徒然なる中・短編集(元おまけ集)その2   作:VISP

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よりにもよってバスク・オムに転生

 

 「はぁ……。」

 

 とある巨漢の偉丈夫が自室にて溜息を吐いていた。

 髪の毛を始め、眉毛やまつ毛も一本もない褐色肌の2m近い大男という時点で凄まじく悪目立ちするだろう容姿だが、本人の所作からはただただ疲労感が漂っていた。

 

 「はぁ~~~~~~~………なんでバスクやねん。」

 

 嘗てガノタだったおっさんは、今や気付いたらバスク・オムという宇宙世紀きっての大悪人に転生していた。

 

 「まぁえぇまぁえぇ。要はティターンズに入らなければ良いんだ。」

 

 幸い、前世を思い出したタイミングが一年戦争における重力戦線、その比較的初期の頃にジオン地上侵攻軍の捕虜となり、電気ショックを始めとした拷問を受けていた所を救助されたタイミングだった。

 これにより立ち回り次第で戦後は後方でのんびりできるだろうし、何だったら除隊しても良い。

 一年戦争中期の現在、試験MS小隊+αを率いる少佐という出世街道を進んでおきながら、このバスクin転生ガノタはそんな全力で後ろ向きな考えをしていた。

 

 「配備されたMSもザニーと鹵獲ザクだし…陸ガンとは言わんがせめて陸ジムよこせよな。」

 

 ザニー…残骸や鹵獲したザクをベースに連邦系統の技術を加える形で開発された最初期MS。

 パーツがほぼそのまま流用されている胴体や脚部などはほぼザクⅡ。

 一見するとジム系の頭部はガンキャノン用の簡易先行試作品からブレードアンテナなどを除いたもの。

 

 鹵獲ザク…残骸や鹵獲したザクⅡをニコイチ・サンコイチしてでっち上げたザク。

 

 陸ジム…正確には先行量産型ジム(陸戦仕様)。ジャングルや河川、泥濘や砂漠でもへっちゃら。

 装甲材もルナ・チタニウムなので対実弾防御は陸戦型ガンダムとほぼ同等の実は高性能機。

 そのせいでコストも高くなっている。

 

 「まぁ他にも61式とかホバートラックとかあるし、生き残るだけなら何とかなるか。」

 

 ただの宇宙世紀の連邦軍人じゃなく、こちとらガノタである。

 陸戦におけるザクの狩り方は予習済みじゃい。

 

 

 ……………

 

 

 広い広い重力戦線の何処かにて

 

 『各員、用意はいいな?』

 

 ミノフスキー粒子対策に有線通信に限定した状態で、通信機から指揮官たるバスク・オム少佐の声がMS試験部隊に届く。

 ややノイズ混じりの音声にも既に慣れた各員はそれぞれ了解の応答を返す。

 このフォーメーションも既に三度目であり、最初よりも遥かに迅速に用意を済ませる事が出来、憎きジオン星人の一つ目も前の出撃で7機目を撃破できた。

 そうした実績により、この部隊に隊長の手腕を疑う者は一人もいなかった。

 

 『このフォーメーションも既に三度目だ。頭の悪いザビ家の私兵共も学習し始める頃合いだろう。予定が外れた場合は速やかにサブプランへ移行する事を忘れるな!』

 

 敵への罵倒と警戒を同時に告げられ、兵士達はにやっと笑うと同時に気を引き締めた。

 適度なリラックスと緊張感により、兵士達のコンディションは万全と言えた。

 

 『間も無く敵の巡回部隊が来る。数はザクが3。各機は割り振られた目標を攻撃後、MS部隊は前進して陽動を。戦車隊は援護と止めを担当せよ。』

 

 ジオンはMSの脅威を緒戦の圧倒的戦果という成功体験と共に知っている。

 それはつまり、ジオン兵の思考の中に既存兵器への軽視とMSへの警戒心が根付いている事を意味している。

 国力や技術力の関係で、どうしても汎用性に優れるMSに偏重するジオンにおいて当たり前のその感情をよく知るガノタからすれば、その思考回路はとても付け入りやすい隙だった。

 

 『目標を視認。予定地点到達まで後1分!』

 

 オペレーターからの声に、全員が改めて神経を尖らせる。

 指がトリガーにかかり、知らず汗が出て、呼吸が荒くなる。

 

 『まだだ、まだ撃つなよ!』

 

 じりじりと神経に焦りが募る、が最初程ではない。

 既に二度成功していると自分に言い聞かせ、三度目の正直とすべく焦りを殺す。

 光学で視認可能となった敵機の位置と指定された座標がモニター上で一致するまで、息を殺して只管待った。

 

 『今だッ!!』

 

 指揮官の声と同時、各員はトリガーを引いた。

 同時、アロー隊形で歩行していたザク三機に対し、61式戦車8両とザニー3機から成る一斉射撃が襲い掛かった。

 塹壕を掘り、迷彩シートを被って身を隠していた試験部隊による不意の攻撃に、ザク3機の反応は意外にも早かった。

 恐らくは2度の巡回部隊の全滅により、ある程度は予期していたのだろう。

 ミノフスキー粒子が戦闘濃度とまで行かずとも、それなりの濃度で散布されていた事からギリギリになって気付かれた可能性もあったが、それはさて置き。

 先頭にいた隊長機は右肩のシールドを前に動かしながら左膝を突く事によって、前面投影面積を半分近くまで減らしつつ防御態勢を整え、両翼の2機もそれに倣ったのだ。

 不意の攻撃への対応として凡人のパイロットがするものとしては、この対応は確かに最適と言えずとも正解ではあった。

 最適なのは正面を隊長機、左右の方向からの防御を部下達が分担すべきだったが、それはさて置き。

 余程腕前に自信があるのなら回避も選択肢に入るが…ミノフスキー環境下におけるMSと言えど、決して無敵ではない。

 宇宙程自由に動けない地上で下手な回避機動を取っては、たった一発の被弾で転倒して絶体絶命に陥る事も珍しくはない。

 実際、61式戦車どころか歩兵部隊による対MSミサイルの飽和攻撃でザクが撃破された事例も存在する。

 だが、この対応が最適と言えるのは攻撃が「正面から」の場合だ。

 正面にMS隊、その左右に61式戦車部隊が配置された半包囲に近い形で撃たれた場合、左右から放たれるA155mm連装滑空砲から放たれる徹甲弾、そしてザニー部隊の100mmマシンガンとロケットランチャー(陸ジム等と共通)が一斉に火を吹いた。

 この一斉射撃を前にしては、如何にザクⅡの右肩部シールドであっても耐えきれるものではないし、側面からの砲撃には余り効果的ではなかった。

 余りの瞬間火力に正面にいた指揮官機はマシンガンの掃射には耐えたものの、ロケットランチャーの直撃に右腕と主兵装のマシンガンを喪失し、盛大に仰け反って転倒してしまった。

 残った二機は61式戦車の砲撃が直撃し、バスク達から見て右側の機体が左足が捥げ、左側の機体は運良くシールドの破損だけで済んだ。

 ここまでいけば、もう詰みだった。

 

 『MS部隊突撃!無事な一機を押し込め!残りは立て直される前に止めを刺せ!』

 

 スラスターを目一杯に吹かして塹壕から飛び出し、比較的無事な一機目掛けて駆け出す三機のザニー。

 転倒と脚部破損で身動きの取れない二機のザクには塹壕に下半分を隠し、砲塔にカモフラージュを施した61式戦車部隊が確実に止めを刺していく。

 

 『な、なんでMSが!?』

 

 慌てた三機目のザクが必死に120mmザクマシンガンを発砲するが、それは前衛の二機のザニーが持つ大型のシールド(後のジムのもの)によって弾かれて有効打にならない。

 迫り来る敵にマシンガンをフルオートで連射するが、動揺で足を止めたのが彼の敗因だった。

 即座に反撃として100mmマシンガンが放たれ、重装甲とは言えないザクへと次々に命中していく。

 

 『う、うわああぁ!?』

 

 慌てて回避機動を取るが、その時には既に駆動系の一部がやられたのか、動きは鈍っていた。

 後はもう先程の二機と同じで、後衛のザニーの持つバズーカ型のロケットランチャーに一撃により吹き飛ばされた。

 

 『よくやった!次は予定通り撤収作業に入る!MS部隊は後退し、戦車部隊は作業終了まで周辺警戒を続けろ!工兵隊は証拠隠滅及び敵MSの残骸を回収せよ!もし捕虜がいたら即時制圧して構わん!』

 

 こうして、バスク少佐率いるMS試験小隊はまたも生き残る事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 だが、転生ガノタたるバスクは戦いはこれで終わる事はないと知っていた。

 MS戦力をジムへと更新して喜んだのも束の間、地上の大反抗作戦ことオデッサ作戦へと参加する事になったのだ。

 それが終わったら今度は慣れ親しんだ戦車部隊を置いてジャブロー行きである。

 潜入任務なのに赤い馬鹿その他を迎撃しつつ、生き延びたら今度はサラミスやマゼランと共に宇宙へ上がり、星一号作戦へと参加する羽目になるのだった。

 

 「くそ!戦争が終わったら絶対退役してやる!復興活動しながら穏やかに暮らすんだ!」

 

 そんなささやかな願いを口にしながら、転生ガノタなバスク・オム中佐(功績にて出世)の明日はどっちだ!

 

 




まぁ結局ティターンズの指揮官押し付けられそうなんだけどねw

その場合、ジャミトフとよくよく話し合った後に「地球から人無くしたいんですよね?じゃぁ地球の治安維持は一般連邦軍に任せて、宇宙は安心して暮らせるようにしとけばその内ジオン残党()が何もかんも壊して暮らせなくしてくれるでしょ」という事で真っ当な対テロ特殊部隊になるでしょう。

その際の主力機はジム・クゥエルでしょうが、スラスターが背面と肩のみで薬莢無しなセミオートのジムライフルとビームナイフ(胴体だけチョバムアーマー付き)になるかな
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