ARIA The CONVERSATION   作:辰巳しおん

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水先案内の会社で、必ず一人は持ってなければならないという資格を、藍華ちゃんが取ることになったんだけど、わたしがその資格を持っていないんじゃないかっていう話になって……。
アリシアさーん! ARIAカンパニーは、一体どうなっちゃうんですかー?


その ウンディーネの資格は……(2)

「……そう。そういうことだったの」

 

「そうなんです。灯里がこの資格を持ってないって言うんで、どうしてなんだろうって、みんなで話していた所だったんですよ」

 

「あの、アリシアさん。このままでは、ARIAカンパニーは、営業できなくなってしまうんでしょうか? もし、そんなことになってしまったら、わたし……」

 

「あらあら、そんな顔しないで、灯里ちゃん」

 

「で、でも……」

 

「ううん。私の方こそごめんなさいね。こういう大切なことは、灯里ちゃんにしっかり引き継ぎしておかなきゃいけなかったわね」

 

「ということはやはり、でっかい引き…」

 

「うふーん! コ·ウ·ハ·イ·チャン?」

 

「はっ! ……す、すみません」

 

「アリシアさん。わたしは、どうすればいいんでしょうか?」

 

「ううん、何もしなくても大丈夫よ。だから心配しないで、灯里ちゃん」

 

「はへっ?」

 

「実は、ARIAカンパニーで、この資格を持っているのは……アリア社長なの」

 

「…………えっ?」

 

「「ええーーっ!!! アリア社長がーっ!?」」

 

「先輩方、室内はでっかい大声禁止です」

 

「あらあら、驚かせちゃったかしら」

 

「そりぁあ、あのアリア社長がそんな資格を持ってるなんて、みーんな、ビックリしますよ!」

 

「わたしもびっくりですー」

 

「私も、でっかい驚きです」

 

「ほら、火星猫って、言葉は話せないけど、知能は人間並みって言うのは、みんなも知っているでしょう?」

 

「確かに、アリア社長って、普段から新聞とかも読んでますし、パソコンも使いこなせますよねぇー」

 

「そうなの。だから、私がグランマからARIAカンパニーを引き継いだときも、そこは問題にならなかったの」

 

「そっかぁ。あのモチモチポンポンは、ダテに社長やってる訳じゃなかったんですね!」

 

「ほへー。なんだか、スーツを着て、キリッとしているアリア社長が、目にうかびますぅー」

 

「しかし、猫が人間の資格を取れるなんて、でっかい意外です。そうなると、いずれはまぁ社長も?」

 

「うっ……くっ……ふふっ」

 

「あの、何がそんなにおかしいんですか? アリシアさん」

 

「ごめんなさい。今のは全部、冗談よ」

 

「…………えっ?」

 

「「ええーーっ!?」」

 

「ですから先輩方、室内はでっかい大声禁止です」

 

「うふふっ。みんながそんなに信じるとは思わなかったから、つい」

 

「ぬなっ……。そ、そりゃあ、アリシアさんの言うことですから、し、信じちゃうに決まってるじゃないですか」

 

「でっかい見事に引っ掛かってしまいました」

 

「さすがはアリシアさんですー」

 

「あらあら」

 

「しかし、そうであれば、一体誰が資格を持っていると言うのでしょうか?」

 

「すごく簡単に言うとね……グランマが持っているから大丈夫なの」

 

「えっ? グランマが、ですか?」

 

「ええ、そうよ」

 

「でもアリシアさん。グランマはもうとっくに引退されていますよね?」

 

「ええ、ウンディーネとしては確かにそうね。でも、ARIAカンパニーの役員としては、まだまだ現役なのよ」

 

「でもでも、灯里が引き継ぐまでは、ARIAカンパニーの経営も、アリシアさんが全部一人でやっていたんじゃないんですか?」

 

「もちろん、私もこの資格は持っているし、実際の経営は私がやっていたわ。でも、ARIAカンパニーは昔から少人数主義の会社でしょう?」

 

「はい、そうですね」

 

「以前の私や、今の灯里ちゃんみたいに、社員が一人だけの時に、何か深刻な問題が起きるかもしれない。その時のためにって、役員というか、オーナーという立場で、会社の経営に関わってくれているのよ」

 

「ほへー。そうだったんですね」

 

「だから今は、月に一度くらい、灯里ちゃんの様子を見に行っているんじゃないかしら?」

 

「そういえば、グランマが遊びに来てくださった時には、いつも運行日誌や、ゴンドラさんの様子を見ていただいてますー」

 

「さすがはグランマ。でっかい完璧、元祖『ミスパーフェクト』といった所でしょうか」

 

「しかも、灯里が気付かないように、さりげなくって所が、またすごい所よね!」

 

「だから、ARIAカンパニーの営業許可証に記載されている、運航管理責任者の名前は、今もグランマになっているのよ」

 

「ほへっ? そうでしたっけ?」

 

「ええっと、あの、アリシアさん。営業許可証って、いつも、お客さまにも見える場所に置いておくやつですよね?」

 

「そうね」

 

「だとすると、灯里は普段から、それを見てたんじゃないの?」

 

「ええっ?」

 

「支配人の名前を灯里ちゃんに変えた、新しい許可証を灯里ちゃんに飾ってもらったんだけど、その時にも何も言ってなかったから、知っているものだと思って……」

 

「つまりは、灯里先輩のでっかい見落としだったという……」

 

「はわわわ……それは……わたし、そういうのはじめてだったから、自分の名前見ただけで、なんだか緊張しちゃって……」

 

「きちんと説明していなくて、本当にごめんなさいね」

 

「いえっ! アリシアさんは悪くないですっ。わたしがもっとしっかり……って、藍華ちゃん?」

 

「あぁーかぁーりぃー!」

 

「はひーっ! ご、ごめんなさーい!」

 

「灯里先輩、室内はでっかいあたふた禁止です」

 

「あらあら」

 

「まあ、それにしても、やっぱりARIAカンパニーは、偉大なグランマ無しには語れない、って事なんですね!」

 

「グランマ、でっかい素敵です」

 

「わたしはまだまだ、鳥の巣から飛び出したばかりだけれど、ひな鳥の時から、今もずっと、グランマという愛情あふれる、大きな木に見守られながら、育っているんですねぇ」

 

「恥ずかしいセリフ、禁止!」

 

「えーー?」

 

「あらあら、うふふっ」

 

「ところで灯里先輩。今はまだ、資格が無くても大丈夫、という事になりますが、今後、その資格は取られるんですか? 取られないんですか?」

 

「うん。いつまでも、グランマに甘えている訳にもいかないし、藍華ちゃんが試験を受けるなら、わたしも一緒に頑張ってみるよ!」

 

「やった! そうでなくっちゃ!」

 

「先輩方、私もでっかい応援します!」

 

「ようし、合格めざして、レッツラ、ゴー!」

 

「「おーっ!」」

 

「ふたりとも、室内で大声出すの、禁止!」

 

「えーっ?」

 

「むむむ……」

 

「……あの、灯里ちゃん」

 

「はひっ!」

 

「みんなで盛りがっているところで、ちょっと言いにくいんだけど……」

 

「ななな、何でしょう?」

 

「実は……灯里ちゃんはもう、この資格を持っているのよ」

 

「ほへっ?」

 

「それって……」

 

「「ええーーーっ!!!」」

 

「先輩方、室内は……もういいです」

 

続く

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