地球上での多次元義勇軍による対BETA戦線は順調に推移していた。
『準備期間も考えて、一週間に一度ハイヴ攻略作戦を行います。』
運営のこの方針に転生者達は特に反対する事もなく賛成し、6日間はテキトーに間引き、7日目にハイヴ攻略作戦を行った。
結果、1か月も経たずにもう地球上のハイヴは殆ど消えてしまった。
この頃になるとほぼほぼ作業ゲーと化しており、プレイヤー側のモチベも少々下がり気味…にならなかった。
『ハイヴ攻略完了。地上構造体の破壊及び残存BETA群の掃討を確認。これより基地建設作業に入ります。指定された空間転移予定地の人員は退避してください。』
直後、巨大な六足歩行の移動要塞が出現した。
スピリット級移動要塞、その改良型である。
特徴的な六足での移動と6枚の可動カタパルト、そして特徴的な巨大な三連装砲×2門。
圧倒的な分かり易い武力を誇示しながら、しかし今回はそれらを振るう事は無い。
六足でハイヴ跡地の縦坑の直上へとその本体を固定、横坑構造及び地表の基地化工事を開始した。
数多の無人作業機械や戦闘が不得意な転生者達の昼夜問わぬ圧倒的速度の土木作業により、荒れ果てた荒野と化していたハイヴ跡地はものの三日で巨大な基地へと変貌していた。
『基地の建設を完了しました。基地内部には本格的な整備・修理・改装用を揃えている他、各種ショップやレクリエーション施設も多数取り揃えております。皆様、ご自由にご利用くださいませ。』
『また、もしも襲撃を受けた際には当要塞の支援が受けられます。防衛戦においては特別ポイントや特典も支給されますので、皆様奮ってご参加ください。』
何処かハイヴのモニュメントを彷彿とさせるシルエットを持った要塞及び基地施設がユーラシア各地にて次々と建設されていく。
こうした多次元義勇軍の順風満帆ぶりに対し、逆に焦燥を募らせる者達もいた。
次々と各地に要塞が建設されていく光景はこの世界の人類、即ちマブラヴ星人達にとってはとてもではないが看過できないものだった。
「我々統一中華戦線はこれ以上自国領土内の不明勢力の跋扈を認める事は出来ない!」
ただBETA相手に戦闘するのならギリギリ黙認できた。
しかし、奴らは移動要塞と基地施設の建設と言う領土の占有、即ち侵略を行った。
これは例え亡国の憂き目に遭おうとも、決して許す事は出来ない!
我々は全力で以て我が父祖の大地を取り戻すだろう!
そう一方的に宣言すると、周囲からの怒号や非難の声を背に統一中華戦線大使は議場を去っていった。
不明勢力への攻撃、それが現実のものになる事で発生するだろう不明勢力による報復を思い、各国は頭を抱えた。
不明勢力がどの様な思考回路で行動しているのか一切不明の現在、下手に刺激しようものならば何が起こるか分からないのだ。
現場で攻撃を加えた実働部隊が撃滅されるのならばまだ良い。
中華統一戦線が殲滅されるのも、各国からすればまだ許容範囲だろう。
しかし、地球人類全体を攻撃対象とされた場合、それこそBETA以上の脅威となる可能性が極めて高かった。
何せ人類があれ程圧倒されたBETAをまるで草刈りが如く一方的に撃滅していく勢力なのだ。
その軍事力・技術力は人類の想像の埒外にある。
それが躊躇なく向けられた時、人類は間違いなく滅びるだろう。
破滅を恐れる各国は中華統一戦線大使を責めるが、もう賽は投げられてしまった。
残された手段は黙って見ているか、統一中華戦線相手の戦争か。
そんな大騒ぎな国連会議場に対し、更なる火種が投げ込まれた。
「ほ、報告します!不明勢力により救助された民間人を確保しました!」
この報告により、事態は益々混迷を深める事となる。
……………
欧州・ソ連・EU・アフリカ・アジアの各戦線の最前線基地にて、数人から数十人程度の地球人類が保護された。
彼ら曰く「見知らぬ勢力により保護されていた。治療が終わったからと帰された」との事。
彼らは無人のトラックによりハイヴ跡地の最寄りの基地へと運送された。
だが、何の補助もなくては混乱を招くと思われたらしく、彼らには一人ずつ世話役が付いていた。
「それで、貴方達はこっちの質問に答えてくれるのかしら?」
『肯定。当機はそちらの質問に回答する用意がある。』
「じゃあ、先ずは貴方達の名前と貴方達の所属勢力の正式名称を教えてくれるかしら?」
世界各地で約100人の生き残りと同数の無人自動随伴支援ユニット。
重力制御にて浮遊する箱状のユニットに作業用の無骨なアームが付いた喋る機械(日本帝国軍の生き残り付きの個体)に対して香月夕呼博士は内心の動揺を呑み込みつつ、全力でその頭脳を回転させながら掴んだ幸運に感謝しながら会話を開始した。
『当機の名称は歩兵用随伴総合支援ユニット「ポッド」。個体識別番号961。当機の所属勢力の正式名称は「多次元義勇軍」。』
その言葉だけで夕呼は複雑な感情に顔を引き攣らせた。
以前からの自分の推論が当たっただけでなく、そこから予想される厄介事の気配を感じたからだ。
「多次元義勇軍とはどんな組織なの?」
『無数の多次元並行宇宙から参加者を募った傭兵集団が最も適当な表現に当たる。多次元義勇軍の目的は複数の多次元並行宇宙に跨る災害、「多次元災害」とその可能性のある事象への対処。』
「傭兵集団なのはどうして?国軍ではないの?」
『極めて多数の勢力が参加しているため、指揮系統の統一が難しい。そのため、戦力を傭兵として雇用する形態となっており、各作戦は依頼として傭兵が自由に選択可能。』
「私達地球人類や国家でも彼らを雇用する事は可能?」
『十分な報酬があれば雇用可能。』
「貴方に彼らを紹介してもらう事は可能?また報酬は支払い可能?」
『可能。先に依頼内容及び報酬の決定が必要。ただし、雇用に足り得る報酬は現在の地球人類では用意できない。』
「…まぁ、それもそうよね。」
この世界の地球人類にとって、彼ら多次元義勇軍は圧倒的強者である。
人類が用意できるもので、彼らが用意できないもの等無い。
資源・技術・軍事と何もかにも劣っている側が碌に対価を用意できる筈もない。
「多次元災害の原因はBETA?それとも何か別のかしら?」
『主な原因はBETA。しかし、原因は他にもある。」
「その原因とは何かしら?」
『因果導体。』
ごくり、と知らず唾を飲み込む。
自身の提唱する因果律量子論に何処か近い響きに、もしやという期待と一学者としての知的興味から来る興奮が夕呼の中で荒ぶっていた。
「…それは一体どのようなものなの?」
『接続された並列世界間の因果の相互的やり取りを媒介する存在。並列世界間の因果の通り道にして道標。因果の運び屋とも言える。』
「それはどんな外見?私達人類に観測可能なものなの?」
『可能。この世界における因果導体は一部の地球人類である。』
「その人物の、名前は?」
『最も有力な個体は鑑純夏。』
こうしてマブラヴ星人、もとい地球人類全体が初めて自らの置かれた状況を正確に知る事となった。
もっとも現状を真に理解し、次に繋がる行動を取れるかどうかはまた別の話であるのだが。
……………
【多次元】マブラヴ世界殴り込み【義勇軍】Part10
561:名無しのマザー
こんな感じで、今頃彼らは自分達の状況を理解してるだろうね
562:名無しの白銀
ほぼほぼ猛毒の劇薬ですな
563:名無しの転生者
うわぁ うわぁ…
564:名無しの転生者
これ大丈夫?マブラヴ星人発狂しない?
565:名無しの転生者
してもいいのでは?
566:名無しの転生者
それはそう
567:名無しの転生者
まー連中が絶滅しようが何しようがオレラは知ったこっちゃないし
568:名無しの転生者
通信傍受したらすげー混乱してるの分かって草w
569:名無しの転生者
何それ面白そうw
570:名無しの転生者
スレ立てしてみたわ
つ【通信】マブラヴ星人観察スレ【傍受】
571:名無しの転生者
サンクス 行ってくるわ
572:名無しの転生者
もれもー
573:名無しの転生者
しっかしこれ、鑑純夏と白銀武は大丈夫なん?
574:名無しの転生者
?何か問題でも?
575:名無しの転生者
白銀に関しては可哀想だとも思うけど…
576:名無しの転生者
鑑純夏も同情はするがそれだけ
577:名無しの転生者
ぶっちゃけやらかした事がデカ過ぎる
578:名無しの転生者
例え他の時間軸の事とは言えなぁ
579:名無しの転生者
んん?どういう事?原作よろしくループ終わらせればいいんじゃないの?
580:名無しの転生者
>579 お前はちょっと解説か考察スレにでもいってこい
581:名無しの転生者
端的に言うとね、あの子はスパロボ主人公勢の逆の事してるの
582:名無しの転生者
あ、あー
583:名無しの転生者
ふむふむ分からぬ!
584:名無しの転生者
バクシーン!
585:名無しの転生者
この頭驀進族はさぁ…
586:名無しの転生者
教えてえらい人!
587:名無しのマザー
説明するわねー
スパロボ主人公チームは大抵自分の元の世界から人類存続・勝利の因果を持ってきているの
これを持っているから彼らは修羅の巷たるスパロボ世界でも活躍し、勝利する事が出来る
勿論一般兵も大事だけど、特記戦力や圧倒的窮地に対処するにはそうした因果を持つ英雄ユニットが必須
で、マブラヴ世界はと言うと…逆に敗北の因果を積み上げてるの
588:名無しの転生者
すげーよく分かりました
589:名無しの転生者
珍しい方が説明してくれてワイびっくり
うん、そりゃ対応せんと不味いわな
590:名無しの転生者
でも原作主人公が終わらせたんじゃないの?
591:名無しの白銀
>590原作軸はな
では、他の時間軸はどうだ?
592:名無しの転生者
あ(察し
593:名無しのマザー
他の人類敗北の時間軸の鑑純夏は「あっちの私は武ちゃんに救われたのにどうして自分は…」
って思ってまた再度ループして敗北の因果追加→また敗北して因果追加
もう根っこから消すか、最低でも敗北の因果追加を終わらせないとずっと続くわ
594:名無しの転生者
正にアンリミテッド
595:名無しの転生者
所で人類勝利の因果=可能性が完全に尽きた時、どうなるんです?
596:名無しの転生者
ありがとうマザー!
597:名無しの転生者
あ(察し
598:名無しの白銀
原作でもあったろう
白銀武が元の世界に帰還した際、神宮司まりもが死亡した
あれと同じ事が、多次元世界規模で発生する
599:名無しの転生者
600:名無しの転生者
601:名無しの転生者
Oh…
602:名無しの転生者
態々マブラヴ世界に介入する訳だわ
負の連鎖を終わらせんと確実に多次元災害に発達する
603:名無しの転生者
自分らの不始末で死に続けるだけなら兎も角、こっちにまで来るんじゃ介入不可避
604:名無しの転生者
もう面倒だから全部焼かない?
605:名無しの転生者
超重力砲「撃つ?撃つ?」
606:名無しの転生者
撃たない
607:名無しの白銀
ただ滅ぼしただけでは今まで積み上げた敗北の因果が消える事はない
多少雑でも勝利の因果を積み上げる必要がある
608:名無しの転生者
それを理解させるために人類側にも情報開示したのか
609:名無しの転生者
でも人類がこっちの狙い通り動くか?
610:名無しの転生者
大丈夫?マブラヴ星人だよ?
611:名無しの転生者
…ダメだな!解散!
612:名無しの転生者
それはそれで別の世界線に狩場を移せば良いだけでは?
613:名無しの転生者
一応落着ユニットへの対処方法は確立してるんだし、地球上だけ綺麗にして放置で良いのでは?
614:名無しの転生者
成程それなら…速攻内ゲバになる光景しか思いつかん!
615:名無しの転生者
うーん詰み!
616:名無しのマザー
まぁ最悪ここと近似平行宇宙と他の宇宙との繋がりを閉じれば良いかもだけど
変なのに悪用される可能性もあるから、根本から治療したいのよねぇ
617:名無しの転生者
悪用って何に?
618:名無しの転生者
多次元宇宙跨ぐんだから、そりゃヤベー連中がヤベー事にでは?
619:名無しの転生者
ニャル様とか?
620:名無しの転生者
納得
621:名無しの古本教師
その名前を出すな
622:名無しの転生者
あ、チート勢の一人だ
623:名無しの転生者
うっす、珍しいっすね黒デモベネキ
624:名無しの転生者
多次元宇宙進出板でもないのに珍しい
625:名無しの白銀
彼女他ファンタジー系転生者には色々対策をしてもらっている
じゃないと呪殺や瘴気とかで安心できんからな
626:名無しの転生者
なるなる
627:名無しの転生者
クトゥルー系はマジヤバだかんね仕方ないネ
628:名無しの転生者
他にもウルトラマン案件とか最近では型月系もいるぞ!
629:名無しの転生者
STMCの話いる?
630:名無しの転生者
つまりそんなマジヤバ案件に発展しないためにも対処が必要って事なんだね!
631:名無しの転生者
で、因果導体の情報解禁したら、鑑純夏と武ちゃんはどうなるん?
632:名無しの転生者
…事故死?
633:名無しの転生者
いなかった事に
634:名無しの転生者
2人はね、転校しちゃったんだよ
635:名無しの転生者
嫌な、事件だったね
636:名無しの転生者
軒並み死亡で草
637:名無しの転生者
いやでも残当では?
638:名無しの転生者
この時点では本人の与り知らぬ事でしょ!
639:名無しの転生者
でも別時間軸の自分の所業が降り積もった結果でしょ?
640:名無しの転生者
でも頑張れば再利用可能
641:名無しの転生者
上手くいけば勝利の因果追加に役立つ
そうすればマブラヴ世界への介入も終わりでは?
642:名無しの転生者
でもそろそろ作業ゲー感がしてきたんだよなぁ
643:名無しの転生者
あー…
644:名無しの転生者
そらそうよ
連中上等なAI積んでないし
645:名無しの転生者
デスヨネー
646:名無しの転生者
月は兎も角火星は?
647:名無しの転生者
あっちはガチ勢と人外転生者でも上澄み勢しか許されてない古戦場
相手はガチAIの指揮する戦闘用BETAやぞ
その分報酬もデカいが
648:名無しの転生者
古戦場から逃げるな
649:名無しの転生者
ヒェ
650:名無しの転生者
ゆるゆるやるならやっぱ地球よ
651:名無しの転生者
ハイヴ突入しないならタンク系とか戦艦ユニットでゆるーくやるのが一番
652:名無しの転生者
好きな量産機でゆるゆるやって適度に稼ぐ
ポイント溜まったら新規購入か専用カスタマイズ
653:名無しの転生者
うーんこのエンジョイ勢よw
653:名無しの古本教師
いつまでも状況が変わらないのだったらそれでも良いのだがな
……………
「うーん…折角来たのにこれじゃつまらないなぁ。」
「彼らも退屈してるみたいだし…難易度調整してあげよう!」
「先ずはAIを梃入れ…いや貧弱過ぎ。これは僕が直にやるか。」
「他は…戦術機級に超重光線級か。これも採用。でもちょっと物足りないなぁ…。」
「そうだ!ナマモノ系ならアレとも似てるし流用しちゃおう!これであの子達も楽しんでくれる!」
「さぁさそうなったら急いで準備しなくちゃ!善は急げ!悪はもっと急げってね!」
アハハハハはあは刃ハハハハハハハ歯ハハハハ羽ハ派ハハハハはハ波ハハハハハはははあはハハハハハハハ歯ハハハハハ派ハハはハハハハはあはハハハハハ!
ハハ歯ハハハ葉ハハ派破ハハハハハハハアハハハ把ハはあはハハハハハハハ歯ハハハハハ派ハハハハはハ波ハハハハハはははあはハハハハハハハ歯ハハハハハ派ハハはハハハハはあはハハハハハハハ歯ハハハハハ派ハハハハハハハ母ッ!!
旧中国新疆ウイグル自治区喀什市、その地下にて
人類とはとても思えない、悍ましい程に美しい女がその美貌を燃える三つ眼に変貌させながら哄笑していた。
ちな女はAPP21の模様