今日はいつもの三人でお休みを合わせて、ハイキングに行って来ました。
(藍華ちゃん曰く、『
久しぶりの三人一緒のお休みという事もあり、何だか、三人ともテンションがちょっぴり高めです。
その帰り、とあるカフェに寄ったのですが……。
リーンゴーン、リーンゴーン……
灯「うーん、今日はとっても楽しかったねえ」
ア「はい。いいリフレッシュになりましたね! まあ、例外の方もいらっしゃるようですが……」
藍「……」
灯「あの、大丈夫? 藍華ちゃん」
藍「ふ、ふたりとも、あんなに歩き回ってよく平気ね。あたしゃもうヘトヘトだわ」
ア「何を言うのかと思えば……。『今日はゴンドラには乗らず、歩いて行きましょう』と言い出したのは藍華先輩ではないですか?」
灯「そうだよ〜。それに藍華ちゃん、『ウンディーネたるもの、どんな時でも鍛錬を怠るべからず』って、飛んだり跳ねたりするから………」
ア「その上、カラ井戸の中に飛び込んだり、怪しげに光る星形のクッキーを食べたり……」
藍「きっ、今日はしてないでしょ! そんなこと」
灯「た、たまにしてるような言い方だね……」
藍「い・つ・も、してません!」
ア「しかし、かつて
灯「えーっ!? そんな伝説が……あったっけ?」
藍「ないから! あってたまるかっ!」
ア「ふふっ。冗談ですから、気にしないでください」
藍「まあとにかく、普段は使わない筋肉を使ったって感じよね~」
ア「こういう時は、やはり甘い物を飲んで過ごすのがいちばんかと」
藍「そうね、何か頼みましょ?」
灯「甘いものと言えば、このお店にはアテナさんのお気に入りの飲み物があったよねぇ……」
ア「はい、アレですね?」
藍「えーなになに? そんなのがあるならそれ頼みましょうよ!」
ア「はい。そう思って、席に案内された時に、頼んでおきました」
灯「やった!」
藍「なかなか気が利くじゃないの」
ア「はい。とある先輩から『ウンディーネたるもの、どんな時でも先回りして行動するのよ! それが出来ない奴は○○だわ!』と、それはもう、うるさく言われてましたので」
藍「一応の確認だけど、あの、それを言ったのって、私じゃないわよね?」
ア「ふふっ。すみません、誰だったのかはもう忘れてしまいました」
藍「……と言いつつ、何よその目は」
灯「ほへ? それ、何だか私も聞いた事があるような……」
藍「ぬなっ」
ア「多分気のせいだと思いますよ、灯里先輩。グランマやアリシアさんが、そんな事を言うわけ無いじゃないですか」
灯「うーん? でもそうか、そうだよね〜」
藍「ああっ、とっ、ところでさ、その、アテナさんのお気に入りの飲み物って、何なのかしら?」
ア「はい、このお店はホットチョコレートの種類が豊富なのですが、アテナ先輩用のスペシャルメニューと言うべきものがありまして……」
藍「へー、そうなんだ」
灯「そうそう。アリスちゃん、あの時は大変だったよねぇ」
藍「大変? 何が?」
ア「アカリセンパイ?」
灯「あっ……」
藍「後輩ちゃんどうしたの? そんな怖い顔しちゃって」
ア「何でもありません。ねえ、アカリセンパイ?」
灯「そうだね、な、何でもないかな。あはは……」
藍「何よ、気になるわねえ」
ア「ああ、そんな話をしていたらなんとやら。頼んでいたものが来ましたよ」
店「お待たせ致しました」
コトッ
藍「おお〜、これは美味しそうね」
灯「うん、アテナさん、沢山のホットチョコの中から、見ただけでこのホットチョコレートを当てられるんだよ〜」
藍「いやあの……、見たらまあ当てられるでしょうね、普通は」
灯「そう、それが普通じゃなくて……」
ア「アカリセンパイ?」
灯「はひっ?」
藍「また怖い顔して、後輩ちゃん、アテナさんと何かあった訳?」
ア「別に何もありませんよ、さ、早く飲みましょう」
藍「そうね、まあそれはおいおい聞くとして、戴きま〜す!」
灯「う〜ん。この、ほんわかして、うっとりしちゃうような甘い香り。まるで、幸せになる魔法をかけられたみたいだねえ……」
藍「恥ずかしいセリフ、禁止!」
灯「えーっ?」
ア「先輩方……」
藍「まあそれはさておき……うん、本当に味も香りも素晴らしいわね」
灯「ほっとするよね〜」
藍「それにしても、どうしてアテナさんはこのホットチョコレートがお気に入りなの?」
ア「ああ、気になりますか?」
藍灯「うん」
ア「実はですね……」
藍灯「うんうん」
ア「その件については……」
藍灯「うんうんうん」
ア「分からないんです」
ガタガタッ!
ア「あれ? どうかされましたか?」
藍「わ、わかんないってあーた。いつも一緒の部屋に寝泊まりしてたんだから、それぐらい聞いてるんじゃないの?」
ア「同じ部屋とはいえ、お仕事や寝食の時間も違いますし、例えお部屋にいるタイミングが合ったとしても、あえて聞くような内容でもないので……」
灯「確かに、アテナさんも、アリスちゃんも、忙しそうだものねぇ」
藍「でも、これがアテナさんのお気に入りって事は知ってるんでしょう? 最初にアテナさんと一緒に来た時には聞いてないの?」
ア「はっ!? そういえば!」
藍「思い出した!?」
ア「はい。 実はですね……」
藍灯「うん」
ア「その時に……」
藍灯「うんうん」
ア「アテナ先輩から……」
藍灯「うんうんうん」
ア「聞いてませんでした……」
ガタタッ!
ア「と、言うよりは……あれ? 先輩方?」
藍「んもう! いちいちズッコケる私達の身にもなってよね、まったく……」
灯「あはは……。でも、聞いてないって?」
ア「はい、聞いていないと言うよりは、ここに連れてきて戴いたのが、まだ入寮したての時でして、アテナ先輩とどんなお話をしたのか、よく覚えていないのです」
藍「ああ、そういうコトか。確かに、出会ってすぐなら、そういう事もあるわよね」
ア「藍華先輩もですか?」
藍「ああ、うーん……。そうねえ、私は元々姫屋の人だから、後輩ちゃんとはちょっと違うかもしれないわ」
灯「どんな風に違うの?」
藍「なーんて言うのかしらねえ、まあ、物心ついた時から、姫屋の制服を着てる人は沢山いたし、『慣れ』みたいな?」
ア「では、晃さんと初めてご指導を受けられた時にも、ですか?」
「えっ? あの、ええっと……晃さんはね、緊張って言うより、何だかちょっと怖い、みたいな?」
ア「怖い? 指導の時に、オールを木刀の様に持っていたとかですか?」
藍「えっ? それどうして……」
ア「えっ? まさか本当に……」
藍「……あっ? いや、『どうして』って言うのは、『どうしてそんな事を考えたのかな?』っていう意味であって、別にオールを木刀の様に……いや、スパルタ教育を受けたとか、そういう訳じゃないわよ? あの、それより灯里は?」
灯「うーん、わたしは初めてアリシアさんに会った時は、緊張とかしなかったなあ……」
藍「あっ、思い出した! あんた、AQUAに来た日、移動中に寝ちゃって、起きたらARIAカンパニーだったそうじゃない」
灯「はひっ!? ど、どうしてそれを……」
ア「本当なんですか?」
藍「そりゃあもう。当時は『ARIAカンパニーに色んな意味で凄い新人が入った』って、姫屋どころか、業界中で噂になってたわよ」
灯ア「ええーっ?」
藍「あははっ、冗談よ、冗談。晃さんから聞いただけだから」
灯「そ、そうなんだ。良かった~……あれ? それ、良かったのかな?」
ア「ま、灯里先輩らしいエピソードではありますね」
藍「そうそう。あんたが恥ずかしいのは、今に始まったことじゃないんだし、今更そんな事気にしちゃダメよ」
灯「そ、そうかな……あはは……はひ」
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藍「う〜ん! 美味しかった! 満足満足」
ア「う〜ん……」
藍「あら、どうしたの?」
ア「やはり、このメニューの件ですが、今度アテナ先輩に聞いておきましょうか?」
藍「いいわよ。まあさ、きっとアテナさんの事だから、なんか突拍子もない理由なんじゃない?」
ア「私もそんな気はしますが……」
藍「逆に、『なあんだ』とか言っちゃいそうな理由でガッカリするより、分からない方がミステリアスな感じがあっていいじゃない」
ア「それもそうですね」
藍「ねえ、灯里もそう思……あら?」
ア「灯里先輩?」
灯「…………」
藍「ありゃま、寝ちゃったのね」
ア「まさに、『船を漕ぐ』というのはこのことを言いましょう。何だかんだで、灯里先輩も相当はしゃいでいらっしゃいましたしね」
藍「疲れもあったんじゃないの? 一人でやってるんだから、色々プレッシャーもあるんでしょ?」
ア「ですね」
灯「うーん……」
ア「何か、夢でも見ているのでしょうか?」
藍「そうねえ……」
ア「やはり、ブロックから生えた怪しげなキノコやら花を採取する夢を……」
藍「見るかっ!」
リーンゴーン、リーンゴーン……
灯「うーん……。あれ? わたし、寝ちゃって……」
?「あのう、すみません」
灯「はひっ!?」
?「うわっ、な、何だ?」
灯「あ、す、すみません」
?「ここ、座ってもいいですか?」
灯「えっ? ……あれっ!? ……えっ? 晃さん!?」
続く