ついに、ついに、3人の合同特訓の成果を見せる、お客さまのご予約の日がやって来ました!
その時の様子は、添付された動画をご覧あれ。
是非、感想を聞かせてね!
ところで、先週はメールのお返事をもらえなかったけど、忙しいのかな?
そういえば、もうすぐ学校のテストだって言ってたものね。
お返事はテストが終わった後でいいので、体調に気をつけて、勉強頑張ってね!
「……あら? アリシアさん?」
「まあまあ……。この前は、突然お電話をしてしまいまして、どうも申し訳ありませんでした」
「いえ、私達のワガママなお願いのせいで、こちらこそすみませんでした。でも、どうしてアリシアさんがこちらに?」
「ええ。灯里ちゃんから『観て欲しい物がある』と言われて来たのですが、まさかお二人がいらっしゃるなんて……。どう言う事なんでしょう?」
「それはこっちのセリフですよ、アリシア理事」
「アリシアちゃ~ん、お久しぶり~」
「あらあら、晃ちゃんに、アテナちゃんも?」
「(ねえ、もしかして、あの三大妖精?)」
「(うん! 凄すぎ!)」
「私達を呼び出すだけならまだしも、お客様をこんな所に待たせるとは……。一体アリシア理事様は、現役時代、灯里ちゃんにどんな教育を?」
「それが、私も今来たばかりで……。お客様、どうも申し訳ありません。灯里ちゃんに代わってお詫びを……」
「ああ、私達の事は気にしないで下さい。観光案内はもう終わっているんです。とっても楽しいクルーズでした!」
「ええ、もう大満足! 私達はいま、素敵なものが観たくて、待っていただけなんです。灯里さんは悪くないんですよ?」
「素敵なもの、ですか?」
「しかし、呼び出した張本人達はどこだ?」
「アリスちゃ~ん、どこなの~?」
「……あっ、皆さんお揃いですね!? 今日は、わざわざありがとうございます!」
「灯里ちゃん、一体どういうことなの?」
「はい。こちらのお客様に、是非とも観ていただきたい物があるのですが、せっかくなので、お三方にも是非観て戴きたくて……」
「それって、もしかして……」
「はい。あの魔法……と、言いたい所でしたが、やはり、わたしには無理だということが分かりました。お客様のご期待に添えず、申し訳ありませんでした」
「灯里ちゃん……」
「なので、その代わりと言ってはなんですが、これから皆さんに……。皆さんに、ええっと……」
「うん?」
カサカサッ……
「そ、そうだ『三人のまじかる少女Aが織り成す、ぽっぷできゅーとな、みらくる☆まじっくしょーたーいむっ!』をお見せしたいと思います」
「「「「…………」」」」
「あ、あれ……? 皆さん?」
「こりゃーっ、灯里ーっ! 恥ずかしいセリフ、禁止!」
「藍華?」
「えーっ? だってこれ、藍華ちゃんが言いなさいって言ってたのにー」
「あら? そうだっけ? でも、アイデアは全部後輩ちゃんよね?」
「はっ!? さりげなく、批判の矛先を私に向けさせていませんか!?」
「はいそこ!
「むむむ……」
「ふ、二人とも、お客様の前だから……」
「アリスちゃん達、あっちにいたのね~」
「……ま、まあいい。灯里ちゃん、申し訳ないが、私達は忙しいんだ。
「はい、では早速準備します。なお、このショーは、今日この一回だけしかやりません。なので、失敗に終わってしまう可能性もあります」
「何っ?」
「ですが、その時は、もっと練習をして、いつか必ず成功させますので、いつかまた、このショーを観ていただける日を、楽しみにお待ちいただけたらと思います」
「あら、それじゃあ、また何度もクルーズに来なきゃいけないわね」
「はひ! 何度もいらしてください。お待ちしております!」
「ふふふっ」
「ちょっと待ってくれ、灯里ちゃん。失敗するかもしれないものを、わざわざ私達に見せたかったのは、何故なのかな?」
「それは……今回、お三方をお呼びしたのは、私達三人の、
「
「はい。これは、わたし達三人の先輩である、三大妖精さんに少しでも近づきたいという願い、
「ほう……。それは、私達に対する
「……はいっ!」
「だったら見せてもらおうか、その挑戦とやらを。だが、お客様にもご覧戴く以上、失敗すれば、会社の看板に泥を塗る事にもなる。それを忘れないようにな」
「はい。ではアリア社長、二人の所へ行きましょう!」
「ぷいにゅっ!」
トタトタトタ……
「二人は水上で待機、か……。一体、何が始まるんだ?」
「アリシアさん。私達の変な注文のせいで、何だか大変なことになっちゃいましたね……」
「いえ、こちらこそ、何だか申し訳ありません」
「でも、楽しみでもありますね!」
「そう言って戴けるのは、良いのですが……」
「それより、あの三大妖精さんが揃うなんて、何て幸運なんでしょう! あの……後で、皆さんと一緒に写真を撮ってもらっても、良いですか?」
「私はいいですけれど……二人は?」
「ええ、喜んで」
「は~い、いいですよ~」
「いいんですか? やった!」
「何なら、アリシア理事も制服に着替えさせましょうか?」
「ちょっと、晃ちゃん?」
「ふふっ、別にいいじゃないか。制服ならまだ、ここにあるんだろ?」
「探せばあると思うけど、でも、私はもう引退した身だし……」
「……何だ、サービス精神の無い奴だな。そんな奴がゴンドラ協会の理事だなんて、先行き不安になるじゃないか。元とはいえ、かの偉大なるグランマが創設した、ARIAカンパニーの社員たるもの、おもてなしの心であるとか、そういう会社の理念は胸に刻んで置くべきで…」
「あのう……」
「はい、何でしょうか?」
「写真を撮って貰えるだけでも充分なのに、わざわざ探して着替えて貰うなんて、悪いですよ。それに、皆さん忙しいんですよね? まさかウ…」
「あっ!? こっ、これは失礼しました、お客様」
「あ~、晃ちゃん。お客様に、怒られた~。お顔が真っ赤で、まるで大きなタコさんウインナーみたいよ~」
「たっ……こっ……」
「あらあら」
「後でお……あ、いや。しかし、あのアリア社長が乗っているのは……ボウル?」
「アリスちゃ~ん! がんばってね~!」
「大丈夫かしら、灯里ちゃん……」
「おーい! 皆さーん! 見えますかー? 」
「あっ、はーい! 大丈夫ですよー!」
「それでは準備ができたので、始めまーす!」
「ぷいにゅにゅーっ!」
「はーい! お願いしまーす!」
「この状況って、あの時の……」
「灯里ちゃんと、その
「アリスちゃ~ん」
「我がオールに宿りし神さま、このアクアマリンに、魔法をかける
「魔法って……」
「口上? 一体、何が始まるんだ?」
「アリスちゃ~ん!」
「それでは……行きますっ! 秘技、アリシアさんスペシャル改め……」
「えっ? 灯里ちゃん?」
「お、おいっ、まさか……」
「アリスちゃ~ん?」
「
ヒュンッ!
「「それっ!」」
ドッパァーン!!!
ぷーーいにゅーーっ……
「「「ああっ!?」」」
「バカなっ!?」
「上がったわ~」
「やり…はっ!? 灯里先輩っ!」
「灯里っ!!! キャッチ!!!」
「はへっ!? は、はわわわっ!?」
「……にゅっ?」
ドッポォーン!!!
「「「ああっ!?」」」
「バカな……」
「落ちたわ~」
「はわわわっ! アリア社長ーっ!」
バチャバチャバチャバチャッ!!
「ぶにゅっ! ぶがぼいぶにゅにゅにゅっ!!」
「こっ、これにつかまってくださーい!」
バチャバチャッ……バシャッ……
「……ぶ、ぶひにゅ……」
「大丈夫ですか? アリア社長」
「ぷ、ぷいにゅーにゅっ」
「はひ……よかったですぅ……」
「……は?」
「えっ?」
「……よかった、ですって?」
「はひっ!?」
「藍華先輩?」
「い・い・わ・け・な・い・でしょがあっ!」
「はひぃーーっ!!!」
「藍華先輩、でっかい鬼の形相です」
「もうっ! 何でキャッチしないのよーっ!」
「えーっ!? だって……だってーっ!」
「よく考えたら、空中に跳ね上げる所作ばかり練習して、そっちは、全然練習しませんでしたね。でっかいうっかりでした。てへっ」
「てへっ、じゃないわよっ! ……ああ、ネオ・三大妖精への道が……いきなり大コケだなんて……」
「いや、先輩方。あちらを見てください!」
「「えっ……?」」
パチパチパチパチ
「いやー、すごいわ! 最後はアレだったけど、あの頃と同じ、いや、それ以上の迫力だわっ!」
「うん! もう大満足の大満足! 私達のお願いを見事に叶えて貰いました! これって、大成功ですよね? アリシアさん!?」
「えっ? え、ええ……」
「うん、とっても素敵だったわ~」
「言いたい事は山ほどあるが、お客様の要望にお応えしたのは誉めて……アリシア、どうした?」
「一回だけなんて勿体ないわ……。早速、ゴンドラ協会主催のイベントにもオファーを……」
「お、おい、本気か!?」
「……えっ? あ、あらあら……冗談よ?」
「あまり、冗談には聞こえなかったけど~」
「いいえ、冗談です。でも、そう思うぐらい、素敵なショーだったわ。うふふっ」
「……という訳で先輩方。でっかい大成功のようですよ?」
「じゃあ……コレ、喜んでいいの? 喜んでいいのねっ!?」
「はい。……良かったですね、灯里先輩!」
「はひっ! やりました! アリア社長ー!」
「ぷいにゅーっ! ぷいにゅーっ!」
_____________________
「「
「はい。それは、『三人のマジカル少女Aが織り成す、ポップでキュートな、ミラクル☆マジックショーターイムッ』……ですね」
「ほへー……」
「ごめん、ふざけてるなら帰るわよ?」
「いえ、でっかい真面目なので居てください!」
「あっそ……」
「仕掛けはこうです。まず、私と藍華先輩が、灯里先輩の反対側で、浮かんでいるアリア社長をオールのへりに引っ掛けて固定します」
「「ふん」」
「次に、灯里先輩が、先程言ったように、オールに最大限の遠心力を加え、下からアリア社長を思い切り跳ねあげます」
「「ふんふん」」
「それと同時に、私達もありったけの力で、アリア社長を上に持ち上げ、放つ。これで、アリア社長は垂直に上がるはずです」
「にゃーるほどね。これなら、必要な力も、1人の時の半分以下で良さそうね。」
「ただし、これは3人の息が合わないと出来ませんし、実際に跳ね上げるのは、本番の一回しか出来ません」
「ほへっ、どうして?」
「何度もやれば、オールをでっかい傷つけてしまうからです。恐らく当時、アリシアさんは、オールより、アリア社長の救助を優先したのでしょう。ですから、実際にアリア社長を跳ね上げるのは、本番一回だけです」
「ほへー……」
______________________
「と、いうことで、これが、私達がお見せできる、精一杯の魔法……という名のショーでした」
「あらあら、そうだったの……」
「本番一回って……。まさか、今日初めてアリア社長を上げたって事か?」
「はひ!」
「だから、キャッチの練習ができなかったのね~」
「まあまあ、みんな、すごいのね!」
「やった! ♪アリシアさんにっ、褒められちゃったーんっ!」
「はて、昨日は『やっぱり無理かも』と泣いていた方がいたような……」
「だっ、誰よそれ!? わ、私じゃないわよ!?」
「まあ何はともあれ、観る価値はあったようだな。さあて、観るものは観たんですから、さっさと帰って仕事に戻りますよ、藍華支店長」
「ええっ? もうですか?」
「……当たり前だろ? 我々にもこの後お客様がいるんだ。大体お前、最近、支店長室でうたた寝して、ご案内に遅刻しそうになったそうじゃないか。我が姫屋に伝わる、〈三つの心得〉を忘れたのか? 『約束は、しっかり果たすこと』、『時間は、きっちり守ること』、それから……」
「あのう……」
「はい、何でしょうか?」
「皆さんで、写真を撮って貰えるという約束は、守って貰えるんでしょうか? まさか、わ…」
「あっ!? こっ、これは失礼しました、お客様」
「あ~、晃ちゃん。お顔が真っ赤で、また大きなタコさんウインナーみたいよ~」
「おいっ! だからその例えはやめろって!」
「あらあら」
_____________________
「はい、それじゃあタイマー設定しまーす!」
「お客様、いいんですか? わたしたちも一緒で」
「もちろんです! ね?」
「うん! もしかしたら、三大妖精さんと、ネオ・三大妖精さんの揃った、貴重な一枚になるかもしれないんですもの!」
「あらやだぁーお客様、お上手ですねえ!?」
「いやーなってるかもなー。20年後ぐらいに」
「ぬなっ!? そんな先すか!?」
「はい、じゃあ押しました!」
「(……灯里ちゃん)」
「ほへ?」
「(ARIAカンパニーを、灯里ちゃんに任せて、本当に良かった)」
「えっ? 今なんて……」
「うふふっ」
「では皆さん! せーの! カンパニー…」
「ぷいっくしゅっ!」
「だあっ!?」
パシャッ!
「………えっ?」
「「「えーっ!? そんなあっ!」」」
「いや……もう一回撮ればいいだろ?」
「あらあら、うふふっ」
灯里さん
先週はお返事できなくてすいませんでした。
動画、とっても素敵で、私は涙が止まりませんでした!
先週、灯里さんからのメールを読んで、まだ子供だからとはいえ、自分が大変なことをしでかしてしまったのだと、改めて思いました。
それと同時に、とっても恥ずかしいやら、情けないやら、という気持ちになって、灯里さんへのお返事ができなかったんです。
あの時、私の気持ちを変える、素敵な魔法のプレゼントをくれた灯里さんには、いつかきっと、名誉挽回の意味も込めて、精一杯の恩返しをしたいと思います。
自分にそれができると思ったその時、またAQUAに行きますので、それまで待っていてもらえますか?
あ、ちなみに、試験の方は……次回、頑張りまーす!