徒然なる中・短編集(元おまけ集)その2   作:VISP

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 タイトルが全てを物語ってる小ネタSS



オリウマ娘にTS転生したと思ったら重バ場だった タイトル少し修正

 私、転生者!

 人→競争馬→ウマ娘って感じの親の顔並に見たテンプレ転生して今トレセン学園中等部に入学したばかりなの!

 競走馬時代は脱走したり襲ってきた羆殺したりお客さん相手に芸人ムーブしつつ生涯無敗で12冠馬になって種馬生活を僅か数年でアボンしちゃったけど、今世は元気に人として暮らしていきたいと思う!

 更に言えば大事にされてたとは言えどもう畜生生活はヤダ!

 レースでお金稼いで将来は自堕落ニート生活がしたい!

 ………転入三日でもう転校したいけどな。

 

 え?ウマ娘ちゃん達と百合百合しい学園生活送りつつウマダッチとかURA目指すんじゃないのかって?

 そんな幻想は初日に崩れ去りました、特に前者。

 自分の転生した世界、ウマ娘プリティダービーに酷似した世界なんだけど………ウマ娘が所謂重バ場仕様なんですよねぇ…(白目)。

 身長がマジの馬ばりにデカくて平均身長がほぼ2mで、体重は骨密度の高さ故に同じ大きさの人間と比較して倍近くて、人間よりも大型野生動物に近い身体能力なんだとか。

 その上ウマとしての本能がとても強くて、時折理性を引き千切ります(特に番関連)。

 更にレース=誰よりも早く走る事への執着が強く、それを補佐してくれる自分の担当トレーナーに対して凄まじい愛情を抱く事例が多い。

 そして、優秀なウマ娘程その傾向が強く、優秀なトレーナー程複数のウマ娘を担当する。

 

 結果、担当ウマ娘からとてもヤンデレメンヘラ重バ場な想いを向けられてウマピョイ(隠語)される事例が後を絶たない。

 

 更には時にトレーナーを巡ってウマ娘同士の殺し合いが発生し、当事者のみならずそれに巻き込まれたトレーナーやウマ娘までもが重傷を負い、競争ウマ娘やトレーナー職を引退する事例も毎年の様に発生しているのだとか。

 もうね、バ鹿かと(遠い目)。

 自分、一応チート持ちなのでレースに勝つのは問題ないのだが、出場するには原則的にトレーナーとの契約が必須。

 これはウマ娘の心身をしっかりサポートする事でレースによる事故を防ぐためだとか。

 結果的に別の方面で事故が多発してるがな!

 しかし、トレーナーの数はこういった事情とそもそも資格取得のためには高度な知識と経験が必要とされ、更にはウマ娘の暴走に巻き込まれても生き延びるだけの身体能力も求められる事からとても狭き門だ。

 だってのに距離感を間違って才能のあるトレーナー程早く引退してしまう。

 残ったのはガチでベテランの凄腕とまだ寿退社してない新人とその中間、そして箸にも棒にも掛からぬ主に縁故採用の下手っぴ、後の多くはまだ資格を取得していないサブトレーナーだ。

 なので、トレーナーはウマ娘の数に対して常に不足しがちになっている。

 勿論、所謂ブラックトレーナー(ウマ娘の故障に頓着せず実績ばかり重視するクソ)にぶち当たる事を考慮せねば入れるだろうが、流石に前々世よろしくブラック環境など御免被る。

 よって、自分もまた契約してくれるトレーナーを見つける必要があるのだ。

 無論、チート持ちなので入学早々の選抜レースとか定期的に行われるデータ取りのための模擬レースとかでもトップの成績を出しているため、トレーナーから声を掛けられる事は多い。

 しかし、彼・彼女らの背後におわす先輩方からの(オメェ分かってんだろうなぁ…ッ!?)(やるか、あぁん!?)等の血管をビキビキさせたり、ゾッとする程暗い瞳で語られる声なき声にお断りせざるを得なかった。

 戦って負けるつもりは無いけどさ、君子危うきに近寄らずって言うじゃん?(震え声)

 ちなみにチートを使えば相手がブラックトレーナーかどうかは直ぐに分かるので、見えてる地雷も見えてない地雷もしっかり回避してたりする。

 そんな訳で、私ことブラックアイアンは今もトレーナーを探しております。

 なお、この名前は前世の馬主曰く「本当ならブラックオックスにする予定だったけど版権が怖いのでアイアンにした」と言う由来がある。

 鉄人28号のライバルやんけ!

 

 

 

 ……………

 

 

 

 そんな感じの日々が入学してから数カ月経過した頃の事。

 

 「あー、どっかに未契約のトレーナーはおらんかねぇ…。」

 

 実は今季の新規トレーナーは既に契約済みであり、リギルの様なベテラン中のベテラン勢も偶々空きが無いという事で断られてしまったのだ。

 空きがあれば是非とも…とは幾人かのトレーナーからは言われたため、全くの収穫無しではないのだが、中等部と言えどもレースの参加や飛び級も割と有るため、この普通の中学生としての生活が何処かもどかしい。

 ウマ娘の本能故に走りたい、レースしたいと言う欲求が溜まっていく。

 勿論、身体を壊さない程度の自主トレで発散してはいるが、やはり誰かと競争したくなるのがウマとしての性なのだ。

 

 (どーしたもんかー。)

 

 木の上で一人、大きめな枝の上でゆったり寛ぎながら、私はどうにもならない衝動と未来への漠然とした不安を抱えて困っていた。

 

 「うぁ、何あの人?」

 「シッ!目を向けちゃダメ!」

 

 そんな時、不意に木の下から何か声が聞こえて来た。

 見れば、見知らぬウマ娘二人が足早に去っていく所だった。

 視線を周囲に向ければ、これまた見慣れぬウマ娘が一人、何故か低木の茂みに隠れながらグラウンドへと視線を向けている。

 よく見ると、そのウマ娘は何故かドルオタが如く息を荒げながら、コースを併走する二人のウマ娘へと視線を向けている。

 しかも何か一眼レフと思われるカメラでパシャパシャ撮影しつつ、デュフデュフ笑って涎垂らしてる。

 あ(察し)。

 

 「午後3時12分、盗撮の容疑で現行犯逮捕。」

 「へぇあ!?ま、待って待ってください!デジたんは怪しいものじゃないでしゅ!」

 「怪しい奴は大体そう言うんだよ。確保ー。」

 「Nooooooo!?」

 

 で、学園の警備に突き出そうとする前に、捕まりたくないからか色々ゲロってくれた。

 彼女の名前はアグネスデジタル。

 このトレセン学園在学の歴としたウマ娘の一人であり、名家であるアグネス家の御令嬢の一人で、序に米国からの帰国子女だ。

 現在は引退しているもののレースでも多数の賞を取った優秀極まりない彼女だが、その悪癖によって敬遠されているのだとか。

 彼女の悪癖、それはウマ娘なのにウマ娘同士の絡みが大変大好きな変態であるという事だ。

 特定ジャンルの百合ネタの萌え豚と言えば分かるだろうか。

 

 「何でまたそんな難儀な…。」

 「だってウマ娘ちゃん達がキャッキャウフフしてるの余りにも尊い…。」

 「だからって盗撮はなぁ…。」

 「あ、これ盗撮じゃなくて敵情視察って奴。デジたんトレーナーなもんで。」

 「は???」

 「あ、これは信じてない奴ですねー。」

 

 曰く、彼女は極めて珍しいウマ娘なのにトレーナー資格保持者との事。

 大抵の日本のウマ娘は競争ウマ娘を目指し、三割は夢破れて去っていき、三割はそれなりの成績を残し、残った三割は優秀な成績を残す。

 残りの一割は諸事情で勝負の土台に上がれなかったか、或いは極めて珍しくもレースに興味の無い者達だ。

 で、アグネスデジタルは自身が走る事よりも他のウマ娘が走り、絡み合ってる姿を見るのが大好きな超変た…変わり者だった。

 更には合法的に趣味に耽溺するために競争バ引退後はトレセン内のトレーナー科に移籍して超難関の筈のトレーナー資格を在学中に取得するに至ると言う、もうどう言えば良いのか分からない存在だった。

 だが当然と言うべきか、超変態の彼女に自身の人生ならぬバ生と青春を預けようと言う奇特なウマ娘はおらず、資格を取ってからウマ娘と誰一人専属契約を結べていないのだとか。

 

 「残当。」

 「うう、デジたんはウマ娘に対してはとっても真摯なのに…。」

 「もう少し趣味の事を取り繕うとかしたら良いのでは…?」

 「どうしてもデジたんの中のあふれ出るパトスが噴出しちゃって…。」

 「おお、もう…。」

 

 何かもう、なるべくしてこうなったと言うしかねぇや。

 しかし、彼女の存在は今現在の私にとって、正に福音と言うべきものだった。

 

 「それだったら、私と契約しませんか?」

 「ヱ?」

 「言っておくがマジですよ。私も現在トレーナーを探していまして。」

 

 余程おかしな真似をしなければ、転生チートで頑丈極まるこの身体は負傷・故障したりする事は無い。

 しかし、効率良く鍛えるにはやはり専門家の知識や技術が必要不可欠となる。

 だったら、経験は少なくとも優秀なウマ娘としての視点を持ち、変態と言う名の淑女としての熱意を持つアグネスデジタルと契約したならば、ベテラントレーナーの空き待ちをして時間を無為にする事も無いのではなかろうか?

 幸いにも、自分のチート直感は彼女が当たりであると告げている。

 勿論、ダメだったら契約打ち切りして空き待ちか次の学期の新人トレーナーの赴任を待つつもりだ。

 

 「ほ、本当にデジたんと契約してくれるの?マジで???」

 「マジです。でも、ダメだったらその時は打ち切りでお願いします。」

 「……………………………………ぃ…」

 「い?」

 「ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいヤッホオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ

!!!」

 

 大声出すとチート直感で分かってたのでしっかり耳を塞ぐ。

 にしてもスゲー叫び声である。

 ウマ娘の優れた身体能力から来る肺活量を無駄に活かしてやがる。

 

 「なるなるなるなるデジたんなる!君と契約する!トレーナーになる!」

 「おお、それはありがたいです。こっちも良いトレーナーが見つからず困ってまして。」

 「YesYes!このデジたんにお任せあれ!君の願い、このデジたんが叶える手伝いを致しましょう!」

 「取り敢えず、暫くの間はよろしくお願いしますね。」

 「I'm looking forward to working with you in the future!こちらこそよろしくね!」

 

 最後の英文は米国帰国子女らしい綺麗な発音だったが、ちゃんとチート聴覚で一字一句間違いなく聞こえていたとも。

 因みに意味は「こちらこそ、これからよろしくお願いします」だ。

 

 これが何だかんだウマの合う我がトレーナーとの出会いと専属契約までの顛末だ。

 

 この後、ウマ娘同士の契約としてバ鹿にされるものの、多くの賞を掻っ攫っていく事で多方面から注目され、同時に自分のトレーナーに勝利を捧げたい重馬場ウマ娘達からマークされる事となる。

 

 

 ……………

 

 

 ブラックアイアンの存在を、勿論アグネスデジタルは知っていた。

 今年から中等部に入学した、今年度で最も肉体的ポテンシャルに恵まれているであろうウマ娘として。

 中等部、即ち13歳にして既に身長180cmを超え、在学中に間違いなく190cm台に行くだろう恵体の彼女に入学当初から目を付けているトレーナーはとても多かった。

 ウマ娘は多くが日本人の平均よりも体格に恵まれているとは言え、その中でも群を抜いている彼女に期待するなと言う方がおかしいとも取れるがそれはさておき。

 加えて、選抜レースや模擬レースでも常に余裕がある状態で2位以下に大差を付けて勝利している事から、あらゆるトレーナーが彼女に注視し、是非とも自分の所へと勧誘しようとしていた。

 それ故にトレーナー間では牽制合戦が暗黙の内に行われ、酷い場合はトレーナー間の深刻な対立にまで発展する事すらあった。

 その結果、一部の猛者や身の程知らずを除いて対立によるトラブルを嫌った殆どのトレーナーは寧ろ彼女のスカウトを諦め、それ以外の十二分に才能のあるウマ娘への勧誘に移った。

 現在、中央のトレセン学園には世代・出身を問わず多くの才能あるウマ娘が多かった事がこの事態を後押しし、ブラックアイアンは本人の知らぬ所で起こった騒動のせいでアンタッチャブル扱いされる事となってしまった。

 そんな彼女の存在を、デジたんはしっかり嘗め回す様に見た上でその記録を秘蔵フォルダやアルバムに保存し続けていた。

 アグネス家令嬢と言っても直接的な血の繋がりの無い養子として蔑まれ、優秀な成績を残したと言っても変わり者な自分の所には決して来てくれないであろう高嶺の華として。

 それが何の偶然か自分の様な糞雑魚ナメクジの所に舞い降りて、挙句専属契約してくれると言うのだ。

 目の前に立たれて直接言葉を交わした時点で大興奮だと言うのに、他のベテランや新人トレーナーを差し置いて資格取り立ての知られてる限りでは史上初のウマ娘トレーナーと言う前代未聞の自分と契約???

 

 (しゅき♡けっこんしよ♡)

 

 部屋に帰った後、デジたんは今日出会った今後の人生の運全部使い切ったレベルの幸運を思い出し、尊死した。

 余りの尊さにガチで心肺停止していた所を正真正銘のアグネス家の令嬢であり友人で同室のアグネスタキオンに蘇生してもらうまで後10分の事だった。

 

 

 




ブラックアイアン(♂)

 特にパッとしない成績の両親から生まれたのに「トンビがドラゴンを産んだ」「現代版黒王号」と言われる事となった青鹿毛のオリジナル競走馬。
 一応純国産の競争馬なのだが、パッとしない血統なので当初は全く注目されていなかった。
 馬主兼生産者の経営する牧場で生まれ、出産直後から既に馬格が大きかった。
 また、出産後直ぐに立ち上がって初乳を済ませた後、脱走した。
 この事が馬主兼生産者の目に留まり、競走馬としての馬生を歩む事に。
 賢いながらもとてものんびりとした性格であり、出産牧場内で飼育されている牛や犬猫とも仲が良く、牛の出産が始まったのを察知すると脱走して飼育員を呼びに行った事もある。
 1歳当時、既に一般的競走馬の馬格を超した頃、厩務員と共に移動中に近くの森から出て来た羆に遭遇してしまう事があった。
 その際、背中を見せていたブラックアイアンに羆が襲い掛かるも、後ろ脚による蹴りの一撃で反撃し、羆を出て来た森へと蹴り飛ばした。(この際、蹴り飛ばされた羆は縦回転していたとも)
 この後、やってきた地元の猟師の言によれば羆は「下顎が砕け、首の骨が折れている」状態で発見され、記念として毛皮に加工された。
 この事件後に育成センターに移って本格的な育成・調教が始まった。
 2歳からレースに出場してからは引退する7歳まで生涯無敗で通し、馬場・距離を選ばずに走り抜けた怪物。
 主な勝ち鞍は弥生賞、JRA三歳クラシック三冠(皐月賞・東京優駿(日本ダービー)・菊花賞)、JRA秋古馬三冠(天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念)、JRA春古馬三冠(大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念)、安田賞、凱旋門賞だが、生涯無敗で通したので他にも多数。
 鞍上曰く「余りにも乗り心地が良く、同時に余りにも早くて驚いた」。
 が、7歳で引退後は生産牧場にて穏やかに種馬生活を営んでいたものの、5年目に猟銃を持った強盗が押し入ってきた。
 騒ぎを聞きつけて厩舎から脱走し、生産者兼馬主の息子を庇って三発の銃弾を受けた後、強盗の両手両足を圧し折った(7か所の骨折)後に大量出血で死亡。
 犯人はギャンブル依存症であり、ブラックアイアンの出たレースで大負けして多額の借金を抱えた事から来る逆恨みが犯行動機だった。
 多くの競馬関係者から涙と共に見送られ、現在も献花が絶えない。

 勿論転生チートありきの存在なので、普通はこんなUMAいません。
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