連載休止 チームフォーマルハウトの旅路、黄金の軌跡と語られた伝説   作:里見レイ

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 書きたい! 書きたい! 描きたい! もっと描きたい!


未だに勝てないキャプテンに、ついに集団拘束が発生する

「二着、どうして勝ちきれないもんなのかねえ......」

 

 二度目の未勝利戦が終わったキンイロリョテイを眺め、頭を抱える西川。能力だけならメジロライアン並みだと彼は考えているのだが、どうしても力を出し切れていないようだった。

 

「はっはっは! バクシンが足りないんですよリョテイさん! もっとバクシンに力を籠めれば自ずと足は前に行ってスピードも格段に上達しますよ!」

 

 ライアンは、重賞レース直後な事もあり遠征を控えた。なお、彼女には別の頼みごとをしている訳だが。という訳で、今日はサクラバクシンオーと来ている。しかし、頭を抱える要素が増えるだけだった。

 

「バクシンオー。君が強い事は十分に知っている。だから今は少し静かになってくれ、考えをまとめたいんだ」

 

 彼女と観戦するのは金輪際やめにしよう、西川は心に決めたのだった。

 

「バクシーン! 了解しました!」

 

 閑散とした午前の阪神レース場にバクシンオーの盛大な高笑いが木霊した。その後に小さな小さなため息も漏れたのだが、まあ聞こえた者は本人くらいだろう。

 

 

 さて、このまま府中のトレセン学園へと帰還した一行だが、そこには若干の変化があった。帰って早々どこかへと逃走しようとするキンイロリョテイの抑止力となるべく、何人かのウマ娘が彼女の帰りを待ち構えていたのだ。

 

「やあ、リョテイ。レースお疲れ様、テレビで見てたよ」

 

「リョテイさん、今日は一緒に走りませんか? 私だって、メジロの末端。負けませんよ」

 

 まず、一同(リョテイ)に声をかけたのはシャインブライアンとトーホーアート。格好は勿論ジャージだ。

 

「!? !!」

 

 唐突の出来事に驚き、西川の方を唖然と睨むキンイロリョテイ。しかし、加えて彼女に追いうちがかかる。

 

「うす、リョテー! お前とこうして走るのは共にチームを脱走して以降か?」

 

「ジャスティス、他にも人がいるのです。もう少しお静かに挨拶は出来ないのですか?」

 

「!!! ???」

 

 校舎から軽い駆け足でやって来たのはフジタジャスティスとエリモレイディーの二人。彼女たちもまた、元はシャインと同じチームだった上に三人揃って別のチームに移籍した仲だ。

 

「トレーナーさん、言われた通りリョテイが逃げられないメンバーを集めておきましたよ。みんな、快く承諾してくれました!」

 

 そして、最後にやって来たのはメジロライアン。全ては、リョテイをやる気にさせる為に西川が二週間前から計画していた大集合作戦だった。

 

「......っ」

 

「リョテイ、練習しような」

 

 苦虫を嚙み潰したようになったリョテイの方を軽く叩いて諭す西川。

 

「......」

 

 リョテイがガックリとうなだれる事でゲームセット。こうして、チームフォーマルハウト結成後初の合同練習が始まった。

 

 

「......ふーむ。シャインブライアンの逃げはなかなか面白いなあ。今のままならライアンの方が強うだろうが、この短い期間でも大きく化けそうだ......」

 

「フジタジャスティスの併走に関しては、エリモレディーと一緒かどうかで三段階くらい違うぞ。日ごろの練習もこんな感じなのか?」

 

 ブツブツと呟きながら録画とタイム測定とタイピングを平行して作業する西川。傍から見れば、ある意味頭の可笑しい所業である。

 

「......と、トレーナーさん。どうなのですか、皆さんは?」

 

 と、そんな所にやって来たのはメイショウドトウ。どうやら、ライアンから事前に話を聞いており様子を見に来たようだ。

 

「全員、重賞を取れる実力はありますね。ただ、全員あと一歩って印象があります。世間の評判ならライアンが一番ですが素質ならシャインさんです。皆さん長所と短所がはっきりしていると言いますか......」

 

「......リョテイさんはどうなんですか?」

 

「どの能力も中途半端って感じですね。短所がないのはトレーナーとしては嬉しいので嬉しいのですが、長所がないのも困りものです......」

 

 総合能力で言えば、同い年のこの面々では最下位。その上、サボり癖もあるし第一まともに話をしてくれない。リョテイを投げ出した今までのトレーナーの気持ちが多少分かるようになった。

 

「トレーナーさん。今、リョテイさんの監督を諦めようと思いませんか?」

 

「!?」

 

 ゆったりと西川の耳元で図星を打つメイショウドトウ。彼女の眼は常に弱気に見えるが、彼女だから分かる人間の負の感情というものがあるのかもしれない。

 

「ははは、貴方には叶いませんね。リョテイを練習させる為、私は彼女の元チームメイトに連絡を取りました。当然、その際にリョテイの元トレーナーの方にもお会いしたのですよ。皆さん、心配されてました。『彼女の能力は確かに一級だが限りなく二流に近い。そして、何故かパフォーマンスは三流だ。彼女がレースで勝つ為には、チームの他のウマ娘を犠牲にする必要がある。自分にはそれが出来ない』とね」

 

「......トレーナーさんは、私たちを犠牲にしてでもリョテイさんを勝たせたいですか?」

 

「......勝たせたい、と言ったら貴方はチームを止めますか? 私は貴方の能力にも惚れ込んでいるのですけれどねえ」

 

 パソコンに目を落としたまま西川はドトウの問いに返した。

 

「......ごめんなさい。リョテイさん以上に好き勝手している私が聞く事ではありませんでした。どうか、忘れてください」

 

 メイショウドトウの抑え気味な声は宙を舞い、彼女は早々と立ち去ってしまった。

 

「......少しは、関係の改善できたと思うけど。まだまだ課題の多いチームだな」

 

 一通りデータ入力を終えた西川は、ファイルにまとめてメールを送信。ゴロリとターフに寝っ転がり空を見た。

 

 

「どうしたのデースか、スズカ?」

 

「......あれ、シャインにジャスティス、レディーまでいるわ。珍しいなあと思って」

 

 練習場の脇道にて立ち止まるサイレンススズカとタイキシャトル。同期の様子が気になるようだ。

 

「どーせ、彼女達とは嫌でも今後走りマースよ! 私の進む短距離なのか、貴方の進む中距離なのかは知りませんケレド」

 

「そうね。後、とてつもなく珍しい人が練習をしているわ」

 

 スズカの指差す先にはトーホーアートと併走をしているチームキャプテンの姿がある。

 

「ん~? Oh! キンイロリョテイ! Unbelievable!」

 

「もし、彼女が本気で練習をして100%の力でレースに挑めたとしたら」

 

「恐ろしいライバルになりそうデースね」

 

 二人の目つきがレース時並みに鋭くなる。そして、そのまま走り去ってしまった。

 クラシック一冠目、皐月賞まで残り約二十日。




 文字数に関しては、ほぼ毎日投稿できるペースにしております。
 ただ、そろそろ第0話としてキャラ解説の話を入れたいですね。

 感想・評価・アンケートお願い致します。メチャメチャモチベ上がりますので。

 では、今日も感謝です。

 里見レイ

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