したらしい。止める暇も無かった。実に呆気ない。

 

 残ったただひとりの女のオレは、もはや人ではなく、看守たちの性処理玩具と成り果てていた。他の仲間たち、戦闘メンバーの埋め合わせにしか過ぎない名前も知らない連中は、自分のことで精一杯でいつも見て見ぬ振りだ。わざわざ助ける者などいない。誰も彼も知らぬ存ぜぬだ。こっぴどい懲罰を受けるから。そんなもの、もう慣れたものだ。

 

 そんな腐った死肉に集る蛆虫な生活を送るうち、オレは何時からか己の身体を鍛え出した。

 

 オレは思い知ったのだ。オレは主人公じゃなかった。ユウゴたちはいなかった。ここはペニーウォートではない。同僚のAGEたちは自分が生き残るのに必死だ。他の奴らに気を回す余裕は一切ない。それはオレも同じだ。だったら信じれるものは、頼れるものは己だけだと。誰かが何とかしてくれるなどという期待を抱くのでなく、自分の力で何とかしなければならないのだと。

 

 幼少時代、GE崩れの父親から無理にせがみ、習ったおざなりなお遊びな鍛練法。それを思い出しひたすらトレーニングを繰り返し、看守達に身体を敢えて許すことで代価として充分な食事を得、筋肉を付けて行った。

 

 何時か必ずここから逃げ出せる時が来る。その時鍛えた身体は役に立つ。そう思って鍛える事だけが、オレの精神を、心を繋ぎ留め、守る事にも繋がっていった。

 

 日に日にアラガミとの戦いで逞しい体つきになっていったが、看守達は構わずオレを慰み物としていた。鍛えられ、女として魅力的な豊満な肉体となってゆくオレの身体を貪り、穢すことで、常日頃の鬱屈していたものを晴らしていたのだろうか。

 

 支配者が変わったようだ。看守長は脂ぎったデブ親父になった。舐め回すように下衆な視線でオレの褐色の躰を見てくるクソ豚だ。看守たちの顔触れも変わった。だがやる事は変わらなかった。それは、オレも看守達も。

 

 そうして月日と支配者、オレを犯す者達の顔触れが移ろっていたある日の事。オレは、ついに行動を起こした。

 

 日頃の行いが、よほど良かったのだろう。あるいは極端に悪かったのだろう。その日、灰嵐が起きた。

 

 喰灰の暴風が近くまで広がり、戸惑い慌てる看守達。

 

 取るものも取らず急ぎ我先にと逃げ出す。こういう時は牢を開け放ち、勾留したAGEたちも逃がすのが定法であるが、彼らはそれを守らず逃げ出そうとした。無抵抗の女を犯すような連中だ、そんな決まりを守るはずもない。

 

 そして牢の外、看守長の部屋でいつものように肉体奉仕していたオレ。騒ぎに感付き、待ちに待った機会、絶好のチャンスシーンを逃さなかった。

 

 慌てふためき、着の身着のままで半裸で逃げ出そうとする看守長。オレはそんな看守長とは対照的に落ち着いて行動した。

 

 自室に連れ込み、軋むベッドの上で自分を所有物のように組み敷いていたデブった看守長。騒ぎを聞いて自分の身体の上から慌てて出荷されるこれからハムにされる贅肉を跳ね起き逃げようとする雄豚の頭を鷲掴み、後ろに引っ張ると同時に足を払って蹴り倒す。そして────―

 

 思い切り首を踏みつけた。

 

 余った肉越しに鈍い音がしておかしな方向に首が曲がり、大きく痙攣して動かなくなった看守長。屠殺した豚の死体に構う事なく、コイツが着ていた衣服と銃器、装備、そして腕輪のアクセスキーを奪い解除し、外に出た。

 

 外に出ると右往左往する看守達を、看守長から奪った銃で片っ端から撃ち抜いてやった。弾がなくなっても鉄の塊であるそれで殴ればダメージは生まれるし、オレの筋力とゴッドイーターの力ならば致死の一撃となった。

 

 殺す。また殺す。逃げようと這い蹲る背中ごと踏み抜き、へし曲げて殺す。掴んだ顔面ごと壁に叩き付け減り込ませ、トマトみたいに潰す。そんなものでは気が晴れない事は承知の上だった。だが、そうしなければならなかった。そうせねば自分の怒りが収まらなかった。

 

 無論皆殺しだ。目に着く看守どもをこれでもかと、銃殺し、殴打し、縊り殺す。そうして、粗方殺し尽くし、その場から離れ神機格納室に赴く。慌てていたのだろう、開錠されたまま杜撰な管理で並べられた神機。その中から自分の相棒の神機を手にすると、一目散に走り出した。

 

 育った村も、過ごしたミナトも、残った他のAGEたちも、振り返りはしなかった。灰嵐の渦が強くなる中、オレを追って来る者はいなかった。

 

 自由になれた喜びなのか、見捨てた仲間たちを失った悔恨が今さらやって来たのか、耐え忍んできた苦しみが噴き出したのか。後から後から涙が大量に溢れた。

 

 オレは涙を流した頬を拭い、灰乱の波に呑まれるミナトから逃げ出した。ひたすら遠くへ、遠くへと。

 

 ふと、振り返ると、もうミナトは暗い喰灰の渦に沈んでいた。

 

 心は揺れなかった。心の中には何も残らなかった。

 

 もう命令されることも慰み者にされることも逃げる必要もない。むしろ、清々しく感じた。胸の中が空っぽなくらいに。そんな安堵を感じた。追ってくる者がいれば、ブチ殺せばいい。

 

 次いでオレは気付いた。自分には活計がない。当たり前だ、廃村で育てられそこからは牢に繋がれていた。自分で稼ぐ術など身に付けてはいない。

 

 持ち出した資金も無限にあるわけではない。これを元手に何かせねばならない。しかし自分にあるものと言えば────―

 

 あるではないか。アラガミどもで鍛え続けたこの肉体が。神機が。オレはゴッドイーターだ。この身体を活かせる職業は何か。アラガミを狩る傭兵か? いや、もうあの看守共と似たり寄ったりの連中に囲まれて過ごすのはうんざりだ。ならどうする。いっそミナトや行きずりの船を襲って盗賊にでもなるか。

 

 どうしたものか、と思い悩む。

 

 思考していると、周囲にアラガミたちが現れ、此方にジリジリにじり寄ってくる。

 

 まぁ、いい。時間はある。

 

 これからゆっくり考えよう。

 

 オレはヴァリアントサイズを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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