アリシアさーん! ARIAカンパニーは、一体どうなっちゃうんですかー?
「……そう。そういうことだったの」
「そうなんです。灯里がこの資格を持ってないって言うんで、どうしてなんだろうって、みんなで話していた所だったんですよ」
「あの、アリシアさん。このままでは、ARIAカンパニーは、営業できなくなってしまうんでしょうか? もし、そんなことになってしまったら、わたし……」
「あらあら、そんな顔しないで、灯里ちゃん」
「で、でも……」
「ううん。私の方こそごめんなさいね。こういう大切なことは、灯里ちゃんにしっかり引き継ぎしておかなきゃいけなかったわね」
「ということはやはり、でっかい引き…」
「うふーん! コ·ウ·ハ·イ·チャン?」
「はっ! ……す、すみません」
「アリシアさん。わたしは、どうすればいいんでしょうか?」
「ううん、何もしなくても大丈夫よ。だから心配しないで、灯里ちゃん」
「はへっ?」
「実は、ARIAカンパニーで、この資格を持っているのは……アリア社長なの」
「…………えっ?」
「「ええーーっ!!! アリア社長がーっ!?」」
「先輩方、室内はでっかい大声禁止です」
「あらあら、驚かせちゃったかしら」
「そりぁあ、あのアリア社長がそんな資格を持ってるなんて、みーんな、ビックリしますよ!」
「わたしもびっくりですー」
「私も、でっかい驚きです」
「ほら、火星猫って、言葉は話せないけど、知能は人間並みって言うのは、みんなも知っているでしょう?」
「確かに、アリア社長って、普段から新聞とかも読んでますし、パソコンも使いこなせますよねぇー」
「そうなの。だから、私がグランマからARIAカンパニーを引き継いだときも、そこは問題にならなかったの」
「そっかぁ。あのモチモチポンポンは、ダテに社長やってる訳じゃなかったんですね!」
「ほへー。なんだか、スーツを着て、キリッとしているアリア社長が、目にうかびますぅー」
「しかし、猫が人間の資格を取れるなんて、でっかい意外です。そうなると、いずれはまぁ社長も?」
「うっ……くっ……ふふっ」
「あの、何がそんなにおかしいんですか? アリシアさん」
「ごめんなさい。今のは全部、冗談よ」
「…………えっ?」
「「ええーーっ!?」」
「ですから先輩方、室内はでっかい大声禁止です」
「うふふっ。みんながそんなに信じるとは思わなかったから、つい」
「ぬなっ……。そ、そりゃあ、アリシアさんの言うことですから、し、信じちゃうに決まってるじゃないですか」
「でっかい見事に引っ掛かってしまいました」
「さすがはアリシアさんですー」
「あらあら」
「しかし、そうであれば、一体誰が資格を持っていると言うのでしょうか?」
「すごく簡単に言うとね……グランマが持っているから大丈夫なの」
「えっ? グランマが、ですか?」
「ええ、そうよ」
「でもアリシアさん。グランマはもうとっくに引退されていますよね?」
「ええ、ウンディーネとしては確かにそうね。でも、ARIAカンパニーの役員としては、まだまだ現役なのよ」
「でもでも、灯里が引き継ぐまでは、ARIAカンパニーの経営も、アリシアさんが全部一人でやっていたんじゃないんですか?」
「もちろん、私もこの資格は持っているし、実際の経営は私がやっていたわ。でも、ARIAカンパニーは昔から少人数主義の会社でしょう?」
「はい、そうですね」
「以前の私や、今の灯里ちゃんみたいに、社員が一人だけの時に、何か深刻な問題が起きるかもしれない。その時のためにって、役員というか、オーナーという立場で、会社の経営に関わってくれているのよ」
「ほへー。そうだったんですね」
「だから今は、月に一度くらい、灯里ちゃんの様子を見に行っているんじゃないかしら?」
「そういえば、グランマが遊びに来てくださった時には、いつも運行日誌や、ゴンドラさんの様子を見ていただいてますー」
「さすがはグランマ。でっかい完璧、元祖『ミスパーフェクト』といった所でしょうか」
「しかも、灯里が気付かないように、さりげなくって所が、またすごい所よね!」
「だから、ARIAカンパニーの営業許可証に記載されている、運航管理責任者の名前は、今もグランマになっているのよ」
「ほへっ? そうでしたっけ?」
「ええっと、あの、アリシアさん。営業許可証って、いつも、お客さまにも見える場所に置いておくやつですよね?」
「そうね」
「だとすると、灯里は普段から、それを見てたんじゃないの?」
「ええっ?」
「支配人の名前を灯里ちゃんに変えた、新しい許可証を灯里ちゃんに飾ってもらったんだけど、その時にも何も言ってなかったから、知っているものだと思って……」
「つまりは、灯里先輩のでっかい見落としだったという……」
「はわわわ……それは……わたし、そういうのはじめてだったから、自分の名前見ただけで、なんだか緊張しちゃって……」
「きちんと説明していなくて、本当にごめんなさいね」
「いえっ! アリシアさんは悪くないですっ。わたしがもっとしっかり……って、藍華ちゃん?」
「あぁーかぁーりぃー!」
「はひーっ! ご、ごめんなさーい!」
「灯里先輩、室内はでっかいあたふた禁止です」
「あらあら」
「まあ、それにしても、やっぱりARIAカンパニーは、偉大なグランマ無しには語れない、って事なんですね!」
「グランマ、でっかい素敵です」
「わたしはまだまだ、鳥の巣から飛び出したばかりだけれど、ひな鳥の時から、今もずっと、グランマという愛情あふれる、大きな木に見守られながら、育っているんですねぇ」
「恥ずかしいセリフ、禁止!」
「えーー?」
「あらあら、うふふっ」
「ところで灯里先輩。今はまだ、資格が無くても大丈夫、という事になりますが、今後、その資格は取られるんですか? 取られないんですか?」
「うん。いつまでも、グランマに甘えている訳にもいかないし、藍華ちゃんが試験を受けるなら、わたしも一緒に頑張ってみるよ!」
「やった! そうでなくっちゃ!」
「先輩方、私もでっかい応援します!」
「ようし、合格めざして、レッツラ、ゴー!」
「「おーっ!」」
「ふたりとも、室内で大声出すの、禁止!」
「えーっ?」
「むむむ……」
「……あの、灯里ちゃん」
「はひっ!」
「みんなで盛りがっているところで、ちょっと言いにくいんだけど……」
「ななな、何でしょう?」
「実は……灯里ちゃんはもう、この資格を持っているのよ」
「ほへっ?」
「それって……」
「「ええーーーっ!!!」」
「先輩方、室内は……もういいです」
続く