今日、わたしはまた、カフェフロリアンに来ています。
そうです。
今日はまた「
何だかとっても素敵な事が起こりそうで、何だかとっても楽しみだなあ……。
「さあ、みんな揃った事だし、始めましょうか?」
「おーっ!」
「って、コリャ灯里。掛け声のフライング禁止!」
「えーっ?」
「灯里先輩。でっかいテンション高めですね?」
「そう?」
「まあ、いきなり突っ込まれるのは、いつもの灯里先輩とも言えますが……」
「オホン! とにかく、いつものように、元気良く!
「「おーっ!」」
「うーん、元気があってよろしい! ……と、言うことなんだけれどもさ、今日は後輩ちゃんからの議題って事でいいのよね?」
「はい、実はですね……」
「どんな議題なの?」
「いやだから、それをこれから発表するんじゃないのよう!」
「灯里先輩、何だか今日はやけに食い気味ですね」
「だって、何だかとってもいい議題な気ががするんだもん」
「そう? 私は嫌な予感しかしないんだけど……」
「まあ、どちらかというのは何とも言えませんが、それでは早速……」
ガサゴソ……
「ん? 何か物に関する議題?」
「はい、これです」
コトッ、コトッ
「うわあ、素敵なラッピング!」
「箱が2つ? 何なのこれ?」
「はい、これぞ今日の議題、『箱の中身はなんだろな? でっかい忘れてしまったのでみんなで考えよう!』です」
「……はっ?」
「ほへー……。でも、どうして?」
「はい。実は去年、閉店セールをやっていた雑貨屋さんで、これらを買ったようなのですが、しばらくしてから誰かに渡そうと思って、クローゼットにしまっていたようなのです」
「ふうん……それで?」
「私としたことが、忙しさのあまり、箱の存在をでっかい忘れてしまっていまして……。最近になって、まぁ社長により発見された、という経緯です」
「そんなの、自分で買ったんなら、自分で開けて見ればいいんじゃないの?」
「そうなんですが、明らかに自分用ではない上に、何だか自分ではでっかい開けてはいけないような気がしまして……」
「何よそれ。まさか、危ない物でも入っているんじゃないでしょうね?」
「いいえ、そんな事では無かったと思いますし、そもそも買ったのが雑貨屋さんですから……」
「その、お店の人とかには聞いて見たの?」
「いえ、閉店セールという事でしたので、もうお店自体がやってはいないものと……」
「ええっと……ねえ、後輩ちゃん?」
「はい、何でしょう?」
「もしかしてなんだけど、それってリアルト橋の近くにある、路地裏のお店じゃない?」
「はい、そうです! ご存知でしたか?」
「うん。まあ、何ていうか……あそこはね、一年中閉店セールやってんのよ」
「ええっ!?」
「あーっ! あのお店かあ。わたし、一体いつ閉店するんだろうって、ずっと思ってたんだ」
「一応『閉店』はしてるのよ? ただ、頻度がその……ほぼ毎日、っていう事らしくて」
「毎日!?」
「あっ、それはつまり……毎日閉店、ガラむぐっ!」
「恥ずかしいセリフ、禁止!」
「ふぇーっ?」
「どっ、どうしたんですか? いつに無く、鋭く素早い突っ込みでしたが……」
「だってこの場が、冷えっ冷えの、カッチカチに凍りつきそうな雰囲気だったんだもの。とっさの回避行動を取っただけよ」
「はあ、そうでしたか。しかし、毎日のように閉店と言うのは、看板に偽りあり、というものでは?」
「あら、別に閉店しようがしまいが、買いたい物が安けりゃ何だっていいじゃないの」
「でも、閉店セールって言われると、ついつい買いたくなっちゃうよねー」
「そうね。現に、こうしてお買い上げされた方が、ここにいるんですものねぇ」
「む。買った事自体はいいのです。問題は、私が何を、誰の為に買ったのか、なのですから」
「ま、そりゃそうだけどさ」
「レシートとかもないの?」
「はい。年末に全部捨ててしまいました。買った日も曖昧ですし、店員さんに聞いたとしても、さすがに覚えていないのではないでしょうか?」
「うーん、手掛かり無しかぁ……」
「でも、この箱って、ふたつとも、素敵な包装がされてるし、リボンがかかっているって事は、誰かへのプレゼントなんじゃないかなぁ?」
「確かに。では、アテナ先輩へのプレゼントだったのでしょうか?」
「それも素敵だけど、リボンも、ひとつは赤で、ひとつは青だから、誰かふたりの為に買ったんじゃない?」
「そうすると、同じ大きさなので、中身も同じような物かもしれませんね」
「うーん……後輩ちゃんがふたりにプレゼントねえ……二人にプレゼント、赤と青のリボン……んんっ!?」
「どうかされましたか? 藍華先輩」
「何か思い浮かんだの?」
「ふっふっふ。皆の者、良く聞くがいいわ」
「何ですか? 急に中世の偉い人風な……」
「まあいいから聞きなさいよ。うぉっほん! ……さて、そなた達は、来たる2月2日が何の日だかを、当然知っておろうな?」
「……ほへ?」
「ええっと……何の日でしたっけ?」
「ちょっと! ふたりとも知らないって……ああ、えーっと……まあ、
「うーん……あっ!」
「そうよ! 思い出した!?」
「確かその日は、記念日だよね?」
「うん! そう! 灯里良いトコ行った!」
「その日はというと……」
「うんうん!」
「『夫婦の日』じゃなかった?」
「う……うん? あれ?」
「だから、アリスちゃんの、ご両親へのプレゼントなんじゃないのかな?」
「なるほど! そういう事だったのですか!」
「いや、あの……」
「ただ、夫婦の日というのであれば、どちらかと言えば、11月22日の、『いい夫婦の日』の方がしっくりくるような気がしますが……」
「そうかあ。じゃあ違うのかなぁ……」
「そ、そうよ! あのーホラ! もっと違う記念日があるでしょ? なんていうか、こう、私達ぐらいしか知らないようなさ」
「私達ぐらいしか知らない……はっ!? そういえばその日は……」
「そう、きっとそれよ! 後輩ちゃん!」
「あ、あの……『にゃん、にゃん』だから、その、ね、『猫の日』ですよね!」
「……はい?」
「アリスちゃん、それは『にゃんにゃんにゃん』で2月22日だよー」
「ああっ!? 私としたことが、でっかいうっかりでした」
「……」
「うふふ。でも、さっきのアリスちゃん、猫のマネまでして、かわいいかった~」
「あ、あの……その……忘れて下さい」
「ちょっと! 話がズレてるじゃないの! ああもうホラ! 他にあるでしょう?」
「あはは……そうだよね。そういえばその日は、『にん、にん』でニンジャのむぐッ」
「あのさぁ、灯里。私が言いたいこと、何だか分かるかしら?」
「むむーっ!」
「藍華先輩……目つきがでっかい怖いです」
「いい? 後輩ちゃん。灯里はともかく、次変なことを言ったら、どうなるか、わかってんでしょうねえ……」
「えっ!? いや、あの……ええっと……あっ!」
「うふふ、わたしも分かっちゃった」
「ふふん、やっと分かったようね」
「1月30日が灯里先輩のお誕生日ですから、その3日後の2月2日というのは、藍華先輩のお誕生日、という事ですね?」
「やったあ。アリスちゃん、正解でーす!」
「いやいや待ってよ! どういう思い出し方なのよ? あたしの誕生日は灯里のついでなワケ?」
「えっ? それはその……は、早く来る方から覚えている、というのは世の常ではないかと……」
「たしかに、入学式の前に、卒業式の事なんて、考えないものねえ」
「いや、私はそんな遠ーい話はしてないでしょう? たかだか3日しか違わないんだから、年長者である私の方を中心に覚えときなさいって話よ!」
「ですから、たまたまそういう覚え方をしていただけで……」
「分かってるわよ! でも、やっぱりこの中でお姉さん的な立場の私が、灯里のついでみたいになってんのは悔しいの!」
「ま、まあ、藍華ちゃん落ち着いて。それはそうと、もし私達のプレゼントだったとしたら、嬉しいよねぇ」
「いえ、たった今しがた、ほぼ完全に思い出しました! これは先輩方のお誕生日プレゼントとして買った物だったのです!」
「えっ? 本当にそうなの?」
「ありゃま、言ってみるものねえ」
「はい! ただ……」
「ただ?」
「閉店セールをやっていたお店で買った物だ、ということをモロにお話してしまった手前、これを差し上げるのはちょっと……」
「そんなことないよ。アリスちゃんが私達の為に選んでくれたんだもん」
「そうよ。さっきも言った通り、安くて良い物が買えたんだったらいいじゃないの」
「そういうものでしょうか?」
「そういうものだよ」
「わかりました、そこまでおっしゃって戴けるのであれば、どうぞお受け取り下さいませ、先輩方」
「わーひ!」
「ありがと。とりあえず、私は赤いリボンの方を貰えばいいのかしら?」
「はい、確かそういう風に分けた物かと」
「今開けていいかなあ?」
「勿論です」
「気が早いわねぇ。でもまあ、中身が何なのかも気になる所だし、私も早速、開けさせて貰おうかしら」
「……あれ?」
「うん?」
「どうしたの? アリスちゃん」
「いえ、何だか、このプレゼントに関して、でっかい何かを忘れているような気がしてきたのですが……」
「何よそれ?」
「ねえ藍華ちゃん、ふたりいっぺんに開けてみようよ」
「そうね、じゃあ行くわよ!」
「……はっ! やっぱり今開け……」
「「せーのっ!」」
「ああっ!」
ポンッ!
「うきゃあっ!!!」
「藍華ちゃん!?」
バタンッ!
「へぶっ!」
「……」
「……」
「は、はへー……」
「あ、ああ……」
「……」
「はっ!? そう言えば」
「は、はへ? どうしたの? アリスちゃん」
「あ、あの……すみません先輩方、私このあとお客様のご案内があったようなのを思い出しまして……」
「えっ? アリスちゃん?」
「と、言うことなので、私はこれで失礼いたしま…」
ガッ!
「ヒッ!」
「あらぁ、後輩ちゃん……」
「は、はいっ」
「確か昨日はぁ、『午後はお休みなので、一緒にお買い物でも』ってぇ……言ってなかったかしらぁ?」
「えっ? あ、あのう……そ、それはですね」
「どちらにしろぉ、ウソはいけないわよぉ……。ねぇ、灯里?」
「えっ!? は、はひっ!」
「ええっと……それはそのぉ……何と言いましょうか……」
「後輩ちゃん……」
「はいっ!」
「そのままぁ、ゆーっくり、こちらに振り返ってみましょうか?」
「いや、あの、やはりですね、人生何事も常に前向きにというキャロル家の家訓を大切にしている私にとっては後ろを振り返るというのはその……」
「あ、あの、アリスちゃん。い、今は、そういうことは言わない方が……」
「そうよ……。でもそれはぁ、後輩ちゃんも、わかってる、わよねぇ……」
「わ、わかってます、わかってます! そ、それではその、う、うし、うし、うしろをふり返り……えいっ」
クルッ
「……」
「あ……あ……ああっ……」
「覚悟……出来てるんでしょうねぇ……」
「あーっ!!!」
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「……つまり、ちょっとしたサプライズで、私の方だけびっくり箱にしていたと、そういう訳ね」
「はい、でっかいすみませんでした、先輩方」
「そんなあ、気にしなくていいんだよ、アリスちゃん」
「いや、あたしのセリフ言うの禁止」
「あはは……そうだったね」
「まあいいわ、悪気があった訳じゃないんだし」
「はい、ちょっとした冗談のつもりだったのですが、まさか藍華先輩が、あそこまで大きなリアクションを取られるとは思ってもおらず……」
「綺麗に倒れたものねえ……。きっと、神様の気まぐれだよ」
「なるほど、つまり神がかったリアクションという事ですね」
「いや、リアクション芸人じゃないし、なんか笑いの神が降りてきた、みたいなのやめてよ」
「それよりも、プレゼントありがとうね、アリスちゃん」
「あの、気にいって戴けたら嬉しいのですが」
「そうね、後輩ちゃんにしては、お子ちゃまじみてない、いいチョイスだったわ」
「うん、早速使わせて貰うね」
「じゃあ、次の後輩ちゃんの誕生日、私と灯里からのプレゼントを仕込んでおかなきゃいけないわね」
「うん」
「あの、仕込むというのは一体……」
「ふふふ。期待して待っててね♡」
「目が笑っていないのが気になりますが……た、楽しみにしています」
「えっと、確か後輩ちゃんの誕生日は……確か、21月1日よね?」
「いや、あの……それは裏誕生日でして……9月1日です」
「藍華ちゃん、意外とうっかりさんなんだね」
「なっ……あによ、冗談よ、冗談」
「冗談? どういう?」
「ああ、もういいわよ! もう疲れたから、今日の会議はこれで終わり!」
「あはは……。でもアリスちゃん」
「はい」
「今日はアリスちゃんのおかげで、天使さんから素敵な宝物を貰ったみたいな気分になったよ。今日は、3人にとって、素敵な誕生日お祝い記念日になったね」
「恥ずかしいセリフ、禁止!」
「えーっ?」
「結局、灯里先輩への突っ込みに始まり、灯里先輩への突っ込みで終わりましたね」
と、いうことで、私と藍華ちゃんは、思いもよらずアリスちゃんから素敵なプレゼントを貰いました。
肝心の、プレゼントの中身ですが、藍華ちゃんはヘアピン、私は髪留めのセットだったんです。
早速つけてみたのですが、可愛らしくて、とっても素敵な感じです。
プレゼントを貰うのって、それだけで、まるで宝箱を開けるような、嬉しさ半分、ドキドキ半分の、とっても素敵な気分になるよね。
灯里さん
お誕生日プレゼントをつけた灯里さんの写真、とっても素敵だね!
私も灯里さんの誕生日プレゼントを送ったから、楽しみに待っててください。
ビックリして、椅子ごと倒れないように、注意してくださいね、うふふ。