今日、私はまた、カフェフロリアンに来ています。
そうです。第ニ回目の、「
前回は、『あんまり目立つとまずいから』っていう理由で店内で開催したんだけど、アリスちゃんたっての希望で、今回は外で開催することになりました。
今日は、一体どんなお話ができるのかな?
「あっ、藍華ちゃーん。こっちだよー!」
「あら灯里。今日は早かったのね」
「うん。この前は遅刻しちゃったから、今日は早めに来たんだ」
「後輩ちゃんは?」
「アリスちゃんなら、あそこにいるよー」
「……座席の下、よし。海側通路、よし……」
「……な、なにやってるの? アレ」
「うん。それが、誰かに見張られていないかを、確めているんだって」
「はあ? にゃーにやってんだか、あのコは……。灯里ぃ、あんたもさぁ、後輩ちゃんが始める前に止めなさいよねぇ、あんなの」
「あはは……実は、私が来た時には、もうやってたんだよね」
「あっそ……。もー、しょーがないわねぇ……」
パン、パン
「おーい。後輩ちゃーん」
「はっ!? 藍華先輩?」
「はいはい、もう時間よ。いい子だから、そろそろこっちに戻ってらっしゃーい」
「は、はい、スミマセン……」
「ったくう、あんたねえ。何でかは知らないけど、
「はあ……」
「特に、後輩ちゃんはそこそこ有名なんだし、そこらの猫やネズミとは訳が違うんだから。悪質な客引きか何かと間違われて、出入り禁止にされちゃうわよ?」
「むむ。お言葉ですが、藍華先輩。出入りと言っても、ここは屋外です。出入りするところはありませんよ?」
「あっ!? そーゆーコト言う? 私はね、後輩ちゃんの為を思って、言ってやってんのよ? へ理屈禁止ー」
「私はただ、誰かに見張られていないかを確認していただけです。誰にも話しかけていませんし、何か問題でも?」
「あ、あんたね……。大体そんなに警戒して、裏の組織か何かにでも見張られてる訳? アクション映画じゃないんだから」
「それはアリ……」
「アリ?」
「いいえ、それはあり得ません。もし本当に見張られていたら、どこかの新米支店長さんみたいに、のほほんと外に出かけられる訳ないじゃないですか」
「ぬなっ!?」
「しかも、『裏の組織』って、何ですか? 藍華先輩こそ、アクション映画の観すぎではないですか?」
「ぐぬぬぬっ……。こ・の・コ・は……」
「どうしました? 反論できないんですか?」
「ああん、もう! 灯里も、何か言ってやってよ!」
「はへっ? ええと……。と、とりあえずふたりとも、座ろうよ。みんな、こっち見てるし……」
「えっ……あらっ? ……や、やだぁ、もう! うるさくってぇ、すいませーん! 別に、ケンカとか、そういうんじゃないんです。ね? 後輩ちゃん?」
「はいっ!? あの、はい、そうですね。でっかい失礼しました……」
「あはは……はへー……」
_____________________
「それじゃあ藍華ちゃん、お願いします」
「じゃあ、気を取り直して、第ニ回『
「「はーい」」
「あら? 今日は何だか、ノリが悪いわね」
「だって、あんまり大声出しだら、また目立っちゃうし……」
「前回、藍華先輩に大声は禁止されてますので」
「ああ……。まあ、あれは室内だったからなんだけど、何だか調子狂うわね……」
「ねえねえ、藍華ちゃん。今日の議題は、何かあるの?」
「何でも今回は、後輩ちゃんがあるんだって」
「はい。これです」
トンッ
「あ、『月刊ウンディーネ』の、アリスちゃん特集の回だー」
「これなの? 私はもう、読んだわよ?」
「私も読んだけど、表紙も、中の写真も、とってもかわいいよねー」
「……いえ、そんなことはないですが……」
「それで、これが何なのよ? まさか、写真がお子ちゃま過ぎて恥ずかしいとか?」
「違います」
「じゃあ、心霊写真でも見つかった?」
「違います。私の記事は関係ありません」
「なぁんだ、つまんないわねー」
「アリスちゃんの記事じゃないんだねぇ。じゃあ、どこの記事なの?」
「はい。それでは先輩方。その、しおりを挟んだページを読んでみてください」
「ふうん、どれどれ……」
「なんだろー。わくわくするなぁ」
パラパラパラッ…
「はい、そこです。そこを読んでみてください」
「……」
「……」
「いかがですか?」
「……あっ!」
「にゃんと! これはっ!?」
「そうです、先輩方。私、気付いてしまったんです」
「なーんだ、世界の衣装展の記事だったんだー」
「……えっ?」
「いや違うわよ灯里。こっちの映画祭満喫プランの方でしょ?」
「ほへっ? この、わたしが講師をやる、浴衣の着付け講座の事じゃないの?」
「あ、あの……先輩方?」
「いやいや、それはないわー。灯里の着付け講座の事をここで話し合ったって、これーーっぽっちも、なぁーーんにも面白くないじゃない?」
「えーっ」
「ええっと……はっ!? すいません先輩方。しおりを挟むページがでっかい間違えてました」
「えっ?」
「ほへっ?」
「「えーっ!? 違うのーっ!?」」
「先輩方、屋外でも周りに人がいますから、でっかい大声禁止です。それにしても、先輩方は、何でそんなにでっかいハモれるのでしょうか?」
「知らないわよ、そんなの。でも、なんかさー、さっき映画の話が出たから、てっきり前フリかと思いこんじゃってたわー」
「違うのかあ。じゃあこんど、わたしの着付け講座の事も、たくさんお話しようねー」
「「いいえ、しません!」」
「えーっ!?」
___________________
「……はい。発見したのは、このページです」
「……これ、グランマのコラムじゃないの」
「この『城ヶ崎村便り』って、グランマの素敵なお話ばかりで、とっても為になるよねー」
「はい。それはそうなのですが、この回のタイトルを見てください」
「『通り名の名付け方』ね、これがどうしたの?」
「何か、気付きませんか?」
「はへー、なんだろう?」
「もしかして、回文になっているとか?」
「藍華先輩、でっかい不正解です」
「うーん。わたしは全然思い浮かばないや」
「灯里先輩、でっかい無回答です」
「んもう、もったいぶらないで、早く教えなさいよ!」
「実は……」
「実は?」
「この記事は、ウンディーネの通り名に関する事が一通り書かれていますよね?」
「そうね。うんたらかんたら書いてあるわ」
「藍華ちゃん……」
「しかし、しかしです。意外にも、プロフィールも含めて、グランマ御自身の通り名については、一切触れられていないんです!」
「……」
「……」
「……はて? 先輩方?」
「「あーっ! ホントだぁーっ!」」
「先輩方は、一体……」
続く