それは先程から、アリア社長と干しいもスティックをもきゅもきゅと食べつつ、海に沈む夕日を観ながらたそがれている、アイちゃんが口にした『あれ』についてのお話なのですが……
愛「灯里さーん! ただいまーっ」
灯「おかえり、アイちゃん」
社「ぷいにゅーっ」
愛「ちょっと、練習頑張り過ぎちゃいました、えへへ……」
灯「そう、じゃあお腹が空いたでしょう。お夕飯まではまだ時間があるから、何か軽く食べる?」
愛「はい! そうしまーす!」
灯「ええっと、今あるのは、干しいもスティックに、芋けんぴ、大学いもに、スイートポテト、芋ようかん、それから……」
愛「うわあ、お芋尽くしですね! では、干しいもスティックを戴きまーす!」
社「ぷいにゅっ!」
愛「アリア社長も食べます?」
社「ぷいにゅにゅっ!」
愛「うふふ、分かりました。……あ、そうだ」
灯「うん?」
愛「あの……灯里さん!」
灯「はひっ?」
愛「おやつを食べる前に、どうしても灯里さんにお聞きしたい事があるんです!」
社「にゅにゅっ?」
灯「あー……うーんと、あの、何だか大変そうなお話なら、お夕飯でも食べたあとで、ゆっくり聞くとしましょうか?」
愛「ダメです!」
灯「えーっ?」
愛「と、言うことでは無いんですが、どーしても、どぉーしても早く聞いておきたいんです!」
灯「そ、そっか。じゃあ、話してくれる?」
愛「はい、実は、さっきの合同練習の時に、あずさちゃんから聞いたんですが……」
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あ「よーし、じゃあちょっと休憩にしましょうか」
愛「や、やった~」
ド「今日のあずさちゃん、何だか気合が入っているわね」
あ「そりゃあそうよ。私達だって、いつまでも
愛「でも、特に今日は特に気合が入ってるって感じがするけど……」
あ「まあね。昨日、支店長と話をしたら、私も早く
愛「そりゃあ、そうだけど……」
ド「それにしても、藍華さんとのお話って、何かあったの?」
あ「えへへ……実は昨日ね、支店長室から
愛「うわあ、何かトラブルでもあったのかなあ?」
あ「ドアもしっかり閉めずに行っちゃったから、相当慌ててたんでしょうね。何かあったのかなって思って、開いたスキマから支店長室をコッソリ覗いてみたんだけど、何だか呪文みたいな言葉をつぶやきながら、机の中からモバイルノートパソコンを取り出したの」
ド「それが、どうかしたの?」
あ「いや、私も別に、それ自体は『ふうん』って感じで、そこまで気になったワケじゃあ無いのよ? 無いんだけど、ノートパソコンを、こう、しかめっ面して見てたから、支店長があんな顔するの、珍しいなって、やっぱ気になっちゃってさー」
愛「結局、気になったんだ……」
あ「まあそうなんだけどね。それで、こりゃ何かあったと思って、『失礼しまーす!』って言ってから入ったら……ああ、タイミング的にはドアを開けながらだけど、支店長ビックリして、慌ててノートパソコン閉じて、ご丁寧に指まで挟んじゃってさー」
ド「何だか、藍華さんらしくないわね」
あ「でしょ? だから、『大丈夫ですか?』って聞いたら、『もう! 突撃禁止!』って言われちゃった」
愛「それ、怒られてるんじゃ……」
あ「えっ? そう? いつもと変わらない感じだったし、きっと内心は怒ってないから大丈夫よ」
愛「そ、そうなんだね」
ド「以上、終わり?」
あ「いやいや、こっからが本題よ。その時に、『何か、見ちゃまずかったですか?』って聞いたら、『あんたが見るにはまだ早いし、見た所でなーんの意味もないわよ。まあ、あんたが
愛「ふうん、あずさちゃん、大変なんだね」
あ「はあ? 何ノンキな事を言ってんの? まずは、あんた達が頑張ってくれないと、あたしが
愛ド「ええっ!?」
あ「だって、考えてもみなさいよ。私達三人は、何のために合同練習してるワケ?」
愛「そりゃあもちろん」
ド「
あ「でしょう? つまり、あんた達が
愛ド「ええっ!?」
あ「まあ、私も、支店長から直々に指導を受けているし、二人だって、会社を代表する
愛ド「よ?」
あ「……っぽど、期待されてなきゃ、フツーはそんな事にならないのよ? キミ達は、それが分かっているのかな?」
ド「確かに、もしアリス先輩のご指導で、
あ「そう! そして特に愛野アイ! あんたよ!」
愛「私?」
あ「あんたがもし、
愛「そ、それは……」
あ「グランマやアリシアさんから、『あらあら、灯里ちゃんには、
愛「そ、それは言い過ぎなんじゃ……。でも、私がなれなかったら、別の社員を入れて……ああっ! それじゃあ私が、ARIAカンパニーのお荷物になっちゃう!」
あ「そう! だからこそ、皆で頑張って、
ド「そ、それは分かったけど、何だか、話がズレてない?」
あ「にゃはは……そうだったかも。とにかく、支店長が見てたのが何だったのかなーってさ、それを知るには、早く
ド「でも、藍華さんは、『
あ「そうよ? それが何?」
ド「って事は、水先案内のお仕事をひと通りやっている灯里さんなら、それが何なのか知ってるんじゃない?」
あ「ああっ!」
愛「確かに……」
ド「もし気になるなら、こっそり聞いてみたらどうかな?」
あ「それアリ! よくぞ気付いたアーニャちゃん!」
愛「えっ、でも……」
あ「あら、何か?」
愛「普段、パソコンを使ってお仕事してる時は、ご予約の受付確認とか、お客様のお礼のメールに返信したりとか、そういう事しかしてないような……」
ド「それは、藍華さんと同じで、アイちゃんには見せたくないだけでは……」
愛「でも、私が作業中の灯里さんの後ろを通っても、別に画面を隠したりしないよ? 『何してるんですか?』って聞いても、全部丁寧に教えてくれるし……」
あ「ふうん、まあ普段灯里さんほとんど一緒にいるあんたがそう言うんじゃ、灯里さんは知らないのかもね」
愛「そ、そんなことないよ! きっと知ってるってば」
あ「いや、まあホラ、姫屋ってそれなりに歴史もあって、規模も大きい会社だし、そういう会社ならではの、特別な何かがあるのかもしれないしさ」
ド「でも、グランマだって、元々姫屋にいたんだから、それを引き継いだアリシアさんから引き継いだ灯里さんが、知らないって事はないんじゃない?」
愛「そうだよ。でも、もし灯里さんが知ってても、灯里さんに聞いたことが藍華さんにバレたら、あずさちゃんが怒られるんじゃない?」
あ「にゃにゃっ!? た、確かに、それもそうね。まあ、灯里さんが知らなかったら、それこそ支店長に聞かれて、ドツボにはまりそうだし……やっぱりいいわ」
ド「確かに、知らなかったらそうなるかもね」
愛「そんな訳、ないもん……」
あ「えっ?」
愛「灯里さんはすっごい優秀で、優しくて、私が一番尊敬してるウンディーネなんだから、知らない訳ないもん!」
あ「ああ、いや、勿論灯里さんは優秀だし、私も尊敬はしてるわよ? でもそれとこれとは話が別じゃ……」
愛「いや、絶対知ってるもん! そうだ、賭けてもいいよ。もし灯里さんが知らなかったら、私が恥ずかしい格好して、二人を載せて、ネオ・ヴェネチアを一周してあげるよ!」
ド「アイちゃん……それは、乗っている私達の方が恥ずかしいような気が……」
あ「あ、あはは……な、何だか、ヘンなスイッチ、押しちゃったみたい……」
愛「とにかく! 聞いてみるから、期待して待っててよね!」
あ「わ、分かったわよ」
愛「さあ、休憩終わり! 練習しよっ!」
あ「えっ? あ、いや、まだ休み初めてから5分も経って……」
愛「ダメです! 早く
あド「ええ~っ」
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愛「と、言う訳なんです」
灯「はへー……。ちょ、ちょっぴり大変そうな約束して来たんだね……」
愛「灯里さんなら、知ってて当然ですよね!?」
灯「ええっと……そもそも、あずさちゃんは、一体何を知りたかったのかな? 名前とかが何も分からないと、さすがに……」
愛「ああっ! そうでした! あずさちゃんから、藍華さんがつぶやいていた『何だか呪文みたいな言葉』っていうのがヒントかもって、教えて貰ったんですけど……」
灯「それって、どんな言葉?」
愛「はい、それが……『ウンナマコン』って言ってたそうなんです」
続く