トリニティ、ゲヘナ、便利屋68、アビドス分校
この錚々たる面々の協力により、市街地を防衛しつつアビドス対策委員会がカイザーPMCの防衛線を突破、ホシノを取り戻す事に成功した。
ボロボロになり、しかし再会を心から喜びあう少女達とそれを見守る先生。
余りにも美しい青春の一幕に、その光景を見る多くの者達が心洗われた。
しかし、その美しさが魔を呼び寄せたのか、唐突に邪魔が入る事となった。
『喜んでいる所悪いが振動計に感あり!大規模振動がこちらに向かい移動中!』
『チッ!こんな時に出てきやがったか!各員、対デカグラマトン戦闘準備!ビナーが来るぞ!』
アビドス分校所有のAT、スタンディングトータスの砂漠戦仕様8機の内の偵察用レーダーやセンサー系が追加された機体が周囲に警告を飛ばす。
GWOOOOOOOOOON!!
その直後、砂中から振動の主が砂の大瀑布と共にその巨体を現した。
全長150mにも達する白い装甲と黄のセンサーとエネルギーライン、そして頭上に巨体相応のヘイローを浮かばせた蛇の様な巨大機構。
デカグラマトンが第3セフィラ、ビナー。
数十年前から密かにアビドスを荒らし回り、その荒廃の一因となっていた者が再び人前に姿を現した瞬間だった。
GWOOOO…
鎌首をもたげた視線の先、そこには疲弊したアビドス対策委員会と先生の姿があった。
幾ら暁のホルスと先生の指揮があるとは言え、既に彼女らはここまでの戦闘で消耗している。
戦闘するには余りに分の悪い状況と言えた。
そう、彼女達だけならば。
ドドドドドドドッ!
『このデカブツはこちらで引き受ける!』
『君達は今の内に撤退するんだ!』
ビナーの横面にヘビーマシンガンの銃撃が纏めて叩き込まれる。
無論、その装甲に阻まれ、有効打とはならない。
だが、ヘイトを稼ぐには十分だった。
GWOOOOOOOOOOO!
咆哮と共にビナーの背中のハッチ、VLSが展開してミサイルを周囲のATへと発射して反撃する。
『こんなもん当たるかよ!』
『牽制も十字砲火も無しじゃなぁ!』
が、彼女らは外見は兎も角中身は100年戦争を生き抜いたベテラン中のベテラン、ボトムズの中のボトムズ。
地獄の底の底、辺獄を練り歩いた最低野郎共(今は女子だが)。
たかが垂直ミサイルの制圧射撃程度でくたばれる様な普通の生き物ではないのだ。
ヘヴィマシンガンによる迎撃、そして機動性を活かしての回避により、普通の戦闘車両なら成す術もない攻撃をあっさりと凌いでみせる。
『各機、予定通りだ。キルポイント1に誘導する。』
『『『『『『『了解!』』』』』』』
8機のATが正確な照準を許さない巧みな機動を維持しながら、この騒動の締めを飾るべく行動を開始した。
……………
【介入】ブルーアーカイブ原作対策スレ【放置】Part212
135:名無しの生徒
改めて見るとデカいなビナー!
136:名無しの生徒
全長150mだからなぁ
137:名無しの生徒
言うてスパロボ界隈だとよく見るサイズでは?
138:名無しの生徒
150ガーベラとかあるな
139:名無しの生徒
あれ?意外とでかくない?
140:名無しの生徒
んなわけねーだろ
Xのフリーデンだって132mだし宇宙世紀MAも大きくても100m超えが精々
141:名無しの生徒
これは草w
142:名無しの生徒
それよかアビドス分校組の動き見ろよ
すげー巧みな機動
143:名無しの生徒
流石は学生組では少数派のルナティック勢
144:名無しの生徒
これで機体自体は常識の範囲内ってんだから凄いよな
145:名無しの生徒
精々装甲強化とそれに伴う駆動系の刷新だっけ?
146:名無しの生徒
せやで
小銃防ぐ程度の装甲と重量増加しても問題ない駆動系
147:名無しの生徒
あとPR液使ってないから燃えない
148:名無しの生徒
バカな!?ATとは燃えるものではないのか!?
149:名無しの生徒
鉄の棺桶呼ばわりは草…じゃねぇな残当
150:名無しの生徒
ビナーの内部に高エネルギー反応!
ビーム来るぞ!
151:名無しの生徒
おお、結構な出力だな
152:名無しの生徒
回避成功 流石
153:名無しの生徒
言うて出すって分かってるんだしモーションも大きいし
154:名無しの生徒
それを土壇場であっさり成功させるクソ度胸よ
155:名無しの生徒
間も無くキルポイント1に到着
現地のPMCの皆さん、用意はいいですかー?
156:名無しの市民
OK!電磁地雷の敷設完了!
157:名無しの市民
遅ればせ輸送ヘリでアビドス本校+先生を収容しました
離脱しようとしたら乗客から「追ってくれ」言われたので
仕方ないので距離取りながら追跡開始ー
158:名無しの市民
仕方ないし予想通りなんで放っといて続行!
レールガン搭載戦車イプシロン3台の配置完了
いつでもどーぞ
159:名無しの市民
輸送ヘリ了解ー
失敗しても他にも手はあるから気張り過ぎんなよ
160:名無しの生徒
よし、間も無く予定ポイントに到達するぞ
161:名無しの生徒
10・9・8・7・6・5・4・3・2・1
162:名無しの市民
かかった!
163:名無しの生徒
うわぁ超高圧電流で痺れて動き止まった
164:名無しの生徒
加えてある種の電磁バリアで拘束もしてる
165:名無しの生徒
幾らヘイローある巨大装甲兵器とは言え機械だからな
そりゃ電撃はよー効くだろ
166:名無しの市民
イプシロン各車は砲撃開始
装填され次第順次射撃せよ
167:名無しの生徒
うお!?音が着弾の後に来た!
168:名無しの生徒
やっぱレールガンやばいな
威力もそうだが弾速が凄過ぎ
169:名無しの生徒
弾種は徹甲弾か
ビナーの分厚い装甲に命中する度に罅入ってるw
170:名無しのニトネキ
ユメパイの射撃準備完了までもうちょい待って
予想より出力が上がらない
171:名無しの生徒
おお遂に大詰めか
172:名無しの生徒
くくく、これは勝ったな
173:名無しの生徒
おい露骨なフラグ立てヤメーや
174:名無しの生徒
ビナー内部に高エネルギー反応確認!これまでに無い出力です!
175:名無しの生徒
ほらやっぱりー!
176:名無しの生徒
うおおお!?
177:名無しの生徒
ミサイル撃ちつつビーム薙ぎ払って来やがった!
178:名無しの生徒
しかも砂嵐を周囲に展開してバリアみたいに…?
いや、本質は別だな
砂は多分なんかの余波
179:名無しの市民
すまん!今のビーム掃射でイプシロン2番が砲身喪失!
射撃能力喪失!
予備の61式戦車6両及び砲兵隊での砲撃に移る!
180:名無しの生徒
第一分校AT隊も3機大破!パイロットは無事!
181:名無しの生徒
この砂塵…うわぁトマトだぁぁぁぁぁ!?
182:名無しの生徒
エネルギーラインが黄色から赤くなってる…?
183:名無しのマザー
んー多分SEEDのグーン地中機動試験評価タイプと同じかな
振動する装甲で周囲の土壌を液体化させて掘削する機能を過剰起動
実弾系は装甲に到達と同時に砕かれてるね
184:名無しの生徒
小口径弾は無効化
榴弾は効くが威力減少
レーザーや粒子系はほぼ問題なし
185:名無しの生徒
すると今の戦力では?
186:名無しの生徒
ちょっとヤバいですねぇ
187:名無しの生徒
レールガンは通るけど決定打にならん
188:名無しの生徒
ユメパイ!ユメパイのブラックバレルはよー!
189:名無しの生徒
今ヱル学からの増援急がせてる!
190:名無しの生徒
まだ撃たないって事はトラブルか!?
191:名無しの生徒
間に合えぇぇぇぇ!!
……………
事態は押されつつあった。
突然のビナーの強化。
ゲームでも見られた機能だが、これ程のものとは想定外だった。
恐らくは一時的なものだろうがジェネレーターのリミッターをカット、その余剰出力で強化された掘削機能を転用した防御機構。
おまけにこのままでは負けると判断したのか、こちらへの迎撃ではなく積極的な殲滅に移行している。
予備兵力だったPMCの61式戦車隊に砲兵部隊が頑張っているが、今一つ通りが悪い。
それも当然と言うべきか、彼らは余程の非常時にならなければ学区外ではリミッターと偽装措置を設けている。
これはヱル学の生徒会に表向き理事であるマザーの許可が無ければ外せないし、彼らも外そうとしない。
必要となればスレで即座に許可が出るだろうが、それでも彼らは頑なに外そうとしない。
「ユメ!大丈夫ですか!?」
先程のビームの掃射はこちら、トレーラーから降りた二人のいる射撃地点にも届いていた。
幸いにも直撃する事は無かったが、ユメの使っていた射撃補正機能付きバイザーが破損してしまった。
ブラックバレルの使用のための神秘出力も予定よりも上がらず、現状は手詰まり感が否めなかった。
「ユメ!聞いていますか!?」
「………」
だが、ユメはクリスの言葉が聞こえていなかった。
彼女の視線の先、そこに意識が集中していたから。
ビナー、嘗て彼女とクリスを襲った災厄の蛇と。
そしてAT輸送ヘリに乗り、呆然とこちらへ視線を向けているもう一人の後輩に。
彼女は呆然とした様子で、そちらに目が釘付けになっていた。
今、ユメの脳裏には僅か2年間の青い春が過ぎていた。
たった一人、アビドスの全てを押し付けられた1年間に比べ、2年目に新渡戸クリス、3年目に小鳥遊ホシノが来てからの辛くてもその何倍も楽しかった青い春の日々。
続くはずだったその日々を終わらせた、白い巨躯の怪物。
限界を迎え、焼き尽くされた自分。
目覚めてからは何もかにもを忘れ、アビドスの外でリハビリを送る毎日。
その傍らにいる変わり果ててしまった、噎せ返る程の死臭を纏う後輩
一番下の後輩一人を残して、今までのうのうと過ごしていた自分。
私は、今まで、何をしていた?
業と、ユメ自身への怒りが湧き上がると共にオルテナウス装備は瞬時に搭載された機能を発揮した。
本来なら複雑極まりない手順を必要とする儀式魔術の超高速代理演算。
冥府神オシリスは儀式を経てアビドスにて復活する。
その神話再現とユメ自身の感情の昂ぶり、そして周囲の同じ神話体系の神秘との共鳴を利用し、オルテナウス装備はその真価を解放するための条件が満たされた事を感知した。
【Black Barrel Set Up】
機械音声と共に右手に携えられた大盾バンカーボルトが装甲を展開、内部に搭載された魔導機関を中心とした形状へ変化する。
同時、位相空間に格納されていた数百のパーツが一斉に出現し、変化した大盾へと合体していく。
先ず後部に発射時の余剰神秘を放出兼冷却のためのラジエーター。
次に底部に砲身固定のための銃架兼神秘の一時貯蔵のためのチャンバー。
その次に来るは上部、本来ならばバイザーと連動して精密射撃を可能とする高次元精密照準器。
そして最後、全長3m超え、実体化した神秘を弾丸として複数の術式と電磁加速により幾重にも加速して射出する機能を持った黒き銃身。
ブラックバレル・レプリカⅡ
対高位存在を想定して複数の高位存在によって設計された、死を告げる黒き銃神の分霊である。
「クリスちゃん、手伝ってくれる?」
「!? ユメ、先輩…!?」
「私が撃たなきゃ終わらない、んでしょ?なら、ここで決めるからさ。」
「一緒にお礼参りして、ホシノちゃんにごめんなさいしよ?」
「はい…!お供します、ユメ先輩!」
二人で寄り添うように、ブラックバレルを構える。
今、二人の心はあの頃へと立ち戻っていた。
しかし一つ、間違いなく違う点があった。
それは、怒り。
不甲斐無い自分達と青い春の日々を奪い去ったあらゆるものへの赫怒。
その一念を弾丸にし、ブラックバレルは準備を整えていく。
「砲撃姿勢、OK!」
「
「
「デカグラマトン第3セフィラ、ビナーの
「接続完了。ビナーの運命、見えたよ!」
「
「バンカーボルトの出力、限度いっぱい!」
「砲身を完全固定。オルテナウスとの同調完了。」
「それじゃせーの!」
「「神秘装填!ッ」」
二人の、土地の、そして共鳴していたアビドス対策委員会からの神秘が、バンカーボルトに装填される。
秩序と無秩序の対立、神々の死と復活。
多くの神話体系の中でも古く長く繁栄し、そして滅んでいった神代の残滓
それらは瞬時に幾重にも増幅され、砲弾を発射するための炸薬と化す。
「神秘チャンバーに装填確認!」
「バレルレプリカ、最大出力!」
「「いっけェェェェェェェェェッ!!」」
そして、黒き銃神が咆哮した。
私達が作りました by スパロボ系高位存在の有志数人