連載休止 チームフォーマルハウトの旅路、黄金の軌跡と語られた伝説   作:里見レイ

3 / 17
砂って無口な人には便利だったりするけど、実際使われると妙な気分になる

 観戦している者は、余り多いとは言えない。まあ、無理もない。今西川が見ているのは未勝利戦、しかもダートのだからだ。それでも、彼女は、キンイロリョテイは一番人気。ここを勝利できれば場合によってはクラシック戦線に間に合うかもしれない。彼の脳内はいかにしてリョテイをダービーウマ娘にするかで頭がいっぱいだった。

 

「リョテイの事、期待しているんですねトレーナー」

 

 隣に座っている少女、メジロライアンがダンべル片手に声をかける。

 

「勿論、現在のチームのエースは君だよライアン。けど、君にもいい刺激になると思うから一緒にレースを見に来たんだ。どうせ、彼女は予想外なレースをして僕たちを困らせるだろうからね」

 

「そうですね。あたしがリョテイの誘いに乗ったのも、メジロの家のしきたりに違和感を覚えたあたしにとっても良い機会でした。家出したあの子とは違い、まだ本家には属してますけど......」

 

 彼女にも、リョテイや実家に思う節があるのだろう。若干寂しそうな顔をしてゲートのリョテイを眺めている。

 

「......始まるよ。リョテイの未勝利戦が」

 

 響き渡ったファンファーレ。この音楽を、より多くのの中で彼女に聞かせたい。そう思う西川だった。

 

 ゲートが開いていざ開戦、クラシック級未勝利戦ダート1800M。キンイロリョテイは一番人気として絶好調のスタートを、切らなかった。

 

「出遅れやがった......」

 

 一瞬で頭をを抱え前かがみになる西川。距離は短い上に走りにくい砂のレース場だ。巻き返せる気がしない。

 

「まあまあ、彼女の末脚は凄いですから」

 

 ダンベルを隣の椅子に置いてトレーナーを宥めるライアン。この時も、その眼はダートに向いていた。

 その後、彼女は遅れこそ取り戻したが依然として後方四番手。しかし、集団は固まっているので第四コーナーで一気に追い抜く事は十分にできる位置だ。

 

「ほら、リョテイが中段まで上がってきましたよ。トレーナーさんはちゃんと指導で来てましたって!」

 

「! これなら......」

 

 西川がレース場に向き直ったころにはキンイロリョテイは集団の真ん中あたりの順位で外側を激走していた。差し、追い込みの最後で一気に仕掛ける走りとして考えれば十分だろう。

 

『さあ、各ウマ娘四コーナーのカーブ、残り400を通過しました!』

 

 実況にも次第に熱量が増してきた。リョテイも少しずつエンジンがかかっているのが目に見えて分かる。

 

「よし、そのまま差せれば!」

 

 西川の眼にも彼女の勝利が写り始める。しかし

 

『さあ、先頭はもうイソゲヤスーキ! 一度外に大きくふるっふるってえ......』

 

 キンイロリョテイが突如としてコースの外へと遠心力で弾かれるが如く離れていった。

 

「何、やってんだ? ライアン、分かる?」

 

「わ、分かりません......」

 

 呆然とする西川とライアン。それでも実況は続いていく。

 

『外に11番キンイロリョテイ膨れて、客席前の壁に激突しました......』

 

「......」

 

 キンイロリョテイ、壁にひびの入る勢いで衝突し、何の悲鳴もないまま動かなくなった。

 

「え、えーと」

 

「はい」

 

「大変だー! ケガしてないか急いで確認しないと!」

 

「リョテイが心配です! 先に行きますね、トレーナーさん!」

 

「た、頼んだ。特に打撲がないかのチェックを入念にな!」

 

 ドタバタと客席から立ち上がり、リョテイの元へ急ぐ二人。ガラガラのおかげでライアンは最高速度に近いパフォーマンスで事故現場に直行する。

 

「リョテイ! 大丈夫!?」

 

 地べたで横になっているキンイロリョテイの傍で前かがみになり彼女の様子を聞くライアン。するとリョテイ、人差し指を立てまるでダイイングメッセージのように何かを書きました。

 

「肉? ! もしかして肉離れか!? 急いで対処しないと!」

 

 後から駆け付けた西川が慌てて競技場の職員さんに包帯などを頼もうとした矢先。

 

「トレーナーさん、リョテイは無事みたいですよ」

 

 若干声のトーンが下がったライアンの声がする。彼が振り向いてみると、そこには

 

『肉を食べたい』

 

と押しつけがましい注文の一節がダートの競技場に刻まれていた。

 

「~」

 

 緊張の糸が切れたのか、その場にへなへなと座り込む西川。こうして、キンイロリョテイのチーム移籍後最初のレースは競争中止となったのだ。




 どうも。FGOの作品と並行しながらリョテイの英雄譚を綴っている里見です。なんでこの未勝利戦にしたかと言いますと。
1 デビューからそれなりに経っている
2 小説にできるエピソードがある
の二つの理由からですね。

ちなみに、メジロライアンはアニメ準拠でリョテイと同学年という設定になっております。恐らく、息子のメジロブライトの役割を踏襲しているんでしょうね。どうりで、本来は娘のメジロドーベルとタメ張っている訳です。ルドルフ親子やタキオン親子のように「先輩後輩」みたいな関係も興味あるんですけど、それはリョテイ方面で存分に書かせて頂きます。

それでは、評価や感想お待ちしております。

里見レイ

貴方の最も好きなキンイロリョテイ、もといステ〇ゴ〇〇ドの産駒は?

  • ゴールドシップ
  • オルフェーヴル
  • ドリームジャーニー
  • ナカヤマフェスタ
  • フェノーメノ
  • オジュウチョウサン
  • エタリオウ
  • レインボーライン
  • ウインブライト
  • インディチャンプ
  • ココロノアイ
  • アドマイヤリード
  • レッドリヴェール
  • ソリッドプラチナム
  • マイネルネオス
  • アッシュゴールド
  • ハルノナゴリ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。